2007年6月定例会一般質問
「産業支援策について」


 それでは次に,産業支援策の方について,質問させていただきますが,初日からというか,ずっと出てますが,経済が世界的な規模で景気後退の局面になっており,世界不況は,もう大きな不況の状態になっていて,この傾向というのは,そう簡単に回復の傾向には向かいづらいというふうに考えられるところです。
 車産業でも,アメリカのビッグスリーはもちろん,ヨーロッパの各種メーカーでも減産,ホンダさんでも減収予想,トヨタの減収予想など,明るい話題はなかなか出てきそうにもない状況です。
 また,新聞などでも,世界的な景気悪化に伴っては,幅広い業種で正社員にも雇用調整の波が来ていると報道されているところです。
 例えば愛知県田原市では,高級車を生産するトヨタの工場の減産の影響で,来年度の法人市民税の税収が2008年度に比べて,約8割減と大幅に減る見通しになったこと。また,同市の法人市民税のほとんどが関連企業によるもの,減収に伴って還付金が出るであろうことは,これからの鈴鹿市にとっても,他人事ではないはずです。
 車産業の不振は,系列会社だけでなく,関連する中小企業への発注減という形で波及し,それは鈴鹿市でも大きな問題です。
 このような不安な社会情勢と景気の後退は,消費心理を落ち込ませることにもなり,このような消費心理の落ち込みが,車関連産業だけではなく,市内のさまざまな企業にも大きなダメージを与えることは間違いのないところです。
 このような状況の中で,国の経済対策の重要性はもちろんですが,地方自治体としての鈴鹿市においても,独自の政策で地域内産業を保護・支援することを積極的に考え,行動するべきではないかと考えるところですが,そこで,まず,不況時の企業支援について,どのように考え,また,どのような対応策を現在考え ているのかをお聞かせください。


○議長(竹口眞睦君) 市長。
               〔市長 川岸光男君登壇〕
○市長(川岸光男君) それでは,中西議員の2番目の産業支援策について,御答弁申し上げます。
 先月,11月の内閣府の月例経済報告によりますと,景気は弱まっており,さらに世界経済が一段と減速する中で,下押し圧力が急速に高まっているとしてお り,経済の先行きにつきましては,原油価格等の下落による一定の効果が期待されるものの,世界的な金融危機の深刻化や,世界景気の一層の下降傾向,株式為 替市場の大幅な変動などから,雇用情勢などを含め,景気の状況がさらに厳しいものになる可能性が懸念をされております。
 このような中,国では,新たな経済対策を打ち立て,中小企業の資金繰り支援,軽減税率の引き下げなど,幅広い施策を実施することとしておりますが,市と いたしましては,中小企業者に対しまして,このような金融支援策の円滑な活用を促すとともに,景気変動にも耐え得る中小製造業の経営基盤を日ごろから強化 しておくことも重要な施策ととらえ,本市のものづくり動く支援室におきましても,企業巡回訪問や人材育成事業などを実施しているところでございます。
 なお,詳細につきましては,産業振興部長から答弁をいたさせます。

