2021年 9月定例議会 討論

「全議案に賛成」

 議席17番,市民の声,中西大輔です。
 私は,議案第45号から議案第60号の全てに賛成とし,複数議案について意見を述べさせていただきます。

 まず,議案第49号 令和2年度鈴鹿市一般会計決算の認定について,昨年のコロナ禍の影響がある中,実質収支がプラスとなった決算内容については,財政について堅実な運営であったり,また予算執行の過程でも努力があった結果と考え,評価するところです。ですが,決算資料の中にもありましたが,義務的経費の中で公債費が減少していますが,こちらについては,公共施設等総合管理計画に付随する取組がまだ始まりの段階であることから,見た目が少なくなっていることが読み取れ,今後,事業を進められると市債発行額の増加も予想されるところです。令和2年度の決算結果をもって,楽観的な展望を持つことは控えたほうがよいのではないかと考えます。

 コロナ禍の継続も予想されますから,決算結果と10月に公表される予定の行政評価と併せて,今年度の新規事業も含めて,事業仕分けに取り組まれたほうがよろしいのではないでしょうか。一例ですが,市制80周年記念事業についても,その是非について考えるべきです。

 令和2年度は,特例交付金による事業で決算総額が増加しています。財源は国からの交付金となっており,一般財源からの支出は少ないとはいっても,どちらも原資となるものは税金であり,交付金については特例公債の発行があったことも留意すべきところです。事業効果及び事業目的が達成されていたのかどうかを検証し,今後の事業に反映されることを期待します。

 赤字地方債と言われる臨時財政対策債について指摘がありました。国が地方交付税の算定額分を全額交付できないため,後年度に交付税算入を行うこととして,差額分を地方が発行することを認める制度ですが,国財政も赤字国債発行の上で運営されている現状,国との関係ということは考えずにいられないところです。

 鈴鹿市としては,臨時財政対策債の発行をできるだけ抑制する財政運営を行っていますが,このことについて評価ができるところです。
 一方で,平成23年以降,鈴鹿市の長期借入金残高で普通債を上回っている状況は,臨時財政対策債の課題を浮かび上がらせていて,国の責任が問われるのではないかと考えます。ですが,この課題の解消のために,地方交付税を算定どおりに交付するには,国財政の抜本的な見直しが必要でしょうし,仮に国がそうするのであれば,地方交付税制度全体に見直しをかけることが懸念されます。それを考えると,市財政運営に当たって,経常的な経費の財源に臨時財政対策債分が極力入り込まないよう,次年度以降も注意していただくことを意見します。

 非常時と言えるコロナ禍の中ですが,将来に向け,政策を選択し進んでいくには,市財政について市民の皆さんの理解が深まることが重要です。分かりやすく,伝わりやすい財政情報の開示と,それを基に市民の皆さんと対話に取り組んでいただくことを期待します。

 令和2年度決算審査から全体を通じて,地域が関連する政策についての一貫性というものが不足しているのではないかと感じました。地域づくり政策が重要な政策であるなら,地域政策という形で,地域振興部だけのことではなく,総合的な政策の視点から,行政内部で部局を超えて政策に横串を通していくべきです。横の連携を適切に行うには,行政職員に研修を実施し,理解を深めることが必須で,次期の総合計画の検討を考えても力を入れるべきところです。福祉,教育,防災,そして公共施設に関する政策を内部でつなげていただくことを期待します。

 個別のところですが,危機管理部について,現在,設置されている防災無線ですが,更新時期は未定という話を聞くところですが,であるなら,設置から約10年が経過し,その当時と比較して,災害時の情報提供の形も大きく変わっているところです。既存の機器の更新だけではなく,市民へのスマホなどの通信機器の普及支援と併せた形で検討を行ってはどうでしょうか。その上で,より費用対効果の高い手法を選択できるよう取り組まれることを期待します。

 令和2年度から現在まで,新型コロナウイルスのパンデミックが続いていますが,社会全体に大きな影響が出ています。このことから,危機事案をどう考えるのかという点が改めて問われているでしょう。
 自然災害だけを危機と捉えるのではなく,広く危機と考えられることについて,関係部署と対話を行い,リスクマネジメントに取り組んでいただくことを期待します。

 政策経営部についてですが,総合計画策定に関する取組がありましたが,審査からはまだまだ入り口の段階と受け取ります。これからの社会情勢を考えるとき,成長の視点ばかりでなく,定常化の視点ということも議論に入れるなど,社会の転換を想定に入れることが重要になってくるのではないでしょうか。そのとき,若い世代の参画は必須だというふうに考えます。実際に集まる必要性も分かりますが,オンライン会議システムを活用した市民参画機会の拡充など,若い世代や女性の参画機会を増やしていただくよう期待します。

 今後,自治体としてDX,デジタルトランスフォーメーションも必須です。外部人材の活用を検討していただくことを期待します。

 健康福祉部についてですが,新型コロナウイルス等の受診控えなどもあって,それが医療費のほうの動きで見られているところです。かかりつけ医も含めた鈴鹿の地域医療の在り方を検討されることを期待します。

