2020年 2月(一般質問)
気候変動適応計画策定について

 (1) 過去質問以降の取り組みについて
  @ 現在の気候状況をどう考えているか
  A これまでの検討状況と各種計画への反映について
 (2) 事前復興の視点について
  @ 国と県の動向と市の取り組みについて
  A スポンジ化も想定に入れるべき
 (3) 市民参画で計画策定を
  @ 総合計画と同様の手法で

○26番(中西大輔君)
 議席26番,無所属,中西大輔です。
 午前中の質疑に引き続き登壇させていただきますが,マスクのほうは感染拡大防止のためにつけているということで,登壇した場合はしゃべりの関係で外させていただいております。
 この関係の新型コロナウイルスで,小中学校の休校というのが要請されたわけですが,関係の職員の方々,非常に動かれていて大変なところだと思います。これからも気を配ることがたくさん出てくると思いますが,ぜひ新しい考えで取り組めるところは取り組んでいただきたいなと思います。それと今回の取り組みの中で,子供さんたちの安心と安全ということが,どれだけ脆弱だったかというところも見えたのではないかなと思います。このようないろんな施策の間の中で,見えなくなってしまうという表現を使わせていただきますが,なかなか支援が行き届かなくなってしまう子供さんたちもいるかもしれない,そういうところにも思いをはせて取り組みのほうを進めていただきたいと思います。

 それでは,本題のほうに入ります。気候変動適応計画の策定ということで質問させていただくわけですが,気候変動に関する質問というのは,私,2015年の12月と2018年の9月に行っています。その後,昨年の台風19号,令和元年東日本台風による被害で,関東甲信地方だけではなく東北地方などでも甚大な被害が出て,災害救助法適用の自治体数というのが東日本大震災のときよりも今回多かったということが言われております。
 また,ことし1月8日,気象庁のほうから,地球温暖化が進むと偏西風の動きが変わって,台風の進行スピードが遅くなるという研究結果が発表されていますし,また,世界各地でも,大規模な洪水や逆に過度な乾燥による被害,巨大な台風の発生などということが見受けられることが多くなっているのではないでしょうか。このように気候変動の影響による大規模な気象災害のリスクは年々高くなり,範囲も広がり,鈴鹿市も例外ではないというふうに思うところです。そこで,今回の質問は,過去の質問を振り返りながら,鈴鹿市として気候変動適応計画策定に取り組むことと,策定の際は,広く市民参画を取り入れることについて市の考えを問いたいと思います。
 では,資料1の映写を。
〔資料をスクリーンに示す〕
 資料は,2月10日の全員協議会で出された内閣官房国土強靭化推進室の「国土強靭化地域計画について」から引用しています。この資料では,16の災害が取り上げられているのですが,実際のところ,この中で4つが地震に関係する地学的な要素に関係する災害であって,残りの12は気象災害によるものというふうなことがわかります。気象災害というのが毎年起こってくるということがわかってくることではないでしょうか。このような気候変動による極端な気象現象の発生,また,それにより被害の拡大というのは,これは以前から指摘されているところです。

 資料2の映写を。
〔資料をスクリーンに示す〕
 細かいですが,資料は,環境省から2019年7月版として公開されているIPCC「1.5℃特別報告書」の概要から引用しています。IPCCは御存じの方もいらっしゃるとは思いますが,気候変動に関する政府間パネルを意味しています。地球温暖化に関する研究の収集と整理,科学的知見の評価を行っている政府間機構です。ちょっと見にくくて申しわけありませんが,このポイントを簡潔にすると,気候変動は既に世界中の人々,生態系と生計に影響を与えている。現在のままでは,2030年から2050年に1.5度気温が上昇するだろう。地球温暖化を1.5度に抑制することは不可能ではないが,社会のあらゆる側面で前例のない移行が必要,2030年までに二酸化炭素の排出を45%削減し,2050年にはゼロにする必要がある。気温の上昇を1.5度抑制することには便益がある。1.5度に抑制することは,気候変動以外のSDGs,持続可能な開発目標とともに達成し得るというニュアンスが書かれています。
                〔資料の提示を終了〕
 このような中,気候非常事態宣言というものを行って施策に反映しようとしている国や,日本でも自治体が出てきています。国会のほうでも超党派議連が発足し,決議を目指す動きもあるというふうに聞くところです。
 このような中,鈴鹿市は気候変動の影響や気候災害のリスクについてどのように考えているのでしょうか。また,気候非常事態宣言が各地で行われていることをどのように考えているのか見解をお聞かせください。


