2024年 6月(一般質問)
1. 子ども政策について
 (1) 現在の状況について
 (2) 今後の取り組みについて


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○25番(中西大輔君)
 議席25番、市民の声中西大輔です。通告に沿って、2点、子ども政策と学校規模適正化・適正配置について問います。
 私もジュニアバレーの指導者を始めまして、かれこれ20年近くになって、その子たちを通していろんな人生を垣間見ているところもあります。また、自分にも孫ができまして、昨日もお風呂に入れたりしていて、この子らが大人になったときにどういう世の中になるんだろう、そういうことを真剣に考えずにはいられません。
 そういう私ですが、市民としてしあわせ環境基本条例の検討委員会に、議員としては地産地消条例や議会基本条例の策定に関わっています。議会のほうでは、一般質問を通じて子どもの権利や主権者教育、夜間救急、学童保育など、子供が関連する課題というものを取り上げておりますし、また2019年から2023年まで5年間は地域福祉委員会に所属して、地域政策、福祉政策、子ども政策に取り組んできました。その中で、先進地視察を行ったり、また、いろいろなシンポジウム、地方自治と子ども施策、全国シンポジウムなどに参加してきました。
 以上のような経験から、鈴鹿市の現在の子ども条例の制定、策定の流れに懸念を持っています。それは、条例制定という結果にとらわれていないか、子供の参画が不十分ではないかというところです。

 国のほうでは、昨年4月にこども基本法が施行、12月にはこども大綱が公表、そしてつい先日、こどもまんなか実行計画2024が示されました。今後、努力義務ですが、市町村の実行計画策定が求められることになります。
 三重県でも、子供を虐待から守る条例の改正の動きがあり、県子ども条例の見直しも県議会などでも議論に上がっていると聞くところです。
 このように、国と県で動きがある中、鈴鹿市の条例制定は、やはり制定という結果ではなく、議論の過程、取組の過程が非常に重要だと考えます。

 そこで、まず子ども条例の策定状況、こども基本法施行後の主な取組、そして中高生年代以降の若者世代への政策の取組、鈴鹿市役所職員の子どもの権利に対する理解、学校現場での権利学習などについて、それぞれ現状をお聞きしたいと思います。

○議長(池上茂樹君) 子ども政策部長。
            〔子ども政策部長 坂本悦子君登壇〕
○子ども政策部長(坂本悦子君)
 それでは、中西議員御質問の子ども政策についての1点目、現在の状況について答弁申し上げます。
 子ども条例制定の進捗状況についてでございますが、子ども条例の制定に関しては、令和5年10月に、鈴鹿市子ども・子育て会議において鈴鹿市子ども条例(仮称)検討部会を設置し、本市の子供を取り巻く現状把握とともに、子供の意見をしっかりと取り入れるための意見聴取の在り方等に関して、時間をかけて重点的に検討を行ってまいりました。

 そして、子供の意見聴取の取組として、本年1月には、本市の公立小中学校に通う児童生徒を対象としたアンケート調査を実施いたしました。このアンケート調査は、質問項目の一つ一つについて、委員の方々と意見を交わしながら作成し、各小中学校の協力の下、1万人を超える児童生徒からの回答を得ております。
 このほか、未就学児や小学生の保護者、高校生や一般の方、外国人学校に通う児童生徒を対象としたアンケート調査を行い、また、子供支援関連団体を対象とした意見交換会を実施するなど、子供に限らず、様々な意見聴取の機会をつくり、幅広く取り組んでまいりました。

 これらの取組の結果から、子どもの権利に対する理解が年齢を重ねるとともに深まっていることが分かり、その後の検討部会では、これらの結果も加味し、改めて本市の子ども条例が目指す方向性について意見交換を行ってきております。その中には、条例の制定それ自体が子どもの権利に関しての子供たちの学びにつながるといった意見や、子どもの権利を守るためには、まずは大人自身が子ども条例を我が事としてとらえることができるような周知・啓発の取組が必要であるといった意見も頂いており、これらの意見は、条例制定に向けた今後の取組における重要な指針となっております。

 この4月には、5回目となる検討部会を開催し、条例の骨子案につながる事項について協議を行ったところであり、今後は、委員の方々からこれまでにいただいた様々な御意見を踏まえながら、全庁的に検討を重ねた上で、制定に向けた取組を進めてまいります。
 なお、令和5年4月にこども家庭庁が発足し、こども基本法が施行され、12月にはこども施策に関する大綱、いわゆるこども大綱が策定・公表されました。また、国のこども未来戦略における加速化プランで示された具体的な施策を実施するため、今国会においては、子ども・子育て支援法の改正法が可決・成立し、今後はますます子供に関する施策の充実が図られることとなります。
 本市におきましても、この4月にスタートいたしました鈴鹿市総合計画2031に基づき、子供施策のより一層の推進に努めてまいります。

