2018年 9月(一般質問)
@「気候変動への取組について」

 (1) 2015年以降これまでの取り組み状況について
 (2) 気候変動の7つの分野での取り組みは
 (3) 総合計画2023後期計画へ反映するべきでは
 (4) 都市マスタープランへの反映は
 (5) 適応計画策定と対応部署について

○13番(中西大輔君) 議席13番,すずか倶楽部,中西大輔です。通告に沿って,気候変動への適応についてと,学校等への断熱等についての2点を質問したいと思います。

 昨日,藤浪議員が高校生報告会のことをお話ししていただきましたが,私も今回,高校生報告会のほうでいろいろ高校生の皆さんと交流させていただいたり,また,学生インターンを受け入れて,つくづく思うのですが,やはり若い世代にきちんと情報を伝えて,若い世代も一緒になって考えて,若い世代も選択にかかわっていく,そのことが非常に重要な時代に入っているのではないかということを痛感しています。

 それでは,気候変動への適応についてお聞きしたいと思います。2015年12月定例会で,私は同じ内容で質問をしました。
 気候変動について,ことしは東から西へと,これまでになかったような進路をとった台風14号,せんだって関西地方に大きな高潮災害や強風での災害をもたらした台風21号,そして西日本での平成30年7月豪雨を初めとして,各地で河川の氾濫を招いた豪雨など,東京でもこの2日間,豪雨が続いているということが報道されておりますが,大変な気象災害,現象というのが発生しています。

 台風21号については,市内でも公的施設を初めとして,家屋等の民間施設の被害,また,ほぼ市内全域で,所によっては長時間にわたる停電被害など,大きな爪跡を残したと言えるのではないでしょうか。ほかにも北陸地方のある市では,大雪の被害で除雪対策などのために財政調整基金が枯渇して,その後の財政運営に大きな影響をもたらしたという事例もあります。

 気象庁のホームページを見ると,ほぼ毎年のように災害をもたらす気象事例が発生し,特に2008年からの10年間,気象庁が名称を定めるような事例が頻発しています。また,世界各地で異常気象と言われる状況は頻発し,地球温暖化も含め,気候変動の局面に入っているのは間違いないでしょう。
 異常気象,何十年かに一度という考えではなく,大きな災害を招く気象が頻発する時代,気候変動の時期に入っていると認識すべきです。

 資料1の映写を。
   〔資料をスクリーンに示す〕
 2015年9月の国連サミットで,2030年を年限とする17の国際目標であるSDGs(持続可能な開発目標)が可決されました。
 そのうちの1つに「気候変動に具体的な対策を」とあり,気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じるとあります。日本でもそれに沿ってさまざまな取り組みが進められています。


 資料2の映写を。
   〔資料をスクリーンに示す〕
 これは国立環境研究所が運営しているサイト,A−PLATのトップページです。国では,2015年に気候変動への適応計画が閣議決定され,ことし6月13日には,気候変動適応法が公布,ことし12月1日が施行日となっています。

 この法の中,第4条「地方公共団体の責務」では,その区域における自然的経済的社会的状況に応じた気候変動適応に関する施策を推進するよう努めることとされ,第12条「地域気候変動適応計画」では,都道府県及び市町村は,気候変動適応計画を勘案し,地域気候変動適応計画を策定するよう努めるものとするとされています。

 2015年12月定例会では,気候変動への備えについてとして,鈴鹿市独自の気候変動適応計画の策定と,危機管理部が主管になるべきという趣旨で一般質問を行いましたが,その際,環境部長から,三重県のモデル事業とその知見とともに,国で策定されるガイドラインの進捗状況を注視しながら研究したいという趣旨の答弁がありました。
 2015年以降これまで,鈴鹿市はどのような行動を起こしたのか,どのように気候変動を検討してきたのか,簡潔に答弁をお願いします。
                〔資料の提示を終了〕


○議長(水谷 進君) 環境部長。
              〔環境部長 生川展行君登壇〕
○環境部長(生川展行君) それでは,中西議員の気候変動への取り組みについての御質問に答弁申し上げます。

