2015年6月
「愛着を育む教育について」


○11番(中西大輔君) 議席11番,鈴鹿の風,中西大輔です。ここに立つときは,いつもいつも初心に戻って質問しているような感じなんですけれども,本日も通告に従い,一般質問を行わせていただきます。

 今回は,愛着を育む教育についてお聞きしたいと思います。
 私は,鈴鹿市の教育において,子供たちの成長過程における愛着の形成に着目すべきだというふうに考えております。愛着というのは,発達心理学で,親あるいはそれにかわる重要な人との間に繰り返し行われる日常的な世話などを通して子供の中に形成される心理的なきずなと考えられています。
 資料の映写を。
〔資料をスクリーンに示す〕
 こちらですが,今回参考にさせていただいた文献なんですけれども,著者は岡田尊司氏,光文社新書から発行の「愛着障害 子ども時代を引きずる人々」を参考にしております。
 本書の内容ですが,愛着がうまく形成されないと,その後の成長過程に影響があるということを軸に内容が展開されております。その第1章を引用させていただきますと,「愛着の研究は,まず子どもの愛着障害から始まったのだが,今では大人においても愛着が果たす役割の重要性に注目が集まっている。実際,安定した愛着スタイルをもつことは,良好な人間関係に恵まれやすいだけでなく,家庭生活での幸福や社会生活での成功にも大きく関与しているのだ。」とあります。この部分に注目した質問となります。
 このように考えると,愛着の形成というのは,子供たちにとって,学力向上だけでなく,社会生活の安定面からも,成長全体に意味のあることだと考えられるわけです。ただ,児童虐待などの課題を考えると,今の時代,家庭だけに愛着の形成を期待することは難しいというふうに考えます。また,一見,課題がないと思われる家庭にも,もしかすると愛着に課題がある場合も考えられます。よそのうちのことは基本的にはわからないということですね。
 このことから,子供たちの成長を支えるために,鈴鹿市やまちとして愛着を育むことに注目すべきだと言えます。
              〔資料の提示を終了〕
 ちょっと手元資料にさせていただきます。今,こちらのほうに出させていただきましたのは,日本財団の子供の貧困に関する「子どもサポートプロジェクト」の資料から借用しております。
 子供の貧困と愛着の関係というのは同様のことではないかなと私は考えるのですが,やはり愛着がうまくいかないことというのは再生産されるものだなと思います。この資料に書いてありますが,社会的相続として親から子に相続されるものとして,子供にかけるお金,子供にかける時間,親の周囲との関係,親の生活習慣,親の価値観というものがあるわけですけれども,これらというのが親に対する愛着と密接につながっているわけですね。ここがどんなに関係があるかというと,それが右上に書いてありますが,自立に必要な力,人や社会とかかわる力,思考・判断・表現力,知識・技能,学習意欲,学習習慣,生活習慣,このようなものと密接にかかわってくるということですね。ですから,このような愛着関係を貧困とつなげてしっかり取り組んでいくということが自治体として求められているのではないかということです。負の相続となるものの影響を小さくすることが重要だというふうに考えるわけです。つまり,先ほども言いましたが,やはり社会として子供たちの愛着形成を支えるという考え,その一部を担う意識というのが自治体には必要になってくると私は考えます。
 そこで,私は今回の質問に当たって,最大で6年間,そこで過ごして,かつ,身体的にも精神的にも変化の入り口に立ってくる学童期,つまり小学校で愛着を育む取り組みに力を入れるべきだというふうに言いたいわけです。人との関係から生まれる愛着というのはもちろんなんですけれども,私なりに愛着というのは,心が育つことと関係しているというふうに考えます。変化や成長に関係してくると考えたときに,やはり子供たちの成長にとっては,自然環境への愛着や,学校施設なども含めた地域に対する愛着といった点も加味しながら,今回,愛着を育む教育について教育委員会の見解をお聞きしたいと思います。

