2023年 9月臨時議会 討論

「全議案に賛成」

 議席25番,市民の声,中西大輔です。
 私は,今定例議会に提出された議案第63号から第76号までの全議案に賛成しますが,2議案について意見を述べたいと思います。

 まず,議案第70号 令和4年度鈴鹿市一般会計決算の認定について,決算全体についてはおおむね妥当と判断しますが,いくつか意見を述べさせていただきます。

 議案質疑を通じてですが,令和4年度の毎年度入ってくる使い道が自由な財源のうち,毎年固定として支払う必要があるお金の割合である経常収支比率は92%,臨時財政対策債を除くと94%ということが分かりました。
 この数字についてですが,当初,私どもに配付された資料よりも下方修正されたとはいえ,財政の硬直化を示している,入ってくる独自財源の9割以上は既に使い道が決まっているということで,財政の硬直化が進んでいるということで,お世辞にもよいとは言えないと考えます。

 また,この数字は重要な数値の1つと考えると,各部署での意識はもちろんなのですが,やはり情報共有過程に課題があり,改善が必要と考えるところです。
 改善については,例えば市で公開しているオープンデータがあるのですが,それを総務省の決算カードに記載されている内容全てを網羅する形にすれば,計算・検算等もしやすくなりますので,それに決算時の数値を入力,行政,監査委員,議会で共有するようにして,DX,デジタルトランスフォーメーションの取組を進めれば,今回のような事案を減らせるのではないでしょうか。

 経常収支比率から考えると,令和4年度決算の歳出約720億円の一般会計の中で,市独自の政策財源で行われた事業費は約32億5,000万円と計算できます。物価も上がり,福祉的な需要も右肩上がりの中で,やはり余裕があるとは思えません。

 決算から考えまして,自主財源確保にはこれまで以上に力を入れる必要と,固定費となる消費的な経費を増やすのであれば,シーリングではなく,抜本的に事業を仕分ける必要があると考えるところです。

 また,経常収支比率について,なかなか市民の方にも伝わりにくいところですが,やはり分かりやすく伝える努力を行政はするべきですし,市民の皆さんにも一緒に考えていただくことが,これから混迷の時代の中では必要でしょう。
 そして,行政も身を切る改革に迫られていることを認識すべきと意見します。

 基金の在り方について,令和4年度末残高は,全部を合わせて139億6,398万6,000円と資料にあります。そのうち財政基金は97億5,936万7,000円となっていて,確かに増加していることは事実ですし,見た目の金額も多いのですが,そこに公共施設更新のための金額が入っていることを無視はできないでしょう。

 一方で,公共施設整備基金の年度末残高は13億1,162万2,414円ですが,今後,千代崎中学校や天栄中学校の取組をはじめとした学校施設の維持更新が続きますし,おおよそ25年後をめどに考えると,斎苑,市立体育館,市民会館,市役所本庁舎,西部体育館や農村環境改善センター,考古博物館など,大規模改修や更新となる必要が数多くあります。残高には注意すべきと考えるところです。

 公共施設等の取組について,必要な金額を市債発行の予想も含めて見える化して,維持・更新に必要な基金額ということも公表していく時期ではないでしょうか。
 また,財政調整基金についてですが,見た目の金額が多いと以前ありましたが,財政調整基金の金額が多いのであれば,地方交付税を見直す必要があるのではないかということも国のほうで言われたりしております。
 また,残高が多いことをもって,消費的な支出の要望につながりやすくなることを考えると,やはり以前にも意見しましたが,今回の決算を受け,公共施設整備基金への基金の振替や計画的な積立てをするべきと意見します。

 地域という言葉が関わる政策が多数鈴鹿市の中にあります。審査の中で,それらについて横串は通っているのか,改めて疑問を感じました。一例として,自治会委託事務費の中の各種募金への協力と社会福祉協議会補助や民生児童委員の選出に関することがあります。

 市社会福祉協議会では,まちづくり協議会の福祉部門などに一括補助金を出す考えですが,その原資の中には,各種募金から充てられているものがあるはずです。また,現在の民生児童委員の方々は23行政区の形で選出され,地域づくり協議会単位ではなく,行政内での整理もままならない中で,また議会にも説明もない中で進んでいる状況には疑問を持ちます。

 このような事態が起こっている背景には,地域やまちづくり協議会という言葉がいろいろな政策や部署で使われているけれども,結局のところ,縦割りで使われているだけで,政策的な横串は連携が取られていないことが考えられます。総合計画でまちづくり協議会と地域計画を軸として取り上げるのであれば,市として政策に持つべきということがこの決算から読み取れます。

 現在も,各種計画の策定が行われておりますが,今回の決算から考えて,地域という言葉が関わる政策について,それらをつなげて検討し,数字であったり,データを尊重して,将来に向けた視点を持って調整等を行う部署を明確にすべきと意見します。

 委員会審査の中で,介護扶助の質疑から,確かに鈴鹿亀山地区広域連合との関係も課題として見えてきましたが,その後,改めてヒアリングをさせていただくと,介護扶助の課題の中には,8050問題にあるような状況から,単身となったことで生活保護に入る方が保護を受けた後に持病が悪化することによって介護扶助が増加することも要因にあるということをお聞きしました。これからの高齢化と多死の時代を考えると,やはり地域共生社会の構築と重層的支援体制の構築は加速すべきことだということを決算から意見します。

 子供たちの安全確保につながる学校などの施設改修に関して,質疑においては,当初予算編成過程の中で,決算を精査して要求しているということを答弁されておりましたが,現状やニーズに本当に対応できているのかということは疑問です。子供たちのためにしっかりと財源を回すべきと決算から意見します。

 子供政策においては,委員会審査のほうで,放課後児童クラブの施設や子育て応援館について取り上げました。今後,公共施設個別施設計画の中では,やはり既存施設の更新ということにとらわれず,学校施設の徹底利用や施設の複合化,公民連携の手法を活用するなどして,建物の所管部署という縦割り思考ではなく,柔軟に機能の再配置という形で検討に取り組まれることが必要と決算から意見します。

 次に,議案第71号 令和4年度鈴鹿市国民健康保険事業特別会計決算の認定について, 先ほどの討論でもありましたが,国民健康保険支払準備基金について,令和4年度末残高が17億1,682万3,805円となっていることを根拠に,国保料の引下げの御意見がありますが,その考えについて分からないわけではありません。しかし,私は,社会状況の急変や今後の国保料の動向に対して備えるため,また,そのときの対応を検討するための原資として残したほうがよいと意見します。

 国保料については,令和5年で現在の三重県の国保財政運営方針が終わり,令和6年から令和11年までの新しい運営方針が策定されると聞くところです。その中では,医療費係数をゼロにして,県下一律の標準保険料を目指し,それを基に各市町の保険料が設定されるとも聞きます。それによる影響がどのようなものであるかはっきりしない中で,基金に手をつけることを先に上げることは,リスクマネジメントの観点からどうかというふうに疑問を持つところです。やはり保険料の方向性がはっきりする段階で,基金の利用方針を考えるべきと考えます。

 そこで,今回の基金額については,今後の変化に備えるため,妥当と判断します。そして,今後もし保険料のアップが出てくる際には,上げずに踏みとどまる検討をしていただくことを期待して,賛成とします。

 そのほかの議案については異論なく,賛成します。
 議員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。