○議長(竹口眞睦君) 産業振興部長。
             〔産業振興部長 今井正昭君登壇〕
○産業振興部長(今井正昭君) それでは,私からは,中西議員の2番目の御質問の産業支援策の詳細につきまして,御答弁を申し上げます。
 まず,1点目のどのような支援策を考えているのかということでございますが,アメリカのサブプライムローンの処理に端を発しました,昨今の経済危機によ ります国内企業への影響は,規模の大小にかかわらず,さまざまな業種に及び,とりわけ中小製造業にとりましては,非常に深刻なものであると考えており,中 小企業への支援は,重要な施策であると考えております。
 このような中,さきに国は,中小企業に対して新たな経済対策を実施し,主に中小企業の資金繰りに不安がないように,30兆円規模の保証・融資枠を確保す るとともに,貸し渋り防止のため,金融庁を通じまして,金融関係団体に要請を行い,貸し渋り110番も開設をいたしております。
 また,生活対策におけます税制措置では,中小企業の軽減税率の時限的引き下げなど,資金繰りに苦しむ中小企業を税制面から幅広く支援することといたしております。
 本市といたしましては,産業振興部内に緊急保証制度相談窓口を設置いたしまして,また,国の各種制度のチラシ配布やポスター掲示など,さまざまな情報提供を行うなど,中小企業が国の制度を円滑に活用できますような支援に努めているところでございます。
 一方で,不況時の中小企業支援にかかわらず,本市のものづくり動く支援室におきましては,企業OBアドバイザー派遣事業や企業巡回訪問事業を実施し,技 術的なアドバイスはもとより,生産工程や事務的ロス削減など,経営的なアドバイスなどを,これまでに,平成18年度に45件,平成19年度に46件,アド バイザー派遣申請を受け,それぞれの案件に沿った対応を行ってまいります。
 また,人材育成事業も実施しておりまして,次代への技術継承,経営ノウハウの伝承など,将来,中小企業を支えるリーダーを養成すべく,本年度から春と秋 の2回,延べ22社,35人の参加を得,全15回の研修を実施し,参加者及び参加企業から高い評価をいただいているところでございます。
 これらの活動は,いずれも企業の経営基盤の強化につながる支援であり,これにより,企業の経営も安定し,ひいては,不況に備え得る経営体質が形成されるのではないかと考えております。
 現在のような大規模な経済危機に対しましては,国・県・市それぞれが,役割分担をしながら対応していくことが肝要であることは言うまでもございません が,国が金融支援,資金繰りを支援する一方で,地方が人による有機的な支援によりまして,企業の経営体質を改善するといった相互補完が有効な経済危機対策 ではないかと考えておりまして,これまでの中小企業支援を今後も地道に継続し,中小企業の高度化,付加価値化,基盤強化につなげてまいりたいと考えており ますので,御理解賜りますようお願いを申し上げます。

○議長(竹口眞睦君) 中西大輔議員。
              〔29番 中西大輔君登壇〕
○29番(中西大輔君) 企業へのお金の融資ですね,そのことについては,できるだけ必要としている方々の側に立った対応を,今後も進めていただきたいと思いますが,不況時の支援について,大きな課題というのは,お金の問題に見えるんですけども,実際は仕事がなくなる状態で,仕事がないのにお金が幾ら貸してもらっても,返す当てがないという,非常に問題が深刻になってしまうおそれがあるところです。
 そう考えたときに,公共事業という形,いろいろな形も考えられると思いますが,地域内産業の仕事の創出という面から,何らかの産業政策を現在のところ考えているのかどうかをお聞かせください。


○議長(竹口眞睦君) 産業振興部長。
○産業振興部長(今井正昭君) それでは,中西議員の2回目の御質問の中小企業の仕事の創出への対策についてどうかということでございますが,世界経済が 減退をしている中,大企業による人員整理や製品減産のニュースが日を追うごとに増加しておりまして,供給連鎖の流れとして,当然ながら,中小企業にも影響 が出始めております。このことは,本市におきましても,対岸の火事ではなく,早急な対応を要する課題であると認識をいたしており,国・県の施策と重複しな い独自のサービス支援を検討していきたいと考えております。
 特に議員御指摘のように,中小企業にとりまして,資金を調達できたとしても,仕事がなければ,企業としての存続は難しいものになりますが,現在の経済ピンチを逆にチャンスととらえている企業があることも,最近の本市の企業訪問のヒアリングでも確認をいたしております。
 議員も御存じのように,本市は,自動車産業を中心とした製造業によります産業構造を構築しております。この自動車産業におけます今後の全世界的な潮流 は,低炭素化社会の構築に向かっておりまして,新世代自動車でありますハイブリッド車,電気自動車,燃料電池車につきましては,各方面におきまして,研究 開発が急速に進んでおります。
 それら新世代自動車の構造は,どの対応をとりましても,すべてこれまでの内燃系自動車とは異なり,モーター動力となってまいります。また,部材につきましても,より衝突安全性,軽量化が求められた微細な組織構造の加工が求められてまいります。
 突然,産業構造が一変する事態はないにしても,想定されるリスクを回避する上におきましても,このように資金調達の枠が拡大しております今の時期に,技術革新に対応できるよう,技術の高度化を確立すべく,産学官研究開発支援が必要不可欠かと考えております。
 このことから,本市といたしましては,研究開発補助に係る支援や,高等教育機関から中小企業への研究成果の発信や技術移転等に対しまして,今まで以上に 注力してまいりたいと考えておりますが,生活をしていく上での仕事の創出の必要性が問われる中,自社の技術で川下産業と連携が確立されている企業,あるい は後継者などの人材育成に関心のない企業に対しまして,行政としてサポートしていくには限界があることも事実でございます。自助あってこそ,本市として共助という形で支援できるものと考えております。
 本市といたしましても,新たに支援できることと考えられますのは,企業の得意とする技術を広く発信すること,例えば費用対効果の検証は,今後必要でござ いますが,全国で数多く開催をされております,展示会等に出展するための支援制度の創出や,広報等でのPRなどが考えられます。
 そのほか,各地域では,技術を持ちながら,地域内に関連部品等を大量生産できる企業がないため,生産がままならないといった状況もございまして,地域間 の有機的連携の手法も必要と考えられますので,情報提供や引き合わせなどといった形で御支援できれば,仕事の創出も可能になってくるのではないかと考えて おります。
 本年9月定例会で,伊藤健司議員の御質問に御答弁申し上げましたとおり,本市におきましては,企業の業態や業種規模などを十分に把握するために,まず は,市内の企業要覧を刷新し,その情報をもとに,市内各企業のマッチング等,本市としてでき得ることを可能な限り進めてまいりたいと考えておりますので御 理解賜りますよう,お願いを申し上げます。

