2024年 代表質問
令和6年度施政方針について
 (1) 財政に対する考えについて

  @ 経常的支出の抑制は
 (2) 「子どもが輝き 人と文化を育むまち」から
  @ 子育て支援と少子化について
  A 教育分野に関する考えについて
 (3) 「健やかに いきいきと暮らせるまち」から
  @ 地域における福祉について
  A 医療提供体制の整備に関して
 (4) 「生命と財産を守り抜ける 安全・安心のまち」から
  @ 災害対応について
 (5) 「自然と調和し 快適な都市環境を未来へつなぐまち」から
  @ 人口減少への考えについて
  A ウォーターPPPについて
 (6) 「持続可能な産業の発展と にぎわいや交流が生まれるまち」から
  @ 起業支援について
  A みどりの食料システム戦略について
  B スポーツツーリズムについて
 (7) 「みんなで支える 自分らしく生きるまち」から
  @ 多文化共生での地域住民支援について
  A 行政経営について



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○25番(中西大輔君)
 市民の声、中西大輔です。会派を代表して、施政方針からいろいろお聞きしたいと思います。
 自然についても、社会についてもいろいろな動きがあって、これから次の世代にどのような社会を残していくのか、私たち、非常に問われていると考えていますので、そのような観点からいろいろ、私がお聞きすることについて答弁をお願いしたいと思います。

(1) それでは、まず末松市長の財政に対する考え方と覚悟についてお聞きしたいと思います。
 総合計画2031の策定に当たって、前期基本計画期間の財政見通しが公表されています。その中では、収支は計画期間全体で約50億4,000万円の赤字が見込まれ、結果として2027年時点の財政調整基金の残高が16.7億円と推計されております。もちろん、世の中が安定していれば、税収が増えることも期待できるでしょうし、予算の適正な執行などにより予想より上向きになる可能性もありますが、災害などの要因があれば、さらに厳しくなることが予想されます。

 2050年の鈴鹿市の人口は15万7,000人と予測され、そのときの生産年齢人口は約8万人と予測されています。しかし、実際のところは、高齢者のほうで就労数が増えたとしても、16歳から22歳の一定数は進学等で就労人口には数えられず、今後25年間の税収を考えると、厳しくなっていくことが容易に想定されます。鈴鹿市を次につないでいくためには、やはり相当な覚悟が必要だということです。

 そのような中での施政方針ですが、子ども医療費の助成制度を18歳まで拡大する方向が示されております。そうなると、約1億3,000万円の財源が必要と聞くところです。本来、国が行うべき制度と考えますが、そうでなければ、鈴鹿市の経常的な支出が増えることになります。
 また、小学校屋内運動場へのエアコンの設置も取り上げられておりますが、今出ている数字を均等に数字で割ると、1年当たり約8,000万円負担があるということが分かります。ここに電気代も乗ってくるという形で、経常的な支出が増加します。
 ほかにも人件費、扶助費、公債費の義務的経費はここ数年、増える圧力は強いものであって、今後も経常的な支出が増える可能性は非常に高いと考えるべきです。少なくとも2億円以上は前年に対して増えていることは想定できます。

 このような中で、昨年の決算、令和4年度決算では、経常収支比率は92%で、財政は硬直化しています。新規事業で経常的な支出を増やすのであれば、さらにこの状況が悪化することが想定されます。経常的な支出の抑制、政策のビルド・アンド・スクラップに取り組むべきだと考えるところです。しかし、施政方針ではこのような観点ということがお聞きできませんでした。
 将来世代が政策選択できるまちであるためにも、私たち現在の世代は、財政運営について、覚悟を持って取り組むべきと考えます。市長の財政運営に対する考え方と覚悟についてお聞きします。

