2018年 3月(代表質問A)
A「財政に対する考えを問う」

 (1) 財政が厳しいと言われるが、財政調整基金を大きく取り崩す前提で予算編成がされているなど、財政規律に対して緩みがあるのではないか、その点を問う。

○11番(中西大輔君) それでは,大項目2つ目をお聞きしたいと思います。昨年もお聞きしていますが,財政に対する市長の考え方をお聞きしたいと思います。

 国の財政運営というのは,現在,赤字国債の発行を前提にして,基礎的財政収支,プライマリーバランスの黒字化というのが先送りされている状況です。
 三重県財政も決して安穏とできる状況ではなくて,基金の想定外の取り崩しであったり,また政策的経費が大きく削られているなど,非常に厳しい状態ではないでしょうか。
 個人的には,このようなことについては,執行部だけではなく,議会,国会であったり,県議会であったり,そういうところの責任もあるというふうに考えるところです。
 市長は,このような状況というものを,どのように考えられているのかということをお聞かせいただきたいと思います。

 このような財政に関して,これからを考えるときに参考になるというふうに考える文献があります。それは,つい最近ですけども,PHP総研のほうで「変える力」特集ナンバー43というのがありまして,そこで「次世代への負担の先送りを止められないのはなぜか」という対談があったわけですね。ここでは,世代会計というものを軸に話が展開されています。
 この中,中部圏社会経済研究所主席研究員の島澤氏の発言に,今の世代とまだ生まれていない世代の格差を考えなければいけない,格差は今生きている世代が,高齢世代も若い世代も結託して将来に負担を先送りしている結果という趣旨の部分があります。また,法政大学教授の小黒氏が,今の人口増加を前提とした社会システムではもう無理だということを,社会全体できっちり認識していかなければいけませんというふうにも述べられております。このような視点を持ちながら,将来世代にツケを回さない,そのような意識で市政運営に取り組んでいかなければいけないのではないでしょうか。

 施政方針での平成30年度の予算編成に対する基本的な考え方では,厳しい財政状況の中でも財源確保や受益者負担の見直しに努め,財政の健全化に配慮しつつ,中長期的な視点から,将来に向けて積極的な予算編成を行ったとあります。しかし,使うほうの話がほとんどであり,歳出に対する見直しの観点が見られないのではないかと疑問を持ちました。

 配付されている予算資料からは,一般会計当初予算額というのが,この10年間ぐらいの間ですが,ほぼ右肩上がりの状況でふえています。逆に,各種積立金や基金については右肩下がりに減少ということが,そこから見ることができます。その中,積極的な予算編成という表現は果たして妥当なものかということを考えると,支出しないといけないものがふえる中で,施策を整理して支出を減らせない結果,総額がふえているとすれば,それは到底,積極的と言えないのではないかというふうに考えます。

 また,前年に引き続き,大きく財政調整基金からお金を繰り入れることを前提に予算が編成されていることも含めて,財政規律に緩みがあるのではないかというふうに危惧しています。持続可能な地域経営を行うには,政策の選択を行うに当たって何かを縮小する,もしくは仕分ける必要があるということを,市長から市民の皆さんに提示するべきではないかと思います。

 この1月,総務省から都道府県などに事務連絡された平成30年度の地方財政の見通し・予算編成上の留意事項等で,国では,引き続き歳出全般にわたり聖域なき徹底した見直しを推進するから,地方も同じようにするべきということが挙げられています。
 その中,予算編成上の留意事項で,簡素で効率的な行財政システムの構築,行財政運営についての透明性を高め公共サービスの質の向上に努めること,財政状況についてより精緻な情報開示を行い議会や住民に対し説明責任を適切に行うこと,基金の適正な管理・運営に努めること,決算の早期開示,住民一人当たりコストや地方公会計の整備により得られる指標の公表,財政状況資料集等の活用による住民へのわかりやすい情報開示などが示されています。鈴鹿市として,これらにどう取り組んでいくのでしょうか。

 また,人口減少により税収の減少圧力が続くことも容易に予想されます。そのような中での行政サービスというものは,多様な主体や関係者を考え,優先順位づけの上に選択し,決定すべきです。それなくして,目先の政策実現に目をとられ,財政調整基金を取り崩して政策を進めることや,返済を担っていく人口が減少していく中,現在の世代が過度に起債を膨らませることは,つまるところ,将来世代の財産を食い潰しているということではないでしようか。

