2020年 12月(一般質問)
労働者協同組合法について

 (1) 法について市の見解を問う
 (2) 鈴鹿市の主管部局はどこになるのか
 
○26番(中西大輔君)
 議席26番,無所属,中西大輔です。
 本日は,通告に沿って3点,労働者協同組合法と行政評価から見える文化財行政の疑問点,また最後に,鈴鹿市の西部地域についてお聞きしたいと思います。

 1つ目,労働者協同組合法からお聞きしたいと思いますが,労働者協同組合法というのは,先日12月4日,参議院本会議のほうで,全会一致で可決されまして成立しました。2年以内に施行されるということになります。
 ここでいう労働者協同組合というのは,働く労働者自身が資金を持ち寄って,労働者自身で所有,管理される協同組合のことで,ワーカーズ・コレクティブ,ワーカーズ・コープ,協同労働の協同組合とも言われています。

 資料1の映写をお願いします。

 こちら東京新聞ウエブ10月11日付分から引用させていただいた図になります。
 この図で言うところの左側部分に水色がありますが,水色の部分が協同労働のイメージとなります。

 法案の提出に際しては,超党派の議員立法として国会に提出されており,15人の提出者の中には田村憲久厚生労働大臣も入っていらっしゃいます。また,2008年には坂口力元厚労大臣を会長とする超党派の議員連盟が結成され,法制化が目指されていたという経緯もあります。2009年には三重県議会から協同労働の協同組合法の速やかな制定を求める意見書が国に提出されていました。
                
 そこで,資料2の映写をお願いします。

 こちらは,日本労働者協同組合連合会のホームページから引用させていただいております。上の部分アップのほうでお願いします。
 法律の第1条では,「この法律は,各人が生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就労する機会が必ずしも十分に確保されていない現状等を踏まえ,組合員が出資し,それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ,及び組合員自らが事業に従事することを基本原理とする組織に関し,設立,管理その他必要な事項を定めること等により,多様な就労の機会を創出することを促進するとともに,当該組織を通じて地域における多様な需要に応じた事業が行われることを促進し,もって持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とする。」とされています。これをあらわしたのが,この資料になっています。
 第1条のところがまとめられている形になります。

※日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)HP

 資料3の映写をお願いします。
 こちらも日本労働者協同組合連合会のホームページから引用させていただきました。
 新しい働き方図鑑ということで,写真とどのようなことが行われているかということが,タイトルでも取り上げられています。
 ここの今,写真であったりとか見出しを見ていただければと思うのですが,法で示されている地域における多様な需要に応じた事業について,訪問介護などの介護・福祉関連,学童保育や子供食堂など子育て関連,農産物加工品直売所などの拠点整備や建物管理などの地域づくり関連,自立就労を支援するなどの若者・困窮者支援というものが考えられます。この写真を見ていただければ,おわかりいただけるのかなと思います。
                〔資料の提示を終了〕

 そこで,法の目的に持続可能で活力ある地域社会の実現とあることは,鈴鹿市でも地域づくり協議会を立ち上げられておりますが,そのような活動が進んでいく中で,いろいろな組合が立ち上がってくる可能性が高いということを示しているでしょうし,また,子供支援などの社会課題の解決のために,協同労働を選択するという方々も出てくる可能性があることを示していると予想できるところです。

 若い世代の就労についても,コロナ禍をきっかけにした社会変化の中で,協同労働組合は重要な形態になっていくのではないかという意見もありますし,また,中小企業の事業承継に使えるのではないかという議論もされています。さきにホームページを紹介した日本労働者協同組合連合会が目指すものの1つに,地域の人たちが自分たちで地域を運営する社会がありますが,重要な視点ではないでしょうか。

 一方で,インターネットなどで資料を当たっていると,例えば労働者性の担保などという形で,協同労働についての問題点の意見も目にするところです。その点については,国で今後,省令や指針の整備などで対処されてくることとは思いますが,自治体としても,鈴鹿市として注視することは大切と考えます。このような労働者協同組合法について,鈴鹿市の見解をお聞きしたいと思います。


○議長(大杉吉包君) 産業振興部長。
        〔産業振興部長兼農業委員会事務局長 岡本隆典君登壇〕
○産業振興部長兼農業委員会事務局長(岡本隆典君)
 それでは,中西議員御質問の労働者協同組合法に対する市の見解についてに答弁申し上げます。
 議員から御説明がありましたように,この労働者協同組合の事業の範囲は,地方自治体の業務において広範囲に及ぶことが想定されております。したがいまして,私からは労働行政といった観点を中心に答弁させていただきます。

 労働者協同組合につきましては,組合員が出資を行い,組合員の意見を適切に反映し,組合員が組合の事業に従事することを基本原理として運営される組織であると規定されております。この労働者協同組合に似た組織としましては,議員から提出いただいた資料にも記載がありますように,労働者みずからが出資,運営する企業組合やNPO法人といった組織があります。

