2020年 9月(一般質問) 「気候変動を踏まえた水災害対策について」 (1) 気候変動への取り組み状況について (2) 「流域治水」への取り組みについて ○26番(中西大輔君) それでは,大項目の2つ目,気候変動を踏まえた水害対策をお聞きします。 気候変動の影響への備えというのは,私にとって大きなテーマの1つにあります。ふだんあまり言わないんですけど。2015年には気候変動適応計画の策定を,2018年に進捗状況と総合計画と都市マスタープランへの記載を,そして今年2月定例議会でも気候変動適応計画策定を取り上げて,気候変動は身近に迫った課題だというふうにずっと訴え続けてきています。 昨日も水谷議員の質問に土木部長が答弁されていましたが,今年も既に令和2年7月豪雨が発生して大きな被害をもたらしていますし,今も台風10号というのが成長して,特別警報を出さなければいけないのではないかということで,気象庁がきのうから動いています。日本近海の海の表面温度が上がって,台風の大型化が予想されるということは,これから後,まだまだ発生する台風について予断を許さない状況だというふうに考えるところです。 また,8月7日,三重県のほうから伊勢湾沿岸の高潮浸水想定区域図も公開されるなど,やはり気候変動による気象災害は他人事ではないということが明らかです。 現時点で,鈴鹿市では大きな被害が出ていないのですが,だからこそ気候変動への適応策の検討,気象災害への備え,考えの整理を早急に行うべきだというふうに考えます。 資料9の映写をお願いします。 こちらは国土交通省の社会資本整備審議会河川分科会気候変動を踏まえた水災害対策検討小委員会の答申資料になります。こちらのほうでは,気候変動による降雨量の増加等が懸念されることを踏まえた水災害対策等に関する検討が行われて,7月9日ですが,「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方〜あらゆる関係者が流域全体で行う持続可能な「流域治水」への転換〜」という形で答申が出されています。 答申の主なポイントというのは,計画・基準類の見直しと流域治水への転換ということになっています。 資料10の映写をお願いします。 概要資料のほうからお聞きしていきたいと思いますが,計画・基準類の見直しということなんですけれども,こちらのほうは答申の中に書かれているんですけれども,過去の降雨や高潮の実績に基づいた計画を今後は気候変動による降雨量の増加・潮位の上昇などを考慮したものに見直すという方向が示されています。 2月定例議会で,環境部長答弁として,「環境基本計画の改定に向けて,庁内関係部局と気候変動適応についての意見交換や情報共有を密に行い,連携体制の構築に努める」,「若者も含めたさまざまな年代の市民の方や市内の事業者の方々を対象に,気候変動適応についての勉強会や意見交換会などの開催を令和2年度から実施する」とありました。新型コロナウイルスの影響はあると思いますが,ここまでの気候変動に関する取り組みがどのようなものかということをお聞きしたいと思います。 〔資料の提示を終了〕 ○議長(大杉吉包君) 環境部長。 〔環境部長 鈴木佳明君登壇〕 ○環境部長(鈴木佳明君) それでは,気候変動を踏まえた水災害対策についての御質問のうち,1点目の気候変動への取り組み状況について答弁申し上げます。 議員から御紹介いただきました,気候変動を踏まえた水災害対策のあり方についてにも記載されているとおり,近年,毎年のように,日本各地でこれまでに経験したことのないような豪雨により,深刻な水害や土砂災害が発生していることは周知のとおりであり,そのリスクは本市においても例外ではなく,気候変動の影響がさまざまな分野に影響を及ぼすことは十分に認識しているところでございます。 そのような状況の中,令和2年2月定例議会以降の気候変動に関する取り組みといたしましては,6月の環境月間に合わせて,6月5日号の広報すずかの中で,地球温暖化や気候変動の影響についての特集記事を掲載するとともに,6月11日から6月17日の1週間,市役所1階の市民ギャラリーにおいて,環境省の気候変動に関する展示ツールを活用したパネル展を実施するなど,地球温暖化や気候変動について,市民の方々に関心や理解を深めていただくよう啓発に取り組んでまいりました。 