2022年12月 一般質問

1 財政運営について
 (1) 経常経費増加に対する考え方について
 (2) 基金のあり方について
 (3) 財源確保の考えについて

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○17番(中西大輔君)
 議席17,市民の声,中西大輔です。
 通告に沿って,財政運営と空き家・空き地対策について質問を行います。
 午前中,森議員も取り上げていましたが,スペインに日本が勝って,予選1位で決勝トーナメント進出ということで,1998年の初出場から考えて,感慨深いなと思っています。ほぼ25年たっているわけですけれども,鈴鹿市として,サッカーというコンテンツとどう向き合っていくのかなということも気になるところです。
 また,昨日,鈴鹿市制80周年記念式典が執り行われて,1つの区切りが過ぎました。70周年の際も議員だったわけですけれども,感慨深いもので,ただ,今日からは次の10年に向けての始まりで,次の世代につないでいくという意識で質問を行いたいと思います。

 それでは,資料1の映写を。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 鈴鹿市オープンデータから作成した年度末人口のグラフです。2003年以降の人口を表していますが,2009年の20万4,469人を頂点にして,2022年の人口は19万6,919人へと減少しています。この動きは社会増で,転出が増えたということもありますが,自然増減のほうで,出生数が減少していることと,併せて死亡数の増加によるものと言えます。
 このような人口についてですが,近年,日本全体で1年当たり約60万人強の人口減少が続いていますが,それは,考えれば,毎年,鈴鹿市が3つ消えていっているとも考えられるわけで,この状況は無視できないというふうに考えるところです。
 そして,このグラフからは,1万人の人口変動ですね,増えたり減ったりにかかる時間を考えることができて,今の状態から上昇基調に転換するにしても,また,その上で総人口を増やすことを考えても,相当な社会変化と相応の時間がかかることが想定されます。

 このような人口の動きを念頭に置いて,質問を進めていきます。

 来年度から医療費の助成制度である子ども医療費の所得制限がなくなることというのは,子どもの権利として平等になるもので,評価したいと思います。
 一方で,それにより子ども医療費が予算ベースで6,500万円増加,財源面では,県の支援も考えられると思いますが,少なくとも市の一般財源から数千万円近く経常経費が増加することが予想されるでしょう。

 また,誰もが安心して健康で地域に住み続けられる地域共生社会の実現と,そのための重層的支援体制の構築ということも課題になっていまして,このような地域での相談支援体制の構築に当たっては,コミュニティソーシャルワーカーなどの専門職の雇用が必要になってくることが考えられて,市が直接雇用するにしても,社会福祉協議会の補助を増額の形で雇用を考えるにしても,経常的経費の増額を考える必要が出てくると考えます。

 それと,市長も先般9月にもおっしゃられておりましたが,小児救急体制を整備するにも相応の経常経費が必要になってくると考えるところです。

 これらは民生費に関するものですが,鈴鹿市の課題として,やはり教育にどれだけお金をかけていくかということも課題でして,そのほかの目的別歳出の項目でも必要となってくる事業は多いはずです。

 経常的経費の増加は,政策的経費との関係の中で,市独自で使い道を考えることのできる財源,一般財源に影響が出ることであり,これがあまり減り過ぎると,将来的に政策の選択肢が狭まる可能性を含んでいます。
 そこで,中項目1,経常経費増加に対する考えをお聞きしたいと思います。

 資料2の映写を。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 これ,よく出しているものですけれども,総務省の市町村決算カードから作成したグラフになっています。
 グラフの赤線ですが,2009年以降,経常経費に充てられる一般財源の額が右肩上がりになっています。かなり使ってきているということですね。そこで,この固定費となる経常経費の増加要因について,特に直近10年間における主要な政策や,そのほかの要因などについて,簡潔に説明をお願いしたいと思います。
                〔資料の提示を終了〕


○議長(宮木 健君) 政策経営部長。
             〔政策経営部長 森 健成君登壇〕

○政策経営部長(森 健成君)
 それでは,中西議員御質問の財政運営についての1点目,経常経費増加に対する考えについて,直近10年程度の間における主要な政策や要因を答弁申し上げます。

