2022年 6月(一般質問) 1.いじめへの取り組みについて (1) 2020年から2022年3月の間の相談実績等について (2) 教職員間のいじめ事例について (3) 関係者の心のケアと支援について (4) 義務教育期間外の子どもへの支援は (5) 傍観者への対応について ********************** 本日は,いじめの対応と物価高騰に対する給食費の対応についてお聞きしたいと思います。 まず,いじめについてからお聞きしていきます。 今年の4月から全ての企業でパワハラ防止措置を行うことが法的に義務化されました。また同じ4月,内閣府男女共同参画局から有権者や議員等から実際に受けた,または見聞きしたハラスメント事例を基に,政治分野におけるハラスメント防止研修教材が公表されています。 資料の映写,お願いします。 〔資料をスクリーンに示す〕 資料3ですが,こちらのほうで関連して,政治分野におけるハラスメントの防止についてという資料が出ていまして,ハラスメントの説明の中に,相手の人格や尊厳を侵す人権問題で,被害者が心身に支障を来し,最悪の場合には自死を選ぶ場合もありますとあります。このことから,この問題については,旭川市での女子生徒のいじめによる凍死事件というのが記憶に新しいところで,それを考えれば,大人のハラスメントという言葉はいじめにも通じるものがある。このことから,今回の質問も構成していっています。 そこで,いじめについて整理したいと思います。 〔資料をスクリーンに示す〕 こちら,鈴鹿市のいじめ対策基本方針から引用したもので,資料1なのですけれども,いじめとは,法第2条と県条例第2条での定義として,児童等に対して,当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人間関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって,当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものとあります。 資料2のほうです。 〔資料をスクリーンに示す〕 こちらのほうで,基本方針の4ページで,ここで具体的ないじめの対応といじめの捉え方が示されています。映写のほうをせずに言葉で説明します。 捉え方の中に,いじめは重大な人権侵害であり,人間として絶対に許されない行為であると書かれていまして,この視点が非常に重要だというふうに考えるところです。 これから大人のハラスメントと子供のいじめというのは同じ地点に立っていて,人権問題として考えることが教育現場でも非常に重要になってくるというふうに考えるところです。 社会もハラスメント対策の取組を早めており,また,コロナ禍から抜けつつある今,改めて子供のいじめについて考えたいということが今回の質問の趣旨です。 そこで,2020年から2022年3月末の期間において,市内児童・生徒の間でのいじめ案件について,学校で相談として受けた事案は何件あったのでしょうか。件数をお聞かせください。 そして,さらにその中から解決支援委員会の案件になったものは何件だったでしょうか。 また,解決支援委員会の案件のうち,出された報告書に対して,関係者の方は所見書を提出することができますが,提出された案件は何件だったのか,説明のほうをお願いします。 ○議長(宮木 健君) 教育長。 〔教育長 廣田隆延君登壇〕 ○教育長(廣田隆延君) それでは,中西大輔議員御質問のいじめへの取組についての1点目,2020年から2022年3月の間の相談実績等について答弁を申し上げます。 いじめ事案は,本人や保護者からの訴え,教職員の気づき,周りの児童生徒や地域の方々からの通報,また各学校で年間3回行っているいじめについてのアンケート調査等により認知いたします。 本市において,認知しましたいじめの件数につきましては,文部科学省による児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査で県教育委員会を通じ文部科学省に報告しております。 2020年4月から2021年3月までの報告件数は531件,2021年4月から2022年3月までの報告件数は,速報値ではありますが,635件でございます。認知した全てのいじめ事案について,各校で面談や教育相談等を行い,適切に対応しております。 次に,いじめ問題解決支援委員会に報告のあった事案の件数は,2022年3月までに4件でございます。