2016年9月 「中小企業と起業支援について」 ○11番(中西大輔君) 議席番号11番,鈴鹿の風,中西大輔です。本日は,午前中ちょっと荒れた天気になりまして,昨年も一般質問のときに,同様にちょっと時間がずれたことを思い出して,何か縁でもあるのかなと思っていたんですけれども,本日,テーマを1つに絞って質問させていただきますので,よろしくお願いいたします。 本題に入る前に,ちょっとだけ苦言というか,鈴鹿市の皆さんの一般質問の取り組み,いろいろお聞きしていて,やっぱり行動に移るまで,先進的なものだと3年ぐらい動きが遅いかなというふうな部分があるので,やっぱりそのあたりのところというのは,部長の皆さん,しっかり考えていただきたいところかなと思います。 それでは,今回は中小企業と起業支援についてをテーマに,エコノミックガーデニングをという考えを産業政策のベースにしながら,支援体制について,起業を支援するふるさと投資についてという流れでお聞きしていきたいと思います。 話に入る前に,グローバル社会として,今まで空間的に拡大する中で世の中というのが広がってきました。経済もそのように広がってきたわけですけれども,今,膨らんできた状況というのが反転する時期に入っているのではないかというふうに私は考えております。果たして今後もこのように膨らみ続けることができるのかというふうに考えたときに,非常に疑問が起こるかなと。その動きというのが,例えば,イギリスのEUからの離脱にも関係しているのかもしれないし,今,アメリカの大統領選挙の中で,共和党,民主党それぞれTPP反対という形で話が出ておりますが,それらの動きの底流の中には,行き過ぎたグローバル経済に対する変化というものが見えているのではないかというふうに考えます。 その変化というのは,私たち身近な社会の持続可能性と世界とのつながりのバランスの中でどのようにしていくか,私たちが社会にどうかかわり,暮らしていくかという点が出ているのではないかなと思います。私自身は,成長という考え方を,量的な拡大から,やはり今は質の充実,向上というふうに重点を置いて社会をリサイズしていく,そのような転換点ではないかというふうに考えて思います。 このような中,鈴鹿市が持続可能な行政経営を行うには,当然のことですが,行財政改革で支出を抑制することや,政策の優先順位の精査ということが必要なものであることは間違いのないところです。ですが,やはり足腰の強い地域経済も必要であることは間違いのないところです。そのためにも,鈴鹿市は経済政策の軸を持つべきだというふうに私は考えます。 そこで,経済活性化と聞くと,今,どうしても輸出であるとか,そちらのほうに目が向きがちなんですけれども,実際のところは,いろんな企業さんというのは海外に生産拠点を移すということもあったりして,一概に輸出という切り口ではかれない部分があるのではないでしょうか。 また,もう1つの論点で人口減少ということがありますが,人口が減少していくといっても,急激に突然1億人を割るということではなくて,その坂道の下り方はいろいろあっても,やはり1億人程度のマーケットであるということは間違いのないことではないでしょうか。それなりに購買のあるマーケットが日本にはあるというふうに考えるべきです。 とすれば,今,鈴鹿市が着目すべきは,国内市場に目を向けて,中小企業の経済活動や多様な起業を支援していくことでしょう。それは,経済発展のプロセスに地域の人たちが積極的に参加し,生産面だけでなくて,社会的側面や文化的側面も発展させようとする取り組みである内発的発展だというふうに考えますし,あわせて地域内の連携を強くしていくことだというふうに考えます。 資料1,映写してください。 〔資料をスクリーンに示す〕 こちらの資料,2010年の経済産業省「日本の産業をめぐる現状と課題」からの引用です。資料全体の結論は別に置いといて,ここではドメスティック企業というふうに書かれているんですけれども,ドメスティック企業の付加価値を高めることが鍵だと書いてあります。このドメスティック企業は何かというと,ここでは中小企業のことになっております。この点,押さえていきたいと思います。 それでは,資料2の映写をお願いします。 〔資料をスクリーンに示す〕 その視点で,現在,経済産業省から提供されている経済分析システム,通称リーサスを活用して,津市,四日市市,松阪市,桑名市と鈴鹿市の事業所数を比較すると,2014年のデータですが,鈴鹿市の事業所数が約6,900に対して,津市は約1万1,400,四日市市は約1万3,600,松阪市は約8,100,桑名市は約6,100となっております。