 まず,地方財政状況調査におきましては,歳出での経常的経費は,投資的経費を除く人件費,物件費,扶助費,公債費などが主な経費でございます。その金額につきましては,10年前の平成24年度の普通会計ベースの決算額では約475億円でございましたが,直近の令和3年度の決算では約527億円となっており,10.9%,約52億円の増となっております。

 増加した主な内容を性質別で申し上げますと,人件費が約18億円,物件費が約9億円,扶助費が約29億円の増加となっており,公債費につきましては約13億円の減少となっております。

 人件費につきましては,定員を適正に管理していく方針の下に,職員の増加による人件費の増大を必要最小限に努めているところではございますが,増加となった要因につきましては,会計年度任用職員,いわゆる非正規雇用の職員につきまして,会計年度任用職員制度が導入される令和元年度以前は,その雇用に係る経費を物件費として集計しておりましたが,令和2年度以降は,人件費として集計することとなったことが主な要因でございます。

 なお,令和3年度の会計年度任用職員の人件費が約17億円でございますことから,残りの約1億円が正規職員等に係る人件費の増加分となります。

 次に,物件費でございますが,こちらは人件費とは逆に,平成24年度の決算額には非正規雇用の職員の雇用に係る経費を含んでおりますことから,純粋な比較を行うことができませんが,令和3年度の会計年度任用職員の人件費約17億円を足して比較しますと,約26億円の増となっております。

 要因としましては,少子高齢化社会の進展,生活や教育の中でのICTの導入など,社会の変化に対応した様々な行政課題に向き合うための事業や取組を展開してきており,中学校給食の実施や全児童生徒への情報処理端末の配備など継続的に実施する事業費が増えていること,また,10年前と比べますと物価や賃金が上昇しており,また消費税率の引き上げもございましたことから,物品購入や各種委託業務の費用の底上げも物件費の増加につながっているものと考えております。

 次に,扶助費でございますが,少子高齢化社会への対応,障害者の自立支援など社会保障に係るサービスの需要が高まり続けておりますことから,子ども医療費や障害福祉サービス事業費などが増加しており,経常的経費の中では最も大きな伸びとなっております。
 以上でございます。

○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。
              〔17番 中西大輔君登壇〕

○17番(中西大輔君)
 ありがとうございます。経常的経費が増加してきているということで,右肩上がりということは,この先がどこまでかというのは非常に気になるところになってきます。その部分についてお聞きしていきたいと思います。

 資料2の映写をお願いします。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 先ほどと同じグラフなんですけれども,先ほどの質問では,固定費となる経常経費の右肩上がりの部分ということをお聞きしたわけですけれども,逆に,このグラフの青線で表示されているものが毎年固定で入ってくる税収である経常一般財源の動きを示したものになっています。

 緑は,それに臨時財政対策債を足したものとなっていて,この動きというのが非常にこれから重要になってくるのかなと思います。2009年,つまりリーマンショックのあったときですけれども,ここを転機として,動きというのは気になるところでして,過去の質問などでも,このようなグラフを用いていろいろとお聞きしてきたところです。

 そこで,改めて鈴鹿市として自由度を持って政策的に用いることのできた金額の推移と,今後の動向についてはどのようなことが想定されるのか。決算ベースで,決算額と経常経費の割合も踏まえながら,現時点の考えをお聞かせください。
                〔資料の提示を終了〕


○議長(宮木 健君) 政策経営部参事。

○政策経営部参事(仲道達也君)
 それでは,市が独自で政策に用いられる財源の推移について答弁申し上げます。

 まず,経常的経費の決算額につきましては,先ほど答弁しましたとおり,10年前の平成24年度は決算額では約475億円でございましたが,令和3年度の決算額では約527億円となっており,基本的には右肩上がりで推移しております。

 全体の決算額に占める割合につきましては,臨時的な経費の決算額が年度により大きく増減しますので,一定の傾向で推移しているものではございませんが,おおむね75%から85%の間で推移しています。

 次に,市が独自で政策に用いられる財源について,市税などの市が経常的に収入できる一般財源を,先ほど申し上げた経常的経費に充当した上で,残った額と仮定した上で申し上げますと,平成24年度の決算額では約32億円で,令和3年度では約46億円となっており,約14億円の増加となっております。こちらにつきましては,過去10年間で増減しながら推移しており,最も少ないところでは平成29年度の約23億円,最も多いところでは令和3年度の約46億円となっております。

