2020年 12月(一般質問)
2019年度行政評価から文化財関係について

 (1) 学芸員の待遇改善の考えは
 (2) 庄野宿資料館維持の考えは

 それでは,大項目の2つ目のほうに移ります。2019年度の行政評価から文化関係のことをお聞きしたいと思います。
 関係するのは総合計画の第2章,「子どもの未来を創り 豊かな文化を育むまち すずか」の中,めざすべき都市の状態07,「人と文化を育み,心豊かに過ごしていること」です。

 資料4の映写をお願いします。
 こちらは2019年度の行政評価の単位施策の部分から引用しています。この中,0721ですが,文化財の発掘と調査と保存の検証のところです。
 ちょっと字が小さいですが,ここの中に書いてあることの中に,正規学芸員の採用など,人材育成と登用が課題であるというふうに記述されています。私自身,伊勢型紙を初めとして,いろいろな形で文化関係の問い合わせをすることがあるのですが,担当職員の方の知識や対応は,とてもよいというふうに感じているところです。しかし,雇用形態はフルタイム会計年度任用職員であって,税金や保険等を抜くと年収約250万円,ですからそれを入れてしまうともっと下がってしまうという状況と聞いているところです。
 市の文化財関係業務に携わるには,仕事をこなすだけではなくて,また知識を持っているということだけではなくて,もうコミュニケーション力はもちろんですが,その方が持っている人のつながりで形成されるネットワークというのもとても大切ではないかなというふうに考えます。
 その上で,かわりがすぐ見つかる人材なのかということも考慮に入れながら,仕事が評価されて,能力に見合った待遇があることが大切ではないかというふうに考えるのですが,しかし,現在の体制では能力を買われて講演などを行っても,平日の日中の場合は,勤務時間の中に算定されて報酬を受け取るということはできず,土日であれば可能という程度と,その割には,先ほども言いましたが,待遇は低いのではないかということで,能力を評価してもらっているのかと言えば,言葉は悪いですが,そこに至っていないのではないかなというふうに考えます。

 そこで正規学芸員の採用など人材育成と登用が課題という点について,現状はどうなのか,また,多様な雇用形態を検討してはどうかと考えるのですが,市としてどのような改善策を考えているのかお聞かせください。
                〔資料の提示を終了〕


○議長(大杉吉包君) 文化スポーツ部長。
            〔文化スポーツ部長 坂 佳徳君登壇〕
○文化スポーツ部長(坂 佳徳君)
 それでは,2019年度行政評価から文化財関係についてのうち,学芸員の待遇改善はについて答弁申し上げます。
 現在,文化財課では,フルタイム会計年度任用職員の学芸員3名が勤務しております。
 本庁に2名,考古博物館に1名勤務しております。特に考古博物館については,博物館法第4条により,博物館に専門的職員として学芸員を置くとされており,また,学芸員は,博物館資料の収集,保管,展示及び調査研究,その他これと関連する事業についての専門的事項をつかさどると示されており,学芸員の配置が必須とされておりますが,博物館以外の資料館・記念館につきましては,博物館類似施設ではありますが,博物館法の適用を受けないため,各館ごとの学芸員の配置は求められておりません。

 現在の学芸員の処遇面についてですが,昨年度までは嘱託職員としての採用でございましたが,今年度からは,地方公務員法及び地方自治法の一部改正に伴い,フルタイム会計年度任用職員としての任用となっておりまして,給与面を含めて一部処遇の改善がございました。
 給与につきましては,鈴鹿市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例で定められておりまして,給与,通勤手当,時間外勤務手当,期末手当等が支給されています。経験がございます学芸員は,市内外の各種の関係団体や地元の郷土史団体など,さまざまな分野の機関から講演の講師派遣依頼もあり,依頼によっては勤務時間外,休日の場合もございますが,営利企業等の従事制限に関する運用基準により職務として従事するため,現在では,旅費などの実費弁償以外の謝金を辞退しております。

 しかしながら,議員御指摘のフルタイム会計年度任用職員の学芸員のいわゆる昇給,経験年数を考慮した号給の設定については,他の職種との公平性等バランスを考慮すると困難であると考えておりますので,御理解いただきますようお願いいたします。

○26番(中西大輔君)
 理解はできません。今の答弁では,とても総合計画2023の5つのまちづくりの柱の2と3──ちょっと省きますが──はもちろん,先ほど言いましためざすべき都市の状態07というものは達成できるとは私は思えません。このような重要な人材がいなくなって文化行政に大きな影響が出たとして,責任の所在はどうなるのか,また,このようなまちの持続可能性という観点からどのように考えるのか。やっぱり真剣に取り組まなければいけないのではないでしょうか。

 そこで,2018年に総務省のほうから,会計年度任用職員に関する事務処理マニュアルが出されていまして,そちらのほうに目を通しました。そうすると新地方公務員法第24条に基づく形で,職務の内容や責任,職務遂行上必要となる知識,技術及び職務経験等の要素を考慮して定めるべきものという記述がありましたし,もう少し読み込むと,職能給的な手当についても不可能ではないというふうに,私は読み取ったわけですけれども,そのことから考えて,経験や実績というものを勘案して,主任などの形で役職を設定して,それに対する手当の支給ということは検討できるのかどうか考え方をお聞きしたいと思います。