また,いじめ問題解決支援委員会で取り上げ,調査を行った事案のうち,市長への調査報告書に保護者からの所見書が提出された事案は2件でございました。 以上でございます。 ○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。 〔17番 中西大輔君登壇〕 ○17番(中西大輔君) ありがとうございます。 所見書のほうは,市長が精読した上で,報告書と照らし合わせた上で,必要があると考えた事案に対しては再調査を行う調査委員会を設置して取り組むということだと思いますが,これまでに実例はあったのかということをお聞かせいただきたいことと,また出された所見書に対して,提出された方に対する検証結果などが伝えられることはあるのでしょうか。 また,提出して終わりということであれば,出された方からすれば,どのように判断が行われたか分からず,疑念が増す可能性を懸念しますので,その点の透明性ということは非常に重要かと考えますが,考え方をお聞かせください。 ○議長(宮木 健君) 教育委員会事務局参事。 ○教育委員会事務局参事(楠田謙治君) それでは,所見書に関する議員の再質問に答弁申し上げます。 文部科学省が示すいじめの重大事態の調査に関するガイドラインでは,教育委員会の附属機関である鈴鹿市いじめ問題解決支援委員会において,いじめの重大事態の調査を行った場合,教育委員会は,調査結果及びその後の対応方針について,市長に対して報告・説明を行うこととなっております。そして,調査結果を地方公共団体の長等に報告する際,被害児童生徒・保護者は調査結果に係る所見をまとめた文書を当該報告に添えることができる。学校の設置者及び学校は,このことを,予め被害児童生徒・保護者に対して伝えることとも示されております。 このことから,鈴鹿市いじめ問題解決支援委員会における調査結果を被害児童生徒・保護者に提供する際には,被害児童生徒・保護者からの所見を市長への報告書に添えることができることを説明しており,被害児童生徒・保護者から所見が提出された場合には,教育委員会から市長への報告書に添えて提出しております。 教育委員会から市長への報告・説明を行った事案の中で,市の附属機関である鈴鹿市いじめ調査委員会を設置し,再調査することとした事例もございます。 いじめの重大事態の調査に関するガイドラインでは,市のいじめ調査委員会が再調査を行う必要があると考えられる場合として,調査等により,調査時には知り得なかった新しい重要な事実が判明した場合または新しい重要な事実が判明したものの十分な調査が尽くされていない場合,事前に被害児童生徒・保護者と確認した調査事項について,十分な調査が尽くされていない場合,学校の設置者及び学校の対応について十分な調査が尽くされていない場合,調査委員の人選の公平性・中立性について疑義がある場合と示されており,これらの場合には,市長は,再調査の実施について検討することとなります。 以上でございます。 ○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。 〔17番 中西大輔君登壇〕 ○17番(中西大輔君) ありがとうございます。 非常に繊細な問題ですので,これ以上は追及しませんが,やはり透明性という部分について,説明の部分について丁寧に行っていただくことを期待します。 それでは,もう1つの点ですが,いじめというのが学校だけということではなくて,先ほど挙げていますが,鈴鹿市いじめ対策基本方針のいじめの定義の解釈の中では,一定の人的関係として,学校の内外を問わず,塾やスポーツクラブ等当該児童生徒が関わっている仲間や集団と記述があります。実際のところ,今の子供さんたちというのは,学校とは別にいろいろな活動に参加する子も多いと思います。例えば,スポーツ少年団活動などでは,現在,1つの学校区だけではなくて,複数の学校区から寄っている場合もあるわけですね。活動している子も多いと思います。このような中で,学校外の活動の場でいじめやハラスメントの事例があった場合,どこに相談することになるのかというのが気になるところです。 そこで,学校外でのいじめやハラスメント事例について,さきにお聞きした期間内でどれだけ実例があったのかということをお聞かせいただきたいと思います。 また,解決への取組は,どのような体制で取り組まれているのか,併せてお聞かせいただきたいと思います。お願いします。 ○議長(宮木 健君) 教育委員会事務局参事。 ○教育委員会事務局参事(楠田謙治君) それでは,学校外でのいじめ事案について,議員の再質問に答弁申し上げます。 学校外でのいじめ事案の件数は,令和2年4月から令和3年3月までは68件,令和3年4月から令和4年3月までは,速報値ではありますが,73件でございます。 いじめは,学校内だけの問題ではなく,児童生徒が学校の教育課程外で参加する様々な活動場面で起こり得る問題と捉えております。 教育委員会では,いじめ防止基本方針にのっとり,鈴鹿市PTA連合会,スポーツ少年団,鈴鹿警察署,法務局,児童相談所等,児童生徒に関係する様々な団体・機関の代表者で構成される鈴鹿市いじめ問題対策連絡協議会を設置しております。この協議会において,いじめ防止の取組等についての情報交換を行い,いじめの問題について,相互に連携協力を進めることで地域と連携し,地域全体で児童生徒を見守り,学校外でのいじめ事案に対応できるよう体制づくりに取り組んでおります。 以上でございます。 ○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。 〔17番 中西大輔君登壇〕 ○17番(中西大輔君) ありがとうございます。 学校内の事案についても,学校外の事案についても,速報値の段階とはいえ,どちらも増加している。これから活動が活発になってくれば,学校外も増えてくることが予想されますので,未然の対応等もぜひ今の委員会のほうで検討していただくことを期待したいと思います。 そして,学校という場に関連してお聞きしたいと思いますが,2019年,神戸市で教職員間でのいじめ事案がありました。そこで,2020年から2022年までの間,鈴鹿市内の学校や教育委員会内で,教職員間でのいじめやハラスメントの事例があったのかということを知りたいと思います。あれば,その数をお聞かせください。 また,教職員間でいじめやハラスメントが発生した場合,どのような手法で解決に取り組まれているのかの説明のほうもお願いします。 ○議長(宮木 健君) 教育長。 ○教育長(廣田隆延君) それでは,中西議員御質問の教職員間のいじめ等のハラスメント事例について答弁を申し上げます。 2020年から2022年までの期間で,三重県教育委員会の懲戒処分の指針に該当する市内教職員のいじめ等のハラスメント事案の報告はありませんでした。 もし教職員の中でいじめ等のハラスメントが発生した場合は,管理職が中心となって,プライバシーに十分配慮しつつ,必要な調査を行うなど,事案の内容に応じ,適切に対応してまいります。 職場内で解決することが困難な場合や管理職などに相談できない場合は,三重県教育委員会の相談窓口がございます。また,鈴鹿市教育委員会においても,学校教育課が窓口として対応をいたしております。 以上でございます。 ○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。 〔17番 中西大輔君登壇〕 ○17番(中西大輔君) ありがとうございました。 教職員間での事例はゼロ件ということですが,隠れている可能性はないかということを懸念するところです。なぜかというと,当然ながら,児童生徒は敏感ですので,そのような空気があれば,それを感じ取ってしまう可能性がある。ですので,学校内でのハラスメント事例がないよう,事例として挙がってこないよう,細心の注意を払っていただきたいと思います。 以上を受けて,お聞きしたい論点が3点あります。 1点目ですが,まず,先ほど所見書のほうでも少々関係するところもあろうかとは思うんですけれども,やはりいじめに関係することになった子供さんや御家族に対する心のケアや支援の現状が論点として出てきます。これは,単純に被害者,加害者ということだけではなく,いじめ問題に関係する人全てに考えられることです。 その中で,少なくともいじめの対象になっている子供さんや御家族というのは,相談を受ける時点で,まずいじめを受けているという現実を認めるというところにもエネルギーが必要になります。そこから相談に向かっていくという段階で,やはりエネルギーが必要になってくるというふうに考えられるわけです。 相談の過程の中では,周りの人に助けてもらっているというふうに思う反面,負担をかけていると感じることなども重荷になることが考えられるわけで,そのような心理的な負担を軽減する支援が必要と考えるところです。 