○議長(竹口眞睦君) 中西大輔議員。
              〔29番 中西大輔君登壇〕
○29番(中西大輔君) まちというのは,行政の活動だけじゃなくて,経済活動も含めて,市民生活全体で構成されていくものであって,その中で,今,行財 政改革ということで,いろいろ取り組まれていますが,行政が幾ら残っても,地域経済が疲弊してしまって,つぶれてしまっては,まちとして成り立たないわけですよね。
 今の答弁をお聞きしていましても,現状の市内の企業が直面していることに対して,少し現状認識として,おわかりの部分はあるとは思うんですけれども,甘いのではないかなと。
 受注が減ってきている,仕事が減ってきている,どうしようかという話も聞きます。きのうも,ちょっと人と話ししてたところですが,同じような仕事でも, ゼロサムゲーム,値引き競争で,自分たちの原価と同じぐらいのことが出てきてしまったら到底できない,こういうふうな状況が起きてる中,時代に対応した政 策ですね,施策も含めてやっていかないと,いけないのではないかなというふうな状況ですね。
 もうこのような経済情勢の変容や悪化のスピードの速さからしたときに,鈴鹿市は自治体として,もう少し真剣に何らかの需要創出,仕事の創出を政策として考えるべきだと思いますし,そう考えたときに,今回の行財政計画の見直しの中身の基本施策においては,それが満足できるようなものはないのではないかなと不安になっているところです。
 その点については,企画財務部と連携して,何らかの対応を取り組まれることを提案させていただきます。
 この話はここまでにしまして,次に,昨年12月,ことし6月の定例会でも同様の質問をさせていただいていますが,重なって非常にちょっと自分でもしつこいかなと思っているところなんですけれども,NTT西日本研修センタ跡地における新産業支援ゾーンの進捗状況を聞かせていただきたいですね。このことについては,昨日,後藤議員の方からも質問の中にも入っていましたので,答弁については,簡潔にしていただいたら結構です。
 検討会議されているということでは,恐らく産学官交流会議であると思いますが,何回開催されて,どのようなメンバーであったのか,聞かせてください。
 また,昨日の後藤議員への答弁の中で,センター設置候補地の一つという表現になってまして,何でそこまで後退したのか疑問に思うところなんですけれども,もしそういうふうな考えであれば,センターとして活用しない場合,新産業支援ゾーンのあり方をどう考えているのか,代替案の有無などを簡潔にお聞かせください。


