2012年6月定例会一般質問

「公共施設白書の進捗は」

 公共施設白書の進捗について,お尋ねする質問になりますが,3月の一般質問のほうで,公共施設マネジメント白書について質問させていただいております。
 その後の進捗状況ということで質問させていただくのですが,質問の,そこに入っていく前に,るるちょっとお話をさせていただきます。

 昨日の森議員の下水道事業に関する一般質問の中でも出ておりましたが,公共施設や公共インフラの維持,更新の問題というのは,これ,地方だけではなくて,国でも大きな課題になっていることは,メディアでも多く取り上げられていることから,執行部の皆さんも御存じのことと思います。
 この問題に関しては,ほかの地方会議でも非常に関心が高まっており,中には,独自で議員個人として,自分なりの努力でやられている方もいたりするのですが,この公共施設白書を作成するような動きということも実際にあります。

 せんだって,私たち2期目の議員で,実は同期の会という勉強会,会派を超えて行っているのですが,この公共施設維持更新問題に関しての合同視察を東洋大学PPP研究センターでの研修と,神奈川県秦野市の公共施設再配置課の取り組みについて行わせていただきました。参加の議員それぞれに,やはり熱を持って語られる方の話を聞いていて問題意識を高め,また,そのことについての意識のほうを共有してきたところです。
 秦野市の視察においては,担当の職員の方が非常に熱い方でして,実は,秦野市のことの説明だけではなくて,公共施設の,この考え方について,鈴鹿市のことも,こういうことをすると,実は口幅ったいのかもしれませんがということをおっしゃられてましたが,わざわざ資料までつくっていただいて,秦野市と鈴鹿市を比較したときの考え方ということまで行っていただきました。やはりそのような視察説明を伺わせていただくと,この問題というのが,その職員さんが考えているように,一つの自治体の問題だけではなくて,これからすべての自治体が直面して,避けて通ることができない課題であると強く感じました。

 それでは,本題に入る前に,少し数字の整理をさせていただきます。
 資料1のほう,映してください。
              〔資料をスクリーンに示す〕

 少しアップしていただけますかね。
 まず上のグラフについては,これ,皆さんも御存じだと思いますので,釈迦に説法になってしまうかもしれませんが,ちょっとお聞きください。

 上のグラフ,歳出と市税収入のグラフ,平成15年から24年までのものを並べているものになりますが,これを見てわかることは,まず,市税収入についてですね,平成19年と平成20年というのが大きな転機になっていることが見てとれます。法人市民税が,平成19年をピークに,個人市民税が平成20年を ピークに,それ以降,減少しているということですね。特に平成21年からは,法人市民税については激減しているということが見てとれます。また,個人市民税につきましても,もう減少傾向に入っていることが見てとれるところです。

 歳出面について見ますと,平成21年以降,平成21年はぎりぎりですかね。平成22年から,22,23,24と,義務的経費にかかる歳出が市税収入を上回る状態になっています。その中,義務的経費の中の扶助費につきましては,平成15年に比べ,平成24年は,右肩上がりの傾向の結果,約2倍に当たる 140億円になっており,その間,普通建設費はどんどん縮小して,平成15年に比べ平成24年は,約2分の1の55.2億円ということで算出されております。

 下のグラフに映してください。
 下のグラフにつきましては,市債元利償還金における普通債の元金と利子は,順調に減少していることが見える。一方で,臨時財政対策債の,それは増加傾向であることが見てとれます。特に平成20年以降,平成21・22・23・24と,市債借入額が臨時財政対策債の分で大きな伸びを示して,元利償還金との差が非常に小さくなっていることが見てとれると思います。