 子ども条例の制定の過程においては、子ども政策部だけではなく、全庁的な周知を図り、また、子どもの権利も含めた条例に関する議論を行い、職員への理解促進に努めているところでございます。
 また、子どもの権利学習につきましては、これまでも各学校においてしっかりと取り組んでいただいておりますが、本市の子ども条例の制定を機に、教育委員会事務局とのさらなる連携を図ってまいりたいと考えております。
 一方で、若者の居場所づくりなど、高校生を含めた若者世代への取組につきましては、現時点では対応しきれていない部分があることも事実でございますので、今後の課題として検討を重ねてまいります。
 以上でございます。

○議長(池上茂樹君) 中西大輔議員。

              〔25番 中西大輔君登壇〕

○25番(中西大輔君)
 今の答弁で思うところがありますが、それは中項目2のほうで取り上げさせていただきます。
 それでは、中項目2のほうをお聞きしたいと思いますが、先ほどおっしゃられていましたが、4月18日に第5回の子ども条例検討部会があって、こちらのほうでおっしゃられたように、条例に盛り込まれることが望ましい事項についてというものが取り上げられ、議論され、今後、条例骨子案を作成、スケジュール上では、6月は条例審査会で審議、7月に行政経営会議と議会調整、8月にかけてパブリックコメントが行われ、来年1月に条例案が議案提出され、4月に施行というスケジュールとなっております。
 ですが、答弁にありましたが、基本法から大綱、こどもまんなか実行計画の国の動きと県での関連条例の見直しや計画策定の動きがある中、市条例策定を現在のスケジュールで進めることに疑問を持ちます。
 行政だけの判断だけではなくて、やはり全体的なものについて、検討部会の方々とこども大綱や市町村版こどもまんなか実行計画との関連性なども議論していただく必要があるのではないか。また、市議会の提言も尊重して、スケジュールにとらわれない条例策定をすることが重要でしょう。



 資料6、映写してください。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 こちらのほうですが、昨年12月に公表されたこども大綱の目次を映写しています。この資料では、まず第1 はじめに、第2 こども施策に関する基本的な方針、第3 子ども施策に関する重要事項があります。第3は、またそれが1 ライフステージを通した重要事項、そして2 ライフステージ別の重要事項、3 子ども当事者への支援に関する重要事項と分かれています。

 資料7の映写をお願いします。
              〔資料をスクリーンに示す〕
 こちらのほうでは、第4とありまして、子供施策を推進するために必要な事項が書かれてあり、そこには1 こども・若者の社会参画・意見反映、2 こども施策の共通の基盤となる取組、3 施策の推進体制等と分かれます。この3のところに実行計画であったりが入ってくるということになりますが、基本的にこども大綱に基づいて重要な施策がまとめられていくことになります。
                〔資料の提示を終了〕



 これを見ても、国と県の動きを踏まえながら市条例の位置づけを議論すること、そのために条例策定スケジュールの見直しが必要と私は考えます。

 また、このずれについてですが、一例ですが、市のほうが先ほどの条例に盛り込むべき事項の中で取り上げていることで、子供についての規定が18歳未満のすべての者とされています。しかし、こども基本法の第2条では、「この法律において「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいう」ということで、ずれが既にあります。なお、このずれがあるとどのようなことが起こり得るかということは、鈴鹿市における思春期から青年期の政策に影響が出ることが考えられるわけです。

 実際、それが先ほどの答弁にありましたが、若者世代への取組については、現在では対応しきれておらず、今後の課題として検討していくとあったことが象徴と言えます。この点についても、地域福祉委員会の中でも若者政策は大事ですよということを何度も言ってきても、この状態だということです。

 また、公立小中学校に通う児童生徒や高校生などにアンケート調査を行ったとありましたが、それで十分なのでしょうか。それは意見聴取であって、参加・参画ではないと思います。
 こども基本法第11条には、こども施策に対するこども等の意見の反映があって、こども大綱には、こども・若者の社会参画・意見反映があります。そして、市の望ましい事項の中にも、子供の意見表明及び参加の促進があります。
 条例策定でアンケートのみでよしとすることは、これらを十分に尊重していない、取り組んでいないということではないかと私は考えます。

 また、さっき言いましたように、法などを尊重するのであれば、市内小中学校や高校で参画を前提とした説明や意見聴取の在り方、また関心を持つ方々へのシンポジウムやワークショップなどを開催して、事前に声を聞いて、条例案に生かすことということは必要ではないでしょうか。あわせて、市役所の中でも子どもの権利についての理解を深め、業務の中で関連性を考えることということも取り組まれるべきだと考えます。