これを総人口で割り戻していくと,人口1人当たりの事業所数というのは,鈴鹿市は5市の中で5番目ということになってきます。 資料3,映写してください。 〔資料をスクリーンに示す〕 これを踏まえながら,この資料のほうでは,平成16年から平成26年までの各自治体の決算カードから法人市民税分を抜き出してグラフ化したものです。リーマン・ショック以降に注目していただくと,鈴鹿市は津市や四日市市よりも桑名市,松阪市に近い状況だとわかります。 ちなみに,四日市市は,平成26年の段階で法人市民税が1人当たり1万8,580円,津市が1万3,646円,鈴鹿市が1万153円,桑名市が9,803円,松阪市が8,953円というふうになっております。 〔資料の提示を終了〕 これらのことから,鈴鹿市には足腰の強い地域経済が必要だということははっきりしております。ですから,鈴鹿市は,事業所数をふやすことや事業所当たりの売り上げや雇用人数をふやすことを考えていくべきです。地域の力を上げていくことが必要だということですね。それには,やはり企業誘致ばかりではなく,今市内にある中小企業を育成したり,なりわいとして起業がふえるための政策をとっていく必要があるというふうに考えます。そのための軸となる経済政策の考えを持つべきです。 資料4,映写してください。 〔資料をスクリーンに示す〕 その軸となる考えですが,ここでは拓殖大学の山本尚史教授が提唱され,藤枝市や鳴門市などで取り組まれているエコノミックガーデニングだと私は考えます。今回は,先生の著書を参考に,引用もさせていただきながら話のほうを展開しております。 私も実際,山本先生と少し,いろいろお話をさせていただいたこともあって,やはりこの考え方というのは,これから必要じゃないかなということを感じさせていただきました。 このエコノミックガーデニングというのは何ぞやというふうなところで,例えて表現すると,鈴鹿市の地域経済を畑または庭と考えたとき,そこでの収量を上げたり,魅力的な庭とするにはどうするべきなのか。やはり水や肥料,草取りや耕すなどの手間が必要でしょう。それらの手間,つまり関係する政策が鈴鹿市はどのようなものかということを考えていくということですね。 ちなみに,この「エコノミックガーデニング」という本から引用させていただくと,肥料は,地元企業に必要なサポートを変動に合わせて適切かつ迅速に行うこと,肥料やりのことなんですけども,草取りは,地元企業が生産性を向上させ,効率性を追求できるようにサービスを提供すること,天候変化への用心として,単一企業に大きく依存するのではなく,多様な産業や企業を育成することとされています。 資料5,映写してください。 〔資料をスクリーンに示す〕 これは,もうさらっといきますが,エコノミックガーデニングのためには,ですから,今,方向性の1つとしては行政情報のオープンデータ化であるとか,オープンガバメントの推進,リーサスの活用,各種データベースの利用,行政GISシステムの活用などが考えられ,それらをもとに情報収集と分析を行って,その結果を提供していく,また時流を捉えたアドバイスを行える体制を鈴鹿市はつくるべきだというふうに考えます。 そこで,鈴鹿市はエコノミックガーデニングの考えを今後の産業政策の中に取り入れられるか,その点をお聞きしたいと思います。 〔資料の提示を終了〕 ○議長(後藤光雄君) 産業振興部長。 〔産業振興部長 内藤俊樹君登壇〕 ○産業振興部長(内藤俊樹君) 中西議員からの中小企業と起業支援についてのうち,エコノミックガーデニングについて答弁申し上げます。 エコノミックガーデニングとは,地域経済を庭に見立て,また,地元の中小企業をその庭にある植物に見立て,地域の中小企業を育てるために,土壌づくりや種まき,水やりなどの環境整備を継続的に進める考え方でございます。具体的には,行政や商工会議所,銀行など,産・学・官・住民・金融機関が連携しながら,地元の中小企業が活動しやすい環境をつくり,中小企業の情報発信への協力,事業継続への支援,中小企業と金融機関の連携など,企業の成長を促す施策を展開するというものです。この政策は,1990年代にアメリカ,コロラド州のリトルトン市が地域の中小企業支援のために取り組んだもので,15年間で,雇用が約2倍,市税収入が約3倍に増加したとの報告が2006年度版のアメリカ中小企業白書で紹介されています。 