2021年 2月(一般質問)
1. 気候変動適応対策について
 (1) 気候変動適応対策の進捗について
 (2) 全庁的な意識付けについて
 (3) 市民参画について

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○26番(中西大輔君)
 議席26番,無所属の中西大輔です。本日,また質問のほうに立ちますが,よろしくお願いします。
 新型コロナウイルス後の社会を考えるときに,私が考えていることは,身近な社会やコミュニティーということを見直していく必要が私たちにはあると思います。また,グローバルと言われながらずっと経済も来ているわけですけれども,この1年の社会の動きから考えると,やはりローカルに視点を向けていく必要があるのではないかなというふうに考えますし,また,お金についても,実物から切り離された形でお金の量が増えていて,いずれそれに向かい合わないといけないということが課題として出てくるのではないかというふうに考えています。

 それらと並行して,どうしても巨大な災害,甚大な災害というのが増えてきているわけですので,それらにどう向かい合って生きていくことになるのか。そう考えると,価値観の転換というのがすぐそばに迫っているのではないかと思いますし,それにどう備えていくかということは,全ての世代に対しての問いになってきているというふうに考えます。そうすると,これから物やサービスの量を増やして今までの世の中はきたわけですけれども,いま一度,質の見直しや充実という形で,内側の価値を見直したりとか高めることが大切になって,その中で人を重視していくということがどうしても外せなくなってくるというふうに考えます。
 そのような意識を持って,施政方針を聞かせていただいたわけですけれども,残念ながら,ちょっと政策の羅列に感じられて,将来予想や展望が見られなかったことが残念だったなというふうに思います。

 また,感想として1つですが,先日,議案質疑のほうで市制80周年記念事業に伴う準備経費を聞かせていただいたわけですが,今の厳しい財政状況や先行き不透明な社会情勢を考えると,ちょっと理解はしにくかったなというふうに考えます。

 それでは,通告に沿って,2点,気候変動対策と市民参画充実についてお聞きしたいと思います。

 気候変動適応対策についてお聞きしたいと思いますが,3月2日,政府のほうで地球温暖化対策推進法の一部を改正する法律案が閣議決定されました。内容としては,2050年の脱炭素社会実現に向けて,温暖化対策の実行計画を複数の地方公共団体が共同で策定できることが規定されていたり,実行計画の記載事項に都市機能の集約や低炭素な日常生活用品等の利用の促進が記述されています。

 資料1の映写,お願いします。
   
 こちら,2009年の質問で用いたものですが,横軸に起こる確率について,頻度や確率,縦軸にそれによる被害などの重大さというものを置いて,リスクを考える図になっています。10年ほど前までは,甚大な気象災害というのは,どちらかというと起きる頻度や確率が低いものと考えられていたかもしれませんが,それ以降,現在に至るまで発生頻度というのは非常に高くなっていて,また年ごとに起こっているということだけではなくて,1年の間に何回かあるかもしれないというものになっていて,気象災害というのは考えられるよりも非常にリスクの高い,危機に近いものになってきていると考えるところです。

 資料2の映写のほう,お願いします。
   
 こちら,環境省の気候変動適応計画についてから引用させていただいています。
 2015年,質問させていただいたんですけれども,その際は,鈴鹿市における気候変動適応計画の策定と総合計画や都市マスタープランへの反映ということをお聞きさせていただきました。このとき,鈴鹿市都市マスタープランのほうに気候変動を加味していただいたということは,当時の都市計画審議会の議論も含めて,市行政も真摯に取り組んでいただいた結果と考えています。
 2018年,前年に高潮や強風で大きな被害をもたらした台風21号がありました。この年に施行された気候変動適応法を取り上げながら,今まで2015年以降の取組を検証,そのときに次の2つの資料を使わせていただきました。

 資料3の映写をお願いします。
    
 こちら,国連広報センターから引用させていただいたもので,SDGsの図になります。気候変動は目標の13となっています。

 次,資料4の映写をお願いします。
    
 こちら,土木学会の国難をもたらす巨大災害についての技術検討報告書から引用させていただいております。こちら,3大湾ですね。東京湾,伊勢湾,大阪湾における高潮被害について想定が出されていました。

 これらを踏まえながら,昨年2月,気候変動適応計画策定についてとして,改めて質問させていただき,過去の質問以降の取組や,このときは事前復興の視点についてと市民参画での計画策定などをお聞きさせていただきました。