(2) 次に、子どもが輝き人と文化を育むまちからお聞きします。
 子育て支援について、いろいろな政策を述べておられました。それらについては、これまでの議論も踏まえ、妥当なものだと考えるところです。その上でお聞きしたいのですが、鈴鹿市の人口データで、2013年から2023年の動きを見ると、ゼロ歳から4歳人口は9,510人から現在まで、2023年度時点で2,634人減少しております。5歳から9歳の人口は9,957人から1,872人減少している。10歳から14歳人口は1万1,041人から1,834人減少しています。また、これに合わせて2013年時点でのゼロ歳から4歳人口について、5年経過時の推移を見ると、やはり減少傾向を示していて、人口自然減と社会減が進んでいるというふうに考えられます。
 国立社会保障・人口問題研究所による独身者対象の結婚に対する調査では、2021年時点で、いずれ結婚するつもりと考えている未婚者の方々の割合が18歳から34歳の男性では81.4%、同女性では84.3%です。また、一生結婚するつもりはないと答える未婚者は、男性で17.3%、女性で14.6%と増加しています。
 2023年5月に日本財団で行われた女性意識調査、少子化と子育てでは、「子どもは持ちたくない」との問いに、20.5%の女性が「持ちたくない」という回答を、「少子化解消のために、国や自治体、企業にどのような対策を求めますか」という問いの回答では、1位は賃金上昇、次に教育費の無料化、支援の拡大、そして3番目に出産・子育てに対する公的支援の強化となっています。これらから考えると、やはり鈴鹿市のこれまでの子育て支援の政策について、施策の成果を評価、検証して、その上で新しい子育て支援策や少子化対策が必要と考えるところですが、今回の施政方針でお聞きできませんでしたので、市長のお考えをお聞きしたいと思います。

 教育分野に関して、自らが暮らす地域や社会がよりよいものとなるよう、その形成に主体的に参画することができる子供たちの育成を目指し取り組む、非認知能力を育むことに力を注ぐと述べられ、その後、教育DXの推進に触れられ、デジタル教科書の活用や電子図書システムの導入を取り上げられていましたが、非認知能力についてはあまり述べられていらっしゃいませんでした。
 以前、一般質問でも社会力について取り上げましたが、子供たちが社会と関わることに対する市長の考えをお聞きしたいと思います。

 中学校の休日における部活動の地域移行について、旧態依然と休日の部活動を延長する考えは、子供たちが地域活動に参加する時間や機会、また家族との時間などを自分で選択することの制限につながるのではないかと危惧します。それは、非認知能力との関連から課題があると考えるのですが、子どもの権利も踏まえながら、市長の考えをお聞きしたいと思います。

(3) 健やかにいきいきと暮らせるまちからお聞きします。
 地域共生社会の実現、地域包括ケアシステムと国の言葉を使われる一方で、重層的支援体制の構築については、関連する施策については説明をされていましたが、この言葉は使われていませんでした。厚生労働省の地域共生社会のポータルサイトでは、この言葉が使われているのですが、なぜ使われないのかが気になるところです。
 重層的支援体制構築のうち、相談支援についてあまり述べられておりませんでした。昨年、議会のほうから提言を行った地域包括支援センターなどとも連携した地域相談支援拠点の設置という考えについて見られませんでしたので、市長の考えをお聞きしたいと思います。

 医療提供体制の整備に関して、鈴鹿回生病院の救命救急センターへの支援を述べられていました。内容はどのようなものか、説明のほうをお願いします。
 また、金銭的な支援を伴うのであれば、やはり同じ条件である亀山市に応分の負担を求めるべきと考えますが、市長の考えをお聞きしたいと思います。

(4) 生命と財産を守り抜ける安全・安心のまちからお聞きします。
 能登半島地震を取り上げられています。私も、議員研修で知り合った方が珠洲市の方なんですけども、被災されて、現在、別の町で避難生活をしているということをSNSで見かけます。被災地域の方々の一日も早い生活再建を願うばかりです。
 そこで、災害時における情報伝達について、スマホが一段と普及した中、導入を考えている総合防災情報システムはどのような形なのか、お聞かせいただきたいと思います。

 次に、受援計画の策定に触れられていますが、今回の地震からは、やはり事前復興の取組も重要と考えられます。関連して、2月27日、市役所のほうで三重県主催の検討会、勉強会が開催されていましたが、この取組を進めた担当課を評価したいと思います。
 今後、市独自の取組として、復興事前準備の考えを深めてはどうかと考えますが、市長のお考えをお聞きしたいと思います。

 気候変動の影響を取り上げ、治水・浸水対策の整備を進めると述べられています。気候変動適応策として、既存計画の浸水想定見直しに取り組むことや、流域治水の取組を政策に取り入れる必要があると考えますが、市長の考えをお聞きしたいと思います。