○議長(森 喜代造君) 環境部長。
              〔環境部長 生川展行君登壇〕
○環境部長(生川展行君)
 それでは,中西議員の御質問に答弁申し上げます。
 気候変動適応計画策定について過去質問以降の取り組みについてのうち,現在の気候状況をどう考えているかでございますが,ここ数年,全国各地で発生している大規模な気象災害は,少なからず気候変動の影響によるものと考えられます。ゲリラ豪雨や台風の大型化などのいわゆる異常気象は世界各国で頻繁に発生しており,農業・水産業,自然生態系,健康や産業・経済など,さまざまな分野に大きな影響をもたらしていると認識しています。
 また,気候変動に関する政府間パネル,いわゆるIPCCの「1.5℃特別報告書」にあるように気候変動が人々の生活や生態系に影響を与えていることから,地球温暖化を1.5度に抑制することが非常に重要であると考えています。
 気候非常事態宣言につきましては,昨年9月に長崎県の壱岐市が表明した後,十数件の自治体が実施しています。三重県は,気候非常事態宣言と同様の趣旨で,昨年12月に脱炭素宣言として2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロを目指す宣言を行いました。具体的な施策は,令和2年度に予定している計画策定において検討するとのことでございますので,三重県や県内他市町の状況を注視していきたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。

○26番(中西大輔君)
 ありがとうございます。変化の速さというものを認識していただいているようでありがたいというか,その取り組みのほう進めていただきたいと思います。
 そこで,ちょっと整理したいことなんですけれども,気象庁のホームページを見ると,気候,地球温暖化と海洋というところがありまして,海水温の上昇による影響について簡潔に書かれています。要約すると,2010年までの40年間に,地球全体で蓄積された熱エネルギーの9割以上は海洋に吸収されている。人間活動によって放出された二酸化炭素の約3割を海洋が吸収している。海洋も温暖化していて直接的,間接的に私たちの社会に大きな影響を与える可能性があるということが書かれています。この海洋の温暖化というのは見過ごせないことと考えていますし,台風の大型化などにも大きな影響を与えている。またサンゴの生育がうまくいかないというところにも影響を与えているということになります。
 ですが,どうしても人間活動の影響による,いわゆる地球温暖化の面が注目されがちになっているわけですけれども,私自身は,地球温暖化というところも非常に気になるところではあるんですけれども,実際のところは太陽活動の極小化,落ちていったりとか大規模な火山が噴火したりすると,それにより寒冷化という動きもあったりします。このことというのは,過去の歴史でも明らかなので,寒冷化の可能性も含めて気候が不安定な状態になることとしての気候変動は避けられないと考えて,今回の質問をさせていただいているわけです。
 それでは,気候変動適応計画策定に関する過去の質問について検証させていただきます。
 資料3の映写を。
〔資料をスクリーンに示す〕
 2018年に気候変動適応法が施行されていますが,これは同じ年の11月に公開されている環境省の気候変動適応計画についてから引用しています。
 右下をアップにしてください。ここに都道府県及び市町村に,気候変動適応計画の策定努力義務というものがあります。法律のほうにも書かれているものです。2015年の答弁では,国において策定される気候変動の影響への適応計画のガイドライン等の進捗状況を注視し,取り組みについて研究する。なるべく早急に,しっかりとできるような取り組みを検討したいと考えているとありました。2018年の答弁では,2022年に改定予定の鈴鹿市環境基本計画に盛り込む考えとありました。その際,対応が遅いのではないかと,のんきに構えていると取り返しがつかない状況になるといった意味合いで,ゆでガエルのたとえ話を出させていただいて,市の課題として指摘したところです。
                〔資料の提示を終了〕
 その後も日本各地で極端な気象現象による被害の大規模化と多様化が進み,頻度もふえていることに対して,やはり鈴鹿市の動きというのは遅いのではないかと危惧しているところです。過去の質問以降,A−PLAT,気候変動適応情報プラットフォームの情報もかなり充実されています。国や県の動きを待つのではなくて,自治体として,鈴鹿市は気候変動への取り組みを検討し,適応策と緩和策を考えるべきでしょう。
 現時点で,気候変動適応計画策定に対する動きは,鈴鹿市では見られていないように思うところですが,過去の質問以降,取り組みはどうなっているのでしょうか。各種計画への反映も含めて市の姿勢や状況などをお聞きしたいと思います。