 自主財源の根幹でもある市税につきましては,経済動向により増減がございますことから,年度間の増減が行政運営に支障を来たさないように普通交付税等による依存財源で補完しながら推移しているところではございますが,国の地方財政措置の動向によっても増減に影響がございます。
 以上でございます。

○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。
              〔17番 中西大輔君登壇〕

○17番(中西大輔君)
 ありがとうございます。
 もう一度,資料2の映写をお願いします。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 問題になってくるのは,この赤の線と青の線が入れ替わったときにどのようなことが起こるのかということでありますし,また,今,余裕をつくっているのは,臨時財政対策債も含めた緑の線の幅ということを考えると,やっぱりいろいろなことを考えていかないといけないのかなと思います。

 その中で,グラフの中の黄色線で表されている部分なんですけれども,これは地方税の動きを表しています。2011年以降,じわじわと上がってきていたものが,2020年で小さなピークというか,山の形になって,これを機会に減少をしているということになります。

 同じところで,グラフ青の部分なんですけど,経常一般財源等が上向いているのは,主に地方交付税の交付額の増加であったり,固定資産税の動きが関係しているのかなというふうに考えるところです。

 この地方税の動きについて,主な要因の説明と,この動向は一時的な動きと考えられるのか,それとも人口減少下でこの傾向は続くと考えているのか,現時点の考えをお聞かせください。
                〔資料の提示を終了〕


○議長(宮木 健君) 総務部長。

○総務部長(ア英城君)
 それでは,地方税収の動向についての御質問につきまして答弁申し上げます。
 本市における令和3年度地方税収入につきましては,主な税目として,個人住民税及び固定資産税の減収に伴い,前年度より約7億2,000万円減少しております。この主な要因といたしましては,新型コロナ感染症の影響によるもので,個人住民税につきましては給与収入が減少したこと,また固定資産税につきましては中小事業者等に対する償却資産と事業用家屋に係る負担軽減措置が実施されたものに伴うものでございます。

 今後の地方税収の動向についてでございますが,個人住民税につきましては,給与収入は新型コロナ感染症の影響による減少からやや回復傾向にあるものの,大幅な増加は見込めないため,令和3年度と同程度で推移するものと見込んでおります。

 固定資産税につきましては,令和3年度に実施しました負担軽減措置が単年度のみの措置であったことから,減少は一時的なものであると見込んでおります。

 なお,今後の人口減少や高齢化に伴う生産年齢人口の減少などの影響により,本市の地方税収の見込みにつきましては厳しい状況であると認識しております。
 以上でございます。

○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。
              〔17番 中西大輔君登壇〕

○17番(中西大輔君)
 ありがとうございます。いろいろと地方税の動きについても考えなければいけないところがたくさんあると思います。

 それでは,資料3の映写をお願いします。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 中項目2の部分になりますが,市の貯金である基金の在り方をお聞きしたいと思います。
 基金には,使う目的に自由度がある財政調整基金と,地方債返済での活用が目的とされている地方債減債基金,そして使い道が決まっている特定目的基金がありますが,資料のグラフはそれらの動きになります。
 2021年度末の財政調整基金の残高を見ると,残りの2つの動きは気になるところなのですが,全体としては,よく言えば堅実な財政運営が確保されていると考えますし,その点については,次世代のことを意識されていると考えまして,一定評価をしたいところです。

 しかし,人口が減少していく中で,将来世代の選択余地を残すことを考えるとき,現役世代は現在の残高をもってよしとするのではなくて,より慎重に基金の残高や運用の在り方を考える必要があると考えます。
 実際,教育委員会関係になりますが,天野奨学金の原資が枯渇したことで,市独自の奨学金がなくなったことを考えると,基金の存在の重要性というのが見えるのではないでしょうか。

 財政調整基金についてですが,このグラフの中にも数字で少し見えますが,2021年度末残高82億円で,一見すると余裕があるように見えるのですが,現在の事業規模程度の予算を編成するに当たっては,財政調整基金から30億円から40億円程度,繰り入れる考えが必要で,それを差し引くと,実際のところ,約40億円程度が余裕部分と考えることができるのかなというふうに考えます。