 1点目の2015年以降これまでの取り組み状況についてでございますが,本市では,翌年度の国・県の予算編成に関し,例年6月から8月にかけて国及び県に対し,要望・提言活動を行っています。
 前回,平成27年12月定例会で御質問いただいた後,平成28年度の三重県への要望・提言事項としまして,気候変動影響評価の実施と,適応計画の早期策定について要望いたしました。
 この要望に対しまして三重県からは,平成27年度に環境省の支援事業を受けて作成しました報告書「三重県の気候変動影響と適応のあり方について」を活用し,三重県における適応策の検討を進めていくとの回答がありました。

 その後も環境部では,環境省が主催します気候変動適応策に関する勉強会や,三重県地球温暖化対策課が定期的に開催します低炭素なまちづくりネットワーク会議などに出席し,県や他市町との情報共有を図るとともに,議員からも御紹介がありました,環境省が発信します気候変動適応情報プラットフォームなどで情報収集に努めているところでございます。
 以上でございます。

○議長(水谷 進君) 中西大輔議員。
              〔13番 中西大輔君登壇〕
○13番(中西大輔君) 現在の状況はわかりましたので,次のほうに移りたいと思います。
 資料3と資料4を続けて映写をお願いします。
   〔資料をスクリーンに示す〕
 ことし6月,東南海トラフによる津波被害の想定で話題になりましたが,土木学会の「国難」をもたらす巨大災害対策についての技術検討報告書です。
 南海トラフの場合は,被害が起こると1,200兆円以上の被害が起こって,国難というかとんでもないことということが報道のほうでは出てたりしていたわけですけれども,この中なんですけれども,伊勢湾の巨大高潮による被害概要が出てます。資産被害で10兆円,14カ月経済被害で9兆円,14カ月財政的被害で1兆円と出されています。これは三重県だけではなくて,当然,伊勢湾岸,愛知県等々入っていますが,これだけが想定されています。

 こちらは大阪湾の巨大高潮被害概要です。今回の台風21号では,高潮が第二室戸台風級と言われ,実際に関西国際空港や神戸港などを初めとして被害が出ています。町なかでも電信柱が倒れたりの被害が出ております。今後,14カ月被害というのがどれだけ出てくるのかというところが気がかりになるところです。

 このように,近年の台風の発生数や発生場所,進路など,これまでに見られないもので,日本近海の海水温が高いことも考えると,スーパー台風の発生が非常にふえることが容易に予想されます。これらは科学的知見の中でいろいろ出ております。
 資料5の映写を。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 また,ことしの酷暑と言われる高温状態も,これからより大きな課題になると考えられますし,逆に雪がたくさん降る場合もあったり,そのようなことを考えると気候変動の影響は,多岐にわたると考えられます。このような気候変動の影響について,分野別の検討状況がどうなっているかということをお聞きしたいと思います。
 農業・林業・水産業,水環境・水資源,自然生態系,自然災害・沿岸域,健康,産業・経済活動,国民生活・都市生活,7つの分野それぞれについて,どのように取り組まれてきているのでしようか。簡潔に答弁をお願いします。
                〔資料の提示を終了〕


○議長(水谷 進君) 産業振興部長。
○産業振興部長兼農業委員会事務局長(望月広志君) それでは,中西議員御質問の2点目,気候変動の7つの分野での取り組みはのうち,私からは,産業振興部が関連いたします農業,森林・林業・水産業,水環境,産業・経済活動について答弁申し上げます。

 まず,農業,森林・林業・水産業,水環境分野でございますが,近年,農林水産業におきましても高温化を初めとする気象変動により,本市だけでなく全国的に農林水産業の生産活動に大きな影響を与えております。例えば,水稲への影響といたしましては,生育不良,病害虫の発生など影響が懸念される中,ことしの夏におきましては,もみが成長する時期に当たる7月下旬から8月上旬の猛暑により,夜間も高温となる日が続き,本市の全域で栽培されておりますコシヒカリにおきましても,粒が白く未熟となる乳白米など高温障害が発生いたしました。