また,現在は,気候変動適応計画の策定に向けて,若い世代の意見を収集することを目的に,市立中学校の生徒会役員を対象とした気候変動に関するアンケート調査の実施を検討しているところでございます。これは,平成30年度に市立中学校生徒会を対象に実施いたしました地球温暖化防止啓発映画の試写会の際に行ったアンケート調査において,参加した中学生から,地球温暖化の影響は既に自分たちの身近に迫ってきており,地球温暖化防止のために自分たちが実行できることを考えるべきであるというような貴重な意見を多数いただきましたことから,再度の実施を検討しているところでございますので,御理解いただきますようお願い申し上げます。 ○26番(中西大輔君) ありがとうございます。今,最後のところの答弁で,非常に大事なことで,中学生の子たちの反応があったということです。気候変動への対策というのは,当然,今の課題でもありますし,20年,30年後の課題でもあるので,ぜひ若い世代に対してしっかり働きかけていただきたい。また,できれば探求学習のほうでも生かせていただければなというふうに考えるところです。 それでは,次の論点に移りたいと思います。 資料11の映写をお願いします。 先ほどありましたが,答申のほうで流域治水という言葉がありましたので,そのことなんですけれども,流域治水というのは,河川,下水道,砂防,海岸等の管理者が主体となって行う対策に加え,集水域と河川区域のみならず,氾濫域も含めて一つの流域として捉え,その流域全員が協働して,@氾濫をできるだけ防ぐ対策,A被害対象を減少させるための対策,B被害の軽減,早期復旧・復興のための対策までを多層的に取り組むと定義されています。 資料12の映写をお願いします。 施策のイメージですが,こちらを見ると,ハード面の整備だけではなくて,都市計画にも大きく関わる内容になっていると判断します。特に,ちょっと見にくいんですけれども,2と3の部分にその内容が色濃く見えていて,今後,いろいろな関係者の間での合意形成をとっていかないとということを考えると,やはり都市マスタープランへの反映というのが必須になると考えるところです。 資料13の映写をお願いします。 速やかに実施すべき施策というのがあるんですけども,この中で,治水計画等の見直し,昨日,水谷議員の質問でもありましたが,見直しということがありますし,氾濫をできるだけ防ぐための対策,被害対象を減少させるための対策,被害の軽減,早期復旧,復興のための対策が挙げられて,それぞれにどういうふうに取り組んでいくのかということが記述されています。 重ねて言いますが,令和2年7月豪雨における各地の被害を考えると,鈴鹿市も決して他人事ではありません。 そこで,流域治水の考えからすると,2月の答弁にあった「庁内関係部局と気候変動適応についての意見交換や情報共有を密に行い,連携体制の構築に努める」という部分が非常に重要となります。プロジェクトチームとして取り組むのか,また,それとも中心となる部局があるのであれば,どこになるのかなどの課題があると思いますが,早急に調査と研究を行って施策に反映するべきと考えるところです。鈴鹿市の考え方をお聞きしたいと思います。 〔資料の提示を終了〕 ○議長(大杉吉包君) 土木部長。 ○土木部長(坂本一彦君) それでは,気候変動を踏まえた水災害対策についての2点目,流域治水への取り組みについて,土木部の取り組みを答弁申し上げます。 7月6日に,国土交通省は,流域のあらゆる関係者が協働して治水に取り組む流域治水への転換などを進め,防災・減災が主流となる社会の実現を目指すとして,全国の1級水系を対象に流域治水の考え方に基づいて関係者が早急に実施する取り組みを今夏までに中間的に取りまとめ,水系ごとの全体像を流域治水プロジェクトとして今年度内に策定する旨を決定いたしました。