2012年 6月定例会 討論

2議案反対、残り賛成

 私は,今6月定例会に提出された議案について,第47号 鈴鹿市まちづくり基本条例の制定についてと,第53号 工事請負契約について,反対の立場をとり,残り6議案については,賛成の立場をとらせていただきます。

 それでは,反対議案について,意見を述べさせていただきます。
 まず,議案第47号について,反対理由を述べます。
 前提として,市や市議会,住民の責務や権利などを整理し,明文化することは,やはり住民自治という観点から考えて重要な取り組みであると考えています。
 その意味で,今回,提案されました条例の2例に対して,反対ということではありません。
 この条例が提案されるまでに,みんなでつくる鈴鹿まちづくり条例を考える会から当時の川岸市長に提言がなされたわけですけれども,今回,それをもとに作成された条例案について,この提言をまとめるまで携わった方,今,板倉議員の討論でもありましたが,提言をされることに携わった方々,市民委員の方々ですね,の御努力や,そこに携わっていた市職員の方々の働きについて,熱意を持って取り組まれていたことは,私も会議の傍聴をしたことがありますし,また,私自身,鈴鹿市しあわせ環境基本条例の策定の際には同様に委員として関与していたこともありますから,十分に理解もできるところであります。
 そして今回,この条例を反対するに当たって,もう一つ重要な立ち位置となりましたのが,やはり鈴鹿市議会議員として,2本の議会提案条例に携わった経験があるからです。この両方の立場を経験したことから,本条例について,以下に述べる部分の再検討と修正をすべきと考えるため,反対の立場をとらせていただ きます。
 その前提となりますのは,この条例案中,まず第24条,条例の推進に,市は,市民及び市議会とこの条例の目的を共有するとともに,この条例を積極的に推進するものとします,とあります。
 続く,第25条は,条例の見直し,市は,社会情勢の変化等により,必要があると認める場合は,速やかにこの条例の改正その他必要な措置を講じるものとし ます,とあります。現時点では条例案の文面ですが,この二つの文章の,この条文の考えを反対理由の根拠とさせていただいております。
 この2文から導かれることですが,この条例案中,第11条,市議会の役割として,市議会は,市民の意見がまちづくりに反映されるよう努めるとともに,そ の過程を市民に明らかにするよう努めるものとします,という文面がありますが,この文面について,やはり検討して,修正をして再度上程するべきではないか と考えます。
 条文の根拠となっている提言の提出時は,私たち鈴鹿市議会としても,まだ議会基本条例への本格的な取り組みは行われていませんでしたが,その後,執行部,提言の後,執行部から,今回の議会に対して議案として上程されるまで,実際のところは,約2年以上が経過しております。その間,私たち鈴鹿市議会とし ても,議会基本条例の制定に取り組み,また,パブリックコメントも実施してきております。そのような中で,私たちが考えるべきは,やはり議会基本条例の中で市議会の役割について多くの議論を重ねて,それぞれの条文としてまとめてきた経緯があり,その議論の過程から考えて,やはり第11条の文面について,再検討を求めるべきだというふうに考えます。
 条例案24条の考えからすると,今議会での上程までに,市議会の情報を得ることはできたはずですし,市は,主語としては,市は,市が行動することになり ますから,やはり議会基本条例が進んでいることも認識していたと思います。その上で,市民委員の方々と11条についての考え方を整理することができたはずだと考えます。そのように考えますと,まだ議決されていないものを文面として書くわけにいかないことは承知しておりますが,例えば,市議会は,鈴鹿市議会基本条例にのっとり活動するよう努めるものとするというふうな文面で書くべきではないかと私は考えます。
 理念条例とは言え,やはり条例として制定するのですから,行政内部だけではなく,きちんとした議論の上で,条文について整理することは,求められるのではないでしょうか。また,議会基本条例に携わる委員の皆様のいろいろな動きも考え合わせますと,そのような条文策定の過程から考えても,安易に議決するということは,果たしていいのかどうか疑問に思うところです。
 もう一つ,提言時と根本に違うことになった社会状況があります。約2年間,間があいているわけですが,それは,やはり東日本大震災です。大震災は,私たちと地域社会とのつながりについて,大きな教訓を与えていると私は考えます。
 しかしながら,今議案においては,鈴鹿市まちづくり基本条例と書いてありますが,その中身について,東日本大震災で私たちが受けた教訓についての内容というものが,果たして生かされた形で整理されているかと考えれば,その点については,議論は不十分ではないかと私は考えます。その点を生かしての構成を考 えるべきではないでしょうか。
 以上,二つの理由から,今6月議会での議決については賛同できかねます。
 相応の再検討と修正を経た上で,再度,議案として提出することを求める意味をもって反対するものです。