○議長(森 喜代造君) 環境部次長。
○環境部次長(林 宏君)
 それでは,2点目のこれまでの検討状況と各種計画への反映について答弁申し上げます。
 気候変動の原因とされる地球温暖化対策について国は,2015年7月に国連へ提出した日本の約束草案や2015年12月のCOP21で採択されたパリ協定を踏まえ,地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するための計画として地球温暖化対策計画を2016年5月に策定し,温室効果ガス排出量を2030年度に2013年度比で26%削減する目標を掲げ,温室効果ガス排出抑制に関する対策・施策を示しました。本市におきましては,国の計画策定を受けて,地方公共団体の地球温暖化対策実行計画を全面的に見直すとともに,国の目標値に沿って温室効果ガス排出量の削減目標値を掲げ,低炭素社会の実現に向けて取り組んでいるところでございます。
 前回,平成30年9月定例議会以降,国が地球温暖化対策を推進・実践している自治体や事業者を対象に定期的に開催している地球温暖化に関する中部カンファレンスや三重県が開催する気候講演会や低炭素なまちづくりネットワーク会議などに参加し,環境省など国の情報収集を行うとともに,三重県及び県内他市町との情報共有も図っています。
 また,各種計画への反映につきましては,各分野の個別計画の中で,それぞれの適応の取り組みを行っており,最上位計画である総合計画2023の来年度から始まる後期基本計画におきましては,防災,環境,都市整備,産業の分野において気候変動の影響に関する記載を追加したところでございます。
 これまでは,温暖化対策として温室効果ガスの排出量を削減する緩和策を主に取り組んできているところですが,引き続き緩和策を継続しつつ,気候変動影響の被害の防止・軽減と自然環境の保全など,安全安心で持続可能な社会を目指し,地球温暖化を1.5度に抑制すべく各分野での適応策の実施に向けて取り組んでまいりますので,よろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。

○26番(中西大輔君)
 ありがとうございます。今の答弁では,下地のほうはできているというふうに判断させていただきます。
 それでは,次の論点としての事前復興の視点についてお聞きしたいと思います。
 巨大台風や豪雨などの深刻な被害については,ほかの地域の出来事や過去の出来事を他人事ではなく,やはり私たちの地域のこと,自分事として考えて取り組むことが必要だというふうに考えるところです。昨年の長野県千曲川の洪水被害でも,一昨年の岡山県真備町の被害でも,ハザードマップで想定された浸水区域が被害を受けているわけです。
 今後,国の政策のほうには,想定されているリスクへの対応という考えが反映されてくるというふうに考えるところです。実際に,ことし2月7日に閣議決定された都市再生特別措置法の一部を改正する法律案では,頻発・激甚化する自然災害に対応すること,まちなかにおけるにぎわいを創出するため,安全で魅力的なまちづくりの推進を図ることが目的とされています。

 資料4の映写を。
〔資料をスクリーンに示す〕
 資料は,先ほどと同じ気候変動適応計画についてから抜き出したものです。ここでは,洪水・内水,高潮・高波,土石流・地すべり等への対応の考えと,右下の部分に災害リスクを考慮した土地利用,住まい方が示されています。
 右下をアップにしてください。
 ここの,災害リスクを考慮して,リスクの低い地域へ居住や都市機能を誘導するという考えは,災害に事前に備える減災の考え,事前復興の考えだというふうに考えます。
                〔資料の提示を終了〕
 国土交通省では,防災・減災対策と並行して復興事前準備の取り組みを進めておくことが重要として,2018年7月に復興まちづくりのための事前準備ガイドラインを公表して,地域防災計画と市町村の都市計画に関する基本的な方針となる都市マスタープランへの位置づけ方法や,復興まちづくりのための事前準備に関する計画策定に係る留意点をまとめています。
 ガイドラインでは,想定する災害の種類は地震と津波とするものの,これを活用することは,大規模または市街地の火災や風水害からの復興まちづくりにも有効であるとされ,地域防災計画に復興体制や復興手順,復興訓練の実施などを位置づけることが,都市マスタープランに復興における目標を位置づけることが推奨されています。ここ数年の洪水被害などの状況を考えると,復興事前準備の考えは,気象災害被害への適用も進められてくるのではないかと考えます。