 また,財政調整基金につきましては,大規模災害の際に被災者支援などでも活用が考えられる基金であることも考慮に入れるべきでしょう。その上に,箱物としての公共施設や道路などのインフラ施設の改修,教育ICT機器の更新,防災スピーカーなどの修繕,更新費用を確保しておくことは,将来世代への責任の意味からも必須と考えるところです。

 そこで,確認したいと思います。
 少し事例を挙げましたが,今後10年程度の間に必要となる大規模投資や想定される支出というものにはどのようなものが考えられるのでしょうか。主なものを聞かせていただきたいと思います。
 また,ちょっと公共施設のほうで挙げるものですが,将来的には市立体育館,市民会館,考古博物館,ここ市役所本庁舎などなど,大規模施設の改修というのが目白押しの時期が来ると思います。そのためには,特定目的基金の公共施設整備基金を積み上げることは重要と考えるのですが,金額が多いに越したことはないとは思いますが,どの程度の額を積み立てることが妥当と考えられているのか,そのための財源確保の展望などについて,現時点の考えをお聞かせいただきたいと思います。
                〔資料の提示を終了〕


○議長(宮木 健君) 政策経営部参事。

○政策経営部参事(仲道達也君)
 それでは,中項目の2点目基金の在り方についてのうち,10年程度の間に必要となる大規模投資の内容について,また,大規模施設改修等に向けた基金確保の展望について答弁申し上げます。

 今後,必要と見込まれる大規模投資につきましては,既存の公共建築物の建て替え,長寿命化改修等の予定を計画した公共建築物個別施設計画に掲げているところでございます。
 同計画では,次期推進期間である令和6年度から令和17年度までの12年間で必要となる各年度の更新等の費用が示されております。

 公共建築物個別施設計画につきましては,令和6年度の改訂に向けて,現在,見直しの作業を行っているところでございますが,現在の計画に計上されている更新費用等は,12年間で約650億円と見込んでおります。
 このほかにも,全児童生徒に向け配備いたしました情報処理端末の更新や学校給食センターの調理設備の更新なども,この10年の間には実施していく必要があるものと見込んでおります。

 次に,大規模施設改修等に向けた基金確保の展望についてでございますが,先ほど申し上げました12年間で約650億円の事業費を財政調整基金や公共施設整備基金からの繰入金のみでの対応は不可能な状況でございます。また,財政調整基金の残高につきましては,標準財政規模の少なくとも1割程度は維持していく必要があるものとされております。さらには,近年,全国的に発生しております集中豪雨による被害など,本市で発生するかもしれないことや経済不況等の不測の事態を想定しますと,ある程度の基金残高を確保しておく必要があるものと考えられるところでございます。

 実際に,大規模施設改修等を行う際には,財源を基金や市税などの自主財源のほかに,補助金や地方交付税などの国からの財源措置も積極的に活用しつつ,現役世代と将来世代の費用負担の公平性にも考慮しながら,必要に応じて市債を発行してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。
              〔17番 中西大輔君登壇〕

○17番(中西大輔)
 ありがとうございます。もう一度,資料3の映写のほうをお願いします。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 次にお聞きしたいのは,このグラフの赤線で表示されているところの地方債減債基金についてなんですけれども,目的は冒頭にも申しましたが,地方債の将来的な元利償還に備えるための基金ということですが,鈴鹿市では2013年度の44億円を頂点にして,以降,23億円に減少しています。この基金をあまり減らすことは,将来世代に対する責任としてどうかというふうに考えるのですが,残高の余裕はどの程度かなど,現在の考え方をお聞きしたいと思います。
                〔資料の提示を終了〕


○議長(宮木 健君) 政策経営部参事。

○政策経営部参事(仲道達也君)
 それでは,地方債減債基金は何年程度の余裕があるかということでございますが,地方債減債基金の令和3年度末時点での残高は約23億円でございまして,令和4年度予算で計上しております4億円の繰入金を除きますと,本年度末時点での残高が約19億円の見込みとなっております。

 満期一括償還の市債の財源として交付税措置された分を基金に積み立て活用してきた時期もございましたが,現在はそのような対象がございませんので,現状の基金の活用方法としましては,元利償還金に対する交付税措置のない市債の発行を抑制したり,臨時財政対策債の発行可能額上限までの借入を行わない場合に必要となる財源として地方債減債基金を活用しております。したがいまして,一定額でありますとか毎年度あらかじめ計画された額を繰り入れているものではございませんので,何年程度の余裕があるかを見込むことは難しい状況でございます。
 以上でございます。