(5) 自然と調和し快適な都市環境を未来へつなぐまちからお聞きします。
 気候変動の影響に対して、カーボンニュートラル社会の実現という観点、また地域公共交通や上下水道事業について、いろいろと説明いただきました。しかし、鈴鹿市の今後を考えるとき、人口減少というのは避けられない要素なのですが、その点に関する市長の考えがお聞きできませんでした。人口減少によりスポンジ化する地域社会にどう向かい合うか、都市マスタープランでもコンパクトシティという形で述べられているのですが、一方、現在どのようにまちを賢く縮めていくのか、スマートシュリンクいう考え方も提唱されていますが、このような考えについて、市長の見解をお聞きしたいと思います。

 ウォーターPPPを取り上げられております。国のデフレ完全脱却のための総合経済対策に基づき、2031年度までの間に水道100件、工業用水道25件の具体化を目指すとされています。下水道については、この取組を進めるに当たって、管路と別に処理施設が市外にあることが課題になってくるのかなと考えるところです。また、想定にもし上水道が入っているとなると、飲料水は市民生活の安全と安心に関わることであり、相当に慎重さが求められると考えます。今回は、下水道についての調査研究ということですが、施政方針に盛り込まれた市長の考えをお聞かせください。

(6) 持続可能な産業の発展とにぎわいや交流が生まれるまちからお聞きします。
 市長は、市内での起業をどうお考えなのか。OKa-Bizのようなビジネスサポートセンターについての考えを、女性の起業支援という観点も含めながら、お聞きしたいと思います。

 農林水産業について、みどりの食料システム戦略などの考えを取り入れながらと述べられていました。実際、この戦略については、農業DXや地産地消の推進などを含めて、広範にいろいろな取組が書かれております。そうなると、鈴鹿市地産地消推進計画の下ではなく、みどりの農業システム戦略を取り入れ、各種政策と連携するほうが妥当と考えるところです。
 関連して、今回、施政方針の中では水産業関連の言及がありませんでした。みどりの食料システム戦略には、海藻類による二酸化炭素固定化、つまりブルーカーボンの取組も記述されているわけですが、藻場が再生されることは持続的な沿岸水産資源の育成にもつながることが考えられるのですが、一次産業全般に対する市長の考えをお聞きしたいと思います。

 貴重な地域資源としてモータースポーツを、新しい交流機会の創出としてeモータースポーツを取り上げられています。しかし、それぞれ鈴鹿市のスポーツ政策の中には位置づけられていないのはなぜでしょうか。これらどちらもかなりフィジカル、体力的な部分が必要とされていますので、考えをお聞かせいただきたいと思います。

 交流機会の創出についてお聞きしたいのですが、市内ジュニアスポーツ団体などが行っているほかの自治体の子供のチームを呼ぶ招待試合などがあります。これらは定住人口ではなく、関係人口の創出にもつながるなど、観光面とも親和性が高いと思いますので、その点も踏まえながら、スポーツツーリズムについて市長の考えをお聞きしたいと思います。

(7) みんなで支える自分らしく生きるまちからお聞きしたいと思います。
 多文化共生社会について取り上げられておりました。外国人集住都市会議は鈴鹿市だけになったとつい先日、新聞のほうでも情報が出ておりましたが、今後ますます外国人市民の増加と多国籍化が予測されているとあります。そうなれば、地域社会への影響も大きくなることは避けられないでしょう。国内でもいろいろ、ひずみ、きしみがある地域もあります。そうなれば、自治会や地域づくり協議会などはもちろんですが、従来から居住している住民、市民の方々に対する支援という視点も重要になると思います。市長の考えをお聞きしたいと思います。

 最後に、行政力の向上について、施政方針には行財政改革はもちろん、トータルマネジメントシステムにつながる表現はお聞きできませんでした。民間活力やデジタル技術を活用して、職員の業務量削減や合理化を推進、人の数によらない施政の取組や事業仕分けなどの手法を用いて事業を精査するなど、厳しさが必要ではないでしょうか。市政改革取り組む姿勢というものを市長も出していただく必要があると考えるところです。限られた経営資源を効果的に生かし、費用対効果を十分に見極め、健全で効率的な行政運営を行うことに対する末松市長の考えと覚悟をお聞きします。
 以上、市民の声代表としてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