 以上、鈴鹿市の子供施策を進めるために、条例策定のスケジュールを見直し、こども基本法やこども大綱、こどもまんなか実行計画、三重県の動向を踏まえながら、立ち止まって鈴鹿市条例の議論を行ってはどうか。策定過程で子供・若者の参画と意見表明を尊重した取組を追加すべきと意見しますが、鈴鹿市の考えをお聞かせください。

○議長(池上茂樹君) 子ども政策部長。
○子ども政策部長(坂本悦子君)
 それでは、議員御質問の2点目、今後の取組について答弁申し上げます。
 先ほども申し上げましたとおり、こども基本法が定めるこども大綱につきましては、政府が策定を行い、令和5年12月に公表されております。
 こども大綱には、常に子どもの最善の利益を第一に考え、子ども・子育て支援に関する取組・政策を社会の真ん中に据えて、子どもの権利を主体として保障し、健やかな成長を社会全体で後押しすることにより、こどもまんなか社会を実現していくことがその使命であると記されており、6つの基本的な方針が掲げられております。

 1つ目として、子どもや若者を権利の主体として尊重し、権利を保障し、最善の利益を図ること、2つ目として、子どもや若者、子育て当事者の意見を聞くこと、3つ目として、子どもや若者、子育て当事者のライフステージに応じて、切れ目のない十分な支援を行うこと、4つ目として、良好な成育環境を確保し、貧困と格差の解消を図り、全ての子どもや若者が幸せに成長できること、5つ目として、若い世代の生活基盤の安定を図り、結婚や子育てに希望が持てるような支援や取組を進めること、6つ目として、地方公共団体や民間団体との連携を重視し支援することでございます。
 これらの方針は、現在、本市が制定を進めております子ども条例と同じ方向性であるという認識の下、先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、検討部会におきましては、子供や子育て当事者の視点を尊重し、意見を聞くことの重要性を委員の方々と共有した上で、子供や保護者の方などを対象とし、アンケート調査を実施しております。

 また、こども大綱が示す基本的な考え方を踏まえ、本市の子ども条例におきましても、子供を権利の主体として尊重し、最善の利益を図ること、子供が自分の意見を表明し、社会に参加しやすい環境づくりを行うこと、子供や子育て当事者への状況に応じた適切な支援を行うこと、このような内容について、4月に開催しました検討部会でも確認し、御審議いただいたところです。なお、この5月には、こども大綱に基づき、具体的に取り組む施策を取りまとめたこどもまんなか実行計画が策定・公表され、今後は、国において、施策の実施状況やこども大綱に掲げた数値目標や指標などを検証・評価し、継続的に施策の点検と見直しを図ることで、子ども施策のPDCAの推進に活用するとされております。
 こども大綱やこどもまんなか実行計画が目指すこどもまんなか社会の実現と、本市が子ども条例の制定によって目指す子供や子育てにやさしい地域社会づくりは、同じ理念の下で推進されるべきであると考えておりますので、双方の整合性に関しましては、今後も引き続き検証を重ねてまいります。

 また、現在、三重県におきましては、子どもの権利を守ることを目的として、三重県子ども条例の改正に向けて検討を進めている動きもございますので、国だけでなく、三重県の動向も注視しながら、本市の実情に沿った子ども条例を検討してまいります。
 なお、市町村こども計画に関しては、令和6年2月定例議会における公明党の代表質問への答弁において、本市においても、今後、策定を検討する旨、申し上げているところでございますが、こども基本法第10条第2項で示されているとおり、現時点では、その策定は努力義務とされております。

 現在、本市では、令和7年4月にスタートする第3期鈴鹿市子ども・子育て支援事業計画の策定に向けた取組を進めているところであり、本市といたしましては、まずは、この第3期鈴鹿市子ども・子育て支援事業計画の策定にしっかりと取り組むことで、本市の子供施策の推進を図ってまいります。

 また、現在、三重県においては、三重県子ども条例の改正だけではなく、三重県版こども計画の策定の動きもございますことから、将来的には、こども大綱及び三重県のこども計画を勘案した上で、本市においても、鈴鹿市版こども計画の策定に取り組んでまいりたいと考えております。

 子ども条例の制定に関しましては、議員の御指摘のとおり、国や三重県において様々な動きがあり、その内容や方向性について随時確認することの重要性を認識し、これまでも慎重に検討を重ねてきており、今後も引き続き、このことを念頭に取組を進めてまいります。

 一方で、本市といたしましては、子ども条例の施行によって、子供や子育てへの支援を明確に表明し、子供たちの健やかな育ちを地域社会全体で支えることで、より実効性のある施策をこれまで以上に推進していくことも重要であるという認識もございますので、引き続き、現在示しているスケジュールに沿って、条例の制定に取り組んでまいります。