 また,市の行政運営というものは,総合計画であったり,都市マスタープランなどの計画に沿って,計画期間の展望の上に市政と財政の運営を行うことも当然のことと考えるところです。

 財政について,市長はどのような考えをお持ちでしょうか。現在のような財政運営が持続可能と考えていらっしゃるのでしょうか。お聞かせいただきたいと思います。
 また,総務省の事務連絡で述べられているとおり,昨年もお聞きしましたが,市の財政や行政コスト情報の開示について,シチズンシップ教育の観点からも中学生でもわかるべきで,公開すべきと考えます。市長の財政に対する考え方をお聞きします。


○議長(野間芳実君) 市長。
               〔市長 末松則子君登壇〕
○市長(末松則子君) それでは,財政に対する考え方についての御質問に答弁申し上げます。
 まず,国及び三重県の財政についても大変厳しい状況と認識しておりますが,そのような背景の中,本市におきましても,より一層の財源確保や徹底した事業見直しによる歳出削減に努め,健全な財政を維持していかなければならないと考えております。

 平成30年度は,総合計画2023の前期の成果を検証し,後期基本計画につなげる重要な年度となります。このような認識のもと,総合計画2023を着実に推進していくため,総合計画の進捗状況や行政評価の結果等をしっかりと反映させ,平成30年度の予算編成を行ったところでございます。
 歳入においては,市税等に頼るだけでなく,受益者負担の見直し,すずか応援寄附金等の税外収入など,多様な財源の確保を図っております。

 一方,歳出においては,経常的事業につきまして,補助金等の見直しに着手するほか,全ての事務事業について,やり方の改善,やることの改善の視点で見直しを行うとともに,政策的事業につきましては,既に政策決定がなされている事務事業についても,再度,事業内容の精査,コスト削減の検討を行い,事業選択等の政策協議を重ねながら予算編成を行っております。

 平成30年度におきましては,子ども・子育て支援や障害者の自立支援など,社会保障関係のニーズにお応えしながら,平成29年度から本格実施しております清掃センターの改修対策事業に加え,AGF鈴鹿体育館の大規模改修事業や西条保育所の移転新築事業など,老朽化する公共施設への対応にも取り組むこととしておりますが,これらは市民の皆様の生活に身近な喫緊の課題であるとの判断から,財政調整基金から25億円を繰り入れ,予算を編成したものでございます。

 本市におきましても,今後進展する人口減少社会を迎えるに当たり,生産年齢人口の減少による市税収入等への影響,少子高齢化が進むことによる社会保障関係経費の増大など,財政状況もますます厳しくなっていくことが予想されます。このような状況の中でも,本市が持続的かつ安定的に力強く成長していくためには,これまで以上に将来の人づくりを中心に力を注ぐ必要があると考えております。この人づくりは,子育て・子育ちへの取り組みを初め,さまざまな分野に共通するものですが,中でも産業分野における取り組みは,人材や財源の創出に必要でございます。
 こういったことから,平成30年度中に供用開始が予定されている新名神高速道路(仮称)鈴鹿パーキングエリアスマートインターチェンジ周辺への企業誘致や,新たな雇用の創出を見据え,有効な土地利用ができるよう取り組んでいるところでございます。

 また,限られた経営資源の中で総合計画2023の目標を実現するため,平成30年度予算の編成過程におきましても,行政評価を活用して事業の優先度判断をしたところでございます。今後,行政経営に係るトータルマネジメントシステムを確立させ,持続可能で健全な行財政運営を図ってまいりたいと考えております。
 そして,本市の人口の将来推計と,それに基づく財政の見通しを市民の皆様と共有することは,協働のまちづくりを推進する上で非常に重要なことと認識しております。

 これからも市民の皆様には,データに基づき,できる限りわかりやすい形で本市の状況をお示ししてまいりたいと考えております。その上で,将来に向けて過度な財政負担を生じないように財政規律を意識しつつ,総合計画2023に掲げる将来都市像を実現してまいりたいと考えております。
 以上でございます。