 資料5の映写をお願いします。
   
 そして,昨年9月定例議会で用いた資料ですが,気候変動を踏まえた水災害対策の在り方から引用しています。






 資料6の映写をお願いします。
    
 昨年1月ですが,国土交通省から公開されているんですけれども,総力戦で挑む防災・減災プロジェクトの概要版を少し用いています。ここでも,巨大な地震だけではなくて,やはり気候変動による気象災害というものが非常にクローズアップされていると考えるところです。


 資料7の映写をお願いします。
  
 昨年7月に提言としてまとめられた国土交通省のほう,気候変動を踏まえた海岸保全の在り方のこちらも概要版になります。これに先立つ2015年には,沿岸部における気候変動の影響及び適応の方向性というものが公表されていて,これら2つから見えることは,災害対策として,堤防の機能だけではなくて,都市の在り方の見直しということも含めた意見というのが出されているところです。

 そして,この資料の最下段,ちょっと見にくいんですけれども,言葉として書かれていることは何が書かれているかといえば,今後5年から10年の間に着手・実施すべき事項として,地域のリスクや将来変化について,防護だけでなく,環境や利用の観点も含め,定量的かつ分かりやすく地域に情報提供するとともに,地域住民やまちづくり関係者とも連携して取り組む体制を構築と記述されています。

 このような国の動きや現在の気象現象の状況を考え合わせると,気候変動への適応というのは喫緊の課題になっていると考えます。また,2100年には最小で29センチメートル,最大で約1.1メートルの海水面の上昇ということが予想されています。このことを考えると,やはり長期的な観点からの議論も行う必要があると考えるところです。
 そこで,以前の質問では,都市整備部と土木部のほうからも答弁をいただいていますが,改めて現在の気候変動適応対策の進捗と現在の考え方,また全庁的な意識啓発の取組についてお聞きしたいと思います。

                
○副議長(南条雄士君) 環境部長。
              〔環境部長 鈴木佳明君登壇〕
○環境部長(鈴木佳明君)
 それでは,中西議員の御質問の気候変動適応対策についてのうち,1点目の気候変動適応対策の進捗についての取組状況について及び2点目の全庁的な意識づけについて,併せて答弁申し上げます。

 令和2年9月定例議会以降の気候変動に関する取組状況でございますが,若い世代の意見を吸収することを目的に,三重県気候変動適応センターの協力の下,市内の公立中学校10校の約100名の生徒を対象に,気候変動に関するアンケート調査を令和2年11月に実施いたしました。アンケート結果から,多くの生徒が気候変動の影響が将来,より強まることを身近な事例から既に認識していることなど,貴重な意見の記述がございました。また,このアンケート結果につきましては,気候変動適応計画を策定する際に,若い世代の意見として反映させていきたいと考えています。

 次に,気候変動適応計画の策定の進捗状況についてでございますが,平成24年3月に策定した鈴鹿市しあわせ環境基本計画が令和4年度末に計画期間満了を迎えることから,現在は本計画の進捗状況等について検証を実施しているところでございます。この検証作業を通して,課題や問題を洗い出すとともに,次期計画の位置づけや策定方法等について,その方向性を検討しているところでございます。

 また,気候変動適応計画につきましても,令和2年9月定例議会においては,次期の鈴鹿市しあわせ環境基本計画に組み込んで策定していくと答弁させていただいておりますが,その方向性につきましても,次期鈴鹿市しあわせ環境基本計画に組み込んで策定していくほうがよいのか,それとも別計画として策定するほうがよいのか,改めて検討しているところでございます。

 次に,2点目の全庁的な意識づけについてでございますが,気候変動の影響は様々な分野,領域に及び,その対策には関係部署の全庁的な連携や共通認識を持つことが必要であることから,令和3年2月10日に名古屋大学大学院から杉山範子特任准教授を講師に迎え,庁内各部署より30名の職員を集めて,気候変動に係る職員研修会をオンラインにより開催いたしました。研修後のアンケート結果からも,気候変動の影響について最も関心が高かった項目は,自然災害,沿岸区域への影響についてでございました。また,気候変動の影響により実際に起きている影響や適応策の具体事例について関心があるとの記述がございました。

 なお,この研修会の映像と資料につきましては,現在,映像の編集中でございまして,当日参加できなかった職員につきましても閲覧することができるようにし,情報共有する予定でございます。
 以上でございます。

○副議長(南条雄士君) 都市整備部長。
             〔都市整備部長 棚P研一君登壇〕
○都市整備部長(棚P研一君)
 それでは,私からは気候変動適応対策についてのうち,気候変動適応対策の進捗について,都市計画としての答弁を申し上げます。