さて,本市における経済情勢は,現在,リーマン・ショックによる景気の落ち込みから脱却し,緩やかな回復基調となっておりますが,国が実施しております平成24年の経済センサス活動調査及び平成26年の経済センサス基礎調査によりますと,市内の会社数と個人事業所数を合算した企業数が,平成24年では4,823社であったのに対し,平成26年には4,520社に減少しておりますので,雇用の確保という観点から考えますと,現在,好調に推移しております雇用状況は,求人企業の減少により雇用の先細りも考えられ,地域経済の見通しは決して明るいものではありません。 このような現状を踏まえ,地域経済が持続的に発展していくためには,ものづくり産業を中心に,農業,商業,観光など産業全般の活性化が必要と考えております。そのために,本市では,産業集積の基盤整備と企業誘致の推進を中心に取り組んでいるところでございますが,一方で,中小企業の経営基盤強化にも取り組んでおり,それには雇用を生み出す源泉であり,地域経済を下支えする中小企業の振興が重要となってきます。 その中小企業の振興施策として,エコノミックガーデニングの考えを取り入れることができないかという議員の御質問でございますが,現在のところ,静岡県藤枝市や徳島県鳴門市など少数の自治体がエコノミックガーデニングに取り組み始めた状況であり,リトルトン市の事例にもあるように,どのような効果があるのか,長期的な視点で捉える必要があります。また,リトルトン市の事例は,現在,本市の置かれている状況と時代背景や産業構造など参考にできない点も多く,日本での実施に当たっては,日本独自の企業風土や地域の産業特性を考慮した実施方法が必要ではないかと考えております。 既に施策として取り入れている鳴門市を例にとりますと,鳴門市では,ビジネス拠点のようなハード面を整備する前に,まず,企業訪問をして市内中小企業の状況把握やネットワークづくりなどのソフト面の充実を図る形で土台づくりに取り組んでおり,また地域の関係機関で構成する中小企業支援ネットワーク会議を構築して,中小企業支援ネットワークづくりに取り組んでおります。 本市と鳴門市との違いは,本市の産業構造がものづくり産業を基盤としていることから,ものづくり産業を中心とした各産業分野に対する個々の支援体制をとっており,鳴門市のように,各産業を1つの拠点で支援していく体制ではないという点です。また,中小企業支援ネットワークにつきましては,本市では,SUZUKA産学官交流会を中心に産学官で連携した取り組みがなされており,鳴門市では,この枠組みにプラスして,住民,金融機関とも連携したネットワークづくりが行われている点でございます。 このように,本市が取り組んでおります中小企業支援に係る施策とは違いがございますが,エコノミックガーデニングという考え方に基づく施策がどのような効果を生み出すのか,鳴門市や藤枝市など,エコノミックガーデニングに取り組んでおります自治体の動向を注視しながら,中小企業振興に向け,リーサスなど各種データを活用いたしまして効果的な施策の立案に努めてまいりますので,御理解賜りますよう,よろしくお願いいたします。 以上でございます。 ○議長(後藤光雄君) 中西大輔議員。 〔11番 中西大輔君登壇〕 ○11番(中西大輔君) 答弁のほう,いろいろ説明いただきましたが,やはり中小企業の振興という部分は非常に大切だと思うんですけど,やっぱりなりわいを起こしていくという部分ですね,ここのところにもっと目を向けていただくようにしていただくべきかなと。また,冒頭の説明の中で産・学・官・住民・金融機関というふうにありましたが,官の部分にぜひ議会というものを入れていっていただくように考えていただきたいなというふうに思います。 また,この「エコノミックガーデニング」,私も読んでいるんですけど,ずっと言葉だけ読んでもわからないので,できれば山本教授を招いて,行政職員さんを中心にした勉強会を公開で行っていただいたらどうかというふうに思うんですけれども,その点はいかがでしょうか。 ○議長(後藤光雄君) 産業振興部長。 ○産業振興部長(内藤俊樹君) それでは,再度の御質問,中小企業の支援ということだけではなく,起業というところにもっと目を向けるべきではないかという御質問ですが,当然,本市といたしましても中小企業支援にとどまらず,昨年度から市独自の施策といたしまして創業支援,起業支援をさせていただいておりまして,成果として,今年度新しく創業される方も生まれてきております。今後とも,起業支援というところ,非常に重要だと思っておりますので,力を入れていきたいと思っております。 もう一方,産・学・官・住民・金融機関という考え方の中で,官の中に議会が入っていないのではないかということでございますが,本市といたしまして,官の中には当然,議会も入っているという考え方でございますので,よろしくお願いいたします。 