2021年 2月定例臨時議会 討論

「全議案に賛成」

 議席26番,中西大輔です。
 私は,2月定例議会に提出された議案第1号から議案第8号及び議案第10号から議案第26号に賛成して,討論を行います。

 昨年の討論の際も,私は新型コロナウイルスの影響で社会に変動があるのではないかと述べました。その後,新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金などによる多額の財政出動もあって,表面上の混乱は日本国内で言えば少ないようには感じるところです。しかし,ワクチン接種が始まったとはいえ,海外でも依然不安な状況は続いていまして,東京オリンピックのほうも海外からの観客受入れが断念されるニュースがあるなど,まだまだ予断を許さない状況であると考えるところです。

 先ほど,新型コロナウイルス特別委員会の報告に対して,市長からの答弁の中で,ピンチをチャンスにということがありましたが,私たちは,この混乱の社会の中で量の増大から質の向上や充実という観点への移行,身近な生活,社会との関係を見直すことが求められると考えます。

 それでは,議案第1号について,令和3年度鈴鹿市一般会計予算についてですが,歳入のほうで個人市民税と法人市民税,そして固定資産税を合わせて約17億円の大幅な減収が見込まれている。要因のほうは,新型コロナウイルス感染症の影響に加えて,個人市民税で納税義務者数を約3,000人の減少,法人市民税では,法人税割の税率引下げ,固定資産税では地価の下落分との予測があるということでした。これらのことから,人口減少の影響ということも非常に大きくなってくるということが予測されるでしょう。

 市債のほうでは,赤字の地方債と言われる臨時財政対策債の発行が,前年より約11億円増加しているということで,これは今後の財政運営の厳しさを示しているのではないでしょうか。

 基金について,財政調整基金,地方債減債基金,特定目的基金,それぞれ減少していく。その中でも,特定目的基金のほうは,約10億円を切ってくるということで,現在の状況でやむを得ないというところはあると考えても,将来に不安を残していくと考えます。将来世代に基金を残していくことは,現在の私たちの世代の責任でもありますから,短期的な視点だけではなく,長期的な視点も併せて運用するべきですし,その点を市民の皆さんと共有していくことが,より一層重要になると考えます。

 歳出について,大幅な税収減と新型コロナウイルス感染症の影響が続く状況の考慮,事業実績や実施状況も勘案しながら,事業を実施しないことがどれだけ市民生活に影響を与えるのかという視点で事業精査,直接的な影響が少ないと判断したものについては,経常経費の一部事業で予算の見送りや廃止,もしくは縮小の判断をされたということは一定の評価をさせていただきたいと思います。

 このような令和3年度予算の執行に当たっては,将来的に持続的な市政運営を行っていくために,市政について,より見える化の推進をしていただくこと,何より市民の皆さんに分かりやすく財政状況の説明と事業選択などについての状況共有を行っていただく。何より若い世代を含めた市民参画を徹底していただき,市政運営を部分ではなく全体として見ていただけるようにすること,自分事として考えていただくことができるようにしていただくことが必要です。お金というものは,湧いてくるものではなくて,何かをすれば何かを削るという作業も必要になってくるということを共有していくことが必要でしょう。

 加えて,行財政改革では,さらに業務手順の徹底的な見直しやコスト削減と同時に,行政の社会的責任――企業でいうとCSRの部分ですが――を意識していただいて業務に取り組んでいただくこと。それに当たる行政評価の場面では,内側の価値観だけではなく,職員の方々自ら外部視点で評価を行っていただき,予算の執行と併せて随時,事業改善に取り組んでいただくことを期待します。

 大きな課題としては,やはり新型コロナウイルスへの対応は,継続してくるものです。ワクチン接種が始まっても,どのような状況になっていくのかというのはまだ不確定の部分が多いところですが,特に,教育,福祉,行政,ごみ収集などもそうですが,私たちが生活する上で欠かせない職業に就いている方々への支援に対するまなざしを大切にしていただきたい。また,国や県の判断を待つのではなく,主体的に考え,行動されることを期待します。