 地域振興部についてですが,地域づくりだけではなく,市内におけるNPO,中間支援に課題があると見受けられました。センターの設置だけではなく,支援,コーディネートする団体の育成に焦点を当てていただくことを期待します。

 両部についてですが,社会福祉法の改正により地域共生社会の実現が進められています。ですが,令和2年度の鈴鹿市の動きは不十分と考えるところでした。これから地域福祉計画の改定も視野に入っていることを考えると,早急に地域政策と福祉政策について,地域の考えの共通認識を現場の職員の方々が持てるような取組をされることを期待します。

 教育委員会について,GIGAスクールの推進や特例交付金を活用してトイレの洋式化を進めたことなど,ハード面の取組を進められたことは評価できるところです。その点は,令和2年度の実績でしょう。しかし,学校施設更新の課題はこれからも難題が多く,今後,学校運営協議会,地域の方々との情報共有と合意形成をこれまで以上に重視して取り組んでいただくことを期待するところです。

 また,部活動だけでなく,学校教育のいろいろな場面で,地域人材を教育の力に考えていただくことが必要と考えますが,安易にボランティアという言葉で済んでいかないような取組を展開していただくことを期待します。

 監査委員意見書の中で,コロナ禍は各種事業の在り方を見直す機会とありました。ぜひ事業の棚卸しを行っていただき,次の世代によりよい鈴鹿市をつなぐ取組に力を注がれることを期待し,一般会計決算の認定に賛成します。

 次に,議案第50号 令和2年度鈴鹿市国民健康保険事業特別会計決算の認定についてですが,監査委員の決算審査意見書の中で,今年度の決算から保険税から保険料に移行した影響が出て,不納欠損額が前年度に対して大幅な増加が見られていることが指摘されています。その上で,収納対策の取組を進めることが意見されていますが,この収納状況についてですが,収納動向の状況を見ながら,保険料について考える必要があると考えるところです。

 一般質問と分科会審査の中で,国民健康保険支払準備基金について,決算年度末現在高が13億5,613万9,716円となっていることについて意見がありました。この金額の背景には,市独自で運営していたときの影響もあるようで,県に財政部分が移管されて間もない現在,議論の余地があるところと考えます。

 分科会審査では,令和2年度において,これまで相談のなかった方から新しく220件,相談があったことが分かりました。このことから,令和3年度以降もコロナ禍の影響が続くことが想定されるところで,厳しい状況の方はこれからも出てくるでしょうから,基金活用の議論はあってしかるべきと考えます。

 一般質問の中では,基金を利用して保険料の減額を行うということが趣旨となっていましたが,先行きが読めないコロナ禍の中,経常的な収入となる保険料について,短期の視点での変更は避けるべきではないでしょうか。

 そこで,委員会終了後,担当課で確認したところ,令和3年度改定以降の状況を踏まえながら,保険料の在り方について,見直しも含めた検討の考えはあるということでしたので,拙速な減額に動く必要は低いと考えます。ですが,厳しい状況の中にいる方がいらっしゃることも現実であり,厳しい中で保険料支払いに困窮する方々には,基金を財源にして,鈴鹿市独自の支援策を行うことと併せて,生活再建型の相談事業に力を入れ,困難な状況を乗り切っていただけるようにすることは,基金の目的に合致するものではないでしょうか。次年度に向けて基金を活用し,厳しい状況に陥る手前の方,厳しい状況の方を手厚く支援される施策展開を期待するところです。

 議案第45号 令和3年度鈴鹿市一般会計補正予算(第7号)についてですが,補正予算の内容について了解するところです。ただし,衛生費の公的病院施設設備整備費補助についてですが,今回の補正予算による支出はやむを得ないと考えますが,補助対象である鈴鹿回生病院は医療圏の考えの中で,鈴鹿市と亀山市の医療機関であることを考慮すると,今後,補助金を出す執行過程で,亀山市と医療資源の在り方,財政支援の在り方を協議されることを意見します。

 議案第57号から議案第59号の工事請負契約の締結についてですが,この点について賛成させていただきます。ただし,過去,いろいろな大規模な工事があった場合に,追加工事で専決処分が行われていることが多いのですが,今回だけではなくて,今後,追加工事等が必要となる場合,その内容について,やむを得ないものなのか,それとも何らかの不備によって発生したのか。不備によるものであれば,責任の所在はどこになるのかなども含めて,透明性を持った説明を行っていただくことを期待します。

 コンプライアンスを遵守し,説明責任と透明性を持った取組が行政に重要なところと考えますし,また,それは行政職員自身を守ることにもつながるのではないでしょうか。

 最後に,苦言を呈させていただきます。
 今回の決算審査に当たって,会派内でそれぞれの状況の意見交換を行ったところ,決算議案の質疑を行っている中で,執行部側の答弁で誠実さや言動の適切さに課題が見られたという意見がありました。議員の質疑に対して,へりくだって答弁する必要はないと考えますが,答弁に当たっては,ほかの自治体での取組や,また各議員の過去の発言や研修,議会における常任委員会の動向を踏まえて,真摯なやりとりと誠実な答弁を行うべきだということを意見します。
 以上をもって,全ての議案に賛成します。