○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。
              〔17番 中西大輔君登壇〕

○17番(中西大輔君)
 ありがとうございます。何年程度,見込めるかは分からないということですけれども,この地方公共団体の基金について,内閣府主催で今年4月に開かれた経済・財政一体改革推進委員会の第31回国と地方のシステムワーキンググループにおける総務省説明資料として公開されている,地方財政の見える化についてというものがあります。これを参考にすると,現時点で国では,地方公共団体の基金の考え方,増減の理由,今後の方針に関し,統一的な様式での公表,一覧化により見える化を推進と考えられています。いずれこれは地方公共団体に下りてくるところだと思いますが,それを念頭に置いてお聞きしたいと思います。
 現時点で結構ですので,鈴鹿市における今後の基金積立の考えと展望についてお聞かせください。


○議長(宮木 健君) 政策経営部長。

○政策経営部長(森 健成君)
 それでは,今後の基金積立の展望について答弁申し上げます。
 基金積立につきましては,財政調整基金は,地方財政法の規定に基づき,毎年度決算剰余金の2分の1以上の積立を行っております。その他の特定目的の基金につきましては,原資となる寄附金などの収入があったときに積立を行っております。

 そのほかの理由で基金積立を行う場合には,目的と目標額を定めて計画的に行う必要がございますが,現時点ではその予定はございません。しかしながら,先ほど答弁いたしました今後見込まれる大規模投資に対しましては,計画的に財源を確保した上で事業を実施する必要があるものと考えております。
 以上でございます。

○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。
              〔17番 中西大輔君登壇〕

○17番(中西大輔君)
 ありがとうございます。内閣府,国のほうの動きを考えると,今の説明以上に詳細なものが必要になるかなというふうに思いますし,財政調整基金があるからということで,災害対応はそれをもってよしとするのではなくて,想定される被害からどの程度の額が手元になければいけないのかということも検討するべきなのかなと。その意味では,特定目的基金化の考えというのも検討が必要なのかなというふうに考えるところです。

 それでは,中項目の3点目のほうに移ります。財源確保のための考えをお聞きしたいと思います。
 人口減少の中での経常的経費の増加と地方税収の今後,基金の状況などをお聞きしてきたわけですけれども,次期総合計画策定に入っている今,財政運営の考えが非常に問われるところだと思います。

 財源確保策としては,人口増加による税収増や経済持ち直しに期待を持つことも大切と考えますし,そのような取組に力を入れることは,部署を問わず行政全体の課題として,職員の方々に自分事として取り組んでいただくところだというふうに考えます。ですが,その過程の中では,現状の精査が必要になることは避けられないということでお聞きしたいと思います。

 国の財政状況を考えると,今後,地方交付税と臨時財政対策債の発行に関して,楽観的な展望や希望的な観測をし過ぎることはちょっとまずいのかなと,できないかもしれないなと考えることが必要と思います。とすれば,市独自の財源確保策として,市民税や固定資産税などの歳入増への取組,予算計上の際の不用額などの精査やその上での予算配分の見直し,歳出削減策として,事業全体を精査した事業仕分けやフルコスト計算を導入しての精査,その上で,経常経費を見直したり,義務的経費の精査を行い,また公民連携の推進によって民間活用を行うことで,そのような財源確保に取り組むことになってくるのかなというふうに考えます。

 義務的経費についてですけれども,公債費と扶助費というのはかなり減らすことは難しいというふうに考えます。ということで,人件費ということになってくるかと思います。
 そこで,財政運営,財源確保策について,市長の考えをお聞きしたいと思います。


○議長(宮木 健君) 政策経営部長。

○政策経営部長(森 健成君)
 それでは,財源確保の考えについて答弁申し上げます。
 人口減少,少子高齢化が進む中,地方税収の増収を見込むことも難しく,厳しい財政状況が続くと見込まれる状況下における財源確保のための考えにつきましては,まず行政経営の観点から,これまでに取り組んでまいりましたトータルマネジメントシステムの推進により限られた経営資源,人,物,金,情報などの効率的・効果的な配分と活用に継続的に努めてまいります。