 資料2のほうを映してください。

 こちらのほうは,人口のグラフになります。
 まず,左側のグラフになりますが,少しちょっと,この状態,ちょっと見にくいですが,我慢していただきたいと思います。

 このグラフのもとになっている数字は,鈴鹿市のホームページ上に掲載されている人口数から作成しました。これを見ると,少しだけ,ちょっとグラフアップにしていただけますか。
 2009年,ちょうど薄っぺらい,もう少し上に上がらないですね。
 2009年に,低いですが,少し山ができて,そこを2009年頂点にして,山になっているということが見えると思います。
 つまり,平成21年,2009年,平成21年の20万4,469人をピークにして,鈴鹿市の人口は緩やかな減少局面に入っているということが見てとれると考えます。人口減少社会へ入っていますから,このことは当然のことではないかと思います。

 対して右のグラフ,右のグラフは,下の表を参考に作成しておりますが,これは国立社会保障・人口問題研究所の最新資料などをもとに作成させていただいております。
 社会的な移動を含まない封鎖人口ですが,これから見て確実に鈴鹿市は,減少にしていくことが見てとれます。
 表,ちょっと見にくいですが,2015年から30年までの間で,鈴鹿市の総人口は約7,500人の減少と予想されています。この間,当然,高齢化も進みますから,税収の減少も予想される一方で,扶助費の上昇圧力が強まって,ますます財政は厳しくなってくることが予想されるのではないでしょうか。
 仮に社会的移動を含めたとしても,2015年から30年の間には,全国の人口というのが997.9万人減少していくと予想されていくと考えられています。つまり,全国で平板に減っていくわけはありませんから,都市間競争が非常に厳しくなることが予想されます。現在の総合計画は,人口20万人を維持することを前提に考えることからすると,非常に不安な要素ではないかと考えます。

 資料3を映してください。

 これらを背景に,さきの質問でも取り上げましたが,東洋大学PPP研究センターの配布している自治体別社会資本更新投資ソフトを活用させていただきました。平成22年度決算書の財産種別明細書から,水道や道路,下水道を除く建築物について取り出し,算出してみたのが,左の表と右のグラフになります。細かいことは,ちょっと補足で書いてありますが,大まかに言うと,そういうことになります。
 グラフを見ていただくと,このソフトで出てくるのは,2020年から38年にかけて,更新の大きな山になっているということが見てとれると思います。これは,データを整理している中でも見れましたが,昭和50年代前後に,施設整備がかなりされていることと関連していることと思われます。

 それを左側の更新投資額の表で見ると,今後30年平均でどうなるかというと,1年当たり,35億7,200万円の更新投資額が必要と算出されてきております。
 昨日の下水道事業に関しての一般質問の中でもありましたが,下水道に関する市債の債権の返済については,平成32年ごろに償還のピークが来ると予想されているというふうな話があります。
 ここに橋梁や道路,上水道などの更新を重ねていくと,平成24年の更新と,普通建設にかかっているお金が55.2億円,平成23年は60.3億円建設事業費として出されていくことから考えると,簡単な予想ですが,鈴鹿市は,現在ある施設やインフラの維持更新だけでも非常に厳しいということが予想されます。

 以上を踏まえて,3月議会以降,市として公共施設やインフラの状況把握のために,どのような取り組みをしてきているのか,また,今後の方針をどのように考えているのかをお聞かせください。
                〔資料の提示を終了〕


○議長(矢野仁志君) 企画財務部長。
             〔企画財務部長 杉野浩二君登壇〕
○企画財務部長(杉野浩二君)
 それでは,中西議員の御質問の公共施設白書の進捗について,答弁を申し上げます。
 まず,この白書についての基本的な考え方についてでございますけれども,本市におきましても,人口減少や高齢化の進展に伴いまして,社会を支える世代の 減少による財源不足や,行政サービスを行う施設としての需給の不整合のほか,高度経済成長期以降に整備されてきました多くの公共施設が,大規模改修や更新の時期を迎えつつあることなどの課題の発生が懸念されているところでございます。

