2015年3月定例会一般質問
「地震災害への備えについて」


 それでは,次の質問の内容のほうに移ります。
 地震災害への備えについてに移らせていただきますが,大地震への備えということについて,どうしても東海・東南海地震などのようなプレート型の地震ということがイメージに思い浮かびやすいのですが,実際のところ,鈴鹿市の中の大地震のリスクを考えれば,内陸型の濃尾地震であるとか,鈴鹿市の市内の中にも幾つか活断層があるように,やはりプレート型だけではなくて,内陸で起きる大地震もあるんだという意識を持つということが非常に大切だというふうに考えるところです。内陸型でも,濃尾地震のときもたしかかなり大きな強震が市内で発生したという事例だったと思いますが,そのようなものであるんだと。だから,プレート型の地震だけではなくて,内陸型も非常に注意しなければいけないんだということをしっかり押さえていただきたいと思います。
 そう考えたときなんですけれども,プレート型だけではなくて,内陸で起こっている大きな地震,例えば関東大震災であるとか,阪神・淡路大震災,これは内陸型,阪神・淡路のほうは断層で動いているわけですけれども,こちらの地震でどのようなことが起こったか。関東大震災のときは,相模湾のほうで津波が起こったんじゃないかとたしか言われていたような気もしますが,しかしこの二つの大地震について,何が共通してるかということですね。共通しているものは何かといえば,大地震とそれに伴う火災の発生,これがやはり大きな問題,大きなリスクとしてあったということをやはり強調していくことが鈴鹿市の防災の取り組みにおいても重要だということを訴えたいと思います。ですので,ここでは火災というものに対して,より一層の啓発に取り組んでいただきたいということを趣旨とさせていただきます。
 資料6の映写を。
〔資料をスクリーンに示す〕
 こちらは,三重県から出されている三重県地震被害想定項目及び手法の概要の表紙です。これはインターネットで公開されている資料ですので,ぜひ見ていただければと思うところです。
 次,資料7を。
〔資料をスクリーンに示す〕
 その中から,建物被害という項目の中の出火による被害の部分を取り出したものです。


 次,資料8を。
〔資料をスクリーンに示す〕
 それに対して,火が起こった後,燃え広がっていく延焼による被害について書かれているのがこの資料となります。
 あと,この次に,実は津波火災というのもありますが,今回の質問に関しては,今の二つの資料を踏まえながら,次にあげる点をお聞きしていきます。
 今から言っていきますので。
 まず,地震火災についての考えはどのようなものになっているのか。
 次に,鈴鹿消防と消防団,それぞれ消火活動に対応する車両や人的体制の状況がどうなっているか。
 次,平常時での家屋火災への出動態勢についてどうなっているか。
 資料8をもう一度,映写してもらえますか。
            〔資料をスクリーンに示す〕
 そこで,この手法の概要の中にあげられている計算式の部分があるんですけれども,資料8の左下の部分になりますが,読むと時間がかかりますので,ここにあげられている計算式を用いた消火可能件数について,何件と計算ができるのか。そして,初期消火の重要性,避難における火災の想定がどうなっているかなどについて,現在,どのような考えをお持ちなのかお聞かせください。
              〔資料の提示を終了〕