このことから,国土交通省中部地方整備局三重河川国道事務所は,鈴鹿川流域治水協議会を立ち上げるため関係者に呼びかけを行い,本市も協議会へ参加することになりました。 幹事会が7月30日に行われ,協議会の設立に向けて準備を行い,第1回目の協議会が8月24日に亀山市で開催されました。協議会へは市長が出席し,鈴鹿川が東西に横断する本市にとって流域治水の推進についてはその必要性を強く感じており,流域全体の関係者の一員として,流域治水プロジェクトの策定に取り組んでいく旨を述べております。 今年度内の鈴鹿川流域治水プロジェクトの策定を目指し,引き続き協議会に参加し,取り組んでまいりたいと考えております。 私からの説明は以上でございます。 ○議長(大杉吉包君) 都市整備部長。 ○都市整備部長(棚P研一君) それでは,私からは,都市計画としての流域治水への取り組みについて答弁申し上げます。 本市の都市計画の基本方針でございます現行の鈴鹿市都市マスタープランは,平成27年度に全面改定され,平成28年度から運用しております。 この鈴鹿市都市マスタープランでは,テーマ別都市づくりの方針の1つに防災・減災の都市づくりを掲げ,その中で,市民生活の安全安心の確保に向けて,南海トラフ等による地震,津波や気候変動の影響と考えられる集中豪雨,土砂災害など,さまざまな災害に対応するとしまちづくりを進めております。しかしながら,近年,毎年のように日本各地で,これまで経験したことのないような豪雨により,深刻な水害や土砂災害が発生しており,議員の御質問にもありますように,国の諮問機関でございます社会資本整備審議会が示す流域治水の考え方につきましても,気候変動の対応として重要な観点であると認識しています。 また,現在,三重県におきましても,鈴鹿市都市マスタープランの上位計画に当たります整備・開発及び保全の方針につきまして,都市づくりの方向性の1つに,災害に対応した安全性の向上を掲げ,改定作業を行っております。この三重県の整備・開発及び保全の方針を踏まえ,本市といたしましても,現行の鈴鹿市都市マスタープランの全面改定に向けた総括等を行う際には,国・県の関係機関及び鈴鹿川流域治水協議会等の動向も注視し,さまざまな情報の収集に努め,鈴鹿市都市計画審議会等有識者の皆様の御意見もお聞きしながら検討していきたいと考えております。 私からの説明は以上でございます。 ○議長(大杉吉包君) 環境部長。 ○環境部長(鈴木佳明君) 私からは,今後の気候変動適用計画に関する取り組みについて答弁申し上げます。 中西議員の今回の一般質問では,国の社会資本整備審議会がことし7月に気候変動を踏まえた水災害対策のあり方についてという答申を発表したことを受けて,流域治水への取り組みなど,気候変動に対して,本市においても早急な取り組みが必要との観点から御質問をいただきました。 環境部といたしましては,令和2年2月定例議会での答弁のとおり,本市の気候変動適応計画につきましては,令和4年度に計画期間満了を迎える鈴鹿市しあわせ環境基本計画に組み込むように考えており,その改定に当たっては,環境部が主体となって庁内関係部局と気候変動についての意見交換や情報共有を密に行うなど,庁内の連携体制を構築して,令和4年度の計画改定に向けて早急に準備をしてまいりたいと考えております。 具体的には,計画改定に至るまでのスケジュールを明確にするとともに,計画改定に向けて,庁内の関係部局を網羅したワーキンググループを組織して,意見交換などを早急に実施してまいりたいと考えておりますので,御理解いただきますようお願い申し上げます。 ○26番(中西大輔君) ありがとうございます。気候変動1つにしても,このフロア全員の内容にわたるものですし,流域治水の考え方に取り組むにしても,やはり全体の考えを合わせていかないといけない。市民の総力をもって取り組む課題と考えますので,ぜひ市の職員の方々一人一人,若い職員の方も含めてですが,自分事として,私たち事として取り組んでいただくことを期待して,私の一般質問を終わります。 以上です。 |