○議長(竹口眞睦君) 産業振興部長。
○産業振興部長(今井正昭君) まず,1点目のものづくり支援センターの関係でございますけれども,中小企業支援の拠点整備として,本市で取り組んでおり ます事業がものづくり支援センターの設置事業でございまして,このものづくり支援センターの設置事業の進捗状況につきましては,昨日も後藤議員の御質問に 対して御答弁申し上げておりますけれども,平成21年度のできるだけ早い時期に構想案を策定しまして,設立準備に取りかかりたいというふうに考えておりま す。
 そして,このものづくり支援センター設置に関します鈴鹿産学官交流会のメンバー,あるいは関係機関はどうだったのかということでございますけれども,こ れは市内の高等教育機関,そして鈴鹿商工会議所,それと私ども鈴鹿市というメンバーで意見交換会というようなものを,昨年度,19年度,3回ほど開催いた しまして,先進地視察等も含めながら実施をしてきております。
 まだ最終的にどういった形で構想案をというものが考え,固まったものではございませんけれども,この構想案につきましては,さらに意見交換会での検討を 踏まえて,新たにまた,設置協議会という部分のものも設置をいたしまして,その中で考えてまいりたいというふうに考えております。
 そして,昨日の後藤議員の質問の中で,候補地もNTT西日本鈴鹿研修センタ跡地も一つの候補地ということで,仮にこれが考えられない場合はどうかという ことでございますけれども,今現在,鈴鹿市ものづくり動く支援室というものが別館の方に,産業政策課の一つの組織として設置をさせていただいておりますけ れども,場合によっては,そういった形も一つの考え方も整備できるものかなというふうに思っておりますし,あるいはまた,ほかの適地等についても,必ずし もNTT西日本鈴鹿研修センタの跡地ということに限定されずに,候補地という形の中で,今後,検討してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○議長(竹口眞睦君) 中西大輔議員。
              〔29番 中西大輔君登壇〕
○29番(中西大輔君) 今のお話でも,検討会議は3回だったというのを聞いて,ちょっと,えっと思ったんですけど,もし,本当にこの課題,去年の12月 からですから,本当に真摯に取り組んでいただいたのであれば,現時点で何らかの方向性が出ているのではないかなと思います。
 何よりも,防災型広場ゾーンと新産業支援ゾーンについては,鈴鹿市が推進していくということになっていたはずですが,そのことについて,なぜこれほどま でにほったらかしにしている,ほったらかしという表現はちょっと失礼なんで訂正させていただきますが,なぜ真剣に取り組んでいないのかということが非常に 疑問に思うところです。
 検討を,考えます,そういうことを言いつつ,このように1年が経過して,何も成果が出ていないということは,何もこのことに限らず,鈴鹿市の行政の悪癖の象徴ではないかなと思うところです。
 これから続く世代のことを考えたとき,私たちの1年ではなくて,例えばこれが18歳の若者の1年だとしたら,その1年どうなるかというのは,非常に大き なことのはずです。そういうふうな,また,子供たちにとっての1年というのは,もっと重要なはずです。そういうふうな時間の考え方でもって取り組んでいく 必要があると思いますし,そのような中で課題を先延ばしするようなことはやめて,検討するんであれば,タウンミーティングの活用であるとか,きのう後藤議 員の方からも指摘ありましたように,このための検討会をしっかり立ち上げて,取り組みであるとか,そういうふうなことをしっかりされていただくことを提案 させていただきますし,そのことについてできるのか,するのかどうかということも,お答えもいただきたいと思います。
 とにかく意思のあるところには道ができるんです。意思のないところには道もできないし,何もそこには生まれてくるものないので,そのあたりお聞かせください。


○議長(竹口眞睦君) 産業振興部長。
○産業振興部長(今井正昭君) 先ほども御答弁申し上げましたように,平成21年度も早い時期に,本構想を策定して,設立準備にかかってまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○議長(竹口眞睦君) 中西大輔議員。
              〔29番 中西大輔君登壇〕
○29番(中西大輔君) 今の答弁のとおりされるということでありますので,この年度内中にでも,はっきりとした方向性が,ある程度見てくることを期待させていただきますし,そのことはチェックさせていただきますので,よろしくお願いします。