 そこで,これらの想定される課題につきまして,総人口,高齢者人口とともに,生産年齢人口や,現在の公共施設全体の状況,そして,公共施設の利用状況等の市民の皆様のニーズの状況,大規模改修や更新に要する費用と,財源の目安となる長期的な財政需要の予測など,市民の皆様に現状を知っていただくためには,わかりやすく情報を提供していくことは必要なことであると考えております。

 一方で,現在,保有しております公共施設につきまして,効率的な管理運営とともに適切な行政サービスを提供していくためにも,安全性の向上や長寿命化など,優先した取り組みが必要な課題もございます。
 そのため,これらの将来の課題に関する情報や,当面の課題に関する情報などを合わせて現有施設を一元的に管理して,経営資源の計画的・効果的な投入につなげていくことは必要ではないかと考えております。

 次に,現在の取り組みの進捗状況について,具体的なことでございますけれども,答弁申し上げます。
 現在,総務省のホームページに掲載されております,公共施設に係る更新費用試算ソフトを利用しまして,一般廃棄物処理施設や,雨水ポンプ場等の処理施設系や,道路,橋梁,上下水道などのインフラ資産を除く公共施設につきまして,更新費用の試算をしております。
 また,この試算ソフトの検証も兼ねまして,面積当たりの更新単価や更新時期等の考え方を活用して,更新等に要する費用だけではなく,必要となる一般財源の推計を独自に実施しております。
 これらの結果といたしましては,大きな乖離のないものとなっておりますが,いまだ試算に至っていない処理施設系やインフラ資産もございますので,市民の皆様にお知らせできる状態にはないという状況でございます。
 また,更新費用の試算とは別に,三重県の資産カルテを参考にした資料の作成についても検討しております。
 この資料には,公共施設の機能の状況,安全面の状況,利用の状況,将来の更新費用などを個々の公共施設ごとに,まずは,市内各所に配置のある施設を対象に作成しようと考えております。
 これらの資料をもとに,効率的で効果的な施設の一元的な管理とともに,市民の皆様に見ていただき,公共施設のあり方の見直しにつなげていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○議長(矢野仁志君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕
○25番(中西大輔君)
 総務省のほうのソフトを活用して取り組んでいただいているということについては,それは,もう評価させていただきます。
 ただ,単純に数字を出すだけではなくて,それに対して,どのような意識を持って取り組むかということを次の段階として考えていただきたいとは思いますが,今,先ほども答弁の中にもありましたが,出てくる結果については,また市民の方にも公表したいと考えているということがありましたが,今,取り組んでいる,この試算の内容について,大体いつごろを目途に,市民の方にも公開できると考えているのか,今現時点の考え方をお聞かせください。


○議長(矢野仁志君) 企画財務部長。
○企画財務部長(杉野浩二君)
 それでは,再度の御質問に答弁いたします。
 公共施設の一元管理をする資料について,いつごろをめどに市民に公表していくのかというような御質問だと思いますが,先ほども答弁申し上げましたように,現在,公共施設にかかる更新費用の試算の手法について検討しておりまして,また,資産カルテの作成についても調査をしているところでございます。

 しかしながら,公共施設の一元管理は,本市にとりまして,喫緊の課題でもありますし,これをもとに,今後の公共施設のあり方の検討につながっていきますので,本年度から始まります行財政改革においても,積極的に取り組んでいくこととしております。
 現段階では,具体的な時期は明言できませんけども,できる限り早い時期に,市民の皆様に示せるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

○議長(矢野仁志君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕
○25番(中西大輔君)
 漠然としていて,まだよくわからないというお答えなんですけれども,このように,やはりまずは,今どのような状況にあるのかということを把握しないと,本来であれば大きな投資ということはできないのではないかと考えます。特に先ほど言いましたように,平成20年以降,鈴鹿市は,いろいろな形で山を越えた,ピークを超えて徐々に厳しい状態に入っているということが想定されている中で,現状把握しないことで,いろんなことは進めていけないというふうに考えられるわけですね。