 次に,公共建築物等の適正管理の観点から,令和3年度当初予算編成時から維持修繕費検討委員会を立ち上げ,公共建築物の修繕必要箇所について劣化破損度,利用危険度等の評価基準に基づく評価シートを作成し,専門的見地から技術職員による優先順位づけを行い,予算化を行っております。これにより,予防保全も含めて,適切な時期に修繕を行いながら,計画的な大規模改修,長寿命化改修につなげるように努めてまいります。

 また,今後も公共施設マネジメントによる公共建築物の保有量と運営管理の適正化に努め,公共建築物の建て替え,長寿命化改修等については,公共建築物個別施設計画の財政的な実行可能性について再度,慎重な検討を行ってまいります。

 次に,行財政改革の観点から,PPPの推進のため,指定管理者制度やPFI,民間委託などの導入に係る取組に継続的に努め,効果的な財源の活用による経費の縮減とサービスの向上を図るとともに,ICTの活用による業務の効率化に努めてまいります。こうした取組と併せ,新たな財源確保に向け,地域資源を活用し,地方創生につなげるために,ふるさと納税及び企業版ふるさと納税を推進してまいります。

 また,デジタルトランスフォーメーションの推進を背景としたテレワークによる移住促進をはじめ,UIJターンによる起業や就職者の創出,結婚・出産・子育てしやすい環境の整備などに積極的に取り組むことで,関係人口の創出や定住者の拡大を図り,地域経済の活性化も図りながら,自主財源である市税収入のさらなる確保に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。
              〔17番 中西大輔君登壇〕

○17番(中西大輔君)
 多方面にわたって説明いただきましたが,全てを行うに当たっては覚悟が必要で,じゃあ,覚悟というのは何かといったら,こうしたいと思いますではなくて,実際に政策を行うための財源確保を真剣に考えることかなというふうに考えます。

 そこで,資料4の映写のほうをお願いします。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 先ほど,財源確保策の1つとして人件費のことを少し取り上げましたが,その中でも,地域手当に着目して考え方をお聞きしたいと思います。
 見直してはどうかということなんですけれども,こちら,資料のほう,映写しているものは,総務省の令和2年地方公共団体別給与等の比較3,職員1人当たり諸手当月額の内訳のデータを利用して作成したものです。
 地域手当というのは国家公務員を対象にしたもので,勤務地によって生じる支出の差を埋めるための制度になっています。

 この表を見ていただくと,鈴鹿市は県下13市の中で諸手当の合計額は上から3番目,中でも地域手当は県下最高となっています。鈴鹿市は,1人当たり4万172円の支給ということで総務省のほうのデータはなっているわけですけれども,津市は2万200円,四日市市は3万2,400円という形になっています。

 この3市の地域手当の金額が違うのは,支給割合の違いからきているもので,津市は6%,四日市市は10%,鈴鹿市は12%となっています。このことは,等級地という考えで法のほうで整理されていまして,鈴鹿市は四級地,四日市市は五級地,津市は六級地で,桑名市と亀山市が同じ,七級地,実はこれ,3%なんですけれども,名張市と伊賀市ということになっています。
 ちなみに,鈴鹿市内の公立小中学校で働いている教員の方々は県の支給割合が適用されていまして,鈴鹿市内のその方々に対する地域手当は4.7%という数字になっています。

 等級地につきましては,全国賃金構造基本統計調査の10年平均などを参考にして,国家公務員の給与に関する一般職の職員の給与に関する法律の第11条の3で,当該地域における民間の賃金水準を基礎とし,物価なども考慮して決められるという考えになっているということです。

 資料5の映写をお願いします。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 これは2020年の市町村決算カードなどから作成したものです。先ほど申しましたように,地域手当そのものは国家公務員の制度ですので,じゃあ,地方公共団体自治体の職員給与をどのようにして比較してみようと考えまして,収入,税収の部分で整理して考えてみました。

 この資料を見ていただくと,市民1人当たりで見ると,四日市市,津市,鈴鹿市で比較しているんですけれども,地方税全体で,鈴鹿市が約16万円に対して,四日市市は約23万6,000円,津市は約15万円,そのうち市町村民税ですが,鈴鹿市と津市は約7万円,四日市市は約8万円という形になっています。