 次に,水資源への影響といたしましては,農業用水の渇水対策でございますが,ことし,一部の土地改良区におきまして,受益地となる圃場を区分し,日を変えて順番に圃場へ配水を行う,いわゆる番水を実施し,節水に取り組んでいただきました。

 次に,野菜に関しましては,生育期間中の高温によります品質の低下や生産量の減少も生じておりまして,畜産におきましても暑さによる乳牛の生産機能が低下するだけでなく,熱中症などの発生が懸念されております。

 次に,水産業につきましては,海洋環境の変化に伴い,生物の生息・回遊場所が変わることで漁場や漁の期間が変化することによる漁獲量への影響や,アサリ等,貝漁につきましては,異常降雨での水質変化によります漁獲量への影響,また,ノリ養殖におきましても収穫時期のおくれと収穫量の減少などが危惧されております。

 なお,現状の気象変動対策といたしまして,高温に対し耐性が強い品種の導入や栽培,生育管理での対応や施設整備の改善などによりまして適応することとなります。

 いずれも農林水産業全般におきましては,高温化を含めた気象変動への対応につきまして,県,生産者団体など関連機関と連携いたしまして取り組むとともに,新たな対策への情報発信に努めることが必要であると考えております。

 次に,産業・経済活動分野への影響でございますが,製造業を主とする市内企業が台風や豪雨,大雨などの災害発生時における企業の損害を最小限に抑え,事業の継続や,できる限り早い復旧を図るために事業継続計画をあらかじめ策定しておくことが大変重要だと考えておりまして,市内企業に対しまして,事業継続計画の必要性を広く周知し,計画の策定を促進するための情報発信に取り組んでおります。

 また,観光産業におきましても,気温の上昇のほか,降雨などにより観光客の入り込みに大きく影響を受ける産業でございまして,特に,本市の観光は,屋外イベントによります誘客が多数を占める特徴がございますことから,気候変動の影響があると認識しております。
 私からは以上でございます。

○議長(水谷 進君) 上下水道事業管理者。
○上下水道事業管理者(谷口 誠君) それでは,私からは水道事業にかかわる水資源への影響について答弁申し上げます。

 本市の水道水は,一部,三重県企業庁から受水しておりますが,その多くは市内の自己水源で賄われております。その割合は,自己水源が約83%,残り約17%が三重県企業庁からの受水となっております。自己水源は,深井戸が34井設置された9カ所の水源系で構成されており,その大半は,市内を東西に流れる鈴鹿川に沿って設置されている深井戸から地下水をくみ上げ,原水としていることから,天候に影響を受けることがなく,必要な量が得られている状況でございます。

 過去の例といたしましても,平成6年,平成17年の渇水時には,隣接する県では数週間にわたり給水制限が実施され,三重県企業庁でも取水制限が行われましたが,本市では,給水制限を行うことなく通常どおりの給水が可能でありましたことから,議員御質問の気候変動による水資源への影響は他市に比べ受けにくいものと考えております。

 今後とも,この安定供給の状況が将来にわたり継続ができますよう,三重県企業庁とも十分な連携を図るとともに,自己水源の状況を把握しながら水量,水質の確保に努めてまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

○議長(水谷 進君) 環境部次長。
○環境部次長(林 清志君) 私からは,自然生態系分野について答弁申し上げます。

 国の適応計画にもありますように,自然生態系に影響を及ぼすものは気候変動によるものだけではなく,土地利用の変化等の社会的要因など複合的な影響が考えられるため,これらの低減を図るとともに,より慎重な検討が必要とされております。

 本市では,平成16年から平成18年まで,市域の自然環境調査を実施し,その結果を「鈴鹿市の自然」として発刊しております。この調査では,約7,700種の動植物が記録されておりますが,現時点では気候変動による自然生態系への確実な影響の事案は確認されておりませんが,国の適応計画では,特に在来種への影響が危惧されていることから,引き続き,国・県から発信される情報収集に努め,近隣市町との情報共有により対応してまいります。

