2011年12月定例会一般質問
「災害への基金積み立てについて」


 それでは,次の質問のほうに移ります。
 次の質問は,基金の積み立て,基金積み立てに関してですが,今後,東海・東南海地震ですね。東海地震は発生確率85%,それ以降,東南海のほうは75% で,南海地震70%ですか。そのような形で,ちょっと数字に間違いがありましたら申しわけありませんが,そのような形で,どちらにしろ,かなりの確率で被害が,大きな災害が来ると想定されている。また,ことしの夏の台風のように,鈴鹿市においても,過去伊勢湾台風などで大きな被害を受けている。このようなことを,このような災害被害ということを考えると,それに対して,どのように備えていくのかというのは,これは自治体にとっては,大きな責任,政策課題だと考えるところです。
 それについて,まず鈴鹿市の考え方の中で,現在の鈴鹿市に事前復興という考え方があるのかどうか,お聞きしたいと思います。
 事前復興というのは,災害が発生した際を想定し,被害の最小化につながる都市計画やまちづくりを推進することと言われ,市町村における防災事業の推進における主要事業である減災や防災まちづくりの一環として行われる取り組みの一つと言われています。
 事前復興の主要な課題は,災害弱者対策,建造物の耐震・耐火性の強化,道路拡張,防災拠点の設置,そして災害に強い地域のグランドデザインと言われています。
 これらに取り組むためには,今,並べた言葉から想像できますように,相応の予算が必要と考えられます。また,相応の予算が必要ということから考えれば,復旧の局面においても相当な費用がかかると想定できるところですが,鈴鹿市としては,この事前復興という考え方について,意識としては,どのようにお持ちなのか,お聞かせください。


○議長(青木啓文君) 企画財務部長。
             〔企画財務部長 杉野浩二君登壇〕
○企画財務部長(杉野浩二君) それでは,中西議員の災害への基金積み立てにつきまして,事前復興への意識があるのかとの御質問に,答弁申し上げます。
 本市は,第5次鈴鹿市総合計画の政策の柱の一つに,安全で安心できるまちづくりを挙げ,災害を未然に防ぐ観点からの防災施策,また,たとえ被災した場合でも被害を軽減できるよう,減災施策に積極的に取り組んでまいりました。
 最近の取り組みといたしましては,例えば安全安心のまちづくり事業では,市民等の所有される施設に関係するものとして,緊急避難所となる集会所の耐震補強費用への補助や,木造住宅の耐震補強工事費などへの補助,狭隘道路対策,危険ブロック塀等除去費用への助成,公共施設関係では,小・中学校建物の改築更新や雨水ポンプ場築造のほか,防災の拠点施設として,消防庁舎の改築更新,耐震性防火水槽の設置,下水道のマンホールを利用したトイレシステムなどがございます。
 今後につきましても,平成24年度からの第3期行財政経営計画の中で,具体的に施策を実施するための個別事業を実施計画として策定するに当たりまして,市長が特に重要と考える事業として指示を受け,防災・減災に関する事業を戦略的事業に位置づけ,推進していくことといたしております。
 そのことから,議員御質問の事前復興に対する意識として,市民の皆さんにも御理解いただけるのではないかと考えております。
 以上でございます。

○議長(青木啓文君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕
○25番(中西大輔君) その点については,了解しました。
 それでは,それを受けて本題であるところをお聞きしたいと思いますが,総合計画に沿っていくと。これまでも取り組んでいると。その点は了解いたしました。
 それで,これから復興とか復旧という局面まで考えていったときには,財政調整基金というふうなものが一応貯金としてあるわけですが,それだけではなくて,条例によって特定目的基金を設立して,それによって災害被害に対して備えていっていくことは,どうかというふうに提案させていただきたいと思うのですが,財源については,せんだって藤浪議員の時間外手当等もあるように,そのような退職手当,時間外手当を含めて,各種手当の見直しで捻出することができる と考えた上でお聞きしますが,いかがでしょうか。