御紹介いただきました山本教授のお話を聞くべきではないかというところでございますが,時期を見て,山本教授に一度お話を承りに出向きたいと思っておりますので,御理解を賜りたいと思います。 以上でございます。 ○議長(後藤光雄君) 中西大輔議員。 〔11番 中西大輔君登壇〕 ○11番(中西大輔君) 今の答弁のほうで期待させていただきます。 それでは,ここから具体的に2点提案して,鈴鹿市の考え方をお聞きしたいと思います。方向性は,中小企業と起業を支援する拠点の設置と起業支援の充実という点になります。 まず,支援拠点について,ものづくり産業支援センターが今あって,非常に充実した活動をされていることは,私も現場でよくお話も聞かせていただきまして,そちらはわかっているところなんですけれども,この施設が持つ機能を再編,再構成する考えで,「スズビズ」というものを設置してはどうかということをお聞きしたいと思います。 では,「スズビズ」というものはどういうところから来たのかということで,資料6を映写してください。 〔資料をスクリーンに示す〕 今求められているのは,企業がいかに稼ぐかという部分であって,また,新規事業を行う人がどれだけふえるかということだと思います。その中には,当然,これからのビジネスの中にはソーシャルビジネスやコミュニティビジネスのような展開も今後どんどんふえると予想されますし,また,ふえなければいけないのではないかなと思います。それらの支援のためには,市民の皆さんが相談しやすい仕組みづくりが求められています。その先進的な形が現在各地に広がりつつある取り組み,富士市産業支援センター,通称「エフビズ」に始まる動きです。エフビズというのは,国の施策にあるよろず相談所のモデルになっています。 この資料のほうに映写させていただいているのですが,この資料にいくまえに,まずこの7月に,実は岐阜県関市で「セキビズ」というのが立ち上がりました。その立ち上がりフォーラムを聞きに行かせていただいて,同じ週に,愛知県岡崎市で行われている「オカビズ」のほうを視察させていただきました。 資料のほうで,一番右のほうででかく写っているのが私なんですけど,左端に写っているのは所長の秋元さんという方なんですけれども,取り組みや現状をお聞きしているところです。まさに今,ここでお話をさせていただいている状況がオカビズでの相談の場になっているわけなんですけれども,図書館の中にあるような形になっていますが,オカビズでは,1回1時間無料で相談事業をしているということです。実際,この写真に写っている視察の際にも,小さくて見えないんですけど,相談者の方々というのはたくさんいらっしゃって,子供さんを連れた女性の方も相談に訪れていることを見ていると,やはり,オカビズの事業というのが岡崎市の中で広がっているということを実感させていただきました。 ですから,鈴鹿市としては,やはり富士市や岡崎市の動きを捉えて,できれば連携しながら,ビジネス支援拠点としての「スズビズ」を設置すべきではないかというふうに考えますが,見解のほうをお聞きしたいと思います。 〔資料の提示を終了〕 ○議長(後藤光雄君) 産業振興部参事。 ○産業振興部参事(望月広志君) 私からは,中小企業と起業支援についての「スズビズ」設置について答弁申し上げます。 ビズとは,ビジネスの略称で,近年,静岡県富士市における富士市産業支援センター「エフビズ」を皮切りとして,全国各地に設立が続く産業支援拠点の名称として用いられております。 現在,本市の中小製造企業の産業支援の1つといたしましては,鈴鹿市ものづくり産業支援センターを拠点として,企業の課題解決に向けてさまざまな支援策を実施いたしております。本センターの設置の経緯につきましては,地域産業の基盤である中小製造業の技術力や経営力の向上を図り,企業視点に立った相談窓口の設置という観点に立ち,企業からの相談を待つのではなく,こちらから企業に出向いて現場の声を直接聞き,課題の解決を図るという意味を込めて,平成18年4月にものづくり動く支援室を発足し,さらに維持発展させまして,平成22年10月に鈴鹿市ものづくり産業支援センターを設置いたしました。 本センターでは,平成28年8月末現在,38名の企業OBの方々を専門アドバイザーとして委嘱し,市内中小製造企業が抱える技術的や経営上の課題解決,ものづくり人材育成,企業間でのマッチングの仲立ち,他の連携機関への橋渡しなど,企業OBの知識や経験を活用したさまざまな企業支援を行っております。