 資料5の映写を。
〔資料をスクリーンに示す〕
 こちらの資料は,国土交通省から公開されている復興まちづくりのための事前準備の取り組み状況から引用しています。令和元年6月時点における1,713自治体からのアンケート集計結果になっています。
 この資料から,ガイドラインで推奨されている内容について,地域防災計画への記述は約3割の自治体で,都市マスタープランへの記述は約1割の自治体で行われていることがわかります。


 資料6の映写を。
〔資料をスクリーンに示す〕
 こちら,先ほどと同じ国土強靭化地域計画についてから引用しています。ここでは,強靭化地域計画と地域防災計画が,迅速な復旧・復興体制整備などでつながっていることがわかります。
                〔資料の提示を終了〕
 このような事前復興の視点について,国と県の動向はどうなっているのでしょうか。市は地域防災計画への反映と都市マスタープランへの反映について,どのような考えをお持ちでしょうか。
 また,2017年に当時の市議会総務委員会で静岡県富士市の取り組みを視察させていただき,それを受けて議会から提言を行っていますが,その点はどのように検討されているのでしょうか。お聞きしたいと思います。


○議長(森 喜代造君) 危機管理部長。
○危機管理部長(白塚山隆彦君)
 それでは,2点目の事前復興の視点についての1つ目,国と県の動向と市の取り組みについてのうち,私からは,これまでの経緯と地域防災計画への位置づけについて答弁いたします。
 事前復興準備とは,災害が発生した際のことを想定し,どのような被害が発生しても対応できるよう,その対策を事前に準備しておくことでございます。議員から御紹介いただきましたとおり,鈴鹿市議会におかれましては,2017年度には,総務委員会所管事務として,先進地である静岡県富士市を御視察され,災害時の復興計画についてや本市でも想定される地震や津波災害等の被害とその対応について,行政職員だけでなく識者も交えて議論するなど,中長期的に調査研究を進めることとの提言をいただいてございます。

 先ほど議員からも御紹介いただきましたが,国土交通省は,2018年7月に市町村が復興準備に取り組むため,その必要性と取り組み内容を明らかにすることを目的として,復興まちづくりのための事前準備ガイドラインを策定いたしました。このガイドラインには,復興体制・復興手順の事前検討を初め,基礎データの事前整理の必要性や復興における目標などの事前検討などについて記載がなされております。
 また,三重県では,2018年度から三重県県土整備部都市政策課と三重県三重大学みえ防災・減災センターとが共催し,県及び県内市町の職員を対象に事前復興都市計画研修会を開催いたしております。この研修会では,大学教授などの学識者や東日本大震災の被害を受けた市町において実際に復興支援を行った独立行政法人都市再生機構の職員等が講演を行うとともに,参加者によるグループディスカッションなどにより理解を深めているところでございます。

 今年度におきましても,昨年11月に研修会が開催され,防災危機管理課と都市計画課からそれぞれ職員が参加いたしております。この研修会では,復興について当初から想定されていた地震・津波などの自然災害からの復興に加えて,高齢化・人口減少などによって地域が中長期的に衰退することに対する社会変化からの復興の観点も加えられてきていることが紹介されております。また,自然災害からの復興の観点からは,地域コミュニティーの存続を図るために,仮設住宅などでの避難生活を余儀なくされた際などに地域ごとに同じ区画で暮らすことなども紹介されていたところでございます。
 また,本市では,ことし2月4日に開催した鈴鹿市防災会議において,鈴鹿市地域防災計画を修正し,風水害等対策編及び地震・津波対策編の両方において,災害復旧・復興計画の中に仮称ではございますが,市としての事前都市復興計画の考え方を位置づけたところでございます。
 今後は,大規模災害からの復旧・復興対策を円滑に進めるために,この計画の策定について検討してまいりたいと考えておりますので,御理解くださいますようお願いいたします。
 私からは以上でございます。