 なお,国の適応計画に記載されています高山帯や,国の適応計画,三重県の報告書に記載されています亜高山帯は本市にはございませんが,市の西部地域は鈴鹿国定公園の保護区域となっておりますことから,三重県と情報を共有し,対応してまいります。

 また,気候変動による生態系への影響につきましては,広域での取り組みが効果的であると考えていますので,国,県はもちろん,近隣市町との情報共有を継続して取り組んでまいります。
 以上でございます。

○議長(水谷 進君) 危機管理部長。
○危機管理部長(竹嶋 昇君) 私からは,自然災害・沿岸域の分野についての影響の検討状況について答弁申し上げます。

 自然災害・沿岸域の分野におきましては,近年,時間雨量50ミリメートルを超える短時間強雨の発生や,記録的な豪雨等により,総雨量が数百ミリメートルを超えるような大雨が発生し,河川氾濫や土砂災害のリスクが高まっております。さらには,スーパー台風等の発生による海面上昇に伴う高潮・高波のリスクも増大しております。

 このような状況の中,国土交通省から鈴鹿川,安楽川における,最大規模の雨量を想定した洪水浸水想定区域が発表されました。また,三重県による土砂災害警戒区域及び特別警戒区域の指定が完了したことを考慮し,本市では,ことし3月に防災マップを更新し,全戸に配布させていただいたところでございます。

 なお,土砂災害につきましては,三重県の土砂災害情報提供システムの危険度情報が細分化されたことを受け,避難勧告等の判断・伝達マニュアルを修正し,ことしから運用を開始いたしております。
 以上でございます。

○議長(水谷 進君) 土木部長。
○土木部長(古澤忠士君) 私からは,まず,自然災害・沿岸域の分野のうち,治水・浸水対策等の取り組みについて答弁申し上げます。

 気候変動の影響への適応計画の国土交通省所管分には,水害に関する適応の基本的な施策が掲げられています。その中で施設の着実な整備としまして,引き続き,堤防や下水道等の施設の整備を着実に実施し,効果的,効率的な整備促進を図ることとされています。

 現在,本市の河川事業におきましては,準用河川北長太川及び稲生新川の整備を行い,下水道(雨水)事業におきましては,内水排除を行う下水道雨水幹線等の整備を行っております。また,これらの整備とあわせて,河川事業と下水道(雨水)事業を一体とし,被害の軽減を図る鈴鹿市総合雨水対策基本計画の策定を進めているところでございます。

 本市の治水・浸水対策は,施設整備を必要とする箇所が多数残存しており,その整備には長い時間と費用を必要といたします。このため,現在実施しております事業をより効果的,効率的な推進を図りつつ,現存施設の可能な限りの排水能力を確保する適切な維持管理を実施することで対応してまいりたいと考えております。
 また,国や三重県が管理する河川及び海岸堤防につきましても,改修促進期成同盟会及び協議会の事務局として,施設改修の促進及び維持管理の拡充を強く働きかけてまいります。

 続きまして,国民生活・都市生活の分野のうち,道路整備等の取り組みについてでございます。
 気候変動の影響への適応計画の国土交通省所管分には,インフラやライフライン等に関する適応の基本的な施策が掲げられています。その中で道路における適応策としまして,緊急輸送道路として,警察や消防等が迅速に活動できるよう安全性や信頼性の高い道路網の整備等が推進されています。

 本市におきましても,気候変動への適応策として,また,災害に強いまちづくりとして,幹線道路網の整備を促進しており,これら道路網の整備は緊急輸送道路等の確保にもつながりますことから必要不可欠であると考えております。
 具体的な幹線道路網の整備としまして,国が実施している国道23号中勢バイパスがございます。現道の国道23号は,沿岸部に位置し,大規模災害時には津波による浸水等が危惧されておりまして,現在,整備が進められている国道23号中勢バイパスは,内陸部に位置し,緊急輸送道路としての役割を有し,また,新たなくしの歯ルートを形成し,沿岸部への迅速なアクセスが確保されるなどといった効果が期待されているところでございます。