また,本センターの窓口だけではなく,専門アドバイザーが直接企業を訪問し,現場を拝見させていただいた上での課題の聞き取り,各種講演会やセミナー,補助金の情報提供など,フットワークを生かした巡回訪問活動も行っており,平成27年度には295社,773件の企業訪問を行っております。また,中小製造企業が抱える技術的や経営上の課題解決に向けて,企業から支援申請がある場合に専門アドバイザーを派遣する現場支援の件数は,平成27年度は124件であり,課題解決に際して,多くの企業の方に本センターを御活用いただいております。 一方,本センターでは対応が困難な相談,例えば,資金調達や創業支援等につきましては,鈴鹿商工会議所,金融機関,また高度な技術や試験研究等につきましては,鈴鹿工業高等専門学校,公益財団法人三重県産業支援センター,三重県工業研究所などを紹介させていただくなど,他の連携機関と密接に連携することで,企業の課題の解決を図っております。 議員御指摘のとおり,前述の富士市産業支援センター「エフビズ」を初めとして,愛知県岡崎市の「オカビズ」といった産業支援拠点の設立が続いており,先日も岐阜県関市の「セキビズ」が設立されたことにより,関市ビジネスサポートセンター開設記念シンポジウムを聴講し,現地を視察してまいりました。 こういった産業支援拠点は,事業者の相談機会の充実と支援機能の強化を図ることを目的として設置されております。中でも,岡崎市のオカビズにおきましては,中小企業の経営診断の専門家や金融機関,デザインや情報技術の専門家などが無料で相談を受け,課題の解決に向けたアドバイスを行っております。オカビズは図書館の交流プラザを拠点として活動しており,立ち寄りやすい場所であり,気軽に相談ができることから,多くの相談者から高い評価を得ているとお聞きしております。 また,国におきましても,全国に設置する経営相談所として,中小企業,小規模事業者の売り上げ拡大,経営改善などの相談に対応する三重県よろず支援拠点が,前述の公益財団法人三重県産業支援センター内に,平成26年6月より開設され,地域の自治体や商工会議所,金融機関等の組織と連携した支援を行っております。こうした状況を踏まえて,本市の産業支援といたしましては,鈴鹿市ものづくり産業支援センターを拠点として,中小企業者の身近な相談窓口である鈴鹿商工会議所や三重県産業支援センター,三重県よろず支援拠点と連携を図ってまいります。 今後の企業支援のあり方につきましては,企業からの要望が多く,好評である技術的な支援や人材育成支援は,企業の現場に直接出向いて現場の声を聞き,課題の解決を図る手法での企業支援を図ってまいります。 一方,センターでは,現在のところ支援対応が難しい企業の販路拡大,情報発信,新商品・新サービスの開発,創業,資金調達等の企業支援につきましては,気軽に相談しやすい拠点である,いわゆるビズ形式の企業支援のメリットやデメリットについて調査研究してまいりたいと考えておりますので,御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。 ○議長(後藤光雄君) 中西大輔議員。 〔11番 中西大輔君登壇〕 ○11番(中西大輔君) 今,答弁いただいたわけですけれども,やはりそこの中で見えてこない部分というのが,農林水産業というのが鈴鹿市の産業の中で外せない部分で,そのあたりのところをどうビジネスとつなげていくのかという部分が,今の体制では見えないということが聞き取れたかと。もう1つは,やっぱり先ほどの事業所数がありましたが,その中というのは,やはり飲食店などの存在は大きいはずで,その部分も見えてこないので,やはり市内の産業連関,当然,1つの飲食店があれば,そこの内装をつくる会社もあるし,食品を納入する会社もあると。やっぱり1つできれば,そういうふうに産業が連関していく。その点を考えていただくべきかなというふうに思います。 また,よろず支援相談所のことを言っていただきましたが,そもそもよろず支援拠点事業がエフビズをモデルにしているということですので,やはり現地,岡崎市にしても,富士市にしてもそんなに遠いわけじゃないですから,やはり行っていただくべきじゃないかなと思います。 