2019年 12月(一般質問) A「学校で子どもの権利学習を」 (1) 鈴鹿市の現状について (2) 全小中学校で年に一回は学びの機会を それでは次の項目をお聞きしたいと思います。子供の権利学習を市内の小中学校で行うことについてお聞きしたいと思います。 ことしは,子どもの権利条約が採択されてから30年,日本が批准してから25年の年になります。子供の権利は,全ての子供の命が守られることとしての生きる権利,持って生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう,医療や教育,生活への支援などを受けられることや,友達と遊んだりするなどの育つ権利,暴力や搾取,有害な労働などから守られることの守られる権利,自由に意見をあらわしたり,団体をつくったりできることの参加する権利の4つとなっています。これは,日本ユニセフ協会のほうから引用させていただいています。 また,現在,地域福祉委員会のほうでは,子供の権利について提言をまとめているところです。自分自身もこれまで森議長,池上議員と一緒に議員有志での子供条例の勉強会を行ったり,倉敷市,明石市,尼崎市,泉南市で子供に関係する条例を視察し,条例の趣旨や子供政策への取り組みの考え,制定過程での子供の参画状況などを学ばせていただきました。福山市と鈴鹿市では不登校の取り組みを視察しました。 また,研修などで,本日の山中議員の質問にもありましたが,オンブズパーソン制度なども含めて,第三者による子供の相談機関の重要性も学ばせていただいたところです。そして,今年度なんですけれども,矢野議員が中心になって行われた,発達障害や児童虐待などの勉強会にも参加させていただき,いろいろなことを考えさせていただいたところです。 それぞれを学ぶ中で,それぞれが重要だということを非常に強く感じました。鈴鹿市でもそれぞれの取り組みということを実践すべきというふうに考えたのですが,同時に,それらに通じるものは何だろうということをずっと考えていたところです。そこで,思い至ったことは,これらの取り組みを支える下地は,子供が自分の権利について知り,考え,言葉を発したり,行動できるようになることが大切であり,そのために子供が子供の権利を学ぶことだということです。 そこで,鈴鹿市まちづくり基本条例の第6条に「子どもの権利」の記述がありますが,現在,鈴鹿市の学校現場では,子供の権利についてどのように学びを行っているのか,お聞かせください。 ○議長(森 喜代造君) 教育長。 〔教育長 中道公子君登壇〕 ○教育長(中道公子君) それでは,議員御質問の学校で子供の権利学習をの鈴鹿市の現状について答弁申し上げます。 子供たちが子供の権利について学ぶことは,大変重要であり,鈴鹿市教育大綱において,目指す子供の姿について記述する中で,子どもの権利条約に示されている4つの権利,生きる権利,育つ権利,守られる権利,参加する権利を明記し,生き生きとたくましく育つ鈴鹿の子供を育むことを目指しております。 また,三重県人権教育基本方針では,個別的な人権問題に対する取り組みに,「子どもの人権に係る問題を解決するための教育」が示されております。さらに,三重県人権教育ガイドラインでは,具体的な取り組みとして,子どもの権利条約に示されている4つの権利と自分たちの生活を関連づけて捉え,みずからを権利の主体であると実感できる学習を進めることが必要と示されております。 鈴鹿市人権教育基本方針においても,個別の人権課題の1つとして,子供の人権についてを取り上げ,子どもの権利条約の理念に触れ,子供の人権を尊重し,支援することの重要性を示しています。 これらの方針等を踏まえ,本市の人権教育は,学校の人権教育カリキュラムに基づき,児童生徒や地域等の実態に即し,発達段階に応じて身近な人権課題を取り上げ,互いの人権を大切にし,違いを認め,いじめや差別のないよりよい人間関係を築く学習を大切にしてまいりました。 そこで,子供の権利の学習についてでございますが,各学校では,総合的な学習の時間などを中心に人権学習を行っております。その際,三重県教育委員会が作成した人権学習教材「わたし かがやく」の中に,「子どもの権利条約を知りましょう」という教材が掲載されておりますことから,この資料を用いた学習が行われております。 