○議長(後藤光雄君) 教育長。
            〔教育長 玉川登美男君登壇〕
○教育長(玉川登美男君) それでは,中西議員の御質問の愛着を育む教育についてのうち,教育委員会の考え方について答弁申し上げます。
 教育委員会では,今年度から新たな鈴鹿市教育振興基本計画のもと,教育の取り組みを進めているところでございます。本計画においては,基本理念を「鈴鹿を愛し,子どもの学びと安全・安心を支え,絆で育む鈴鹿の教育」と掲げておりますが,これは,家庭,地域,学校,関係機関などが一体となり,それぞれの役割のもとで教育を推進していくことを表したものであり,子供たちが,ふるさと鈴鹿を愛し,その未来を担う人材として,健やかに成長してほしいという願いが込められております。
 また,本計画では,基本目標を具現化していくための基本事業の1つとしまして,郷土教育を掲げております。さらに,この基本事業は,子供たちに,郷土を愛し,地域のために貢献できる態度を身につけさせるため,地域の文化施設や人材を積極的に活用するものでございます。子供たちにとりましては,地域の方々との交流を深めることで,自分たちを見守り,支えてくれる人が身近にいることを体感する機会となり,このような取り組みが,郷土への理解を深めるとともに郷土への誇りと愛着を深めることにつながると捉えております。
 本計画では,ほかにも環境教育を基本事業に掲げ,学校・幼稚園において海岸清掃や河川の環境調査等,地域の実情に応じて生活と結びついた取り組みを進めており,自分たちの暮らす地域の環境について,体験を通して学習することで,子供たちの郷土に対する理解が深まるものと捉えております。
 このような私どもの取り組みは,議員のおっしゃる愛着関係の形成につながる部分であると考えており,子供たちの成長に効果のある教育環境づくりに家庭,地域,学校が力を合わせて取り組むこと,また,確かな学力や豊かな心を身につけさせる基盤として,学校が子供たちにとって安心で楽しく学べる環境となるよう,総合的に教育の取り組みを進めてまいります。そして,子供たちが健やかに成長し,やがて郷土に貢献し,活躍できる人材となるよう育成したいと考えております。以上でございます。


○議長(後藤光雄君) 中西大輔議員。
            〔11番 中西大輔君登壇〕

○11番(中西大輔君) ありがとうございます。今おっしゃっていただいたのは,愛着をつくっていくというところで,本当に狭義のところが中心かなと思います。
 実は,この教育基本計画のパブリックコメントにもちょっとだけ愛着という言葉を入れたらどうかということを意見させていただいたんですけれども,それはそれとして,私自身,なぜこれに着目したかというと,詳細なことは話せませんが,行動に課題のあった生徒さんが学校の先生の支援を受けて,安定した生活の側面を持ったと感じる事例を私自身,目にしているわけですね。そのようなものが子供たちにとって非常に重要だということを実感しております。だからこそ,やっぱり鈴鹿市としては愛着という観点を特出しして扱っていくこと,教育の中でも取り上げていくことは今すぐにでも行うべきじゃないかなと考えております。
 また,先ほどのこちらの資料,実はもう1つ,次がありまして,曲線がありまして,低年齢期における愛着の関係性というのがあるんですけれども,低年齢児──就学前の話については,それは保育の話ですので別として──そこからつながるところの小学校のところがきちんとしていなければ,やはり途切れのない子供の支援にはならないんじゃないかというふうに考えます。
 それでは,次に,愛着を育む場として,今,教育委員会で言えば,学校施設の活用ということを考えたときに,いろいろ制限があって,課題があるということ,難しいということが,実は私,平成26年9月定例会で,学童保育に関する一般質問を行った際に,学校施設を学童保育も可能な設備,施設を設置した複合施設として再編し,市民の満足度を向上しながらコストを抑制する考え方もあるんじゃないかということを述べさせていただいたわけです。そのとき,教育行政の方ともいろいろ話をさせていただきましたが,やはり壁があることは実感として感じました。このままでは,学童保育で待機児童という話が今たくさんある中で,でも片方で,子供たちが愛着を育む場として可能な学校では,放課後の居場所がないという非常に矛盾した状況になっているんじゃないかと。やっぱりこのような状況というのは改善していかなければいけないんじゃないでしょうかね。
 考えてください。学校施設の利用の壁をなくして,全部の子供の放課後の居場所にできれば,当然のことながら,税の公平性から考えても真っ当なものになると思います。また,今現在は学童保育に預けている保護者の方々はいろいろな形,運営委員会であったり,保育料であったり,その方たちにいろいろな形で負担も出ているわけですから,実質的には,なしにできるんじゃないかというふうに考えられるはずです。当然,学校を使えば,待機児童ということも理論的にはなくなるんじゃないかなというふうに考えます。
 このように,施設利用の壁をなくして,子供の居場所として学校が活用されれば,全ての子供たちにとって地域への愛着,地域との愛着を育てる場になるんじゃないかというふうに考えます。学校には学校図書館がありますし,校庭や屋内運動場,特別教室,いろいろ活用できる施設というのがあります。また,学校を中心に各種スポーツ少年団の活動や放課後子ども教室──市内全部にはいっていませんが──そういうふうな活動もあります。放課後児童クラブ,いろいろな方々との連携を考えれば,非常に大きな可能性というのが学校にはあるというふうに考えるわけですが,教育委員会として,施設運用の考え方,見直す考えがあるか,また,今私が言いましたような考え方を持つことはできるのかお聞きしたいと思います。