私も岡崎市に視察へ行かせていただいたときに対応いただいた職員さんが言っていたんですけども,ふだんは行政職員さんが対応していて,なかなかセンター長さんの話を聞くことができなくて,自分自身も非常に興味深かったですというふうな言葉もいただいたんですけれども,やはりそのような方々が持っている人的なネットワーク──これはオカビズの報告書なんですけど,ここのセミナーのところを見ていただくと,坪田信貴さん,「ビリギャル」の方であるとか,藻谷さんとか,いろいろこういうふうな人的なネットワークをつないでいくということも,非常に重要な,ビジネスにとっては大事なことかなと思いますので,やはり一番近い岡崎市の取り組み,行っていただいて,現地を見ていただくべきかなと思います。 それでは,ちょっと時間も詰まってきていますので,3つ目の観点のほうに移りたいと思いますが,やはり何か私でも,議員だけなんですけど,ここでやっぱり自分の生活を考えていくと,何か自分で仕事というか,事業を起こすというか,そういうことを考えていくという部分もどうしても意識していくわけですね。そうなってくると,資金調達をどうしようかと。事業を起こすに当たって,いきなり全額集められるわけじゃないので,資金調達をしながらやっていく方法は何だろうかというふうに考えるわけですけれども,その課題にどのような支援があるのかということを鈴鹿市は考えていくべきではないかということが論点になります。 現在,資金調達については,やはりインターネットを通した小口投資であるクラウドファンディングというのが外せない時代に入っているのは間違いのないところだと思います。このクラウドファンディング自体が2014年の金融商品取引法の改正で対象が拡大したことによって,現在,金銭的見返りを求めない寄附型と購入型,金銭的見返りを求める貸付型とファンド型,そして株式型というものが存在することになっております。 鈴鹿市としては,それらに加えて,金融機関と連携した小口投資というものを検討してよいのではないかと思います。 資料7,映写してください。 〔資料をスクリーンに示す〕 そこで,関係するものはないかなというふうに調べたところ,ことしの資料になってくるんですけれども,内閣府のほうで,ふるさと投資という制度が検討されていました。今ちょっと細かいところまで詰めていませんが,このふるさと投資というのは,地域活性化に資する取り組みを支えるさまざまな事業に対するクラウドファンディング等の手法を用いた小口投資とされており,自治体の効果的な取り組みとしてクラウドファンディングサイトの活用と窓口顧客に対しての販売が上げられています。さきに述べたオカビズでも,このクラウドファンディングの支援を行っているということでした。やっぱり一般の方がいきなりクラウドファンディングをやっても難しいので,ここのところをサポートするためにIT関係の方がいたりするということもおっしゃられていました。そういうことをやっていれば,逆にこのようなサイトからも連携の話が持ちかけられているということをお聞きしました。 小口投資ということを考えると,小規模のまちの再開発なども視野に入るかもしれないというふうに考えるところですが,鈴鹿市は,ふるさと投資に取り組み,補助金という形だけではなくて,起業に対してより広い支援を考えるべきではないかというふうに考えますが,見解をお聞きしたいと思います。 〔資料の提示を終了〕 ○議長(後藤光雄君) 産業振興部長。 ○産業振興部長(内藤俊樹君) それでは,ふるさと投資について答弁申し上げます。 ふるさと投資とは,中小企業や起業者が製品・サービスの開発もしくはアイデアの実現などの目的達成のために,インターネットを通じて不特定多数の人から資金の出資や協力を募るクラウドファンディングという手法,及び金融機関での預金,証券などに対する窓口顧客への対面販売により投資金額の少ない小口投資を呼びかけ,地域に根づいた事業,地域を元気にする事業を応援したいと考えている出資者から,事業資金を調達するというものでございます。 クラウドファンディングや対面販売による資金調達を前提としたふるさと投資については,地域に根差し,地域をよく知る行政や金融機関等との連携を重視しており,行政と金融機関が連携して,ふるさと投資の普及促進のための情報発信やサポート等を実施することにより,出資者にとってわかりやすく身近なものにしていくことが求められております。また,ふるさと投資により,各事業者が行います事業を通して地方と都市がつながることによって,潜在的な地域資源を掘り起こし,事業拡大,雇用の拡大,地方への移住といった効果が生まれ,特色ある地域経済が活性化するという好循環が期待されております。 中小企業及び起業者の支援にふるさと投資を活用してはどうかという議員の御提案でございますが,まず,現在の主な支援施策について簡単に御説明申し上げます。 