 このような形で比較して見ると,鈴鹿市の税収の力というのは,実際のところは津市と同じと考えられるのではないかと。そこから考えると,地域手当の支給割合というのは,国のほうの法律では12%になっているけれども,津市と同等の6%で考えるほうが自治体として,地方公共団体の実力としては適切ではないかなと考えます。
 先ほど申しましたように,1人当たりの地域手当は,鈴鹿市が4万172円,津市は2万200円ですから,津市と同じ金額にすると仮定すると,1人当たり約2万円を市の歳入のほうに戻すことができ,令和2年度の職員数1,435人で考えると,約3,000万円の経費抑制が可能と考えられます。ここを議論しない手はないと私は考えるところです。

 決して,この質問をするに当たって,私,職員の方が憎いと思ってやっているわけではありません。市民の方から,鈴鹿市は市民税が高いの知っとるかと声をかけられることがありますし,学校の安全施設や道路などをはじめとして,いろいろな市民要望に対して財源,お金がないことが理由に出てくる現状を考えると,財政運営の中で独自財源を増やすために地域手当の見直しを考えずにいられないだけです。
 今後の財政運営,財源確保に当たって,地域手当の見直しを提案しますが,鈴鹿市の考えをお聞かせください。
                〔資料の提示を終了〕


○議長(宮木 健君) 総務部長。

○総務部長(ア英城君)
 それでは,地域手当の見直しについての御質問に答弁申し上げます。

 本市におきましては,地方公務員法第24条第2項の均衡の原則により,適正な給与水準で,国及び他の地方公共団体との均衡が失われないようにすべきとの考えから,国家公務員に準拠した支給割合で地域手当を支給しているところでございます。

 地域手当につきましては,国が平成17年の人事院勧告に伴い,地域の民間賃金水準を公務員給与に適切に反映させることを目的として,平成18年度から新たに設けた手当でございます。
 本市におきましても,国家公務員の給与制度改正に準じて,平成18年度から新設しております。
 地域手当の支給額は,給料の月額等に支給割合を乗じて得た額となり,主に民間賃金の高い地域に勤務する職員に対して支給されます。支給地域及び支給割合につきましては,人事院規則等に規定されております。

 支給地域は,厚生労働省が実施している賃金構造基本統計調査の賃金指数を基礎とし,当該地域における物価等を考慮して,1から7までの級地に区分されて定められております。
 支給割合は,その級地区分に応じて1級地の20%から,7級地の3%までございます。
 支給地域等につきましては,10年ごとに見直すこととなっており,平成18年度の新設から平成27年度の見直しを経て,現在,本市の級地区分は4級地で,支給割合は12%でございます。

 平成18年度の地域手当制度導入当初の支給割合は2%でございましたが,その後,1年ごとに段階的に引き上げてまいりました。引上げの過程におきましては,平成21年度に支給割合を6%から8%に引き上げるところでありましたが,世界金融危機,いわゆるリーマンショックによる急激な経済情勢の悪化を考慮し,支給割合の引上げを行わず,6%のままで据え置いた経緯もございます。

 このような経緯もあることから,人口減少等により市の財政状況が厳しくなる中で,職員の給与は市民の方からの関心も非常に高いものであるため,地域手当のみならず,給与改定に当たりましては,地方公務員法に定める給与決定の諸原則等を踏まえ,市民の方への説明責任が果たせるよう適切に対処する必要があるものと考えております。
 以上でございます。

○議長(宮木 健君) 中西大輔議員。
              〔17番 中西大輔君登壇〕

○17番(中西大輔君)
 ありがとうございます。
 最後に,今るる地域手当の説明をしていただいたわけですけれども,やはりこれから厳しい社会情勢の中で,鈴鹿市としてどれだけ政策を実現していくのか,市民の皆さんの思いを実現していくのかということが非常に大事になると思います。そのことで,地域手当を取り上げさせていただきましたが,これをきっかけに,やはりいろいろ,職員の方々にとっても自分事として市政を考えていただく,また市民の皆さんと一緒に考えていくということが鈴鹿市にとって必要だと思います。それが現行の総合計画で挙げられている市民力,行政力の向上の重要な部分でもあると思います。その視点の重要性を訴えて,大項目の1つ目を終わります。