○議長(原田勝二君) 消防長。
            〔消防長 酒井秀郎君登壇〕
○消防長(酒井秀郎君) それでは,私からは2番目の地震災害への備えについての御質問の1点目,火災リスクについて答弁を申し上げます。
 今後,発生が危惧されている南海トラフ巨大地震における火災リスクについては,市民の関心は,主に東日本大震災でも大きな被害となった津波火災に注がれているようですが,過去の関東大震災や阪神・淡路大震災の教訓から,活断層による内陸型地震も含めて,市内全域で地震による火災発生や延焼拡大の脅威が大きいことも忘れてはなりません。特に,昭和56年以前の旧耐震基準で建設された住宅は,大震災で倒壊するおそれが高く,倒壊家屋からの出火や,古くからの木造住宅が集まる地域では火災が広がることも懸念されます。路地が狭く,火の手が広がりやすい上,巨大地震発生後には,倒壊瓦れき等により車両進入ができない,また消火栓が使用できない,そういった可能性もあり,消防作業も容易ではありません。
 そのような中で,南海トラフ巨大地震が発生した場合の本消防本部の対応といたしましては,全消防職員199名が参集し,保有するポンプ機能を備えた消防車両17台と救急車9台を運行することになります。また,非常備の消防団員は448名で,このうち地域分団23分団でポンプ機能つきの車両25台を運行します。
 次に,消火可能件数についてでございますが,先ほど提示いただいた県の地震被害想定資料の計算式に基づいて,本市の消火可能件数を試算をしますと,約2件という結果になりました。別途,初期消火が成功しなかったところから炎上していく本市の炎上火災件数は,最大で約20件との試算結果が出されておりますので,あくまで最大の被害を想定した場合でございますが,この約20件に対して,本消防本部が消火できる件数は約2件という試算結果になります。
 一方で,平常時の火災対応では,建物火災1事案にポンプ機能を有した常備車両4台,並びに近隣の分団車両4台を出動させておりますが,巨大地震時に想定される同時多発火災に対しては,先ほどの試算も踏まえて,全体の出火状況を見て,保有する消防力を最大限に活用し,全体の被害を最小化するために効果的な消防部隊運用を行う必要があります。その部隊運用は,発生件数,場所,消防水利,風速,延焼危険性によってもさまざまなケースが考えられますので,延焼拡大の阻止を主眼として,図上訓練などを行いながら,万一の事態に備えているところでございます。
 しかしながら,職員や車両の数には限界があり,緊急消防援助隊等の要請は行うものの,遠隔地からの派遣となるため,早い段階での到着は望めないことから,全ての火災現場に対応できない可能性があります。したがいまして,被害の軽減に向けて,各家庭での火災を発生させない事前の対策と,地域の自主防災隊等による初期消火率の向上,並びに各自の適切な避難行動が大変重要になってまいります。そのため,各地域のさまざまな防災・消防訓練におきまして,自分の命を守り,まちを守るために,震災時のみならず平常時も含めて,防災免疫力を向上させるよう市民の皆様にお願いをしているところでございます。
 具体的には,まず第一に,自宅が倒壊しないように耐震化を行うことが最も重要となりますが,出火を防ぐための細かな対策として,こんろや加熱器具の周りに燃えやすいものを置かないこと,避難時にはこれらの器具のスイッチを切ること,プロパンガスのガス漏れ防止対策が講じられているか確認すること,停電復旧時の通電火災や配線からの出火防止のために,地震が起きたら電気を遮断する感震ブレーカー,これを設置すること,そして出火直後の初期消火の成功率を上げるためにも家庭用消火器を準備し,効果的に使えるよう訓練に参加することなどです。
 一方,火災発生後の自分や家族の身を守る避難対策としては,事前に火災延焼も含めたさまざまなケースを想定して,近隣や広域の幾つかの避難場所やその経路について家族や地域で話し合っておくこと,自宅にとどまる場合には,ラジオ等の報道や防災無線の情報に注意するとともに,時々は外の様子を見に行って,近隣に火災が発生していないか確認すること,同時多発火災が起きている場合には,火に囲まれないように,遠くても早目に避難することなどです。
 また,津波避難時にも,進む方向に火災延焼がないか,路地が瓦れきでふさがれていないかなどの情報を把握しながら,より安全な避難ルートを選択していくことが重要です。
 以上の内容を,消防・防災に係るさまざまな訓練の機会を通して,市民の皆様に説明し理解していただくとともに,訓練に参加されなかった家族や隣人にも伝えていただくよう継続して啓発を行い,火災を含めた震災時のあらゆるリスクについてみんなで考える地域づくりを進めているところでございます。
 今後も,自治会,消防団,自主防災隊などと連携して,さまざまな広報媒体や機会を通じて,全市民への浸透を図ってまいりたいと存じますので,議員の皆様方におかれましても,御協力をいただきますようお願いをいたします。


