2017年3月 代表質問@ 「市長の社会情勢の認識を問う」 (1) 施政方針と予算の考え方について、それらは市長の社会情勢に対する認識の上にあるものと考えるが、市長は大局的に社会をどう考えているのか、その点の認識を問う ○11番(中西大輔君) 議席11番,中西大輔です。鈴鹿の風を代表して質問いたします。 鈴鹿の風では,会派として各種研修にも参加しておりますし,また,会派として財政健全化条例で和光市,公共施設やインフラのマネジメントで習志野市や府中市,地域づくりの部分で雲南市や川西市といった先進市で学ばせていただき,また,それぞれのメンバーも各種研修などに参加しながら研さんを積み重ねております。 その上で,私も10年目の節目,初めてこの代表質問の場に立つわけですが,末松市長には,この10年の積み重ねを背景に,3項目について,いつもと変わらず是々非々でお聞きします。 今回大きなことを聞くんですけれども,私自身も自分で子供たちのバレーの試合とか見ていますが,やはり,戦おうと思った場合には,相手,自分たち,その状況をきちんと把握した上で,どのような戦略を立てるのか,その上で采配も的確にしなければ結果に結びつかない,そのような難しさがあります。それは市政運営においても同じではないでしょうか。そのような思いがあります。 そして,本論に入る前にもう1つなんですけれども,私たち,この政治に携わる者で大事なことは,やはり,ゆでガエルにならないということですね。鍋の中のことばかりにとらわれて,熱くなってから騒ぎ出して,それでどうしようもなくなって,そのままゆだってしまうようなことではなく,やはり,鍋の外から鍋の中を見る視点を持って,リスクに対処していかなければいけません。何よりも,オタマジャクシ──子供たちですけれども──は,声を上げられません。そのまま,ゆだってはいけないという視点が大事です。 そこで,施政方針と予算の考え方について,これらは基本的に市長の社会情勢に対する認識の上にあると考えるところです。 そこで,20年後,20年先の社会に向けて,市長の大局的な観点はどのようなものかということをお聞きしたいのですが,これはやはり,私たち,市長と私は同世代ですから,市長も含め,この私たちの年代以降というのは,そこまでを意識して政治に取り組むべき世代,つまり責任世代という意識でお聞きしたいと思います。 大きな流れでいうと,海外ではイギリスがEUから離脱を決め,アメリカではアメリカファーストといわれる大統領となり,その動きの中で保護主義が台頭してきたと言われたりします。グローバル化の中でローカルへの見直しが広がっているのではないかと私は考えておりますが,この中で恐らく経済システムの見直しということも入ってくるのではないでしょうか。 グローバルに考え,ローカルに行動する。鈴鹿市として,ローカル,身近な地域への取り組みがより重要になってくる,こういう時代に入っていると考えます。市長の将来への展望をお聞きしたいと思います。 今後の社会予想について,今の人口規模を維持しつつ,できれば人口拡大を目指すには,出生増による自然増,もしくは,移住による社会増が必要です。その両者を合わせるという考え方もあるとは思いますが,しかし,自然増で人口をふやすといっても,そこでふえてきた,生まれてきた子供たちが実際に働き出すまでにどれぐらいかかるかと考えれば,今最短で考えても20年先ではないでしょうか。最短でも中学校卒業,今は大学卒ということが求められれば,20年近くはこの人口減少による影響というものがあると考えるべきです。また社会増については,ほかの地域から鈴鹿に移住していただくということを考えれば,当然,その人口が流出した先の自治体にとっては大きな課題になってきます。 ですから,こうした人口減少の世の中というのは,私は拡大志向ということではなく,やはり内側の魅力を濃縮していくという形で,社会の寸法直しをする時期だというふうに考えます。 市長は,施政方針の中で,持続的な都市としての発展が可能になると述べられておりましたが,人口減少下では,「発展」と表現するよりも,「成熟」と表現するほうが妥当ではないでしょうか。「発展」とした市長の意図について,考えをお聞きしたいと思います。 安全・安心にかかわる点について,想定される巨大地震への備えは,これはもちろんのこととして,今大きな課題となっているのは,やはり20年後,その先,将来世代のことを考えれば,気候変動期と捉えられる現在,災害対応だけでなく,広範な領域で気候変動への適応を行うことが,鈴鹿市にとって非常に重要な課題ではないでしょうか。既に国も動いている中,市は,行政は今できることから主体的に取り組むべきだと考えますが,市長の考えをお聞きしたいと思います。 産業について,今ある6割の仕事はなくなるかもしれないと言われております。実際,インダストリー4.0という動きがありまして,第4次産業革命と言われる動きが今動きつつあります。また,物のインターネットと言われるIoT技術も急速に進み,間違いなく大きく産業構造が転換していく時期に今立っていると考えられます。市長の考えと,その上で,施政方針での基盤整備という表現がありましたので,どのようなことを想定しているのかお聞きしたいと思います。 子ども政策部の設置から1年が経過し,施政方針の中でも多々触れられております。答弁の中にも出ておりますが。しかし,その軸となる考えについて,いま一つ定まっていないように感じました。経済的困窮による貧困だけでなく,育児放棄や,今,毒親と呼ばれる過干渉な親による児童虐待などの課題があります。 