○議長(後藤光雄君) 教育次長。
○教育委員会事務局教育次長(鈴木謙治君) 続きまして,地域と溶け合う学校についてのうち,学校施設について答弁申し上げます。
 まず,放課後児童クラブの学校施設の活用についてでございますが,これまで保健福祉部と連携しながら,鍵の管理が比較的容易である幼稚園で受け入れができないかどうかを模索してまいりました。その結果,平成18年度から国府幼稚園,庄野幼稚園,河曲幼稚園,若松幼稚園の余裕保育室等を活用してまいりました。その後も,天名幼稚園,井田川幼稚園,庄内幼稚園が廃園したことにより,その園舎を活用しております。さらに,幼稚園の活用が困難である場合は,幼稚園敷地や学校敷地内に施設の建設を模索するなど,さまざまな方策について検討もしてまいりました。その結果,河曲小学校駐車場敷地内及び栄幼稚園運動場敷地内に放課後児童クラブが建設され,活用されているところでございます。また,夏休み期間中などには,放課後児童クラブを利用する児童が大幅にふえることから,期間を限定して,幼稚園の遊戯室等を活用することもございました。
 このように,それぞれの学校等の状況に応じて,放課後児童クラブでの利用について検討し,可能な限り,学校施設等の利活用を行ってまいりました。
 また,今後も放課後児童クラブを利用する児童が増加することも考えられますことから,それぞれの学校の状況に応じた校舎の余裕教室等の活用につきましては,大きな検討課題であると認識をしております。しかしながら,現状といたしましては,施設管理面での安全性の確保など,整理をしなければならない課題もありますことから,学校図書館などの特別教室を通年で利用することにつきましては,今後も引き続き,検討してまいりたいというふうに考えておりますので,よろしくお願い申し上げます。