○26番(中西大輔君)
 ありがとうございます。県のほうも進めているということで,研究のほう,進めるというよりも深めていただいて,ぜひいろんなところに波及していくようにお願いしたいと思います。
 そこで,先ほどの危機管理部長の答弁で,県主催の事前復興都市計画研修会のほうで,高齢化と人口減少の影響などによって,地域が中長期的に衰退することに対する社会変化からの復興の観点も加わってきているというふうに聞こえましたが,その部分,非常に重要な視点だと思います。そこで,復興事前準備を考えるときに,災害被害だけではなくて,国土交通省でもこの人口減少による影響,この言葉で取り組みが進められていますが,人口減少による都市のスポンジ化の影響を,都市マスタープランの検討の際にも加味してはどうかというふうに考えますが,市の考え方をお聞きしたいと思います。


○議長(森 喜代造君) 都市整備部長。
○都市整備部長(太田芳雄君)
 それでは,私からは,都市計画としての県,本市の取り組みについて答弁させていただきます。
 まず,県の都市計画としての取り組みとしましては,2016年8月に三重県地震・津波被害の低減に向けた都市計画指針を策定し,南海トラフ地震や内陸直下型地震に対して,その被害低減に向けた都市計画の基本的な考え方を示すとともに,この考え方を踏まえ,現在,鈴鹿市都市マスタープランの上位計画に当たる整備・開発及び保全の方針の改定作業が行われています。

 次に,本市の都市計画としての取り組みといたしましては,現行の鈴鹿市都市マスタープランには,テーマ別都市づくりの方針の1つに防災・減災の都市づくりを挙げ,その中で,市民生活の安全安心の確保に向け,南海トラフ等による地震・津波や,気候変動の影響と考えられる集中豪雨,土砂災害など,さまざまな災害に対応するとしています。
 具体的には,津波浸水予測区域や鈴鹿川等の河川氾濫を想定した浸水想定区域等の災害に関する情報を図示し,特に津波浸水予測区域内にある第1種及び第2種低層住居専用地域については,土地利用規制等の見直しを検討するエリアとして位置づけるなど,都市づくりの方針を示しています。また,土地利用方針においては,こうした災害情報に基づく区域等を避ける形で,新たな住居系の市街地形成の可能性のある地区として市街地形成検討地区(住居系)を位置づけています。

 議員御質問にある復興まちづくりのための事前準備ガイドラインに基づく本市の今後の取り組みとして,特に,鈴鹿市都市マスタープランへの位置づけ等については,さきの危機管理部長の答弁にありました大規模災害からの復旧・復興対策を円滑に進めるための計画策定の検討結果や,現在,三重県において改定中の整備・開発及び保全の方針の内容を踏まえ,現行の鈴鹿市都市マスタープランの全面改定に向けた総括の際に,鈴鹿市都市計画審議会等有識者の皆様の御意見もお聞きしながら検討したいと考えております。
 続きまして,復興まちづくりのための事前準備に関する計画策定を考えるとき,人口減少による都市のスポンジ化の影響を鈴鹿市都市マスタープランの検討の際に加味するかについて答弁申し上げます。
 都市のスポンジ化は,本市においても直面する重大な課題として認識しており,総合計画2023の後期基本計画策定の際,市民意見公募(パブリックコメント)でいただいた御意見等も踏まえ,同計画のめざすべき都市の状態17,都市基盤がバランスよく整い,快適に暮らしていることにある現状認識に改めて記載させていただいたところです。現行の鈴鹿市都市マスタープランの全面改定に向けた総括の際には,人口減少による都市のスポンジ化の影響についても鈴鹿市都市計画審議会の御意見等も踏まえながら検討させていただきたいと考えておりますので,御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。

○26番(中西大輔君)
 ありがとうございます。
 都市計画との関係でいうと,つい先日なんですけど,インターネットでNHKのウエブを見ていると,地価の下落の高い地域に人口がふえているというふうなデータが見られるということが出されておりましたが,そのようなことも含めて,将来的な観点から都市のあり方というのを検討していただきたい。また,危険な区域について,どのようにこれからさばいていくのかというのが,都市マスタープランの非常に重要なところだと思いますので,ぜひ検討を深めていただきたいと思うところです。