 このほか,南北軸となる鈴鹿四日市道路や,東西軸となる鈴鹿亀山道路につきましては,関係機関に対して早期の事業化等に向け,強く働きかけており,さらに,三重県が実施している鈴鹿環状線磯山バイパスや,本市が実施している汲川原橋徳田線などがつながり,環状機能を持った幹線道路ネットワークを構築することで,災害時の安全性や信頼性を高める極めて大きな効果がありますことから,鋭意事業を進めているところでございます。

 また,本市では,幹線道路網の整備のほか,今後危惧されている大地震に備え,津波被害後の復旧・復興に大きく寄与するものとして,現在,沿岸部の白子地区から寺家地区への地籍調査事業を進めているところでございます。
 以上でございます。

○議長(水谷 進君) 健康福祉部長。
○健康福祉部長(片岡康樹君) 私からは,最後に健康分野での取り組みについて答弁申し上げます。

 健康分野における気候変動の影響でございますが,ことしは特に酷暑による熱中症患者の増加が挙げられます。消防本部のデータによると,ことし8月末までの熱中症による救急搬送者は188人で,昨年の74人より100人以上も増加しています。このような状況から熱中症予防として,水分や塩分の補給,適切な温度管理などについて,ホームページ等を利用して注意喚起に努めているところでございます。

 また,環境省作成の「日本の気候変動とその影響」においては,感染症媒介蚊の生息域拡大の可能性が示されており,デング熱を媒介するヒトスジシマカの分布域が東北地方へ拡大していく傾向があるとしています。分布域の拡大が直ちにデング熱感染に結びつくものではございませんが,感染症流行のリスクを持つ地域の拡大が示唆されています。

 このような中,本市では地域集会所等で開催する出前講座において,感染症予防の基本である正しいマスクの着用や手洗い指導等を行って,ジカ熱,デング熱,マダニ媒介性感染症の予防に努めています。
 そのほか,健康に関する必要な情報につきましては,市の広報誌やホームページ等で市民の皆様への周知を図っており,今後も各種の健康づくり事業など,さまざまな機会を捉えて,啓発活動に取り組んでまいります。
 以上が分野別の取り組み状況でございます。

○議長(水谷 進君) 中西大輔議員。
              〔13番 中西大輔君登壇〕
○13番(中西大輔君) ありがとうございます。今ずっと答弁していただいたのは,どれだけ広い領域に気候変動が関係してるかということをわかっていただきたいなという部分もあって,答弁のほうをお願いしました。
 このように気候変動に関係する影響は多岐にわたって,これ,先ほどの答弁の中にもありましたが,ことし2月,環境省,文部科学省,農林水産省,国土交通省,気象庁から発行された「気象変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018〜日本の気候変動とその影響〜」です。このレポートもまた見ていただければなというふうに思うところです。

 このように全国各地で起きた気象被害,その影響などを振り返ると,間違いなく気候変動の影響と考えるものばかりではないかと考えます。先ほど言いましたように気候変動による影響やリスクというのは,市のさまざまな政策に関係していくということです。気候変動の影響が避けられない場合,その影響に対して損害を和らげ,回避し,また有益な機会を生かすために,自然や人間社会のあり方を調整していくことが適応であり,そこで前回,総合計画2023への反映を質問したわけです。

 その際,基本計画については,現状認識等を精査しており,気候変動の影響に関する直接的な記載はないものの,地球温暖化を初めとする地球環境の変化に伴う影響に対する基本的な認識は持っており,今後,必要な施策などを効果的に推進していけるよう位置づけていきたいという趣旨の答弁がありましたが,総合計画2023の後期計画策定を前に,SDGsなどを勘案すれば,気候変動に対する考えを総合計画2023に取り入れていくべきではないかと考えるのですが,いかがでしょうか。