○議長(後藤光雄君) 中西大輔議員。
            〔11番 中西大輔君登壇〕

○11番(中西大輔君) ありがとうございます。今,答弁をお聞きさせていただいて,私の前の藤浪議員の一般質問の中でも関連したような話があったわけですけど,やはりちょっと縦割りだなという印象は受けます。
 また,やはり学校図書館というのはもっと積極的に活用すればいいんじゃないかなと思いますので,その点は考えていただきたいと思います。ともかく大事なのは,継ぎはぎのように対応していってもらうんじゃなくて,やっぱり大きく考え方を転換することが必要じゃないかということです。先ほども言いましたが,学校が子供の居場所になれば,地域への愛着,地域との愛着の形成に大きな意義があるんですよね。そこで,いろんな施策をまぜてやっていけば,市民の満足度も上がっていくんじゃないかというふうに考えるわけです。中長期の問題ではなくて,やはり目の前の課題だというふうに私は考えます。
 それでは,次に,人的支援の部分についてお聞きしたいと思います。
 学校を,ここまでの話の中で,愛着形成の場として考えるときに,今の教職員の方々の体制のままでは,当然のことながら教員負担,またいろいろボランティアの方々の負担もふやすだけになってしまって,余り現実的ではないというふうには考えております。当然ながら,教員の方々は,やはりまず教員としての職務に集中できる環境であるべきだというふうに私も考えます。
 そして,現在,数年で学校の先生方というのは基本的に入れかわっていくわけですね,異動があるわけですから。そうすると,子供たちとしては,何年かたって,懐かしいなと戻っても知っている先生がいないということが起こったりするわけで,そうなると,子供たちがそこに愛着を持って戻る場として考えれば,不安定な部分があるんじゃないかというふうに考えます。であれば,市として全ての学校に愛着の形成と地域との連携をコーディネートできる人材,そのような方を複数年,少なくとも私が考えるところでは,10年程度の期間を基本として雇用するという考えがあっていいのではないかというふうに思います。そうすれば,子供たちにとっても成長の過程──小学校だけではなくて,当然,中学校,高校と,いろいろな成長の過程で課題が出たときに,戻れる港として小学校というのは大きな意義を持ってくるんじゃないかというふうに考えます。
 そのような放課後の子供の居場所を支援する人材とあわせて,放課後児童クラブで雇用されている方々や,先ほども言いましたが,スポーツ少年団の方々との連携やボランティアの方々の参画など,多様な人的支援の形が考えられるわけですね。そうすれば,学校を子供の居場所とすることには本当に充実してくるのではないかというふうに考えますが,今現在,お聞きした点について,鈴鹿市教育委員会としての考えをお聞きしたいと思います。

○議長(後藤光雄君) 教育委員会事務局参事。
○教育委員会事務局参事(廣田隆延君) それでは,続きまして,地域と溶け合う学校にのうち,人的支援について答弁申し上げます。
 学校の教職員につきましては,公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づき,学級数に応じて,教職員の定数が決定いたしますが,その教職員定数に加えまして,さまざまな課題等に応じた加配教員等を配置しております。加配教員等は,国費や県費によるものもありますが,本市におきましても,市費により少人数教育や特別支援教育等の非常勤講師や介助員,看護師等を配置しておりまして,学力向上や特別支援教育の観点から,児童生徒に対するきめ細かな指導のために有効に活用しているところでございます。
 ほかにも,子供たちが心理的な相談をできる人材としまして,県の事業を活用して,中学校区内を兼務する形でスクールカウンセラーを全校に配置しております。スクールカウンセラーは,直接,子供たちの相談を行う以外に,保護者や教職員に対する相談,教職員等への研修なども行いますことから,子供の心に寄り添った学校や家庭の体制づくりに大きな役割を果たしております。また,市内の学校におきましては,プリントの丸つけなどの教科指導の補助や本の読み聞かせ,校内の草刈りや樹木の剪定などの支援をしていただく学習支援ボランティアや,登下校時に子供たちの見守りや交通安全指導等をしていただく安全安心ボランティアの方々に多大なる御支援をいただいております。そして,ふだんから子供たちに対して愛情をもってかかわっていただいています。
 さらに,本市では,全小中学校におきましてコミュニティ・スクールを推進しておりますことから,地域とともにある学校を目指し,保護者や地域との連携を進めるために地域コーディネーターを各校に配置しております。ほかにも,放課後の子供の居場所を支援する人材としまして,子ども政策部が所管しております放課後児童クラブやスポーツ少年団でかかわっていただいている方々がいらっしゃいます。
 このように,現在,さまざまな形で,学校や子供たちに愛情をもってかかわっていただいている地域の方々が多数いらっしゃいますので,今後も,その方々に御協力をいただきながら,子供たちの地域への愛着を育んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。


