2023年 6月臨時議会 討論

「全議案に賛成」

 議席25番,市民の声,中西大輔です。
 私は,今定例議会に提出された議案第29号から第42号の全議案に賛成し,その上で,市民の声を代表して討論を行います。

 まず,議案第29号 令和5年度鈴鹿市一般会計補正予算(第3号)から。
 今回の補正予算は,骨格予算に対する肉づけ予算として計上されており,総額で20億5,081万円の増額補正となります。この点について,予算規模と事業内容,そして財源構成を見て,妥当と判断するところです。
 その上で,歳出予算から意見を述べていきます。

 まず,評価する点ですが,不登校対策推進事業費において,不登校のためのほっとルームを新規に小学校7校に設置することは,子供たちに対するセーフティーネットなどの拡充という側面からも評価します。しかし,そのようなニーズが増えているということは,別の社会課題が潜んでいることに留意していただくことを期待します。

 包括的支援体制構築事業費として,鈴鹿市社会福祉協議会に配置されている相談包括化支援員,コミュニティソーシャルワーカーを現状は市社会福祉協議会の職員異動で対応するということですが,将来的に8名のコミュニティソーシャルワーカーの雇用を目指し,まず第一歩として2名増員する,そして6人体制とするための予算ということであり,この点につきましては,議会のほうでも取り上げている重層的支援体制構築においても重要な点ですし,また市議会からの提言を受けて取り組まれたということで評価させていただきます。今後も,市議会も含め,情報共有等,多様な主体の参画で事業に取り組まれるよう期待します。

 そこで,ここから議案質疑など,審議から見えた課題点と考えられる部分について述べます。
 教育費でスクールバス導入調査研究費が計上され,同時に,地域公共交通に関する予算として,商工費では新交通システム運行事業費,そして債務負担行為として新交通システム導入業務委託料が計上されています。しかし,議案質疑への答弁において,スクールバス導入の検討は,地域公共交通と切り離して調査研究を行うとありました。この点について,地域公共交通という政策と切り離して考えることに疑問があります。

 スクールバス導入検討地域は,既にコミュニティバスの運行も行われており,同様の事業を行うために別の予算を計上しなければいけないということになれば,関係地域以外の市民の方々の理解を得にくいということを懸念します。また,公共交通に関する部分については,福祉も含めて,広く部局が関係するところです。改めて庁内でも議論を行うべきと意見します。

 新交通システム導入に関する予算についてですが,市の担当課が設定する地域ではなく,通院や通学,金融機関への距離,買い物など困り事の解決・解消に積極的に取り組む住民・市民の方が多い地域から検討されることを期待します。

 そして,これらの事業実施過程において重要なことは,地域における行政と住民,住民間のコミュニケーション,その上での合意形成にこれまで以上に丁寧に取り組まれることが必要だということです。市議会としても,チェックをしていく必要があるのではないでしょうか。

 原油価格物価高騰対策に係る経費のうち,プレミアム付デジタル商品券発行事業について,販売対象者を鈴鹿まるごと応援券すずまるの応募者数5万2,000人を基準とし,一律給付も含めて議論を行ったとのことを議案質疑の方で確認いたしました。ですが,議案質疑,また資料等を含めてみましても,デジタルに対応されていない方々への配慮であったり,プレミアム付デジタル商品券は,生活応援事業費支給対象者の方々も購入可能であるということを考えると,これまで各種支援金の支給対象となっていない世代の方々への市の考え方が問われていると判断します。

 この総事業費2億8,000万円のうち,1人3,000円のプレミアム分の予算として1億5,600万円,発行のための事務委託料は1億2,200万円となっています。事業目的は,市民の経済負担の軽減ということではありますが,この事業を行うために,一般財源からも約6,700万円投入されることを考えると,事業効果も含め,市の姿勢が問われると考えるべきです。対象となっていなかった世代の方々に対して一律給付があれば,市への信頼度向上にもつながったのではないか,このような検討が必要でしょう。

 また,デジタル商品券の使用期間は今年10月から来年1月までとなっており,今回の補正予算の中にあるほかの生活応援事業費や生活応援給付金と比較して使用期間が短く,不公平感があると考えます。事業実施過程での臨機応変な検討と対応に期待しますし,また議会との情報共有を行っていただくことを期待します。

 玉垣保育所の改築に係る施設整備費について,先ほどの討論でもありましたが,この事業は,令和2年策定の鈴鹿市保育所・幼稚園施設整備に関する基本方針に沿った移転・改築工事に伴う基本計画策定業務委託がその事業内容となっています。この内容についてですが,地域福祉委員会の審査の中で出た意見,また,先ほどの討論の中にもある意見,論点について整理が必要となるでしょう。

 今後の保育所・幼稚園の在り方を検討する中で,社会の変化に対応しながら,完全に民間に委託するのか,もしくは多様な公民連携の手法を検討するのかも含めて,民間との関係の議論を深める必要があります。また,法律で行うのであれば,やはり目的と意義を説明する責任が鈴鹿市にはあります。

 その検討を行っていく過程の中では,子育て世代を中心とした市民の意見を聞く機会を充実する必要があります。関係地域での取組はもちろんなのですが,コドモンや公式LINEなどを活用しながら,得た意見,出てきた意見を集約してさらに議論を深めるなど,行政内だけではなく,議会とも情報共有と意見交換を密にしていただくことを期待しますし,議会としても,やはり子ども政策だけではなくて,公共施設マネジメントと関連する部分も含めてしっかりチェックが必要になっていくだろうということを意見します。

 予防接種費の中で,帯状疱疹ワクチン接種費が計上されております。新型コロナワクチンとも共通しますが,市の情報共有,提供の在り方が問われるものだと考えます。
 接種予定の帯状疱疹ワクチンは,生ワクチンと不活化ワクチンの2種となっています。これらの違いは,不活化ワクチンは免疫が落ちていたりする免疫抑制状態の方が選択する形というふうになっており,その上で,生ワクチンの接種は1回,不活化ワクチンは2回となっていて,予防効果と有効期間においても,不活化ワクチンのほうが高いと思われるなどの違いがあります。
 接種費用について,生ワクチンは1回約1万円,それに対する今回の事業による補助は1回当たり4,000円,不活化ワクチンは1回2万円から2万5,000円,それが2回となっており,不活化ワクチンはそれに対して1回1万円までの助成となっています。
 帯状疱疹ワクチンというのは,任意接種であると同時に,この費用助成については生涯1回のみとされていることを考えると,恐らく不活化ワクチンを希望する方が増えることが想定されます。
 審査の過程ですが,若干,これらのワクチンに関する説明に,若干,詰まるところがあるなどの課題を感じました。そのようなことを勘案すると,市として,客観的で分かりやすい情報提供を,広報はもちろんですが,ホームページや公式LINEなどを活用して行われることを期待しますし,何よりも市民に寄り添う対応を期待するところです。

 そのほかの議案から,白子中学校長寿命化改修に係る議案第42号 工事請負契約の締結について。
 議案質疑において,断熱対策を質問したところ,換気等で対応するという答弁でありました。しかし,断熱対策というのは,エアコンの効率的な運用を考える際にも重要な点であり,改修によって省エネルギーにつながらなければ,カーボンニュートラルへの取組にも逆行することになります。短期的な工事費という部分だけではなく,長期的に校舎を利用するという観点からエネルギーコストを算出して,比較を含めた検討を建設・改修工事過程でも不断に行っていただくべきだと期待しますし,また議会にとっても重要な論点になってくるかと考えます。

 以上の意見を付与して,全議案に賛成とします。議員各位の御理解,御賛同をよろしくお願いいたします。