○議長(水谷 進君) 政策経営部長。
○政策経営部長(渥美和生君) それでは,総合計画2023後期基本計画へ気候変動への取り組みを反映すべきではないかとの御質問に答弁申し上げます。

 平成27年12月定例会におきましても同様の趣旨の御質問をいただきましたが,平成31年度(2019年度)で鈴鹿市総合計画2023の前期基本計画が終了いたしますため,現在,後期基本計画の策定に向け,取り組みを進めていくところでございます。

 基本構想や前期基本計画では,気候変動の影響による災害リスク等に関する具体的な表現はしておりませんが,後期基本計画の施策や単位施策等を,今後検討していく段階で,SDGsの理念や目標との関連を踏まえ,その柱の1つである気候変動につきましても意識しつつ,計画へ反映することの可能性について考えてまいりたいと存じます。
 以上でございます。

○議長(水谷 進君) 中西大輔議員。
              〔13番 中西大輔君登壇〕
○13番(中西大輔君) ありがとうございます。気候変動の影響というのは,単年度で起こるわけでもないし,何年かのうちに,この四,五年のうちということではなくて,これから10年,20年,30年,その先にまで影響が及んでいくものですよね。それが大きな災害が頻発する可能性があるということは,非常にこれから先の政策を考えていく中でも大事だというふうに考えるわけです。

 そういうこともあって,前回の質問でも,もう1つ想定される自然災害との関連から,都市マスタープランへの記述を質問したところです。その際,都市整備部長から,防災・減災の都市づくりの中で,災害リスクの高い地域を図示し,より安全な土地利用を誘導するようにしている。今後も国,県の動向を注視しながら,気候変動の影響に伴う災害リスクを考慮したまちづくりを進めていきたいという趣旨の答弁がありました。都市マスタープランへの反映について,今後の考えも含めてお聞かせください。


○議長(水谷 進君) 都市整備部長。
○都市整備部長(太田芳雄君) それでは,4点目の都市マスタープランへの気候変動の考え方の反映について答弁申し上げます。

 本市の都市計画の基本方針である鈴鹿市都市マスタープランは,平成27年度に改定し,平成28年度から運用を開始しています。改定作業中の平成27年12月定例会において,議員より気候変動の備えについてとして,改定中の都市マスタープランに気候変動の考え方を織り込むことは可能かとの御質問をいただきました。その時点での案では,気候変動の影響に関して,都市マスタープランの基本理念に示す都市づくりの方向性の1つである防災・減災の都市づくりの中で,災害リスクの高い地域を図示し,より安全な土地利用を誘導することとしていました。その後,鈴鹿市都市計画審議会委員からの御意見もあり,審議を重ねた結果,改定後の鈴鹿市都市マスタープランの防災・減災の都市づくりの本文に気候変動という言葉を記載し,その影響についての考え方を示すことといたしました。

 現在,三重県において,鈴鹿市都市マスタープランの上位計画である三重県都市マスタープランの改定作業が進められています。都市計画としての安全なまちづくりについての考え方も新しい時代に合った内容に改定されていくものと思われます。こうした県の動向や,加えて国の動向について,今後も引き続き注視を続け,次回の鈴鹿市都市マスタープランの改定においては,気候変動の考え方をどのように示していくか,検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○議長(水谷 進君) 中西大輔議員。
              〔13番 中西大輔君登壇〕
○13番(中西大輔君) ありがとうございます。今お聞きいただいたように都市計画審議会の中では,やはり気候変動ということに関心を持っていただいて,そのことにアンテナを立てていただいたことが記述につながっているということですので,やはりその点いろいろな知見ということを考え,考慮していただきたいというふうに思います。
 それでは,本論に入ってるんですけど,鈴鹿市として気候変動への適応計画の策定に早急に取り組めるのかということをお聞きしたいと思います。

 資料6から資料7の映写をお願いします。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 A−PLATのサイト上には,「地方公共団体の適応」としてリンクがあり,たどっていくとさらに5つのコンテンツがあり,その中の「コミュニティ」というところに「適応計画策定ツール」があるなど,計画策定支援のメニューがそろっています。それだけ国のほうが重要だというふうに考えているということではないでしょうか。