 今後につきましても、子供たちへの周知・啓発の取組のなかで、意見聴取と合わせた効果的な展開が図られるよう検討を重ね、子ども条例が施行された後も、国が目指すこどもまんなか社会の実現、そして本市が目指す子供にやさしい地域社会づくりの推進に向けて、子供の意見表明や社会参画の機会の確保にしっかりと取り組むよう努めてまいります。
 以上でございます。

○議長(池上茂樹君) 中西大輔議員。

              〔25番 中西大輔君登壇〕
○25番(中西大輔君)
 いろいろ答弁いただきましたが、結局、法に沿っていないというふうなところを言われているのかなと思いました。
 答弁をまとめると、スケジュールを変える気はない、子供若者については制定後に周知啓発と機会確保に取り組む。到底理解と納得はできない内容です。

 議場にいらっしゃる執行部の皆さんには釈迦に説法かと思いますが、日本国憲法の第93条、地方公共団体、地方自治なんですけれども、そこでは、地方公共団体には議会を設置することが書かれていて、その次に地方公共団体の長と議会議員を住民が直接選挙するということが書かれています。二元代表ということがこれですね。つまり、議会として意見がまとまったとき、やはり地方公共団体の職員にとっては、長と同等か、それ以上に配慮しなければいけないのではないでしょうか。そこで、先ほどの答弁を振り返ると、市議会からの提言を軽視しているとしか思えません。

 2019年度の市議会からの提言は、子どもの権利についてとして、条例制定を念頭に置き、検討には庁内組織をはじめ、民間機関、市民などからの幅広い意見聴取と市全体の事業検証を行うことが提言されました。しかし、1年後、この提言にどのように取り組まれたかという検証があったわけですが、そのときに執行部から答弁されたのは、ほぼゼロ回答でした。

 その説明を受けて、提言当時に委員長だった藤浪議員が強く憤られ、厳しく行政の姿勢を問われました。それ以降、こども基本法の制定もあったことから、市議会としてそれを注視していた時期もありました。
 そして、今年の1月に行われた2023年度の提言ですが、子どもの権利条例についてとして、スケジュールにとらわれることなく、有識者をはじめ、市民、子ども等の多様な意見をしっかり取り入れ、鈴鹿市の実情に即した条例を制定することでした。このときの委員長は現在の池上議長ですが、市の姿勢に真摯さはあるでしょうか。私はそうは感じません。

 市長公約、前回の統一選でありましたが、その3年前に議会から子どもの権利に関する条例の制定の提言があっても真摯に取り組まず、一旦動き出すと、自分たちの論理で進む行政というものは、議会軽視、市民軽視としか思えませんが、今回の答弁について、意思決定されたのは子ども政策部長なのか、それとも末松市長なのか、お答えいただきたいと思います。お願いします。

○議長(池上茂樹君) 子ども政策部長。
○子ども政策部長(坂本悦子君)
 それでは、再度の質問に対しまして答弁申し上げます。
 市議会からの提言につきましては、議員おっしゃられるように、令和元年、令和5年といただいております。

 今回、答弁させていただいた内容につきましては、令和5年の市議会からの提言を真摯に受け止めさせていただいて、それに対応する形で進めさせていただいているというふうな回答になっております。

 現在、今回提言を受けまして、鈴鹿市の実情に即した子ども条例とするために、子供をはじめとして様々な立場からの意見をしっかりと聞き、反映させることができるよう、本年2月にスケジュールを見直しをさせていただいて、施行日を令和7年4月と改めたという経緯がございます。

 多様な意見を取り入れるために、先ほど答弁申し上げましたように、いろいろな、高校生であったりとか一般の方たち、外国人学校に通う児童生徒にも調査を行い、団体を対象とした意見交換も実施して進めてきたところでございます。
 今回の進捗につきましては、市全体の考え方として捉えて進めておりますということを答弁させていただきます。
 以上でございます。

○議長(池上茂樹君) 中西大輔議員。

              〔25番 中西大輔君登壇〕
○25番(中西大輔君)
 答弁を聞いていても、子供の参画や意見表明ということに対する理解がいまいちじゃないかなと感じます。
 それで、この質問はこれで打ち切りますが、今朝、藤浪議員とお話をしたところ、今朝の公明新聞の記事のほうで、日本大学の末冨 芳教授の言葉のところがあったんですね。その中で、子供計画に関連して、言葉として「計画づくりにこども・若者の参画を進めてほしい」とありました。
 鈴鹿市では、まず条例づくりからというところになると思いますが、子供の参画と意思決定がほとんどない条例づくりの意義というのは何なのか、いま一度考えていただくことを意見しまして、1つ目の内容を終わります。
 それでは、次の項目のほうに移ります。