 次に,議案第53号 工事請負契約について,随意契約による鈴鹿市防災情報伝達システム整備工事3億8,640万円が,その内容ですが,この内容は,先ほど板倉,開政クラブからの討論にもありましたので重複することもあろうとは思いますが,よろしくお願いします。
 その工事につきましては,やはり鈴鹿市海岸線,広うございますから,海岸線の住民の方々の安全・安心にかかわるものであり,早急な整備が必要な工事であることは認識しております。その認識した上で,議案質疑と所管する総務委員会の質疑から,随意契約で行うことについても,一定の理解をさせていただきました。
 ということで,全般的には賛成したい内容なのですが,しかし,本会議場及び委員会での執行部側からの答弁から,改めて,この議案についての執行部側の姿勢に疑問を持ちました。
 先ほどもありましたが,例えば音声コーデックと関連して設計された今回のシステムですが,全国的にも見て初めての取り組みでもあるにもかかわらず,仕様書では,その点のリスクに対応する項目が見当たらないことや,今後の維持コストについて,本会議質疑の際は算出していなかったものですが,委員会では約 1,000万円と答弁が出たものの,どのような内容であるかは把握していないなど,市民感覚からしても,この3億8,640万円の契約というものは,非常に高額でもあるにもかかわらず,鈴鹿市の契約に臨む姿勢には問題があると判断しました。
 また,契約に当たっての仕様書及び特記仕様書に,最低,今から述べさせていただきます3点について,文面の変更と追加を求めることから反対とするものです。今回,意見,いろいろ言いましても,非常に迷いましたことは,意見を言いましても,あくまで意見であって,契約ですから,契約書をきちんと書かない限りは,契約は履行されない。そのような観点から,このように考えました。
 まず,1点目として,電気設備工事特記仕様書の項目第5,下請業者についての表現ですが,下請業者の選定及び資材購入に関して,できる限り,市内業者 で,かつ優良な業者を選定することとありますが,できる限りという表現は,もともとあいまいな表現で,答弁の中でも,市として市内の業者数を把握していな いなどの問題もあります。
 この文面についてをやはりこれを,この文面を下請業者の選定及び資材購入に関し,原則として市内業者で,かつ優良な業者を選定することとし,業者選定に 対しての説明責任を明確にする。説明では約10%ぐらいが市内業者の方が算入できる余地ではないかということもありましたが,やはりその比率も上げる意味 も含めて,市は受注者任せではなく,主体的に市内産業の活性化もつなげるように努力するようにすべきだと考えます。
 2点目に,仕様書第7章,機器据えつけ工事費用,設計書38ページの空中線柱建築工事費の項目について,鋼管柱設置の際に行う予定のコンクリートでの根巻き作業について,液状化リスクから設計よりもコンクリートの根巻きを大きくする必要が出た場合,それにかかるコストの所在をやはり明確にしないといけな いと思います。
 軟弱地盤ということで設計はされておりますが,特に液状化リスクの高い地域では,やはり倒れるリスクということは容易に想定できるものであって,その対策が必要になるであろうこともできます。ですから,この点について,コストはどちらが持つのか,やはり追加の工事が必要なのであれば,受注者のほうに要求するということがあってもいいと考えます。
 3点目として,音声到達状態などから,市民の方々から追加設置要望が出ることも容易に想定されておりますが,その内容については記載されておりません。その点について,やはり記述しておかなければいけないと考えます。
 3月議会において,屋外拡声子局の音声到達範囲についての資料が,防災安全特別委員会で提示されましたが,その際の質疑においても,音声スピーカーから の音声到達について,疑問のある地域があることが指摘されておりましたが,今議案で提出されたものにつきましては,その点は改善されておらず,特に海岸線 住民の方々から音声到達に不安があると増設要望が出ることが考えられます。
 契約変更で対応できるという考え方があると,その後,いろいろなやりとりの中で聞きましたが,やはり事前に想定できる内容については,契約時に盛り込んでおかなければ納得できないものにはならないと考えます。
 特に工事期間終了後,追加設置が起こることになるとすれば,市単事業として行わなければいけないことから考えると,最低1基当たりのコストが今契約内容以上にならないように記述するなどが必要ではないかと考えます。
 最後に,先ほど開政クラブからの討論にもありましたが,本契約を急ぐ理由として,国からの支援があることが挙げられております。防災情報伝達システム整備費,採択後の計算を参考にすると,先ほど開政クラブからの討論がありましたので割愛しますが,実質的な市負担分は約1億円となり,当初計画から考えれ ば,差額は2億円あるということが出ておりまして,そのことが一つのメリットとして挙げられておりますが,確かに厳しい財政状況下で,このように支援を得 られることは,一つのメリットであることは否定しません。
 しかし,総額3億8,640万円の今事業は,市単独事業として十分に取り組める額だと考えます。
 この契約内容は,随意契約で行われることから,今後,競争入札を取り入れることも難しく,その点でのコスト精査は,ほぼ不可能であり,いかに当初の契約時にきちんと契約を結ぶかが,その後の建設費以外の比較できない部分について,維持管理費などのあり方も含めて,重要になってくると考えます。
 場合によっては,今後のあり方によっては,差額2億円分などは,ほぼなかったことになってしまうかもしれないことから考えると,やはり国庫補助を前提と した早急な契約ではなく,市みずからの責任でしっかりと契約を詰めるべきではないでしょうか。この点もつけ加えさせていただきます。
 さきの6月29日,ヴォイスFMの総会があり,経営状態についての情報も出たと聞きます。その点についても考慮に入れなければ,目先のメリットよりも隠れリスクが大きくなり,結果として,市として大きなマイナスになる可能性も考えられます。
 以上,議案第47号と53号の反対討論とさせていただき,私の討論を終わらせていただきます。
 議員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。