また,いじめを受けたことによって深く心に傷を負うこともあって,その場合は,短期的な心のケアだけではなく,中長期的な支援,場合によっては社会生活との関係や子供の発達を支える支援からの中長期的な支援も必要になってくることが考えられるわけです。 何度も挙げていますが,いじめ対策基本方針の中にも,このような支援に関する記述はありますので,鈴鹿市として,いじめに関係することになった子供さんや御家族にどのような支援を行っているのか。途切れのない支援の視点が必要と考えますが,現在の取組についてお聞きしたいと思います。 ○議長(宮木 健君) 教育長。 ○教育長(廣田隆延君) それでは,議員御質問の3点目,関係者の心のケアと支援について答弁を申し上げます。 各学校では,学校いじめ防止基本方針を策定し,いじめの問題が発生した際の具体的な対処要領を定めており,いじめを認知した場合,一人の教員が抱え込むことなく,学校は組織的に事実確認を行います。 まず,いじめを受けた児童生徒への対応ですが,いじめを受けた児童生徒が受けている心理的な圧迫感をしっかり受け止めるとともに,友人等からも情報収集を行い,事実関係の把握を正確かつ迅速に行います。いじめを受けた児童生徒への聞き取りの際は,心情を十分に理解しながら,本人の訴えを真摯に,共感的に受け止め,不安の解消を図ります。また,情報共有やスクールカウンセラー等と連携してカウンセリングを勧める等,いじめを受けた児童生徒の心のケアに努めます。 一方,いじめを行った児童生徒への対応ですが,いじめを起こした背景や時間的な経過等,できるだけ具体的な状況を把握いたします。その際,単に事実だけを追及するのではなく,いじめを行った児童生徒の課題を生活背景等と関連させて明確にいたします。また,いじめを行った児童生徒への指導の際には,心理的な孤立感,疎外感を与えることのないように配慮しながら,いじめを行った児童生徒本人の言動が相手を傷つけていることに気づかせ,反省を促すとともに,相手の人格や人権を尊重することの大切さを理解させ,今後の行動に導いてまいります。 さらに,保護者への対応ですが,いじめを受けた児童生徒の保護者には,学校の対応や経過について正確に伝え,謝罪方法と今後のケアへの取組について説明し,理解と協力を依頼いたします。 いじめを行った児童生徒の保護者には,事象の具体的な内容やいじめを受けた児童生徒の心情を正確に伝え,今後の学校の取組について理解と協力を依頼します。その際,いじめを行った児童生徒の課題解決のための具体的な支援について話し合いを行います。 このように,学校は特定の教員が問題を抱え込むことなく,児童生徒の目線に立ち,保護者と連携しながら,学校全体で組織的に対応いたします。 さらに,いじめに係る行為がやんで相当期間継続し,かつ,いじめを受けた児童生徒が心身の苦痛を感じていないことが面談等により確認されるまで,学校全体で組織的な見守りを続けます。 教育委員会といたしましては,学校からのいじめ事案の相談を受けた際には,定期的な学校訪問の中で,授業観察や見守りを行い,子供の様子等を学校と情報共有しながら,きめ細かな支援が行われるよう指導しております。また,全ての教職員がいじめはどこの学校でも,どの子にも起こり得る問題であるという共通認識に立てるように,日頃からいじめを把握した場合の対処の在り方,いじめに関わってしまう可能性のある児童生徒の深い理解等,いじめの未然防止や早期対応について研修を行っております。 以上でございます。 ○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。 〔17番 中西大輔君登壇〕 ○17番(中西大輔君) 答弁のほう,ありがとうございます。 午前中の河尻議員の質問ですね,教育と福祉の連携というところとも重なってくるところが多いかと思います。 そこで,2点目としてお聞きしたいのですが,一義的に市教育委員会としていじめの解決の対象というのは,義務教育期間の小中学生ということになると思います。ただ,そうなると,義務教育期間を過ぎた子供さんたちに対する市教育委員会としていじめやハラスメントに対する支援の考えや取組がどうなっているのかということが気になってくるところです。 義務教育を終えてすぐに働く子もいれば,高等教育機関のほうに進学する子もいたりするわけです。また,そうではない選択をする子も考えられますが,どのような形であれ鈴鹿市に住んでいることには変わりはなくて,その子たちがいじめやハラスメントについて相談したいと考えたときにはどうなるのか。