○議長(原田勝二君) 中西大輔議員。
            〔24番 中西大輔君登壇〕
○24番(中西大輔君) 今,説明で,県の計算式を用いると2件というシビアな数字が出てきています。そのことについて,あくまで計算上のものなので,それが全てとは言いませんが,しかし平常時の火災に対応する数から考えても,やはりおのずと限界があるのだということをわかりやすくいろんな啓発のときに言葉として伝えていただきたいなというふうに思います。
 それと,やはり火災の危険性というふうなことを考えたときに,先ほどの資料8の右下のところに,実は火災のクラスターという,家が建っているところに対してどのようにリスクがあるかというものがあったりするので,その点についても,やはりこのような資料がせっかくあるので,消防本部として,やはりこのようなものを適切に,それぞれの地域に合わせてかみ砕いて説明したり,ここからこのような危険性があります,考えられますということをぜひ広報していっていただきたいなというふうに考えます。
 また,そのときに同時に,今,答弁にありましたように,やはり避難時に地域の方々にも,津波ももちろんなんですけれども,火災も含めて,安全に逃げる道はどうあるんだろうというふうなことを,このようなことも鈴鹿消防本部のほうでいろいろ一緒に考えていただくことが地域の防災力を上げることになるとも考えますので,検討のほうをよろしくお願いいたします。
 それでは,次の点です。事前復興という件についてお聞きしたいと思います。
 国難となる最悪な被災シナリオと減災対策第1回南海トラフ巨大地震の被災シナリオ研究会報告書というのがあるんですけれども,関西大学の河田教授などが中心となってやっているもので,ホームページにもあるんですけれども,その報告書の中で,明治大学政治経済学研究科の中林一樹氏による論文「事前復興から発想する南海トラフ地震対策」というものがあるのですが,論文中の表現の中で,「被害想定に基づく復興を事前に考えて,地域特性に合わせた復興対策を講じておく。さらに,復旧・復興の計画をつくる手順を整理しておく。避難所からどのように連続的に復興を仕上げていくのか。さまざまな被災者の思いをどのように復興にくみ取っていくのか。そうした一つの取り組みが,被災で地域を消滅させないまちづくりにつながっていきます。それを事前の「防災まちづくり」につなげていくという「事前復興の発想」が展開できないか」とあり,また「被災後,どういうまちづくりをするのかという「復興まちづくりビジョン」は都市計画マスタープランや長期総合計画に,今の段階から位置付けておく」という考え方も提示されておりますが,このような考えについて,鈴鹿市として危機管理の面からどのような考えをお持ちなのかお聞かせください。


○議長(原田勝二君) 防災危機管理監。
○防災危機管理監(松下裕一君) それでは,私からは地震災害への備えについての2点目,事前復興の考えはについて答弁申し上げます。
 南海トラフ地震などの大規模災害が発生した場合を想定し,平常時から,復興のあり方や手順,具体的な対策等を定めておく必要があるのではないかとの御質問の趣旨かと存じます。
 本市における災害復旧・復興対策につきましては,鈴鹿市地域防災計画にその方針が定められております。
 地域防災計画は,現在,鈴鹿市防災会議によって修正作業が行われているところでございますが,その中で,市が実施する対策として,新たに復興計画の事前検討に関する事項が加えられております。その内容でございますが,大規模災害発生時には,大規模災害からの復興に関する法律に基づき,国の支援措置を用いて,復興を計画的に進めるために,速やかに復興計画を策定する必要がございます。そのため,復興計画への記載項目や内容等について,市民の意向を踏まえながら事前検討に努めることが定められております。
 また,復興計画づくりは,本市の総合的な復興対策を指揮する鈴鹿市災害復興本部を設置して行うこととされております。そのため,この復興対策本部を設置するための規定や体制整備に向けた検討もあらかじめ行う必要がございます。こうした事前復興の取り組みは,大規模災害が発生し,本市が被災した際に,迅速かつ円滑な復興対策を講じるために大変重要であると認識しておりますので,今後,全庁的な意識の共有を図りながら,検討を重ねてまいりたいと考えております。
 一方,大規模災害の発生を想定し,平常時からの被害の最小化につなげるためのまちづくりを推進することも事前復興の考え方ではないかと認識しております。
 そうした観点から,防災に資する各種施設整備等のハード対策や地域の防災力を高めるためのソフト対策を組み合わせて,総合的かつ効果的に防災・減災対策を講じてまいりたいと考えております。
 また,現在,進められております新たな中長期計画や都市マスタープランなど,本市のグランドデザインを定める計画づくりにも事前復興の視点を取り入れ,災害に強いまちづくりを進めてまいりたいと考えておりますので,御理解いただきますよう,よろしくお願い申し上げます。


