中西だいすけの思い
(2015/04) 

 みなさんのおかげで、鈴鹿市議会議員を二期8年務めさせて頂きました。特にこの4年間は次の時代を意識し、鈴鹿市にある学校や体育館や図書館といった公共施設や、市道や水道管などインフラの維持と更新をどのように行っていくか、新しい中長期計画や都市マスタープラン策定への市民参加の拡充や、地域づくりなど住民自治について議会活動の軸におき、質問や発言を行ってきました。これらの課題については、鈴鹿市にとってまだまだ途中であり、しっかりと議会からチェックをすることが重要です。 

 これからの地方自治体の運営について、地方創生の考えも大切とは思います。が、どれだけ自分たちで覚悟を持ち、次世代に対する責任を意識していくかが、行政・市議会には問われています。子どもたちにツケをまわさない、いま決定することに関われない次世代へのツケまわしを、私たちは行わないようにしなければいけません。
 地方の借金を含めた日本全体の借金が平成26年度末に1000兆円を超え、平成27年度末には1035兆円と厳しい状況です。国は地方自治体にはできない赤字の借金として特例公債法案を通すことで、財政のやりくりをしています。このことはもしかすると近いうちに、地方交付税などの大幅減額やカットという形で地方財政に影響を与えると予想されるでしょう。

 つまり、人口も税収も右肩上がりの時期の考えのままでは、地方自治体での政治を行うことはできないということです。より厳しい状態で、地方自治体の責任と覚悟が問われる時代だということです。その意識を強く持つかどうかが、市議会にはこれまで以上に問われます。一人一人の議員の意識についても同じです。


 私の思いは、「みんなで鈴鹿を育てよう」と「すずかを持続可能なまちに」です。これらの言葉ではわかりにくいかもしれません。しかし、この言葉には「鈴鹿に住んでよかった」、「鈴鹿で育った」、「これからも鈴鹿に暮らしたい」、「鈴鹿で子どもを育てたい」などなど、たくさんの思いが詰まっています。私たちのような政治に携わる立場は、今の思いや利益だけでなく将来世代のことを意識しながら、社会の課題に向かい合わなければいけないと考えています。次の世代のために、20年後、30年後も鈴鹿のまちが存続するには、その時を想像しながら今の課題に取り組むことが大切です。このことは常に意識しています。


 さて、私たちは人口減少、少子化、高齢化といった人的な課題に加え、コミュニティとの関わりや公共施設やインフラの老朽化と更新などのような社会的な課題、想定される大地震などへの備えや温暖化に伴う気候変動など自然環境の課題と、ある意味でこれまでのツケに向かい合う状況になっています。それらは、それぞれへの対応だけで解決できるものではなく、それぞれが関係しあって重なり合っているため、全体をみて取り組むことが大切になっています。しかも待ったなしの状況です。

 鈴鹿市の経営環境診断では、鈴鹿市はこれから25年あとに現在の人口よりも1万3千人減少すると予想されています。人口が減少することは、消費が減ることにつながりますし、働く世代も減少することにもつながります。つまり、市民税や消費税などによって集められている税収が、これまでよりも減少することを私たちは意識しなければいけません。税収が減少する中で迎える高齢化の進行は、福祉などの社会保障に係る金額が増加することにつながります。また少子化対策についていま出生率が上がっても、その子供たちが働く年齢になるには、最短で15年先ということになり、その間は厳しい状況は変わらないと意識すべきです。

■鈴鹿市経営環境診断(新たな中長期計画策定資料)
■地域包括ケアシステム(厚生労働省)

 つまり今、政策の選択が厳しいものであることと、これまでの形式にとらわれない政策の発想や取り組みが求められるということです。高齢化への取り組みとして地域包括ケアシステムの構築が国から求められていますが、福祉の枠だけにとらわれない発想が求められます。これからの私たちは、これまで解体または変容させてきたコミュニティ(地域)との関係について、新たな視点も含めながら向かい合うことが求められています。

 公共施設やインフラの老朽化について、鈴鹿市は昭和50年代前後に学校などの施設や道路や水道などのインフラの整備が急速に拡大しました。それらが老朽化しこれから更新時期に入ってきています。鈴鹿市は20万人に向けてまちが拡大してきたのですが、これからは人口が減少していき、4半世紀後には18万人台に減少する中で、すべてを更新するのか整理し縮小するのか、私たちの目の前の課題となっています。
 このことは、このようなことを踏まえないまま施設を増やそうという考えがあるとすれば、将来世代から無責任と言われるものだということです。他の自治体では、財政破たんをしたところや財政が厳しくなって市民サービスを縮小したところもあります。その原因の一つに、過剰な公共施設整備があることは明らかです。

■鈴鹿市公共施設マネジメント白書
■鈴鹿市水道老朽管更新計画

鈴鹿市においては、このような課題に施設の複合化や地域間で施設の共有といった考えを取り入れ、将来から見ても意味のある更新と整備が求められています。また、これからどのように市街地を再編していくのか、コンパクトシティなども大きな課題です。これまでもしっかり行政に意見してきましたが、この点のチェックと、先進的取り組みを鈴鹿市に提案します。

 自然災害について“想定外”という言葉はもう通用しません。鈴鹿市にとって、巨大地震による被害は津波だけでなく、液状化も大きなリスクとして考えられます。また活発になっている地殻活動では、火山噴火によるリスクも私たちにとって無縁ではありません。動き出している温暖化の影響は、今後、降雨の状況が変化することや台風の巨大化といったことだけではなく、農業などに大きな影響を与える可能性があります。また海水面の上昇などの影響も考えるべきです。