 気候変動適応法では,市町村も地域気候変動適応計画を策定するよう努めるものとするとありますから,計画策定に動くことは重要と考えますがいかがでしょうか。
 また,前回の質問では,気候変動を自治体にとってのリスクと考え,リスクマネジメントの観点から,危機管理部が統括して取り組むべきと意見しています。その際,担当の部署だけで危機管理に関する対応ができない,計画がつくれないという状況になれば,危機管理部が入り,関係部署と連携して,リスクマネジメントを考え,実際の対応をするようなことを考えているという趣旨の答弁がありました。3年経過し,状況も変わりましたが,気候変動に伴うリスクマネジメントはやはり危機管理部が中心となるべきと考えますがいかがでしょうか。2点,答弁のほうをよろしくお願いします。
                〔資料の提示を終了〕


○議長(水谷 進君) 危機管理部長。
○危機管理部長(竹嶋 昇君) それでは,私からは適応計画策定と対応部署についてのうち,気候変動への適応についてと,自治体にとってのリスクと考え,危機管理部が統括して取り組むべきではないかとの御質問について答弁申し上げます。

 平成27年12月定例会での際にも答弁させていただきましたが,気候変動への適応につきましては,基本的には所管する部署が通常の業務の中で,それぞれの分野についての危機管理対策を行っていき,その中で,担当部署では危機管理に関する対応ができない,あるいは計画がつくれないなどの状況になれば,危機管理部が入り,リスクマネジメントを考えていくという,このような考え方は現在も変わっておりません。

 では,どのような場合に危機管理部での対応となるのかについてでございますが,例えば健康分野において――先ほど答弁にもございましたが――感染症に関する適応として,デング熱等の感染症を媒介する蚊,ヒトスジシマカの生息域の拡大についてが記載されております。今後の環境変化に伴い,このような感染症リスクが,本市にとって喫緊の脅威となってきた場合には,鈴鹿市危機対策計画に沿って,この感染症について個別危機の対策として,危機管理対策を検討していく必要が生じてくると考えておりますので,御理解くださいますようよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○議長(水谷 進君) 環境部長。
○環境部長(生川展行君) 私からは,適応計画策定と対応部署についての御質問のうち,適応計画策定について答弁申し上げます。

 地球温暖化対策といたしましては,現在,緩和策としまして再生可能エネルギーの利用促進や省エネ活動などが行われており,本市におきましても環境基本計画の中に低炭素社会の推進を掲げ,温室効果ガス排出量の削減に向けてさまざまな取り組みを実施し,市民や事業者の皆様に対しましても普及・啓発に努めてきたところでございます。

 平成26年11月に公表されましたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書において,温室効果ガスの削減を進めても世界の平均気温が上昇するとの予測がなされ,これまでの緩和策に加えて適応策が必要となることが示されました。気候変動によるさまざまな分野への影響は明らかで,その影響への適応策の必要性は十分認識しているところでございまして,各分野の取り組み状況の答弁にもありましたが,各所属においては,それぞれの分野で既に適応策に取り組んでいるところでございます。

 適応計画につきましては,環境部が所管いたします環境基本計画の改定時期であります2022年度をめどに,適応策を環境基本計画の中に盛り込んでいくことを検討してまいりますので御理解いただきますようよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○議長(水谷 進君) 中西大輔議員。
              〔13番 中西大輔君登壇〕
○13番(中西大輔君) 答弁をお聞かせいただきましたが,非常にがっかりしてるとしか言いようがないです。というか,理解が余りできないですね。今これだけ危機が迫っているのに,それをリスクとして認識するのは各部署であると。気候変動という全体のものをリスクとして認識するのがどこかというのが曖昧なままであるし,適応計画策定についても今よりずっと後の時期にする。もうこれだけ変化してきている中で,ずっと後の時期にするということ自体が,もう既にゆでガエルの状況になってるんじゃないかなと。