○議長(山中智博君) 市長。
               〔市長 末松則子君登壇〕
○市長(末松則子君)
 それでは、市民の声を代表されました中西大輔議員の御質問に答弁申し上げます。
 令和6年度の予算編成に当たりまして、経常的支出の抑制につきましては、DXの取組など、事務の効率化による人件費の抑制に努め、また鈴鹿市総合計画2031の前期基本計画の実行計画の編成と並行して進めることにより、実行手段としての事業の精査を行いながら、実施内容や手法の見直しも行い、事業費の増大の抑制に努めております。今後も、将来に向け、持続的な行政経営に努め、計画的な財政運営を行ってまいります。

 続きまして、子育て支援と少子化についてでございます。
 少子化の解消に当たりましては、出産や子育てに対する公的な支援の強化だけではなく、若者世代における格差の拡大など、他の経済的要因による課題にも向き合う必要があることは十分に認識しているところでございます。
 子育て支援施策につきましては、子ども・子育て支援事業計画において、毎年、点検・評価を行っており、本市における少子化対策の方向性として、まずは引き続き子供や子育て支援施策に積極的に取り組んでまいります。そして、若者や女性が未来に希望を持てる環境づくりこそが少子化の流れを変えるためには重要であるという考えの下、若い世代の出産・子育てに対する安心感を高めるための施策を今後もより一層推進してまいります。

 次に、教育分野に関する考えについてでございますが、本市におきましては、子供たちの成長に必要な力である非認知能力の育成に取り組んでまいります。重点的要素としております4つの非認知能力の1つである社会性を育むための機会として、子供たちの地域活動への参加が挙げられます。地域で活動することは、学校や家庭を離れ、異なる年代や同じ関心事を持つ人と出会うことができるなど、子供たちにとって大きな意義があると考えております。
 現在、進めております休日の学校部活動の地域移行につきましては、部活動を学校活動と切り離し、休日のスポーツ及び文化活動を地域で支えるようにしようというものでございます。子供たちにとりましては、自由参加の活動であり、休日の地域での過ごし方を考える際に、選択肢の1つになると考えております。

 続きまして、地域における福祉についてでございます。
 本市におきましては、制度のはざま問題や複雑・多様化する福祉課題に対応するため、令和3年度から、重層的支援体制整備事業の本格実施に向けた体制整備を進めてまいりました。令和4年度には、重層的支援体制移行準備事業の制度を活用し、コミュニティソーシャルワーカーを4名配置いたしました。本年度は、日常生活圏域を単位とした活動を視野に入れ、2名増員の6名を配置し、相談支援体制を強化いたしました。今後も地域づくり協議会や地域包括支援センター、さらには地域における仕組みづくりを担っている生活支援コーディネーターとも連携し、地域での相談支援体制のさらなる充実を図ってまいります。
 また、令和6年度からは鈴鹿市社会福祉協議会と連携し、断らない相談支援が行える窓口を市庁舎内に設置し、複雑・多様化する福祉課題に総合的に対応してまいります。
 なお、地域における相談拠点の設置につきましても、先進地などでは既に多様な取組事例があり、その重要性については認識しております。
 本市といたしましても、今後、各相談支援機関などと連携し、活動を推進していく中で、課題を整理、分析し、本市の実情に合った効率的な体制を整えてまいりたいと考えております。

 次に、医療提供体制の整備についてでございます。
 令和6年度に市内の二次救急医療機関である鈴鹿回生病院において、救命救急センターの増改築に係る事業が予定されております。この事業は、今後、高齢化が進むことにより増加が見込まれる救急患者の円滑な受入体制を構築することや、新興感染症にも柔軟に対応できる機能の確保を目的に、処置室の拡充や静養室の設置など、施設の拡張を行うことに対し支援するもので、本市の救急医療体制の強化につながるものと考えております。
 また、救急医療体制につきましては、三重県医療計画に基づき、本市及び亀山市において、鈴亀救急医療圏を構成しており、亀山市とともに地域の二次救急医療体制の確保、充実を図っているところでございます。しかしながら、増加する救急患者への対応のほか、救急医療を担う病院機能の確保や機能分化、救急医療に携わる人材の確保など、救急医療の課題は山積している状況でございます。このため、2つの基幹病院からの要請により、両病院の地域医療支援病院の運営に関する会議等に令和5年度から亀山市にも参画をいただいておりますので、将来にわたって地域の救急医療を守るために、さらに緊密な連携を求めているところでございます。
 今後は、三重県が策定を進める第8次三重県医療計画に基づき、三重県や医療機関、医師会などの関係機関とも連携を深め、救急医療体制の確保、充実に向けて取り組んでまいります。