 それでは,市民参画で気候変動適応計画を策定することについてお聞きしたいと思います。
 気候変動適応計画では,気候の変動の影響は大きく7つの分野,「農業,森林・林業,水産業」,「水環境・水資源」,「自然生態系」,「自然災害・沿岸域」,「健康」,「産業・経済活動」,「国民生活・都市生活」に想定され,2018年の質問でも取り上げましたが,それぞれに非常に多くの内容を含んでいるものとなっています。そうなってくると,一般の市民の方々は,もちろんですけれども,よくステークホルダーと言われますが,それぞれの課題に利害の深い関係者の方々や専門家の方々もいらっしゃるというふうに思います。

 復興事前準備の視点からは,現在だけでなく,将来にわたる展望,将来からの視点も重要になることが考えられます。市長,御存じだと思いますけど,私もおじいちゃんになりましたので,孫がいますので,やっぱりその世代のことも考えてやっていかないといけないというふうに考えております。2月4日に気候変動対策に積極的に取り組む企業や自治体,団体,NGOなど,国家政府以外の多様な主体の緩やかなネットワークである気候変動イニシアチブから,国へ気候変動対策強化を求めるメッセージが提出されています。

 持続的な開発目標,SDGsへの取り組みは注目されるところです。関連して注目されているのは,ESG投資,環境・社会・ガバナンス要素も考慮した投資ということが注目を集めております。RE100,なるべく再生エネルギー100%で世の中を動かしていこうという考えもありますし,金融システムの安定を図る国際組織の金融安定理事会によって設立されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)などというものの存在もあって,これから気候変動への取り組み,環境への取り組み姿勢が投資先として見られるときに重要になってくるというふうに聞くところです。このような動きというのは,鈴鹿市が今後,企業からの投資対象として考えていただくためにも重要なところになってくるのではないでしょうか。
 また,海外を中心に若い世代の環境に対する意識が高まっていることを考えると,環境に配慮した政策展開を行い,地域社会をつくっていくことは,若い世代に対する鈴鹿市の価値を上げることになるのではないかと思います。
 冒頭に少し触れましたが,気候変動への適応については関係する人や課題も多くなります。計画を策定するに当たっては,短期間で話をまとめることは難しいでしょう。時間をかけてじっくり議論をしながら,けれども喫緊の課題という意識を持って,凝縮された時間で計画をつくることが大切になるでしょう。その過程を通じて,市民理解と合意を形成することが大切になってくると考えるところです。

 資料7の映写を。
〔資料をスクリーンに示す〕
 冒頭で取り上げたIPCCの「1.5℃特別報告書」では,温暖化を1.5度に抑えるために,適応及び緩和の選択肢の組み合わせを参加型の統合的な方法で実施することで,急速なシステム移行を可能にし得るとされ,確信度が高いものとされています。よくわかりにくいので,簡単に自分なりにまとめると,温暖化を抑えていくには,世の中を早く大きく変化することになるけれども,市民参画で取り組めば,それに対応しやすいということではないでしょうか。
 報告書では,取り組み事例として,コロンビアのマニサレス市というところが紹介されているんですけれども,地域住民や女性が関与しながら,気候変動への適応,緩和及び災害リスク管理を統合した新たな政策を実行しているということで紹介されております。事例,英文だったんですけれども,グーグルの翻訳さんを使って,ちょっと読んだところ,参加型の取り組みを通じて地域の力をつけることや,多様な利害関係者の参画の大切さということが読み取れました。

 このような動きや考えから,鈴鹿市での気候変動適応計画の策定を総合計画2023前期計画策定時に行っていたように,無作為抽出による市民参画で取り組むことを提案したいと思います。
 特に,若い世代への人数割り当てを多くして,政策の検討と選択の場面に,若い世代のかかわりをふやすべきと考えます。若い世代の声を聞く機会を持たない,そのような考えのないまちに,若い世代が居住を選択することや,まちの持続可能性ということは見込めないのではないかというふうに考えます。
 そう考えると,早急に令和2年度の半ばには,鈴鹿市において気候変動適応計画策定に関する検討会議を立ち上げるべきと考えるところですが,鈴鹿市の考えはいかがでしょうか。よろしくお願いします。
                〔資料の提示を終了〕