 ゆでガエルという表現,私,一般質問のときによく使いますが,本当に災害が目の前に,誰かが死なないと行政は変わらないのかと,よく言われたりするんですけれども,自分たちがそうなったときに慌てる,そういうふうなことが,自治体がやることでしょうか。するべきことは,想定されるのであれば,その被害を最小限にしていく。これこそが,自治体が災害に対して取り組んでいかなければいけないことじゃないかなというふうに思います。

 緩和策ということですけれども,緩和策は緩和策で私も必要だと思います。しかし,これもう,先ほど言いましたが,現在の気候変動の動きを考えれば,適応策の検討に早急に入るべきだというふうに考えるんです。先ほど,しあわせ環境基本計画の改定時期である2022年──今から何年後ですか,4年後ですか──をめどに環境基本計画に盛り込んでいく。この間に大きなことが起こったらどうやって対応するのでしょうか。危機管理部長の答弁からは,そもそもリスクというのはどのように判断するのか,リスクをマネジメントする,被害が小さくなっていくようにするのはどこの部署なのかということが一体どこなのかということがよくわからなくなってしまう,そのように感じさせていただきました。

 デング熱の例を挙げていただきましたが,今考えることは,デング熱はデング熱で必要なんでしょうけれども,やはり台風21号のような台風が毎年,それも1カ月の間に何回も来たらどうするんだとか,そのようなことを想定していくことが必要じゃないでしょうか。

 私が,なぜ計画策定ということを訴えるのか。これは計画をつくることを目的にするわけじゃないんですね。計画という入れ物をつくってくださいと言ってるわけじゃないんです。計画をつくる,その策定の過程が大事だから言っているんですね。第5次総合計画のときも行政の横の連携ということがよく言われていました。この今の総合計画2023でもよく言われてますけれども,この行政の横の連携がなければいけないわけです。残念ながら,そのようなことを実現しようと思うと,計画を策定するという過程というのが私は行政にとって必要なことなのではないかなというふうに考えるわけです。

 そして,また,市民の方々にもこのような計画策定の中でいろいろな情報を知っていただいて,将来に向けて若い世代も考えてもらうということが自然災害の被害に,強靭ではなくて,しなやかに対応していく,そういうふうなまちづくりに必要ではないかというふうに考えるわけです。

 そこで,この質問の最後として市長にお聞きしたいのですが,ここまでの議論をお聞きいただいて,市長はどのようにこの気候変動への対策,計画策定であったり,また担当部署であったりということがあるわけですけれども,どのように考えていらっしゃるのかということをお聞きしたいと思います。


○議長(水谷 進君) 市長。
○市長(末松則子君) それでは,中西議員の御質問に答弁申し上げます。

 気候変動への取り組みに関しましては,各関係部局長が答弁させていただきましたが,既に発生しております気候変動への影響に関しましては,関係各部署で対応を行っており,今後も引き続き,国,県,近隣市町と情報共有を行うとともに,対応について関係部局が緊密に連携をとってまいりたいと考えております。

 また,議員御指摘の地域気候変動適応計画の策定につきましては,環境部が策定しております環境基本計画の中に気候変動の適応計画の内容を含めていくことを,2022年度の環境基本計画の改定の時期までに検討してまいりたいと考えております。

 なお,特に気候変動の影響が大きい農林水産業に対する対応といたしまして,既に県では,国の農業技術の基本指針や,地球温暖化影響調査レポートなどをもとに営農指導や普及活動に取り組んでおりますことから,本市といたしましても県の取り組みを参考にいたしまして,市の農業の課題や方策をまとめました鈴鹿市農業基本計画に,気候変動に関する方策等を位置づけてまいりたいと考えておりますのでよろしくお願い申し上げます。

○13番(中西大輔君) ありがとうございます。同じ世代ですので,市長にも考えていただきたいんですけど,私たちの子供,市長の子供さんもそうですけど,私たちの子供たちが次の孫の世代をつくっていく時期,その時代に向けていろいろ行政の中で考えていただきたいなというふうに思います。