また,教科学習の中では,小学校6年や中学校3年の社会科における基本的人権の学習において子供の権利が取り扱われており,貧困や飢饉,戦争などから子供の命と人権を国際的に保障し,守ることについて考える授業を行っております。さらに,特別の教科道徳においても,小学校5年生で,子どもの権利条約を題材として,児童が伸び伸びと生きていく権利を自覚し,自己肯定感や人権意識を高めることを目標に学習が行われております。6年生においても,世界人権宣言を題材として,自他の権利を大切にし,尊重し合って生活しようとする実践意欲と態度を育てることを目標に学習しております。 このほかにも,養護教諭による健康指導や,栄養教諭等による食育指導,確かな学力を身につける学習指導や,キャリア教育などを通して,生きる権利や育つ権利につながる学習が行われています。 また,虐待防止や命の出前講座,いじめ防止などといった命を大切にする取り組みは,全ての学校で行われており,命を大切にすることや,子供自身が守られる権利に気づき,改めて意識することにつながる学習であると考えます。 加えて,児童会や生徒会などで,子供自身による行事等を企画・運営する取り組みや,子ども議会などの取り組みを通じて行政への関心を持ち,身近な課題に目を向け,みずから課題解決に向けて取り組んでいく,いわゆる参加する権利につながる取り組みも行っているところでございます。 このように,多くの学校では,子供の権利につながる学習を人権学習や教科学習,学校行事などと関連づけて実施しているところでございます。 以上でございます。 ○26番(中西大輔君) 答弁のほう,ありがとうございます。鈴鹿市教育委員会での取り組みについて,せんだって白子中学校のほうで人権教育の研究発表会のほうもお伺いさせていただいて,拝見させていただきました。それも含めて今の答弁の中の部分について評価できるものと考えております。しかし,今の答弁を一通り聞いておりましても,やはり子供の権利ということについては,要素の1つとして入っているというイメージが強いのかなというふうに受け取らせていただきました。 今回の質問では,その子供の権利という部分について,鈴鹿市の小中学校の全学年で,普遍的な学びとして,発達段階に応じて内容を変え,小学1年生の子であればちゃんと晩御飯を食べさせてもらえるかなとか,そういうことで,それが段階に応じて中身がより権利の内容であったり,中学校3年生程度になってくれれば,当然,基本的人権までつながっていくというふうなことを考えるわけですけれども,発達段階に応じて内容を変えて,年に1回,1時間から2時間程度,学習の時間を持ってもらってはどうかということを提案したいということです。内容については,今,答弁の中にもありましたように,ほぼ人権教育の中に入っているものであって,大きく負担をふやすということにはならないと考えるところです。 そして,このような学びを実践することで期待できることとしては,子供が自分の権利について気づきを持つことで,自分たちの思いを声にできるようになり,それが社会参加への意識の向上だけではなくて,自分たちの身を守ること,ひいては虐待の未然抑止などにつながるのではないかということなどが考えられます。また,学びの中で,誰もが同じように権利があると知り,お互いの権利を尊重する意識が育てられれば,山中議員の質問にもありましたが,いじめなどの課題も減少するのではないでしょうか。そして,このような教育をしっかり学んでいった子供たちが大人になれば,次の世代に引き継ぐ形になって,安心して暮らせる社会,鈴鹿へとつながることが期待できるのではというふうに考えます。 あわせて,学校で学習を実践する過程や,子供の権利に沿って,生徒を主体にしながら校則などの見直しや部活のあり方の見直しなどに取り組めば,子供たちだけではなくて,先生方も取り組みの中で権利を考えることになって,そこでの気づきで先生方も変わっていくことができるのではないかということが期待できるのではないでしょうか。 また,小中学校で子供の権利学習というのを確立するのとあわせて,乳幼児健診などの機会に,保護者の方々に対しても子供の権利について伝える機会を持つことも考えられると思います。このことについては,泉南市で取り組みをお伺いしたときに,実際に母親の方が健診の際に子供の権利について学ぶ機会があることで,子供の権利を通じて自分の子供の見方が変わったという事例があったということをお聞きしました。