○議長(後藤光雄君) 中西大輔議員。
            〔11番 中西大輔君登壇〕

○11番(中西大輔君) ありがとうございます。今回言っているのは,今しているものに,さらに上乗せをしてはどうかというふうな提案ですので,そのことを考えていただければなと思います。当然のことながら,スポーツ少年団等を活用すれば,子供の居場所として,この日はもしよかったら見てもらえませんかというふうなことなら対応できると。そういう発想の上で話をさせていただいております。
 今のような形でさらに上乗せをした場合は,当然ながら,それに対して必要な財源,投資というのが必要になってきますが,これは,私はやはりまちとしてかけるべきコストだと思います。かけるべき投資だと思います。こういうふうにしていくことは,結局は子供に対しての投資になりますし,地域に対しての長期的な投資になる,また地域経済にも重要だというふうに考えております。
 ここまでのところで,いろいろ聞かせていただいたわけですけれども,もう少し細かく課題となる点をお聞きしていきたいと思います。
 まず,学校施設の活用を考えるに当たってのことになるんですけれども,当然のことながら,日常の授業でどういうふうに使うかということも含めて,学校施設のあり方というのは課題になってきます。
 先ほど藤浪議員の質問にもありましたが,公共施設等総合維持管理計画がありますね。もっとわかりやすく言うと,公共施設マネジメントで表現させていただきますが,この公共施設マネジメントというのは,まず外せない政策になってくるということがはっきりしております。今後,先ほどの質問で屋内運動場の話が出てましたが,屋内運動場だけではなくて,学校校舎も含めて,大規模改修,また,もしかしたら移転や新築ということを想定する際,やはり学校施設をどういうふうにデザインしていくのかというのは大きな課題になってくるというふうに思います。また,そのマネジメントに当たっては,先ほどは計画に沿ってやっていきますよというふうな答弁が出ていたので,それは納得するところなんですけれども,やはり市民の皆さんにとってもわかりやすい,PTAの皆さんにとってもわかりやすいように,全体の流れを早目に提示していただくということが大事じゃないかなと思います。
 そして,前半の質問でありましたが,学校図書館を活用するというふうなこと,特別教室,いろいろなものを活用するということを考えたときに,やはり特別教室と通常教室を分離できる形で改修する,建設するということは,当然,発想の中に入れていくべきことじゃないかなと思います。そういうふうにしていこうと思うと,やはり鈴鹿市として,公共施設マネジメントの中でも大きな流れとして今のような考え方をやっていかなければいけないというふうに考えるわけですけれども,愛着という観点でお聞きした内容も踏まえて,今,教育委員会としての考え方をお聞きしたいと思います。

○議長(後藤光雄君) 教育次長。
○教育委員会事務局教育次長(鈴木謙治君) それでは,公共施設マネジメントとの関係について,答弁申し上げます。
 平成27年3月に策定されました鈴鹿市公共施設マネジメント白書の中で,本市が保有する公共施設等の全体的な状況について分析がなされております。具体的には,公共施設等の保有状況,築年別整備状況,老朽化の状況,耐震化の状況及びコスト状況を把握するとともに,将来の更新費用の推計を行っております。そのうち,学校教育系施設としましては,小学校30校,中学校10校などの合わせて45施設と,非常に多くの施設を保有し,その割合は本市全体の44.1%を占めております。
 学校施設の整備につきましては,昨年度までに,神戸中学校や平田野中学校の移転改築事業,第二学校給食センターの施設整備事業のほか,大規模なプロジェクトは完了いたしましたが,本市の小中学校は,昭和30年代から昭和50年代にかけて建築された校舎や屋内運動場等もありますことから,老朽化に伴う改修等も必要であると,このように考えております。しかしながら,これらの改修等につきましては,限られた財源の中で実施していくこととなりますので,今後の本市の小中学校の施設整備計画につきましては,公共施設等総合管理計画における基本的な考え方に基づき,学校規模の適正化を図る基礎調査の結果を踏まえ,計画的に実施してまいりたいと,このように考えております。
 また,将来的には,少子化に伴う児童生徒等の減少等により,経常的にさまざまな用途に活用できるゆとりが生じたりすることも考えられます。特に,学校施設は地域住民の皆様にとりまして身近な公共施設でもありますので,学校教育に支障のない範囲内で地域の実情や需要に応じて,積極的に活用していくことも検討をしていく必要があると,このように考えておりますので,よろしくお願い申し上げます。