 このような自然災害や環境の変化の前に、私たちの力は限られたものだということは、これまでの災害被害からも明らかです。私たちはより長期的な視点から、自然の変化に備えることが求められています。“事前復興”の意識を持って地域のあり方を真剣に考えるべき時期です。私はリスクマネジメントや事前復興をこれまでにも提案してきました。都市マスタープランの改定など、長期的視点と想像力、そして継続したチェックのできる年代としてしっかり意見していきます。

 しかし、これらの課題すべての解決を、一度に行うことは非常に難しいものです。だからといって、個々の課題だけを見てその解決にだけ取り組むことでは、限られた財源の中、全体を見たときに帳尻が合わなくなる場面が出てくるでしょう。必要なことは、目をそらさず、聞こえのいいことばかり言うのではなく、現状を真摯に受け止め、責任と覚悟を持って取り組んでいく政治です。

 そのためには「まっすぐ!」政策に向かい合うことが大切です。また、次の時代を担うことになる40代以下の「責任世代」が、今の課題の解決に取り組みながら、自分たちに続く世代の負担を小さくすることを考えるべきですし、特に、いま選挙を通じた将来の選択に関わることのできない世代を意識して政策の選択に臨むことが求められています。

 市議として二期8年を経験した私は、初当選後からずっとまっすぐ政策に取り組ませて頂き、特に二期目は“子どもにツケをまわさない”という意識で、鈴鹿市政に向かい合ってきました。また一連の動きの中で、二期以上の議員の中で40代は自分だけにとなり、自分の立ち位置の責任を意識しています。責任世代として政策提案や議決に臨むことはもちろんですが、鈴鹿市議会をより市民の皆さんと近いものにしていくこと、住民自治を充実させながら鈴鹿市行政をよりよいものとすること、次に担っていく世代を意識することなど、自分の思いを新たにがんばっていきます。そして責任ある政策提案を行い、その実現に取り組んでいきます。

これまでのふり返りとして、二期目に取り組んできたことをホームページ上でごらんください。
■議会報告
■一般質問・■討  論

 私はこれら以外の場面、市議会全員協議会や所属の常任委員会などでも積極的に発言していますし、都市計画審議会や鈴鹿亀山広域連合議会などでも発言を行ってきています。これらの発言以外に、市議としてパブリックコメントにもできるだけ意見を出すなど、議員としてできる活動にしっかり力を入れさせて頂いてきました。量があれば良いとは言いませんが、みなさんの付託を行動に移してがんばってきました。また、議員の仕事としての行政のチェックですが、上記のような場を通じて質問内容はもちろんのこと、縦割り行政の改革や職員の意識改革などを、私は鈴鹿市行政に常に意見を発してきています。

 一般質問や発言の際は、政策の実現のための財源をどうするかの部分について自分なりの考えを持った上で、行政と向き合うことを意識しています。このことに関連して、「議員は政策提案を行い、財源については行政が考えればよいのだ」というご意見をうかがうことがありますが、このことはみなさんにも考えて頂きたい点です。

 それは、鈴鹿市の扱っているお金は企業が扱っているお金と同じではなく、歳入(収入)はみなさんから頂く税金や市が行う借金、県や国からのお金(これも税金や借金)なのだということです。つまり、鈴鹿市がお金を持っているのではなく、自分たちの税金が集まったものだということです。

 そのような収入をもとに、鈴鹿市行政は予算や決算を議案として議会に提案しています。議会はそれらについて議決を行い、認める存在です。ですから、予算案であれば増額にせよ、減額にせよ修正することもできますし、決算であれば不認定という形をとることもできます。ということは、そのような権限を持つ議会・議員が、ある政策を実現するための財源について、その考えを行政に丸投げすることは、ある意味で無責任だと私は考えます。やはり、財源についての考えを持つ、または合意形成に取りくんだうえで行政に向かい合うべきです。

 例えば、議会が決算認定の際に事業の無駄をチェック、つまり事業仕分けを行い、その上で次年度予算に対して取捨選択する事業を議会として意見をまとめ、行政に改善を求めるということです。責任のある議論と意見が議会・議員に求められています。

 まっすぐぶれずに訴えたいことは、40代の責任世代として、責任のある議論で市政に向かい合い行政をしっかりチェック、その上で政策の実現に取り組む意識だということです。また、鈴鹿市の各種計画策定に、より多くの若い世代の参加が必要ということです。作られた計画にそって行政は進められます。そこにまず意見を言っていくことが、私たちの責任です。

 以前、鈴鹿市行政の風土という言葉が、生活保護の不適正支給問題の際に話題に上がりましたが、縦割り行政、前例踏襲、ことなかれ主義、井の中の蛙、小さくまとまる感性といった、鈴鹿市行政の中にある課題を、市議会議員の立場として一層の改革と改善に努めます。同時に、鈴鹿市議会の改革にも取り組みます。その上に、みなさんからのお声や、先進的事例や学びから得られた知見をもとに、鈴鹿市に対してしっかり意見と政策提案を行っていきます。

 議員は市政をチェックする役割が大前提ですが、行政と政策を作っていく役割も担っていると実感しています。若い世代、同じ責任世代の市職員と鈴鹿を育てる意識を持つことが大切だと考えています。
鈴鹿を良いまちにするために、これからもがんばっていきます。