 少し,今,答弁の中にも言っていただきましたが,本来,こちら,秦野市さんの公共施設白書になるんですけれども,こちらのほう,1冊じゃなくて,実は3冊あります。これ,本編,これ,もう一つ,詳細な説明があって,それにもう1冊,再配置計画ということがくっついてくるというのが秦野市さんの取り組みですが,どのように,今後,公共施設のあり方を検討していくかというのは,これ,行政だけでもできないし,議会だけでもできない。それを一方的に行うと,他の自治体でもありますが,住民の方との摩擦が起こってしまって,非常に大変になるということがあります。
 しかしながら,公共施設の適正なあり方の検討というのは,やはり避けては通れないと思いますが,その点について,取り組まれることを今考えていらっしゃるのかどうか,お聞かせください。


○議長(矢野仁志君) 企画財務部長。
○企画財務部長(杉野浩二君)
 公共施設の今後のあり方について,市民と一緒に検討していくべきであるというふうな考え方に基づき,市としてどう考えているのかということだと思いますけれども,公共施設の今後のあり方について考えていくためには,まず,本市の公共施設の現状を把握して,今ある施設を将来にわたって維持管理していくことが可能か,また,妥当かなどについても考えていく必要があると考えております。

 現在ある公共施設は,市民の皆様,地域の皆様に必要とされまして,つくられた施設でございますので,可能な限り,少しでも長く,市民の皆様に御利用いただきたいと考えております。
 しかしながら,今後,少子・高齢化と,それに伴う経済規模の縮小によりまして,すべての施設を維持管理していくことが困難な状況になってくることも想定されます。
 したがいまして,将来的には公共施設の統廃合といった大きな問題も避けては通れない状況になってくると予想されますが,これにつきましては,公共施設の将来の全体像を描く戦略を策定いたしまして,それとともに,市民の方々の生活に直接影響を及ぼす問題でもございますので,当然,市民の方をも巻き込んで, 議論をしていく必要があるというふうに考えております。
 以上でございます。

○議長(矢野仁志君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕
○25番(中西大輔君)
 ほかの自治体の話ばかりして申しわけないんです。非常に簡単な,わかりやすい説明があったんですね。鈴鹿市の,先ほど人口としては,平成20年でしたっけ。20万4,000人強をピークに減少傾向に入っていると。普通に考えれば,その時点で整備された箱物について,それ以降,人口が減少した状態で維持できるかと言えば,20万4,000人の時点での整備ですから,当然,不足米が出てくるんであれば,今おっしゃられたように再配置,適正な配置であるとか,いろんなことを考えていかないといけないということになってくるわけですね。ですから,総量をいかにして抑制していくか,総量を削減していくかというふうな発想も必要になってくるわけです。
 そういう,そのように考えれば,当然ながら,新規の箱物の整備については,凍結するというのが,普通の考え方として出てくるのではないかと思いますが,現時点で鈴鹿市として,その点について考慮しているのか,していないのか,お聞かせください。


○議長(矢野仁志君) 企画財務部長。
○企画財務部長(杉野浩二君)
 新規の箱物の整備について,凍結しているかどうかという,そういうふうな考え方があるかどうかということでございますね。
 それにつきまして,政策的な新規の事業につきましては,将来的に必要な行政ニーズ,市民のニーズにこたえていくために必要であると判断すれば,総合計画の実施計画の中に位置づけをしていって,そして政策的に決定していくわけなんですけれども,それを凍結していくというふうな考え方は,現在では持ち合わせておりません。
 ただ,必要なものがあれば,それに対して財源措置を講じて推進していくという,そういう考え方に現在は立っております。
 以上でございます。

○議長(矢野仁志君) 中西大輔議員。
              〔25番 中西大輔君登壇〕
○25番(中西大輔君)
 今現時点の考え方はわかりました。
 公共施設白書については推進していただいて,市民の方にも公表していただくこともわかりましたので,この質問は,ここまでとさせていただきます。