 議員御説明の気候変動適応対策につきましては,令和2年9月の定例議会におきましても答弁させていただきましたとおり,本市の鈴鹿市都市マスタープランでは,テーマ別都市づくりの方針の1つに,防災・減災の都市づくりを掲げ,その中で市民生活の安全安心の確保に向け,南海トラフ等による地震,津波や気候変動の影響と考えられる集中豪雨,土砂災害など様々な災害に対応するものとしてまちづくりを進めております。

 しかしながら,近年,毎年のように日本各地でこれまで経験したことのないような豪雨により深刻な水害や土砂災害が発生しており,議員御説明のように,気候変動への対策は喫緊の課題であると認識しております。

 また,今年度,三重県において改定されました鈴鹿市都市マスタープランの上位計画に当たる,整備,開発及び保全の方針では,都市づくりの方向性の1つに,災害に対応した安全性の向上が掲げられております。この三重県の整備,開発及び保全の方針を踏まえ,本市では,令和5年度に鈴鹿市都市マスタープランの全面改定を予定しており,令和3年度には,現行の鈴鹿市都市マスタープランの総括に着手する予定でございます。このことから,国が主催いたします鈴鹿川外流域治水協議会や三重県が主催いたします復興まちづくりの検討会に参加し,情報収集を行っているところでございます。

 本市としましては,引き続き,国,県等の動向に注視し,様々な情報の収集に努めるとともに,鈴鹿市都市計画審議会や地域の皆様の御意見をお聞きしながら,鈴鹿市都市マスタープランの改定の折には気候変動も視野に入れて,防災・減災の都市づくりに向け検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○副議長(南条雄士君) 土木部長。
              〔土木部長 坂本一彦君登壇〕
○土木部長(坂本一彦君)
 それでは,私からは,気候変動適応対策についてのうち,気候変動適応対策の進捗について,令和2年9月定例議会以降の流域治水への取組について答弁申し上げます。

 本市が参加を始めた鈴鹿川外流域治水協議会につきましては,令和2年8月24日に行われました第1回目の協議会以降,鈴鹿川流域における各関係者が取り組むべき内容について検討を行い,国土交通省中部地方整備局三重河川国道事務所による鈴鹿川水系流域治水プロジェクトの取りまとめが行われている段階でございます。第2回目の協議会が令和3年3月16日に予定されており,現在,関係部署との調整が行われております。

 本市のハード対策での取組といたしましては,鈴鹿川が氾濫することで市役所が浸水するリスクがあること,また,平成30年度に策定した鈴鹿市総合雨水対策基本計画におきましても,金沢雨水幹線及び六郷雨水1号幹線を重点地区の対策として位置づけていることから,現在行っております金沢排水区下水道(雨水)事業を取り上げており,当該事業の推進が鈴鹿川流域での治水に寄与するものと考えております。

 さらに,三重県が管理する2級河川,金沢川・堀切川・中ノ川の各水系におきましても,流域治水プロジェクトの策定に向けた検討が始まっておりますことから,鈴鹿川流域の場合と同様に,当該プロジェクトへも参加し,積極的に治水対策への取組を行っていきたいと考えております。

 また,議員の御説明にもございました海岸につきましては,令和2年7月に気候変動を踏まえた海岸保全のあり方検討委員会により海岸保全に関する提言が取りまとめられ,国土交通省及び農林水産省に提出されました。本提言には,海岸保全に影響する気候変動の現状と予測及び外力の将来変化予測を示し,今後の海岸保全を過去のデータに基づきつつ,気候変動による影響を考慮した対策へ転換する旨が示されております。

 現在,三重県により現行の海岸堤防の機能確保及び老朽化対策が実施されているところですが,提言の高潮対策,津波対策では,平均海面水位は徐々に上昇していくことから,今後,整備・更新する堤防,護岸,離岸堤等の海岸保全施設については,将来的に予測される平均海面水位の上昇量を加味すること,将来的に予測される潮位偏差や波浪を適切に推算して対策を検討することが示されました。

 また,浸食対策としては,モニタリングや全国的な気候変動の影響予測の実施等が示されておりますことから,国,県及び気象庁の将来予測等の動向に注視しつつ,本市が行うハード対策につきましても,必要に応じて調整を図っていきたいと考えておりますので,御理解くださいますようよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

○26番(中西大輔君)
 ありがとうございます。整理するために,地震はこの次の瞬間,起こってもおかしくない災害です。気象災害はある程度予測ができる,発生するとしても予測ができるというところで,対策として,やはり気象災害というのは,想定外というのはあまりないほうがいいと私は考えます。
 そういうことを考えながら,気候変動を踏まえた海外保全の在り方の中に書かれていることなんですけれども,気候変動の影響というのは社会全体の課題でもあると。海岸管理者だけではなくて,施設管理者や都市計画部局,また背後地の地域住民との連携が不可欠というふうに書かれているわけです。このことは非常に大事なことだというふうに思います。