 企業組合を設立するためには都道府県知事の認可が必要となっており,手続に時間を要しますが,労働者協同組合は知事の認可は不要となっております。また,NPO法人は,組合員による出資は認められておらず,事業内容も福祉やまちづくり,観光分野など20分野に限定されておりますが,労働者協同組合は,労働者派遣事業以外,あらゆる業種の仕事ができることになっている上に,組合員が出資して運営に参加することから,労働条件などもみずから決めることができ,従来の枠組みにとらわれない新たな働き方としても注目されております。

 この労働者協同組合につきましては,地域の需要があるのに担い手がなかなか見つからない事業,例えば議員からも御説明のあった福祉分野であるとか,地域活性化の担い手事業への参入が期待されております。具体的な取り組み事例では,訪問介護などの介護・福祉関連,学童保育などの子育て関連,農産物加工品直売所などの地域づくり関連のほか,若者・困窮者支援などさまざまな取り組みが想定されているところでございます。
 本市においても,福祉分野におけるさまざまな課題や地域が抱えるさまざまな課題があり,そのような課題に対して福祉関係団体の方々や地域づくり協議会を中心とした地域の方々が解決に向け取り組んでいるところでございます。

 労働者協同組合が設立されることによって,関係団体の方々が活動しやすく,また就労しやすくなることで,地域の課題解決にもつながればと期待しているところでございます。
 以上でございます。

○26番(中西大輔君)
 ありがとうございます。いろいろな領域に広がっていくということで,仕事の領域もこれから,地域づくりの中にいろいろ移送支援であったりとかいろいろな形も出てくると思いますが,本当に広いことが考えられると思います。

 その労働者協同組合法についてなんですけど,これまで2回ほどオンラインのほうの勉強会に参加させていただいたり,また,いろいろな資料を読み込んでいると,1つ疑問点にぶつかるわけです。
 何かというと,鈴鹿市で中心となってくる部局というのは,これからどこになるのだろうかという点なんです。今回,産業振興部長に答弁をしていただいたのですが,国の所管は厚生労働省であって,地域共生社会という概念もかかわってくると考えられることから考えると,この産業振興部のままではしっくりこないのではないのかなというふうに考えるところなんです。

 また,ホームページを使用するに当たって,労働者協同組合連合会の方と話をさせていただきました。そうすると,現在のところ,ほかの地域でも協同労働のことを取り組んでいるところはたくさんあるんですけれども,大体,商工労働系の部署が多いということをおっしゃられていました。ただ,実際は,やはり先ほどの話の中でありましたが,福祉分野等の事業が多いということで,労働商工系の部署のままでは,いま一つしっくりこない部分があるようであるというお話をされていました。

 とはいっても,もう法が整備されたわけですから,協同労働が鈴鹿市内でよりよく運営されていくということを考えたときには,市として組合の支援はもちろんですが,やっぱり就労する市民の方々,参加される方々をしっかり支援していくということが自治体として必要になると考えます。2年以内に施行ということですから,遅くとも来年の秋を目途に鈴鹿市としての体制を明確にしたほうがいいのではないかと考えるのですが,現在の市の考え方をお聞かせください。


○議長(大杉吉包君) 産業振興部参事。
○産業振興部参事(長谷川 徹君)
 それでは,御質問2点目の労働者協同組合法における本市の主幹部局はどこかという御質問に答弁申し上げます。
 労働者協同組合法は,先日,国会において可決,成立いたしましたが,その制度における地方自治体の役割については,今のところ明確になっておりませんので,担当部局を判断することは現在のところ難しい状況でございます。

 例えばでございますが,労働・企業支援に関する具体的な事例としまして,後継者等の不在により廃業を考えてみえる中小企業について,従業員の方々がこの労働者協同組合を設立して事業を承継していくような事案が発生することも考えられます。そうした場合においては,産業振興部で対応していくべきとも考えておりますが,その場合におきましても,法律上どのような手続が必要になるのか,また自治体としてどのようにかかわっていくべきなのか,そのようなことも,現在,法の施行に従いまして,今後,明確になってくるとも考えております。

 先ほども産業振興部長が答弁申し上げましたように,この労働者協同組合法が及ぶ範囲は多岐にわたることが想定されますので,現状といたしましては,まず庁内全体で情報収集に努め,また,その情報を共有した上で,この労働者協同組合への対応を検討してまいりたいと考えておりますので,御理解いただきますようよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○26番(中西大輔君)
 ありがとうございます。現況はそのようで仕方がないところと思います。とはいっても進んでいきますから,考えられるのは,どちらにしてもどこか1つではなくて,横の連携をしっかりしないといけないということははっきりしているのかなと。

 そこで,私自身も,この法については理解を深めていく必要はあるのかなというふうに考えています。ぜひ庁内でも勉強会などを積極的に開催していただきたいですし,その機会があれば同席させていただければなと思います。また,今後も意見交換をしていきながら,この問題について取り組んでいっていただきたいと思います。ありがとうございます。