○議長(後藤光雄君) 中西大輔議員。
            〔11番 中西大輔君登壇〕
○11番(中西大輔君) ありがとうございます。先ほどの答弁にもありましたが,やはり地域住民の方々の活用というのも念頭に置いていかなければいけないというところですね。縦割りではなくて,やはりいかに複合化して使いやすいものにするか,意味のあるものにしていくか,そのときにやはり愛着ということは1つのキーワードとして置いておいていただきたいと思います。
 次に,人的支援のところで財源の話を出させていただきましたが,やはりこのような人材をどうしていくかと考えたときに,ボランティアというのは余り安易に私はするべきではないと思います。やはりきちんと雇用していくということが大事だと思いますが,いろいろな形はあると思いますが,1つの雑駁な計算になりますが,平均1校当たり3人と想定して,30校,鈴鹿市内には小学校があるわけですが,ざっくりとした計算で──これはちょっと賛否両論あるのであれですけど──1人につき,大体年間250万円ぐらいということで計算をすると,約2億3,000万円,財源というのが必要になるというふうに考えられるわけです。現在の厳しい予算の状況から考えて,なかなか難しいこととは思いますが,今の数字というのを聞いて,鈴鹿市教育委員会としてどのような考え方をお持ちになるのか,お聞かせください。

○議長(後藤光雄君) 教育長。
○教育長(玉川登美男君) 続きまして,人的支援をするための財源につきまして答弁申し上げます。
 現在,学校に配置しております非常勤講師や介助員等は,学力向上の取り組みや特別支援教育のためのニーズが高く,新たな人的支援のために現在の配置数を減らすことは難しいと考えております。また,現在の学校への人的配置を維持した上で,新たな財源や人員増を考えることにいたしましても,限られた財源や人員の中で,優先順位を考える必要がございます。
 教育委員会といたしましては,現在配置している非常勤講師等に加え,先ほども申し上げましたが,学校ボランティアの方々や放課後児童クラブで雇用されている方々,スポーツ少年団でかかわっていただいている方々など,さまざまな形で子供たちにかかわっていただいている方が多数いらっしゃいますことから,それらを継続する方向で考えておりますので,御理解くださいますようお願いいたします。

○議長(後藤光雄君) 中西大輔議員。
            〔11番 中西大輔君登壇〕

○11番(中西大輔君) ありがとうございます。先ほどの質問でも言いましたが,財政的に厳しいことはよくわかっておりますし,なかなか教育委員会として,教育予算として捻出してくださいというのは難しいのは非常によくわかっているところです。しかしながら,やはり今,話しています愛着を基本にした教育と子供たちの健全な育成,それが社会を支えていくという観点からすれば,これは市として財源を投入すべきことだというふうに考えるわけです。私としては,物からお金を入れるのではなくて,まずやっぱり人にお金を入れて,そこで充実をすることで,最終的にまちとしての活力を保っていくことが大事じゃないかなと思います。優先順位で言えば,このような部分というのは,まず入れていく部分じゃないかなというふうに考えております。
 そして,いろいろやりとりしている中で,人的な確保というのが非常に難しいという話を聞きました。それも,今,技能を持っている方を雇用しようと思うと非常に難しいかもしれません。しかしながら,市内には市民の方々がたくさんいるわけです。その方々に対するセカンドキャリアを育成するための支援,例えば通信教育であったり,放送大学であったり,いろんなものがありますが,そのようなものに対する教育における支援を充実させて,人材を育てながらやっていくということがあるのではないかなというふうに思います。
 また,財源の確保には,もう1つ大事なことなんですけれども,やはり市民の方々にも一緒になって考えていただくということが今の世の中,必要です。国のほうは,赤字国債を発行したりはできますが,これはまちとしては,自治体はそれができません。となれば,お金の使い方を見直していくということが重要になってくるわけですね。お金の使い方を見直していくとなれば,例えば医療費にしても,医療費のほうで,なるべく自分たちで健康になるためには大事だけど,過剰なものは控えましょう,その分をこのような政策に充てましょうという考え方を市民の方々が持つということが大事だと思いますし,また,この中では,やはりこれから経営の中で言えば,自治のあり方を見直す中で財源を捻出していくということも考えなければいけない,そのような場面が来るのではないかと,私は個人的には考えております。
 それでは,3つ目の課題点ということでお聞きしたいのですが,これは,この定例会で,後に板倉議員もちょっと関連する質問をされるところだと思いますが,地域への愛着ということを考えると,今,鈴鹿市の課題の中には,やはり学校区のあり方というのが大きな課題として,本来,目の前に見えているはずだと思います。実際,議会報告会を行わせていただいたときも,通学区と地域が重なっていないと。そうなってくると,地域の運営は困るし,学校,あっちもこっちも行ってというふうになったのも本当に困るんやわというようなお話を聞かせていただきました。この課題についても,これは今回,議会報告会を行った地域ではなくて,鈴鹿市の成立してきた過程を考えれば,鈴鹿市内のまだまだたくさんの地域でこのような地域というのはあるんじゃないかなと思います,学校区といわゆる地域というふうな考え方がうまく重なっていないところが。
 そのようなものをこれからどうしていくかというのは,地域愛着ということを考えたときに,私はここで育ったんだ,ここで大切にしてもらったんだということを考えていく際には,非常に重要な視点になってくるのではないかなと私は考えるんですけれども,今後,教育基本計画の検討の際も,これ,パブリックコメントを見させていただきましたが,学校規模適正化と関連して,統廃合などの課題はどうするのというのがパブリックコメントで出ていたんですね。そのようなことも踏まえながら,教育委員会として,学校区と地域の愛着の関係というものをどのように考えているのかということをお聞かせいただきたいと思います。