そのようなことを考え合わせれば,子供の育ちを支えるという視点で,負の社会的相続を断ち切るという考えをやはり明確にしていくべきではないでしょうか。その上に,保護者の皆さんの困り事への支援,子育て支援策も充実すべきだと考えます。市長はどのような考えと行動で,子供の課題に取り組むのかお聞きしたいと思います。 ○議長(後藤光雄君) 市長。 〔市長 末松則子君登壇〕 ○市長(末松則子君) それでは,鈴鹿の風を代表されました中西大輔議員の御質問に,答弁を申し上げます。 私の社会情勢に関する認識についてでございますが,まず初めに,国際情勢の変化に伴う市政への影響についての認識について答弁を申し上げます。 アメリカ合衆国新政権発足に伴う政策転換の方向性については,自動車産業を基幹産業としております本市にとりましても,影響を及ぼす可能性があり,その動向を注視をしているところでございます。 また,アジアに目を向けますと,特に,中国経済が緩やかな減速傾向にあると言われている中で,販売網やサプライチェーンなどの事業活動の一部において,中国と関係の深い市内企業への影響も懸念をされますことから,本市の経済活動に対しても,さまざまな影響を及ぼしてくる可能性があると考えております。 このように,経済情勢を初めとする外部環境分析については,今後,特に重要であると捉えており,積極的な情報収集と情報共有を行う必要性を強く意識をしながら,政策形成を図っていきたいと考えております。 次に,人口減少に関する認識については,自然増による効果は,議員御指摘のとおり,短期間にあらわれにくいことは認識いたしておりますが,自然増を図ることは,人口減少社会への最も根幹的な対策であると考えております。 社会動態については,当面,高齢化が継続的に進展する中,特に,生産年齢人口を確保する必要があることから,社会増を図ることが喫緊の課題であり,重点的に取り組んでいかなければならない施策と捉えております。 また,「みんなで築く未来の鈴鹿」の中で,「発展」と表現した意図でございますが,本市の現状や特性を認識した上で,まちづくりや市政運営の仕組みをどのように改善し,構築をしていくかという視点から,私は市民力と行政力の向上を図り,本市に適した仕組みづくりを進めることを持続的な都市としての発展と捉えております。 このようなことから,人口減少社会に対応するための本市の取り組みの方向性をまとめております,鈴鹿市まち・ひと・しごと創生総合戦略に沿って,自然増及び社会増の両面から今後も対策を進めてまいりたいと考えております。 次に,気候変動への適応についてでございますが,平成28年3月に三重県は,県における温暖化の現在の状況と,将来予測される影響を中心に取りまとめた報告書「三重県の気候変動影響と適応のあり方について」を作成し,この報告書をもとに県における適応策の検討を進めるとのことでございます。 本市におきましても県の適応策の進捗状況を注視し,国の計画策定ガイドラインや,三重県の報告書を活用して,関係部局で綿密な連携体制をもって対応してまいります。 次に,将来的な産業政策の認識についてでございますが,昨年4月に,国は,工場を中心にインターネットを通じて物やサービスが連携をすることで,新しい価値やビジネスモデルの創出を目指した,産学官共同による取り組み,いわゆるインダストリー4.0について,民間や研究開発機関の間で連携を強化していくことといたしました。 こうした今後の製造業のビジネスのあり方の大きな変革は,従来の生産方式により,これまで国際競争を戦ってきた企業や産業が短期間のうちに競争力を失う事態や,高い付加価値を生んできた熟練人材の知識・技能が必要なくなるおそれがございます。 ものづくりのまちである本市としましても,製造業全体の競争力を維持・強化する観点から,今後こうした動きを注視し,企業が直面する経営課題に対して,これまで以上にきめ細かい企業支援を行う体制づくりが必要であると考えております。 次に,本市の宝でもあります子供の施策についてでございますが,本市の子供や子育て家庭を取り巻く環境は,地域とのかかわりが希薄な家庭が増加していることや,ライフスタイルの多様化,保護者の働き方の変化により,年々変容しており,子育てや子供の育ちに不安を抱える保護者の増加や,家庭での保育から保育所等の施設での保育へニーズが変化してきております。 ひとり親家庭の増加,経済的な困難を原因とする子供の育ちへの課題,児童虐待相談対応件数の増加,集団行動に困難を抱える子供の増加など,課題を抱えた家庭や子供たちへのタイムリーな支援が必要となってきています。 これらの子供や子育て家庭が抱える課題に寄り添い,安心して子育て,子育ちができるよう,保育所や放課後児童クラブなど保育環境の整備,ひとり親家庭への自立支援事業や学習支援事業のほか,集団適応健診事業の拡大と健診後のフォローにも取り組んでまいります。 また,社会のあらゆる分野における構成員が,子ども・子育て支援について,それぞれの役割を果たし,協働するとともに,身近な地域で子供や子育てを見守り,支え合うことができるような仕組みをつくり,社会全体で子供や子育てを支援することが必要であると考えております。 このようなことから,子育て支援については,子ども政策部のみならず,教育委員会や健康福祉部などとも連携してしっかりと取り組んでいく中で,「子どもの未来を創り 豊かな文化を育むまち すずか」を実現をしてまいりたいと考えております。 以上でございます。 |