○議長(原田勝二君) 中西大輔議員。
            〔24番 中西大輔君登壇〕
○24番(中西大輔君) ありがとうございます。ただ,今,お答えいただいた内容というのは,お聞きしたいことの半分に私は受けとらせていただきました。お聞きしたかったことは,事前に災害の被害を減らす,いわゆる減災的な取り組みというのは,それはそれで事前復興の考え方の中の一つで大事なことなんですけれども,今,鈴鹿市においても,海岸線においてもそうなんですけれども,もし津波が来たときにどう逃げるかというところで,今いろいろなことを地域の皆さんに考えていただいています。しかし,東北で見た状況,東北である状況というのは,一旦流された後に,どのようにまちをつくり直していくのかということが非常に難しい課題として突きつけられているわけですね。これは,阪神・淡路大震災の復興の,長田町の復興についての特集がNHKで放送があったんですけども,その中でも防災に強いまちづくりにしようということで復興したのはいいけれども,現実,しかしそこに人が住まなくなってしまっているということがある。ですから,鈴鹿市にとっても事前復興で大事なことは,もしそのような被害があったときに,鈴鹿市はどのようなまちにしていくのか。被害を受けた地域の方々に,どのようにまちをつくり直していくのかということを話し合っていく,その作業が事前復興として大事ではないかということをお聞きしたかったのですが,その点についてはどのようなお考えをお持ちなのかお聞かせください。

○議長(原田勝二君) 防災危機管理監。
○防災危機管理監(松下裕一君) 再度の御質問に答弁申し上げます。
 いわゆる事前復興の考え方でございますけども,先ほど答弁申し上げましたように,地域防災計画に復興計画づくりにおける手続でありますとか,組織体制の規定がございます。そういう考え方に基づきまして,行政が,被災した場合の復興計画をつくる際には,当然,住民の意見が必要となっておりますので,そうした場合を想定して,事前に防災啓発をしていく中で,そういう事前復興の考え方につきましても,地域住民の皆様に説明をさせていただきまして,市民の皆様と一緒に考えていただくような機会の場を持っていきたいというふうには考えております。


○議長(原田勝二君) 中西大輔議員。
            〔24番 中西大輔君登壇〕
○24番(中西大輔君) 今の段階は,そのような中身だと思うので,これ以上,お聞きしませんが,市長にもちょっとお考えいただきたいことなんですけれども,要は,もしそのようなことが起こるということ,これはあした起こるかもしれないし,20年後かもしれないし,はたまた起こらないかもしれない。しかし,そのようなリスクから私たちが,次の世代がどういうふうに住んでいこうかというところをこれからデザインしていくことが大切だというところですね。そのための住民も含めた合意形成というのは,それは1年,2年でできるものではなくて,場合によっては10年,20年かかるかもしれない,住み方を変えるとなれば,さらに長い時間がかかるかもしれない。そのようにしながら,鈴鹿市のあり方を考えていくことが大切だということですよね。それは,今ちょうど取り組まれている新たな中長期計画であるとか,都市マスタープランのこのスタートの段階できちっと入れておくことが大切だということを言いたかったということなんですね。ですから,お聞きしたいことなんですけれども,今の事前復興についての議論がいろいろありましたが,その点について,調査研究をきちっとしていただいて,新たな中長期計画であったり,都市マスタープランであったり,そこにやはり文言としてきちんと入れていく,考え方としてきちんと入れていくということが大切だと考えるところなのですが,その点について検討していただけるのかどうか,最後にそれだけお聞かせください。

○議長(原田勝二君) 市長。
○市長(末松則子君) 議員御指摘のとおり,今,策定をさせていただいております都市マスタープラン及び鈴鹿市の中長期的計画につきまして,事前復興という考え方も視野に入れながら,文言のことも含めまして,しっかりと検討をさせていただきたいというふうに思っておりますので,よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

○議長(原田勝二君) 中西大輔議員。
            〔24番 中西大輔君登壇〕
○24番(中西大輔君) 答弁のほう,ありがとうございました。期待しておりますので,よろしくお願いします。
 以上で,私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。


○議長(原田勝二君) これにて,中西大輔議員の質問を終了いたします。
 この際,暫時休憩いたします。
 再開は14時10分といたします。
          午 後  2 時 00 分 休 憩