教育委員会として,学校のいじめ相談の延長でフォローすることは可能なのでしょうか。途切れのない支援を鈴鹿市教育委員会としても考えていただきたいという主旨で,現状をお聞きしたいと思います。 ○議長(宮木 健君) 教育長。 ○教育長(廣田隆延君) それでは,議員御質問の4点目,義務教育期間外の子供への支援はについて答弁を申し上げます。 義務教育を終え,中学校を卒業した子供からいじめやハラスメントの相談があった場合についてでございますが,相談内容をしっかり受け止めた上で,子ども家庭支援課に情報提供を行うとともに,相談内容によって,市や県の相談窓口なども紹介し,支援につなげてまいりたいと考えております。 以上でございます。 ○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。 〔17番 中西大輔君登壇〕 ○17番(中西大輔君) ありがとうございます。 教育委員会として相談を受ける考えはあることと,子ども家庭支援課や市や県の相談窓口を紹介していただくという点は分かりました。ただ,相談する立場,子供さん,児童生徒の立場から考えると,やはりいじめやハラスメントの相談窓口は1つのほうが分かりやすいと考えますが,教育長,いかがでしょうか。 ○議長(宮木 健君) 教育委員会事務局参事。 ○教育委員会事務局参事(楠田謙治君) それでは,いじめやハラスメントの相談窓口に関する議員の再質問に答弁申し上げます。 教育委員会といたしましては,困ったときの相談窓口として,いじめSOSテレフォン,いじめSOSメール,こども人権相談電話,子どもに関する相談窓口といった鈴鹿市のいじめの相談窓口及び三重県のいじめ電話相談について記載したチラシやクリアファイル等を定期的に配布しております。また,法務省人権擁護局における事業,手紙で悩み相談ができる子どもの人権SOSミニレターにつきましても,小中学校に配布をしております。さらに,学校から児童生徒に,相談窓口が記載された資料等を配布する際には,第三者に相談したいことがあれば,電話,メール,手紙など,自分が相談しやすい方法で相談できることを周知しております。 これらの相談窓口のある機関と教育委員会は連携しておりますので,鈴鹿市の小中学生から相談が寄せられた場合,関係小中学校に情報を提供するとともに,対応に当たっております。 教育委員会といたしましては,相談できる場所や方法が複数あることを児童生徒,保護者に周知し,相談しやすい環境を整えることが重要であると考えておりますので,ご理解賜りますようお願い申し上げます。 ○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。 〔17番 中西大輔君登壇〕 ○17番(中西大輔君) ありがとうございます。 それでは,3点目として,人権教育やいじめ防止の観点からの教育というのは,教育委員会としても力を入れられているところと思います。その中で,いじめに対して声を上げない子や上げられない子への働きかけについて,教育現場でどのように取り組まれているのかということをお聞きしたいと思います。 資料の映写のほうをお願いします。 〔資料をスクリーンに示す〕 鈴鹿市いじめ対策基本方針のいじめの捉え方の中では,森田洋司氏などによるいじめの四層構造からなる集団の課題として,被害者,加害者に観衆と傍観者で捉えることが記述されています。 この図からは,被害者にとって,加害者も観衆も傍観者も,実は濃淡こそあれ,自分を囲んでいる存在であって,自分は囲まれてしまっているという,行き場がないと感じる状況,孤立感が作り出されていると考えられます。 そう考えると,その孤立感というのはより被害者を追い込んでいる可能性はあるのではないかという視点での取組というのが必要になると思います。 そのようなことを考えて資料を当たっていると,少し古いですが,1999年の教育社会学研究の64,橋本摂子氏のいじめ集団の類型化とその変容−傍観者に着目してに行き当たりました。 こちらのほうでは,縦軸をいじめに対する行動として,上側を同調行動に,下側を黙認・不介入に,横軸の左側は被害者寄りとして批判・同情,右側は加害者寄りとなって同意・支援を置いて,傍観者を分類しています。 これらの資料から考えられることというのは,いじめに対してどのような向かい方をしたのかなどを自分で認知する機会を傍観者となっている児童生徒さんたちにつくっていくことで,そのような立場になる子供さんの割合をどれだけ減らせるか,また,どれだけ解決に対して向かっていく子を増やせるかがいじめ対策のポイントになるだろうということです。 