 続きまして、災害対応についてでございます。
 大規模災害時において正しい災害対応を行うためには、正しい情報を収集すること、そして得られた情報を市民の皆様に迅速に発信することが重要であると考えております。そのため、新たな総合防災情報システムとして、防災行政無線の通信機能の向上を図るなど、一つ一つの手段を強靱化するとともに、市公式LINEやXといったSNSなどの災害情報伝達手段を複合的かつ迅速に活用することが必要であることから、情報伝達手段の多様化を進めるため、調査・設計を行うものでございます。
 復興事前準備についてでございますが、大規模災害からの復旧・復興を円滑に進めるためには事前の検討が重要でございます。そのため、現在、国や県などと連携し、事前復興まちづくり演習を行うなど、復興手順を確認し、計画策定に向けて理解を深めているところでございます。
 大雨による内水浸水被害想定の見直しにつきましては、現在、下水道区域内において、雨水排水のための水路等の排水能力を調査し、内水浸水想定区域図の作成を行っており、この区域図の完成後、被害想定を見直した上で、ハザードマップの更新に向けた取組を進めてまいります。また、減災に向けた取組といたしまして、新たな鈴鹿市都市マスタープランにハザードエリアからの長期的な居住誘導を新たに掲げるとともに、鈴鹿川ほか、流域治水協議会での協議内容を踏まえた立地適正化計画の策定につきまして、今後も検討してまいります。

 続きまして、人口減少への考えについてでございます。
 現行の鈴鹿市都市マスタープランには、基本理念から将来都市構造を設定し、これを具現化するために5つのテーマ別都市づくりの方針を重ね合わせて、土地利用方針を定めております。
 都市づくりのテーマの1つであるコンパクトで住みよい都市づくりでは、人口減少、少子高齢化が進む中、地球環境に負荷を与えない持続可能な住環境の形成を目指しますとして、都市づくりを進めてまいりました。
 また、新たな鈴鹿市都市マスタープランでも、引き続きこのテーマを掲げ、薄く広がった市街地のまま人口減少が進むと、生活利便施設や公共交通を維持することが困難となるおそれがあることから、コンパクトな市街地を形成するとともに、地域拠点における生活利便施設の集約化や都市基盤の維持、再構築を図る都市づくりを目指すこととしております。このことから、施政方針で申し述べました各取組は、鈴鹿市都市マスタープランの都市づくりの方針に即した取り組みになっていると考えております。

 次に、下水道のウォーターPPPについてでございます。
 国は、人口減少社会に対応すべく、汚水処理施設について、10年程度を目安に整備を完了させる、いわゆる10年概成の方針を打ち出しております。整備完了後は、これまでの建設事業への投資から施設の改築・更新や運営管理へと移行していく流れを示し、その中で水の分野を対象とした新しい官民連携の方式であるウォーターPPPを推進しております。さらに、令和9年度以降は、地方公共団体が汚水管の改築を実施する場合に活用している社会資本整備総合交付金の交付対象事業の要件にウォーターPPPの導入が追加されました。これらに対応するため、令和6年度に国の補助金を活用して導入可能性調査を実施いたします。

 続きまして、起業支援についてでございますが、生産年齢人口が減少する中で、経済を成長させるためには、開業率を引き上げ、雇用を生み出すことが重要であると認識しております。そこで、本市では、三重県が昨年8月に設立いたしました、みえスタートアップ支援プラットフォームに参画し、スタートアップ支援取組の情報収集や、金融機関や教育機関などで構成する団体との交流を行っております。さらに、女性の起業に関する取組では、SUZUKA女性活躍推進連携会議の関連事業として、女性起業家を講師に招いての講演会や女性を対象としたデジタル分野に関する知識を深める講座などを開催しております。
 また、ものづくり産業支援センターにおいて、市内の中小製造企業の困り事を巡回訪問にて聞き取り、企業に寄り添った支援を行っておりますが、令和5年6月より三重県産業支援センターと連携し、起業を含め、様々な相談に対応可能な三重県よろず支援拠点の相談窓口を開設いたしました。
 このように、現状のものづくり産業支援センターの機能を生かしたまま、その機能にいわゆるビジネスサポートセンターの相談機能をプラスするなどして、支援体制の強化を図っております。今後も引き続き、三重県や鈴鹿商工会議所等との連携を図るとともに、鈴鹿工業高等専門学校が本年1月に開所されました起業家工房の取組により、本市で新たな起業家が生まれるように、市内企業と連携ができる環境づくりを進めてまいります。