現在,本市における中小企業に対する支援でございますが,鈴鹿商工会議所,日本政策金融公庫,三重県信用保証協会と連携いたしまして,創業支援事業「鈴鹿創造フロンティアサポート」を実施しております。これは,鈴鹿商工会議所が主催する創業塾を受講して,必要単位を取得した起業者に対して,本市が特定創業支援事業として証明書を発行することで,起業者が株式会社を設立する際の登記に係る登録免許税が半額に軽減され,また,創業関連保証の枠が1,000万円から1,500万円に拡充されるものでございます。 また,新製品の開発や販路拡大を目的に,地域資源を活用して起業を考える方については,毎年3月に募集しておりますメイド・インSUZUKA応援補助金の申請が可能となっております。そのほか,本市では,創業・起業者の掘り起こしや創業準備にかかる支援を目的に,昨年度より目指せ起業家応援事業を実施し,創業支援セミナーの開催や個別相談会の開催に取り組んでおります。 このように,さまざまな支援制度がある中で,中小企業及び起業者に対する融資については,融資実行に至るまでのハードルが高いため,インターネットを活用したクラウドファンディングという新たな資金調達方法が注目されております。クラウドファンディングや対面販売といった小口投資を活用したふるさと投資は,中小企業や起業者にとって資金調達の幅が広がり,事業活動や起業することが容易になるという点がございます。 本市といたしましては,ふるさと投資の普及に向けた周知,情報発信などでかかわっていくことにより,制度の認知度が上がるとは考えておりますが,投資というリスクも想定されるものであり,行政としてのかかわり方については,先進市の事例を参考に調査研究してまいりたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。 以上でございます。 ○議長(後藤光雄君) 中西大輔議員。 〔11番 中西大輔君登壇〕 ○11番(中西大輔君) 説明ありがとうございます。先進で言うと,多分,福井県鯖江市が多分,クラウドファンディングに取り組んでいるんじゃないかなというふうに思いますし,そのあたりのところはやっぱりしっかり取り組んでいっていただく部分かなというふうに思います。 それで,クラウドファンディングに関してなんですけれども,リスクというところは当然あるんですけども,私などでも,例えば,白子のあたりで市内産や県内産の材料にこだわった料理と県内の日本酒や地ビールなどをそろえた飲食店の開業を考えていますというのが,自治体を通したメニューとしてクラウドファンディングがあれば,それに購入型として少額でも投資をして,例えば,5%の割引がもらえるというんだったら,そういうことをやってみたいなと。大きなお金はできませんが,そういうふうなものがまちの中にできれば,まちが活性化するんだったら,それに投資したい,これが多分,これから求められてくるクラウドファンディングじゃないかなと思いますので,しっかり考えていただきたいなというふうに思います。 それと,もう1つ,やっぱり起業する部分で,今たくさんのメニューを言っていただいたんですけども,それをどうやって使っていくかというのは,なかなか一般の方にはわかりにくい。だからこそ入り口で整理してもらえるようなビズみたいな場所があると,よりわかりやすいのかなと。それで,必要であれば商工会議所のメニューを活用してもらう,必要であれば行政のメニューを活用してもらうというふうなことでやっていくことが鈴鹿市の起業をふやしていくことにつながるのかなというふうに思います。 まとめのほうの話に入っていくわけですけれども,地域の活性化,よく言われるように,よそ者,若者,ばか者の活力が重要というふうによく言われるわけですよね。何より今回,鈴鹿の風で,実は雲南市を地域自治のほうで視察させていただいたんですけれども,やっぱりそういう方々を受け入れる下地というのが非常に大事だなというのを実感させていただきました。 例えば,今回の質問で言えば,よそ者の部分はやはりビズの所長さんみたいな立場の人が,鈴鹿ということばかりではなくて,広く情報を集めて,よそ者の視点でアドバイスをしてもらえる。若者の部分は,何よりやっぱり行政のほうからまず率先して,若い職員さんが政策にかかわっていくようにする。突拍子もないようなことを言ったり,発想や行動をしたりする──これ,言葉は悪くなってしまいますが,ばか者と言われる人たちが動きやすい仕組みの整理や整備に取り組むことが鈴鹿市に必要だというふうに考えるわけです。 まとめのほうになってきますが,今までのところで,今回の質問をいろいろやりとりしていますが,末松市長の感想をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。 ○議長(後藤光雄君) 市長。 ○市長(末松則子君) それでは,中西議員の御質問に答弁を申し上げます。 中小企業支援と起業支援についてでございますが,本市が持続的に発展していくためにも,また地域経済の活性化,地域資源の活用というものは大変重要な政策であると考えております。 議員御提案の総合窓口であります「スズビズ」の設置など,エコノミックガーデニングに基づく考え方につきましては,中小企業支援の1つであると理解をしておりまして,その理念は大変大切であると考えております。 今後,先進地で取り組まれている施策の動向に注視してまいりたいと思っておりますので,またいろいろ御提案をいただければというふうに思いますし,そのように取り組んでまいりたいと考えておりますので,よろしくお願いを申し上げます。 ○議長(後藤光雄君) 中西大輔議員。 〔11番 中西大輔君登壇〕 ○11番(中西大輔君) ぜひ接点を持っていただいて,制度じゃなくて,やはりこれは人が動かしている部分が大きいと思いますので,人との接点──何度か言っておりますが,やっぱり実際に行っていただいて,その方と触れ合うことで,多分,そこにいた職員さんも変わることができるかもしれない。逆にお招きして話を聞くことで,職員の皆さんの中で1人でも2人でも違う感覚があるんだということが鈴鹿市政を変えていくことにつながっていくのではないかなと思いますし,ひいては中小企業の活性化,経済の活性化にもなると思います。 残りちょっとだけあるので,もしかしての部分なんですけれども,こういうことをやっていこうと思うと,やはり設置のための理由づけであったりとか,こういうものをなぜやっていくのかという理由づけのためには,条例というものが考えられるわけですね。私自身は,市民として条例づくりにかかわったのと,議員としても条例づくりにかかわったことがあって,必ずしも条例が必要とは思っていません。なぜかというと,今,2期以上の方々は,鈴鹿市の中小企業,地域内の産業をしっかりしようじゃないかという意思を皆さん,お持ちになられている。こういうふうなことをしっかり鈴鹿市の行政の皆さんに持っていただくことで,鈴鹿市の地域経済が活性化していくというふうに考えております。そういう意味で言えば,私は必ず必要とは思わないまでも,行政としてそのようなこと,エコノミックガーデニングの考え方も含めて,しっかり考えていくという部分の検討をしていただけるかどうか,お聞きしたいと思います。お願いします。 ○議長(後藤光雄君) 産業振興部長。 ○産業振興部長(内藤俊樹君) では,再度の御質問で,理念条例としての産業振興条例の制定の考え方というところでお答えさせていただきたいと思います。 振興条例につきましては,昨年の12月定例会において明石議員からも御質問いただいております。その後,先進で条例を制定いたしております18の自治体に対して調査をさせていただきました。その調査結果といたしましては,ほとんどの自治体がやっぱり理念条例というところにとどまっております。その効果ないし内容については,中小企業振興のための審議会の設置や条例に基づく基本計画の策定といったところでございまして,なかなか明確に結果というところがアンケート上では見えてきておりません。 中小企業の活性化のためには,当然ながら中小企業の創業支援というところは重要だと考えております。その考え方に基づいて,条例制定というところで,果たして理念条例だけでいいのかどうかも含めながら,既存の工業振興条例などの振興的な条例もございますので,その見直しで対応できるのかどうかも含めながら,今後,幅広く検討してまいりたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。 ○議長(後藤光雄君) 中西大輔議員。 〔11番 中西大輔君登壇〕 ○11番(中西大輔君) 今回の質問の本題としては,やはり「スズビズ」のような,実際に動く,実際に相談ができるというところを一日も早く検討していただきたい,実際に取り組んでいただきたい。3年待つんじゃなくて,今できることは動き出して,1年半,1年ぐらいでできるように頑張っていただきたいということですので,その部分は伝わったというふうに判断させていただいて,私の一般質問を終わらせていただきます。 ○議長(後藤光雄君) これにて,中西大輔議員の質問を終了いたします。 この際,暫時休憩いたします。再開は13時55分といたします。 午 後 1 時 42 分 休 憩 |