さきにもありましたが,いじめは人権問題,基本的人権の尊重にも関わることだという意識を育てることと併せて,観衆や傍観者への働きかけという視点からの児童生徒への取組の現状をお聞かせください。 ○議長(宮木 健君) 教育長。 ○教育長(廣田隆延君) それでは,議員御質問の傍観者への対応について答弁を申し上げます。 児童生徒がいじめの傍観者にならないための指導は重要であると考えております。 まず,人権教育につきましては,各小中学校において,人権教育カリキュラムを作成し,子どもの権利条約についての学習を位置づけ,教育活動全体を通して計画的に進めております。また,特別の教科道徳,学級活動をはじめ,学校の教育活動全体を通して,お互いを思いやり,尊重し,生命や人権を大切にする態度を育成し,友情の尊さや信頼の醸成,善悪の区別や正義と勇気等について適切な指導に努めております。 次に,児童生徒の発達段階に応じた主体的な取組といたしまして,対人関係を築く基礎となるソーシャルスキルトレーニング,中学生の生徒会研修会におけるいじめ防止の劇,異年齢でいじめ防止について協議する中学校区の人権フォーラム等,いじめを許さず,いじめを見抜く人権感覚を持ち,自ら行動できる子供の育成に努めています。 さらに,年に3回実施しているいじめについてのアンケートの中で,今,いじめられている人を知っていますか,いじめを見たり聞いたりしたときに,やめるよう言ったり,誰かに伝えたりすることができますか等,児童生徒が傍観者にならないよう質問項目の工夫も行っております。加えて,いじめを認知した場合は,迅速かつ組織的に対応するように取組を推進し,いじめを許さない集団づくりを進めるよう学校に指示をいたしております。 これらの取組等において,今後もいじめの傍観者になることなく,主体的にいじめの防止に取り組む児童生徒の育成に努めてまいります。 以上でございます。 ○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。 〔17番 中西大輔君登壇〕 ○17番(中西大輔君) ありがとうございます。 いじめやハラスメントの対象になっている子が孤立感を深めていかないような声かけ等,やはり傍観者の中からいじめなどを容認しないという行動ができることを増やす教育,取組に期待したいと思います。 まとめとなりますが,ここまでいろいろと子供のいじめについてお聞きしてきましたが,子供と学校の関係だけではなく,やはり義務教育期間外の子供さんへの支援もそうですし,そこから子供の成長と合わせた途切れのない支援,また保護者の方も含めた心のケアや支援,教員間のいじめやハラスメントの対応などなど,子供のいじめというところからは,いろいろな社会課題とのつながりが見えたように思います。子供への支援という観点からすれば,やっぱり学校内について答弁いただきましたが,いじめやハラスメントについて,相談電話や窓口を一本化したほうがいいんじゃないかというふうに感じたわけなんですね。 そこで,現時点では,教育委員会にとどまらず,部局をまたいだ状態になっているわけですけれども,今回の質問を通じて,教育委員会のほうからその点について,鈴鹿市内で一本化できるか,できないかという課題について取り上げていただいて,庁内で取り組む体制づくりの実現に向けて取り組んでいただいてはどうかと期待するわけですが,その点の考えをお聞きしたいと思います。 ○議長(宮木 健君) 教育委員会事務局参事。 ○教育委員会事務局参事(楠田謙治君) それでは,議員の再質問に答弁申し上げます。 議員からは,相談電話や窓口の一本化を御提案いただいておりますが,現在のところ,教育委員会といたしましては,先ほど答弁申し上げましたが,相談できる場所・方法が複数あることで,児童生徒は自分に合った相談しやすい窓口を選ぶことができると考えておりますので,御理解賜りますようお願い申し上げます。 ○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。 〔17番 中西大輔君登壇〕 ○17番(中西大輔君) 相談に当たっては,やっぱり一本のほうが分かりやすい。受け手の子供の側,児童生徒の側に立った取組のほうを検討していただくことを期待して,1つ目の質問のほうを終わらせていただきます。 |