○議長(後藤光雄君) 教育長。
○教育長(玉川登美男君) それでは,御質問いただきました学校区と地域への愛着の関係につきまして答弁申し上げます。
 学校は,地域のコミュニティーの核として,また家庭や地域とともにある学校づくりという観点や,防災,地域交流の場等,さまざまな機能をあわせ持っており,学校区と地域との関係は大変重要であると考えております。
 本市におきましては,全小中学校をコミュニティ・スクールに指定しており,いずれの学校区におきましても学校運営協議会や見守り隊,学習支援や安全安心ボランティアなどが設置され,地域とともに学校の運営が行われております。
 このような中,地域によりましては,小学校区と行政区が一致しないため,複数の行政区が混在している小学校区もございまして,通学距離等の理由から校区外の学校へ通学を希望する児童もあることから,少なからず地域づくりなどに影響があるものと認識しております。このような状況ではございますが,長い間,親しまれてきた学校区を早急に変更することは困難であると考えられますことから,現状の学校区を保つ方向を基本としたいと考えております。しかしながら,今後,地域による人口の偏在や学校規模の適正化に伴う統廃合等により,学校区の見直しを検討しなければならない時期が来ることは想定しております。そのような場合は,地域の方々の御意見を伺いながら,子供たちが地域への愛着を育むことができるよう慎重に進めてまいります。
 以上でございます。