このようなさまざまな取り組みを通じて,子供の権利について意識を持った市の職員さん,学校の先生方,また私たちも含めた大人をふやすことが鈴鹿市にとって大切だと考えるところです。 ただし,このような取り組みというのは,強制力をもって行うものではなく,基本的には子供も大人も自発的な意思を尊重して行うべきであるものと考えますし,権利の濫用があるのではないかという意見については,そのことを抑制することも学びの重要な要素に入れるべきことだと考えます。大人でも権利を濫用する人は多いですから,そのようなことは子供だけではないと思います。 そこで,もう一度確認でお聞きしたいのですが,鈴鹿市の小中学校の全学年で,子供の権利学習を人権学習もしくは総合の時間等の中で,普遍的な学びとして,発達段階に応じて内容を変え,年に1回,1時間から2時間程度,持つことは可能でしょうか。また,改定される鈴鹿市教育基本方針で,子供の権利学習を基本事業の中に位置づけていただきたいと考えるところですが,教育委員会の考え方をお聞きしたいと思います。 ○議長(森 喜代造君) 教育委員会事務局参事。 ○教育委員会事務局参事(木村元彦君) それでは,議員御質問の学校での子供の権利学習をの全小中学校で年に1回は学びの機会をについて答弁申し上げます。 子供たちを取り巻く状況には,依然として,いじめや虐待等の子供の生命や身体を脅かす問題があり,憂慮すべき現状がございます。議員御指摘のとおり,子供たちが自分たちの持っている権利を理解することは,他者の人権を尊重し,自分の人権を守るために意見や考えを伝えたり,他者と協働したりして課題や問題を解決する力の育成につながると考えております。 そこで,子供の権利学習を人権学習もしくは総合的な学習の時間等の中で,1時間もしくは2時間,年に1回実施することはできないかといったことについてでございますが,子供の権利について学習することは大切なことであり,教育活動全体を通じて取り組む必要があることと認識しております。各学校では,先ほども答弁申し上げましたように,人権学習を初め,さまざまな学習の中で,子供の権利につながる学習を実施しておりますが,今後は,子供の権利について学習していることが,より明確に子供たちに伝わるよう留意し,学習計画を工夫したり,指導したりするよう各学校に周知してまいりたいと考えております。 また,現在,改定作業を進めております次期基本計画におきましては,子どもの権利条約に示されている4つの権利を保障していくことの必要性を引き続き明記していくとともに,人権教育の取り扱いの中で検討してまいりたいと考えておりますので,御理解賜りますようお願い申し上げます。 ○26番(中西大輔君) ありがとうございます。ぜひ力強く進めていただきたいと思います。 そして最後に,このような議論をするときによくあるのが,鶏が先なのか卵が先なのかという議論があるわけですけれども,子供政策に関係することについて,条例という鶏という部分も大切というふうには思います。ただ,先ほども申しましたが,行政,教育それぞれの市の職員の方々のやる気であったり,子供たちの思いといった卵を育てることが大切だというふうに考えるところです。業務だから取り組むというのではなく,子供たちに必要だから取り組む,それを鈴鹿市でも意識していただきたいと思います。 そして,教育長にもう一度お聞きしたいのですが,今回,教育委員会だけの話ではなくて,子ども政策課も地続きになるということで,教育委員会としてその点もしっかり取り組んでいただけるのかどうか,そこだけ確認でお聞かせください。 ○議長(森 喜代造君) 教育長。 ○教育長(中道公子君) 子供の権利学習につきましては,大変大切な学習であると考えておりますので,関係部署と連携しながら,引き続き,しっかり進めてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○26番(中西大輔君) ありがとうございます。それでは,きょうの質問,公共施設・インフラのファシリティマネジメント,維持更新の課題にも,子供の権利学習の推進についてもしっかり取り組んでいただけるというふうに期待しまして,私の質問は終わります。 以上です。ありがとうございました。 |