○議長(青木啓文君) 企画財務部長。
○企画財務部長(杉野浩二君) それでは,災害復旧や復興を目的とした基金を設置すべき,もしくは積み立てするべきかということについてでございますけれども,災害発生時におきましての道路や水路などを含めた公共施設の復旧に要する費用につきましては,特に緊急性を要することもございまして,基本的には一時的に多額の一般財源を確保しなくても復旧に影響が生じないよう,国庫支出金や市債などにより,財源確保に配慮された制度となっております。
 さらに,必要となる一般財源につきましては,特別交付税に算入されますほか,市債の償還に当たりましては,一部または全部が普通交付税の基準財政需要額に算入されるなど,被災団体の財政事情によって,復旧に支障のないような制度となっております。
 一方で,大規模な災害が発生いたしますと,市税等の減収など,財源確保が難しいことから,市民サービスの安定提供や復興を加速できないことも懸念されます。
 これに備えまして,特定目的基金を積み立ててはとの御意見をいただきましたが,将来いつ発生するか予測のつかない大規模災害に備えまして,その復旧目的にしか取り崩すことのできない,いわば制約のある基金を積み立てることには,市民の皆さんの理解を得ることは難しいと思われますことから,災害復旧の財源は,使途を限定した特定目的基金でもって備えるのではなくて,財政調整基金を活用することで対応したいと考えております。
 財政調整基金は,地方財政法に規定されておりますように,経済の不況等により,大幅な税収減に見舞われたり,災害発生等により思わぬ支出の増を余儀なくされるなど,地方自治体の予期しない収入の減少や,不時の支出の増に備えるため,また,年度間の財源の不均衡を調整するための基金として,財源に余裕がある年度に積み立てをしておくことが必要とされております。
 近年では,特に市税収入の継続的な安定確保が見込めない中で,市民サービスの安定提供を図るための財源確保として,財政調整基金等の基金を活用してまいりました。
 また,基金に積み立てる財源は,基本的に市税等の一般財源となりますので,市民の皆さんに対しましては,御負担いただきました市税等を市民サービスとして反映しつつ,御理解いただける範囲内で基金のある程度の残高を確保できるよう,健全な財政運営に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○議長(青木啓文君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕
○25番(中西大輔君) 今,いろいろ説明いただきましたが,国のほうを当てにしているというふうなニュアンスも見えたので,ちょっとその点についてですが,関西学院大学災害復興制度研究所2010災害復興研究の第2巻,「提案」災害復興事業の一手法において,地方自治体による災害復旧事業には,通常国が国庫補助を行うが,補助の対象や要件が一律,事業費執行の柔軟性がない,申請期限や工事期間等の柔軟性がない,他事業との連携が難しい,個別に措置を要請,国の事業採択後に事業着手,補助率が低い,償還期間が短いといった問題がある。柔軟性の確保,迅速性の確保,財政措置の充実が必要であると指摘されています。
 このようなことから考えても,やはり国の制度がということに寄りかかるばかりではなくて,やはり地方自治体として,災害復旧の局面ですね,ボランティアに対するお金も必要ですし,住むところをなくした方に対するお金も必要,いろいろなことを柔軟に的確に行うために,やはり手元にお金を持っておくという発想は,非常に重要だと考えます。
 また,市債発行,また,これいろいろな形でできますよということなんですけど,結局のところは,次の世代に先送りしてしまう。やはりそこのところは,やはりやるべきではない発想だと思うんですね。だからこそ,もう基金の積み立て,もしくは財政調整基金でも,きちっと額を想定して積み立てたほうがいいと思うのですが,特定目的基金についての考え方はわかりましたので,では逆に財政調整基金の中で,どの程度の額が災害復興としてあった場合に適切と考えるのか,もし考えがあればお聞かせください。


○議長(青木啓文君) 企画財務部長。
○企画財務部長(杉野浩二君) 大規模な発生を想定して,どれぐらい財政調整基金を積んでおくべきかということについてでございますけれども,特に大規模災害を想定した必要額ということは,現在,算定しておりませんけれども,本市における財政調整基金の積み立て目標額といたしましては,過去の税収激減時の状況を参考に,かつては60億円以上としていた時期もございました。ピーク時には財政調整基金は,平成18年度末に約103億円と,100億円を超すような,そういう時期もございましたが,その後,平成19年度に20億円,20年度に16億円,そして21年度に40億円というふうに取り崩さざるを得ない状況となっておりまして,平成23年度末の残高は,約46億円となる見込みでございます。
 昨今の経済情勢をかんがみますと,財政調整基金を現時点で目標額を設定して積み立てていくことというのは,非常に難しいことであると考えておりますが,今後も税収減や災害発生に係る備えも含めまして,増大する行政需要にこたえため,可能な限り,財政調整基金を確保して,市民サービスの安定提供に活用してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○議長(青木啓文君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕
○25番(中西大輔君) 少し戻りますが,特定目的基金も条例で設置を決めるわけで,使い勝手が悪いといっても,条例を廃止することで使うことができるということですので,いろいろな対応を考えていただきたいと思います。
 そしてまた,被害の想定についてですが,水害,鈴鹿川の150年に一度でしたか,はんらんであるとか,今回の災害,液状化等々ありますが,午前中の鈴木議員の質問に対して,消防長のほうから被害想定というのが出てるわけですね。そのようなものを積算すれば,被害額の想定もできるわけで,そのようなことを考えれば,財政調整基金においても,手元にどれぐらいのお金を置いておけばいいかということは算定できると思います。
 例えば液状化ということで考えますと,堀切川と中ノ川に挟まれております,また国道23号線に挟まれている東磯山一丁目から四丁目,寺家一丁目から二丁目ということは,いま申しました液状化のリスクが高いと。ここで,例えば下水道のことから考え,下水道の建設というふうなことから考えると,該当のところが 116ヘクタール,1ヘクタール当たり3,000万円が基本的な工事ということであれば,ここで大体,下水道だけで34億円,約34億8,000万円の事 業費ということが見込まれるわけですよね。このようなことから考えれば,仮に10%が被害を受けるとすれば,ここで3億4,800万円ですか,約3億 5,000万円するようになってくるということが算定されるわけです。
 ですので,今ここのところで追求しても仕方がありませんので,今後,企画財務のところで,企画財務部になるのですか,どうなるかはわかりませんが,このような被害金額の,やはり推計を出して,今後の財政運営にも取り組んでいただきたいと思いますが,そのことについては,取り組めるかどうかお聞かせくださ い。


○議長(青木啓文君) 企画財務部長。
○企画財務部長(杉野浩二君) 想定される被害額を算定することについてでございますけれども,その災害の規模をどの程度に設定にするのかとか,あと,それによって,どのぐらいのインフラが,どれくらい被害を受けて,その復興にどれくらいの経費がかかるのかといったことなど,専門的な分析や,それに伴う時間や経費を費やせば,理論的には可能なのかもしれません。
 しかしながら,それを基金の目的額の設定のために負担することが,果たして適切なのか,費用対効果を考えたときに,市民から理解を得られるものか,ちょっと苦慮するところでございます。
 それに,財政当局といたしましては,財政調整基金をなくさない,市といたしましては,財政調整基金をなくさない,そういう財政運営をしていくことが大切ではなかろうかと考えております。

○議長(青木啓文君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕
○25番(中西大輔君) まあ,水かけ論になっても仕方ないので,リスクマネジメントですから,リスクが起こったとき,起こることが想定されているのであれば,そのリスクを提言させる方向にしっかり取り組んでいただきたいと思います。