 また,堤防等の高さの確保や耐震対策などについては,現状の予算規模が継続するとしても,計画上必要な水準までの整備が完了するには,数十年から百数十年程度の期間が必要になると推定されています。このあたりを踏まえて,都市整備部と土木部のほうでも検討のほうをいろいろしていただきたいなと思います。

 また,気候変動に関して,2月26日にオンラインセミナーで,気候変動・気候危機に対処するための施策・ファイナンス・情報基盤というのがあったので,受講していました。この中,経済産業省の方の話の中で,気候変動への適応というのもビジネスニーズとつながっているということがあって,改めてこの観点を忘れちゃいけないなと,はっとしたところです。また,日本の政策への組込みという観点では,各省庁の施策立案や評価において気候変動リスクというのをちゃんと組み入れましょうというのと,併せて,SDGsのほかのゴールも意識した観点の組込みということも提示されていて,この点については,鈴鹿市行政としても同じことなんじゃないかなと考えるところです。

 環境部から答弁をいただいたわけですが,気候変動適応計画は,しあわせ環境基本計画のほうに組み込むのか,また別立てで行っていくのかということを検討されているようですが,気象災害というのはある程度予測されて,同時に喫緊の課題ということを考えると,やはり気候変動の適応については個別に,早急に検討すべきと考えますが,それをしながら,どのように環境基本計画を整理するかということを検討してはどうかと思いますが,その点についての見解のほうをお聞かせください。


○副議長(南条雄士君) 環境部長。
○環境部長(鈴木佳明君)
 再度の御質問に答弁申し上げます。
 気候変動適応計画の策定につきましては,現在行っております鈴鹿市しあわせ環境基本計画の検証に基づき,その方向性等を早急に決定してまいりたいと考えておりますので,御理解賜りますようよろしくお願いします。

○26番(中西大輔君)
 ありがとうございます。そこで返答をいただいたので,進めていただけると期待します。
 気候変動への適応というのは,長期的な視点を必要とする課題ですので,だからこそやはり若い世代に自分事として参画していただくことというのは非常に大事だと私は考えるところなんです。なぜなら,私もちょっと51歳になったんですけど,50歳を超えている人間にとってのこれから20年先の社会と,20歳以下の世代にとっての20年後の社会というものは持っている意味とかリアルというのがやはり違ってくるものがあるというふうに考えるからなんです。

 昨年2月の質問では,IPCCの特別報告書から,温暖化を1.5度に抑えるために,適応及び緩和の選択肢の組合せを参加型の統合的な方法で実施することで,急速なシステム移行を可能にし得るとされていることを紹介させていただきました。これは,これからの社会全体に言えることだというふうに考えます。
 その際の答弁で,若者も含めた様々な年代の市民の方や市内の事業者の方々を対象に,計画の策定に向けて,気候変動適応についての勉強会や意見交換会などの開催を令和2年度から実施してまいりますとありましたが,冒頭の答弁にもありましたが,改めて市民参画について,その後の動きがどうなっているのか,現在の考え方も含めてお聞かせください。


○副議長(南条雄士君) 環境部長。
○環境部長(鈴木佳明君)
 それでは,3点目の市民参画について答弁申し上げます。
 令和2年2月定例議会において,気候変動適応計画の策定に向けて,市民や市内の事業者を対象とした勉強会や意見交換会を開催していく旨の答弁をさせていただいておりますとおり,市民参画の必要性は十分に認識いたしております。
 先ほど答弁させていただきましたとおり,気候変動適応計画の策定につきましては,現在実施しております鈴鹿市しあわせ環境基本計画の検証結果を基に,鈴鹿市しあわせ環境基本計画と気候変動適応計画の策定について,その方向性と策定スケジュールを早急に決定していきたいと考えております。
 そのような状況でございますので,市民や市内の事業者を対象とした勉強会や意見交換会など,市民参画の方法等につきましては,計画策定の方向性及びスケジュールの調整過程において,その方法等につきまして,具体的に決定していきたいと考えておりますので,御理解いただきますようお願い申し上げます。

○26番(中西大輔君)
 ありがとうございます。気候変動のほうは,突然,教育委員会のほうにちょっと物を言うんですけれども,教育内容としても非常に,課題探究型学習とかでも取り上げやすい領域だと思いますので,ぜひともいろいろな資料,公開されているものがありますので,取り上げて,反映していただければなと思いますので,よろしくお願いします。