○議長(森 喜代造君) 環境部長。
○環境部長(生川展行君)
 それでは,市民参画での計画策定について答弁申し上げます。
 本市の気候変動適応計画につきましては,平成30年9月定例議会で答弁しましたように,環境基本計画に組み込むこととし,策定に向けてさまざまな情報を収集しているところでございます。環境省の地域気候変動適応計画策定マニュアルにもありますように,気候変動適応に関する施策の推進に当たっては,関連する施策との連携が重要であり,施策を総合的かつ計画的に推進するためには,関係部局間の綿密な連携協力体制の構築が不可欠となってまいります。このようなことから,令和4年度に計画期間満了を迎える環境基本計画の改定に向けて,庁内関係部局とのスムーズな連携を図るために今後も気候変動適応についての意見交換や情報共有を密に行い,連携体制の構築に努めてまいります。

 また,気候変動適応の取り組みは行政だけではなく,市民や事業者など,地域の日常生活や社会活動全てにかかわることからも,若者も含めたさまざまな年代の市民の方や市内の事業者の方々を対象に,計画の策定に向けて気候変動適応についての勉強会や意見交換会などの開催を令和2年度から実施してまいります。
 なお,計画の策定に関しましては,市民,事業者,学識経験者など,さまざまな方々の意見を集約・反映する必要があるため,時間をかけて取り組んでいきたいと考えております。また,計画策定と並行して気候変動イニシアチブなどの動向にも注視していきたいと考えておりますので,御理解賜りますようお願いいたします。

○26番(中西大輔君)
 ありがとうございます。
 ぜひいろいろな考え方というのを広げていただきたいなと。CO2排出抑制でいうと,鈴鹿市,そこに水素ステーションがあるわけですけれども,なかなか活用されていないということが以前も議会のほうでも話題になりましたが,例えば,そこでつくられる水素を使って燃料電池で発電をすると。燃料電池で発電したものを市役所で使うことによって,鈴鹿市の炭素排出量というものを削減するというふうな考え方もできたりするでしょうし,これから地域公共交通などにおいても,燃料電池のバスというのがあって,実際東京モーターショーなどにもいろいろ公開されたり,いろいろ使われているところなので,そういうものの活用というところにどんどん広がっていくのかなと。それが,ひいては鈴鹿市の経済のほうにも関係してくるのかなと。そういうふうに考えが広がっていくと思いますので,ぜひとも多様な方の参加というものを早期に進めていただいて,検討していただきたいなと思います。
 そこで,最後に,市長にここまでの質問のやりとりからどのような感想をお持ちなのかということをお聞きしたいと思います。


○議長(森 喜代造君) 市長。
○市長(末松則子君)
 それでは,中西議員の御質問に答弁申し上げます。
 気候変動適応計画の策定に関しましては,先ほど環境部長が答弁をさせていただきましたが,令和4年度の環境基本計画の改定に向けて時間をかけて慎重に進めてまいりたいと考えております。
 また,適応計画の策定につきましては,総合計画の前期基本計画策定時と同様の手法でとの御提案でございますが,私自身もさまざまな年代の市民の皆様の御意見を聞くことは大変重要であると考えております。
 特に,IPCCの報告書で二酸化炭素排出量を実質ゼロにする必要があるとしております2050年ごろに現役世代となります現在の中学生,高校生には,将来の自分たちにもかかわってくる重要な内容でありますことから,さまざまな御意見を出していただき,御議論いただきたいと考えております。
 いずれにいたしましても,気候変動は,地球規模の大変大きなものでございます。国の動向はもちろん,昨年の三重県の脱炭素宣言,ミッションゼロ2050みえの具体的な取り組み,そして政策との整合を図り,計画策定を進めてまいりたいと考えております。今後もどうぞよろしくお願い申し上げます。

○26番(中西大輔君) ありがとうございます。
 ぜひとも教育分野も非常に重要なところとなると思いますので,その点についても学校教育の現場で,ぜひとも生かしていただくことを期待しまして,私の質問を終わります。