 気候変動への適応も必須です。もしかすると今年,伊勢湾台風または第2室戸台風級の台風が,伊勢湾が満潮時に襲ってくるかもしれない。そのような意識を持って,発想を持って,地区防災計画策定を推進していただき,地域での防災・減災活動の支援をしていただくことを期待します。
 また,気候変動というのは,広範な行政領域にわたる課題ですので,福祉はもちろん,産業もそうですが,都市計画からの観点からも意識して,早い段階から気候変動適応の検討に取り組まれることを期待します。

 公共施設に関係することですが,今回,基金のほうの減少ということを鑑みると,公共施設整備基金としてだけではなくて,やはりファシリティマネジメントの部分も一定額の確保を行っていくことを検討していただきたいと思います。

 質疑の中で取り上げさせていただきましたが,市政80周年記念事業について,若干疑問を持つところですが,財源について考えられているということでしょうから,その点については,より厳しい精査を行いながら取り組んでいただきたいと思います。

 また,今年度から次年度にかけては,次期総合計画,都市マスタープラン,また,先ほど申しました気候変動適応など,若い世代の参画が重要となるものがめじろ押しと考えるところです。そこで,担当部局の判断だけではなくて,市全体の政策として若い世代の参画を必須としていただくことを期待するところです。

 自治体のデジタルトランスフォーメーションについては,令和2年度いろいろ問わせていただきましたが,市政の参画手法の多様化など加速させていただきたいと期待します。

 マイナンバーカードについて,いろいろな見解があるところとは思いますが,既に運用されているところです。国の動きを注視していただくとともに,市として市民生活支援の向上につながる検討を期待します。
 個人情報については,先日,民間企業による中国への情報漏えいの可能性ということが取り上げられておりましたが,実際のところはマイナンバーだけではなくて,私たちの個人情報というのは,蓄積されてビッグデータとして扱われている。そう考えると,リスクばかりではなくて,エストニアなどでは,先進的なところで活用している事例もありますので,そのようなことを踏まえた検討をしていく,市のほうでも行っていただくことを期待します。

 地域共生社会の実現ということが国から問われております。改正社会福祉法の内容の中にも,そのことが明記されておりまして,その点は非常に重要なところです。市として,責任として取り組んでいただくこと,多様な主体の方々とコミュニケーションを取っていただくことが必須です。
 その中,地域づくり一括交付金の財源として,個人住民税が充てられることが明確にされました。地域づくり協議会は,条例第6条で,市長の認定を受けるものであり,同じく第8条活動の制限で,宗教や政治活動に関する活動の禁止,特定の公職者に対する支持や反対の禁止などが記述されています。改めて各地域づくり協議会の方々に,税から交付される意味について問いかけていただくことと同時に啓発していただくこと,何より行政の下請け化としてしまわないよう,庁内でも地域づくり協議会について,改めて考え方を整理していただきたいということを期待します。

 先ほど申しましたが,4月から施行されます改正社会福祉法で,地域共生社会の形成,それとともに重層的な相談支援体制の構築ということが記述されております。藤浪議員も一般質問のほうで問われておりましたが,この点は非常に重要なところです。鈴鹿市として,社会福祉協議会,鈴鹿亀山地区広域連合,地域づくり協議会,その他の関係機関などの方々と連携を取っていただいて,早急に検討を進めていただき,その中で鈴鹿市地域福祉計画の見直しにも取り組んでいただくべきというふうに意見をします。

 そのほかいろいろ課題はありますが,大人のいじめや女性の政治参画などについても鈴鹿市として力を入れていくべきではないかというふうに意見をしておきます。

 教育についてですが,やはり力を入れていくべきです。子供たちの学力だけではなくて,将来への希望を支えていくということが,自治体にとって重要ではないでしょうか。そのために,独自の人材雇用や人材活用の検討を進めていただくということを期待するところです。そのために必要な予算というのは,ビルド・アンド・スクラップをしていく中で十分に捻出が可能と考えるところです。

 そして,それぞれの学校で学校運営協議会が設置されていますが,こちらのほうにも生徒から保護者の方々にも,より多く参画していただいて,特色を生かした学校ごとの取組を推進していただくことを期待します。

 トイレの洋式化,先ほども討論にありましたが,これは評価できるところと考えます。ただ,特定の方々の意識だけではなくて,いろいろな方々の意見を取り入れた結果として,評価させていただきたいと思います。