 次に、みどりの食料システム戦略についてでございます。
 この戦略では、2050年までに目指す姿として、農林水産業のCO2ゼロエミッション化や化学農薬・化学肥料の使用量低減などが示されております。この実現に向けては、有機農業や減農薬・減化学肥料による栽培の拡大に向けた機運を高めるとともに、中心となる農業者の育成が重要であると考えております。
 本市の農業者数は減少傾向にございますことから、地域の担い手となる農業者を確保するとともに、環境負荷の低減に取り組む農家を支援することで、本市農林水産物の生産拡大、安定供給につなげてまいります。
 また、水産業につきまして、海藻類によるCO2の吸収源としての活用や漁船の電気化などがみどりの食料システム戦略に示されておりますが、今後の技術確立の動向に注視してまいりたいと考えております。
 本市の農林水産業が持続的に発展できるように、それぞれの立場で環境との調和を意識して、生産に取り組んでいけるよう進めてまいります。

 次に、スポーツツーリズムについてでございます。
 モータースポーツをはじめ、ラグビーやサッカーなどのスポーツ資源を観光の機会と捉えるスポーツツーリズムやビジネス客を観光客化するブレジャーなど、様々な交流機会を観光資源とし、誘客多角化に向けた取組を進めていくことにつきましては、旅の潜在需要を顕在化し、観光需要の平準化や市内における滞在時間の延伸にもつながり、地域における観光消費額を増加させる機会になるものと認識しております。さらに、それらの交流機会を捉え、本市が誇る豊かな自然や食の魅力、伝統産業等が織りなす様々な地域資源をPRしていくことにつきましては、本市の魅力を多方面に発信する貴重な機会であると考えております。
 そのような中で、スポーツイベントなど、市内外から多くの誘客が見込まれる機会につきましては、本市を売り込む上で絶好の機会であると考えておりますことから、今後もイベントの主催団体などと連携し、観光振興を図ってまいります。

 続きまして、多文化共生での地域住民支援についてでございます。
 本市の多文化共生を取り巻く環境は、近年のアジア圏の外国人市民による人口増加や多国籍化とともに、来年度以降に導入される新たな在留制度によって大きく転換をしようとしております。
 本市といたしましては、このような環境の変化により、地域において、外国人市民が孤立したり、住民同士に摩擦が生じたりするようなことは避けなければならないと考えております。そこで、本市では、この環境の変化に対応していけるよう、新年度から鈴鹿市多文化共生推進計画に基づく取組を推進してまいります。
 本計画では、多言語による情報発信や日本語習得に不可欠である地域の日本語教室の運営支援など、外国人市民の支援に関する施策だけでなく、自治会等の地域に対する支援として、外国人市民がごみの排出など生活ルールに理解を深め、地域での円滑な生活環境が確保されるよう、情報提供におきましては、多言語対応への取組とともに、やさしい日本語の活用を図る施策を掲げております。
 また、市内では外国人市民と日本人市民が共に地域づくりに参画しているケースがあり、そういった多文化共生の地域づくりが市内全域に広がるよう、国際理解に関する講座の実施や交流機会を創出し、外国人市民と日本人市民双方の多文化共生意識の醸成を図る施策を掲げております。
 本市といたしましては、それらの施策を総合的に、かつ計画的に展開していくことで、多文化共生社会の実現を図ってまいります。

 最後に、行政経営についてでございます。
 鈴鹿市総合計画2023におきまして、予算や行政評価、行財政改革などの個々のマネジメントシステムを統合したトータルマネジメントシステムを構築、推進してまいりました。このトータルマネジメントシステムにおいて、鈴鹿市総合計画2023では、全ての事務事業を実行計画書として取りまとめ、評価、検証してまいりましたが、4月からスタートする鈴鹿市総合計画2031では、政策的な判断が必要となる事業を中心に実行計画書として取りまとめ、事業の性質に合わせた評価・検証を行い、事業の見直し・改善を図ることで、より効果的な行政経営につなげてまいりたいと考えております。
 鈴鹿市総合計画2031においても、引き続きトータルマネジメントシステムの効果的な運用を行い、基本計画、実行計画を着実に推進することで、基本構想に掲げるみんなの目標の満足度の向上につなげてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げ、私の答弁とさせていただきます。