○議長(後藤光雄君) 中西大輔議員。
            〔11番 中西大輔君登壇〕

○11番(中西大輔君) ありがとうございます。私も,学校区と地域のあり方については,これは1年や2年でごそっとできるものだとは思っていません。当然,10年,20年,30年,いろいろな形で蓄積されてきた人のつながりであったり,考え方であったりするので,それを整理していくには,恐らくそれと近い時間はかかっていくものだなというふうに思います。
 今,答弁でありましたが,やはり地域の皆さんと話していくという部分を教育委員会として丁寧に行っていただくことが重要かなと思います。学校教育は,学校のことだからじゃないんですね。小学校は小学校で愛着ができる,そういうものではないし,中学校は中学校,そして卒業したら鈴鹿市,そういうものじゃなくて,全部が地続きだというふうに考えていただいた上で取り組んでいただくことが重要かなと思います。
 そういうふうにして,今,答弁いただいたように,教育委員会として愛着形成の基本というのを小学校区というふうに置くことによって,この次の段階というのが整理しやすくなると思うんですね。例えば,中学校の学校区やコミュニティ・スクールとの関係というのは,小学校はこのような内容にしましょう,中学校はこうですよという整理がしやすくなるのかなというふうに考えます。また,地域づくり政策においても,いろいろな考え方が整理しやすくなるはずだというふうに考えます。
 そして,途中でも言いましたが,中学校で仮に問題があってもその先,いろいろ人生,問題や課題があるんですけれども,そういう場所があっても,話せる場として小学校,小学校区というのがあると思えることがどれだけ心の安定にとって重要かということを考えていただきたいなというふうに思います。しかしながら,答弁の中にもありましたが,現状においてはまだまだギャップがあるということですので,その点については,教育委員会だけで考えられる問題ではありませんから,やはり関係部局と調整も含めながら,丁寧に学校区の住民の方,また地域の住民の方と話し合っていただいて,枠組み,子供たちの愛着ということを踏まえて話し合っていただきたいなというふうに思います。
 最後になりますが,途中いろいろなことをお話しさせていただいておりますが,何よりも学校が子供たちの放課後の居場所になって,だれもが利用できるという考え方に,もう1つ重要な視点というのが私はあると思います。それは何かというと,学童保育というキーワードで考えれば,学童保育に行けない子供というふうなところを考えていただきたいと思います。行けないことの中には,経済的に行けないという子もいるでしょうし,物理的にもあるでしょうし,もう1つ問題なのは,そこにもしかしたら行かせてもらえない子がいるんじゃないかというところをやはりまちとして見ていかなければいけないというふうに思います。学校が,子供の居場所として開放される放課後の居場所になれば,行かせてもらえない子が,そこのところで学校を通じでフォローできるということが重要なことではないかと思います。
 これは,福祉行政ということではなくて,教育行政の中では非常に重要じゃないでしょうか。行かせてもらえない子は,恐らく家庭で学習といっても,かなり課題があるはずです。そのような子供たちをこういう形で拾い上げることができれば,救えることができれば,教育にとって非常に大きな課題だというふうに考えるわけです。
 ですから,冒頭にも言いましたが,鈴鹿市の教育において,これまでの考え,こちらの考え方を,答弁したものだけではなくて,全般的に愛着という言葉に関連するものがあります。ですから,ぜひ子供たちの愛着を育む,この観点を上乗せ,特出しするような形で,学校と地域との関係や学校内での子供の居場所,学校施設と子供たちの関係などについて,現在の取り組みというのを,急に見直してくださいというつもりは全くありませんから,PDCAサイクルの中で見直しながら,組み入れていただきたいなというふうに思うわけです。
 そのように,鈴鹿市が,子供たちの愛着ということも着目して取り組んでいますよというふうになれば,何が変わるかといえば,もう1つは,恐らく家庭での親と子供との関係での愛着というものはどうなんだろうというふうに変わっていくと思います。それは,副次的な効果として,やはり子供たちの成長の中で,家庭での愛着関係を育成するということも大事にしてもらえる,また学校の中,地域としてもやってもらえるということは,非常に鈴鹿に住むということにとっても意義が出てくると思いますので,ぜひその点を考えていただいて,前向きに取り組んでいただきたいと思います。
 最後に,ちょっと市長に感想だけ,一言,聞かせてください。お願いします。

○議長(後藤光雄君) 市長。
○市長(末松則子君) 愛着ということは,地域にとりましても,学校にとりましても大変大事なことだというふうに思っております。本市の宝であります子供たちを愛着を持って心豊かに育てていくということがこれから大切になってこようかと思いますので,いろいろな観点のところから,愛着というキーワードもしっかりと見詰め直させていただいて,教育委員会とともにやっていきたいというふうに思っておりますので,今後もよろしくお願いします。


○議長(後藤光雄君) 中西大輔議員。
            〔11番 中西大輔君登壇〕

○11番(中西大輔君) ありがとうございます。ぜひ教育委員会の課題としてではなくて,鈴鹿市全体の課題として,この議場にいらっしゃる皆さん,一緒に考えていただきたいと思います。
 以上で,私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○議長(後藤光雄君) これにて,中西大輔議員の質問を終了いたします。
 この際,暫時休憩いたします。再開は13時55分といたします。
          午 後  1 時 42 分 休 憩