 そこで,関連することで,学校施設などの維持更新や維持修繕の課題などに当たって,先ほど申しましたが,学校運営協議会を通じて理解を広げていただく努力はしていただくべきですし,若い世代の参画を必須としていただきたいと思います。

 予算の中で減ったものとして,交通安全対策費などでの減額は見られましたが,こちらの部分については,子供をはじめとした安全対策に関する費目について,取組の遅滞がないよう,また,必要な対策は柔軟に行っていただくことを期待します。

 産業全般に言えることなのですが,農業から工業まで全てに言えることですが,SDGsの観点を取り入れながら,エコノミックガーデニング的な発想で,企業支援や育成に取り組んでいただくことを期待するところです。

 観光面についてですが,新型コロナウイルスの影響でなかなか取り組みにくいところではありますが,だからこそ内側の価値,今ある地域資源についても,いま一度,市民の皆さんにとって価値がどのようなものか,それを見直すことを取り組んでいただくことを期待するところです。

 地域公共交通計画策定について,これは交通だけではなくて,やはり生活全般,暮らし方全般から考えるという視点も,計画策定に当たって取り入れていただきたいというふうに思います。

 議案第1号の最後になりますが,私たち議員に提供されている歳出予算見積書というものがあります。これは現在,3期以上の議員の働きかけを受けて,執行部で取り組まれたもので,価値あるものと考えています。今回,審査に当たって参照していたところ,予算算出に関する数式や数値で,若干ちょっと落ちている部分がありましたので,今後は,その点,全て記載していただきたいと思います。

 以上で,第1号についての討論とさせていただきます。

 次に,議案第10号 鈴鹿市犯罪被害者等支援条例の制定についてですが,おおむね条文に異論はないところです。ただ,公布,公表に当たって留意していただきたい点があります。

 1つは,社会の犯罪被害者等の方々を支えるということは,先ほど委員長報告の中にもありましたので,その点はしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 第2条第1項で,犯罪に準じる行為とありますが,こちらのほうにドメスティックバイオレンスであるとか,ストーカーであるとかも入るということでしたので,その点については公布,公表に当たって配慮していただきたいと思います。
 第7条第2項で,情報提供を総合に行うための窓口の設置が記述されています。この設置される窓口では,1回,2回とばらばらの相談や支援ではなくて,途切れることのない支援を行うという観点を取り入れていただきたいと思います。

 議案第16号 鈴鹿市国民健康保険条例の一部改正について,今回,加入者の方々に国保料の減額が行われる内容であることは,県への財政部分の移管が一定の区切りとなった中で妥当と考えるところです。

 一方で,委員会の意見の中で,基金残高に関して取り上げられていたところですが,約13億円基金があるということになりますが,変動する社会情勢の中で,突発的な事案に対応していくためには,やはりある程度の金額を保持していくことは必要で,拙速に判断してしまうと,将来の世代の部分,5年後,10年後などに,もし負担が行った場合はいけないのではないかと考えますので,拙速な判断は行うべきではないと考えます。

 また,一般会計からの法定外繰入れについても議論が,意見がよく出るところですが,この部分については,国保加入者以外の方々の税からの投入という側面もありますので,より慎重に行う,留意しなければいけない点と考えます。そのため基金額について,どの程度が,手元に置いておくべき額なのかということについては,将来の想定も含めた議論を行った上で決定して,その上でいろいろな対応を考えるべきだと考えます。

 そのためには,保険料の在り方を考えていくために加入者の皆さんだけではなくて,それこそ市民全体の方々に,財政状況や国保についての理解を広げていただくことを期待して賛成します。

 議案第17号 鈴鹿市市道の構造の技術的基準を定める条例の一部改正についてですが,条例の内容というのは,昨年11月まで白子駅西商店街のところで実施されていた歩道を活用するコロナ占用特例の事業と関連するものと考えるところです。今回の条例改正をきっかけに,歩道等を活用してにぎわいをつくること,国土交通省のほうでは,まちなかウォーカブル推進都市というのもあったりしますが,鈴鹿市のほうも,見ると名前が載っていたりしていましたので,ぜひ歩道の活用というよりも,これを機会にいろいろな形で町なかを活用していくという取組のほうを検討していただくことを期待して,賛成とします。

 ほかの議案については,特段の意見なく賛成とさせていただき,私の討論とします。
 以上です。