○議長(大杉吉包君) 総務部長。
○総務部長(渥美和生君)
 それでは,再度の御質問に答弁申し上げます。
 フルタイム会計年度任用職員の給与につきましては,職務の内容や責任,職務遂行上必要となる資格のほか,近隣自治体や民間従事者の状況も考慮して,規則において職種ごとに基礎号給を定めております。また,その中では,経験年数をもとに算出して基礎号給に最大で2号給の加算が可能となっておりますが,会計年度任用職員制度が本年度から開始した制度であり,全職種においていまだその運用には至ってないことから,学芸員に限った運用は困難であると考えております。
 また,主任という面では,学芸員の職務,職責に差を設けることが課題となるほか,他の職種への影響が大きいことを考慮すると,現時点では困難であると考えます。

 今後,財政状況や人材確保の状況,他の職種や正規職員の給与とのバランスも考慮しつつ,行政目的が果たせるよう適切な運用を図ってまいりますので,御理解いただきますようよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○26番(中西大輔君)
 今の答弁は答弁として受け取らさせていただきます。
 市長,一緒に考えていただきたいんですけれども,今回の課題というのは,女性活躍であったり,やはり能力がきちんと評価される鈴鹿市であるかどうかということにかかわってくると思います。今回は,そういう意味では問題提起をさせていただきましたので,市のほうで真摯な取り組みというのを期待します。その点をよろしくお願いいたします。
 それでは,次に移らせていただきます。

 資料5の映写をお願いします。
 引用先は4と同じなんですけれども,行政評価の単位施策の部分になります。
 その0722,文化財を活用したまちづくりなんですけれども,この検証部分で懸案事項として,「庄野宿資料館は屋根瓦の老朽化が激しく,風向きによっては雨漏りが起こるような状態でもあり,長期的な修繕計画を立て,修繕を行っていきたい。」とあり,見直しの部分で,「施設来館者の安全を確保し,老朽化した指定文化財を長期的に保存するため,改修計画を策定していく。」とあります。
 全国各地では,公民連携によって古民家などの利活用の事例がふえていますし,つい先日,伊賀でもありましたが,そのようなことを考えると,鈴鹿市においても地域づくりの課題の中では,当然,地域資源の活用ということも課題に入ってきますから,今回のこの行政評価から見える庄野宿の課題について,改修についてどのような検討が行われているのかについて説明をお願いします。

○議長(大杉吉包君) 文化スポーツ部長。
○文化スポーツ部長(坂 佳徳君)
 それでは,庄野宿資料館維持の考えはについて答弁申し上げます。
 庄野宿資料館は,江戸時代末期の建築物で1854年(嘉永7年)の棟札が残る町家建築として,平成8年3月に市の有形文化財建造物に指定された旧小林家住宅を利用した資料館でございます。資料館は,平成8年12月に当時の所有者から寄贈され,土地については本市が同時期に購入した後,平成9年度に資料館の一部を改修いたしました。

 その後,庄野町に残る膨大な宿場関係資料の活用を図るため,平成10年4月に資料館として開館をいたしました。庄野宿は,東海道五十三次の45番目の宿場であり,設置時期としては2番目に新しく,1624年(寛永元年)ごろに設置をされております。旅人の多くは休憩地としての利用が多く,宿泊者が少なかった宿場であったと記録が残っております。

 歌川広重による浮世絵,庄野の白雨は,東海道五十三次の中でも傑作と言われており,世界的にも知られているところでございます。また,資料館には,平成22年に市の有形文化財に指定された庄野宿関係文書・高札等を展示しており,昨今の街道ウオーキングブームによりまして,庄野宿の歴史を知る施設として,県内外からもたくさんの方々にお越しいただいております。資料館の来館者数でございますが,ピーク時の平成13年度には5,754人の来館者がございましたが,最近の過去5年間の平均では,約3,500人となっております。

 現在,資料館においては,平成18年度から指定管理者制度を利用し,庄野宿資料館運営委員会に委託をしており,来館者のアンケート結果からも,非常に丁寧な説明で対応しており,満足であると高評価をいただいているところでもあります。

 議員御指摘の建物自体の維持についてでございますが,先ほども申し上げましたが,開館当初,一部改修は行っておりますが,それ以降,屋根瓦の老朽化が激しく,風向きによっては雨漏りが起こるような状態でもございます。
 資料館は,施設そのものが文化財指定されておりまして,修繕方法もさまざまな制限がありますが,今後,建物の保存,来館者の安全安心を考慮し,必要な対策を検討してまいりますので,御理解いただきますようよろしくお願い申し上げます。

○26番(中西大輔君)
 わかりました。その点しっかり取り組んでいっていただかないと,もし大きな地震があって倒壊したり,木造家屋ですから火災が起こったときに,当然,鈴鹿市の管理責任が問われる可能性があるというところだと思うんです。その意味でもう早急に取り組んでいただくべきことかなと思いますが,その点について,市として今どのような考えなのかお聞かせください。

○文化スポーツ部長(坂 佳徳君)
 再度の御質問に答弁申し上げます。
 降雨の状況によりまして雨漏りが発生しておる状況でございますので,早急に整備方法などを含めまして,必要な対策を検討してまいりますので,よろしくお願いします。