2015年 12月定例会 討論

1議案反対、残り賛成

 議席5番,中西大輔です。
 私は,今定例会に提案されている議案のうち,議案第79号 鈴鹿市基本構想の策定についてに反対,その他の議案については賛成の立場をとります。

 反対議案について,その理由を述べさせていただきます。
 先ほど,賛成討論の中で,共産党,森川議員が,るるこの成果指標について,問題があると、変えるべきだということを述べられておりますが,そもそもこの 議案自体が,私たちの議決案件であって,そのようなことを理由をつけて賛成をするというのは,私は理解ができないところです。そのようなことであれば,きちんと議論して,その上で変わらなければ,その姿勢で議決に臨むべきではないでしょうか。その点については,私は非常に疑問に思います。

 先ほど,森議員の討論にもありましたが,この議案第79号 鈴鹿市基本構想の策定について,これまでの行政側の取り組み,無作為抽出のアンケートを行って,その中から有志の市民の方に参画していただいてワークショップを開催,当然,そこには行政の職員さんも参画してつくっていった。その上で,つくってくる過程の中で,まちづくり意見交換会やパブリックコメントを経て,また総合計画審議会で基本構想をまとめてきたという動きは,第5次総合計画と比べても,いかに市民参画をふやしてきたか,その点については,非常に,行政の動きとしては評価のできるものでありますし,行政職員の方々がまとめてくる作業に ついては,非常に大変なものだったということは推察することです。ですから,参画してきた職員の方々によって,鈴鹿市にも変化が出るものだというふうに期待をするところです。だからこそ,今回,反対討論,あえて立たせていただきました。

 というのは,私,この総合計画2023に関連する事項,過去,一般質問の中で,幾つか取り上げさせてきていただいております。そのようなことを踏まえ て,基本構想において見過ごすことができない点があるため,行政側の再考を求めるため,反対とさせていただくということです。

 それは2点。第1章の4,自治体経営の柱における,市民力の向上と,行政力の向上に関しての部分,それと,同じく第1章の6における成果指標について, 総合計画2023が,この後,施策をまとめた基本計画,事務事業をまとめた実行計画という形で政策展開されていくことを考えたとき,基本構想でのずれは, この後の政策展開に影響があると考えるからです。

 まず,第1章の4,市民力の向上についての部分ですが,ここには総合計画2023の8年間の計画期間中,前期の4年で地域づくり組織の設置を進めるとあ り,後期の4年でその組織が主体となって地域別経営計画を作成,総合計画に位置づけるとあります。これは,総務委員会の説明の中では,この総合計画の基本構想と同じようなものだという説明がありました。

 この内容について,当然,既に地域づくりが先行している地域については,1年でも早く取り組んでいただくように,行政が支援することは当然だと思います。それが行政の責任だと思います。
 しかし,未設置の地域,まだ固まっていない地域にまで,このように行政が期限をつくり,取り組むことではないはずです。本来,地域づくりの目的は,住民同士のつながりを再構築する,ソーシャル・キャピタルをつくり直すという作業のはずです。ですから,住民による地域づくり組織は,行政の下請組織ではない,このことを明確にするべきだと,私は考えます。

 先日も,地域づくりに関する説明会があり,出席させていただきました。そこで,小学校区ではなく,行政区という考えが,行政側から説明されました。果たしてその枠組みでよいのか,本来,それを決めるのも,10年後,20年後を担う世代を中心とした多くの世代が参加した形で,住民による選択が行われるべきではないでしょうか。その上で,地域の取り組みを計画としてまとめる作業というのが必要になるはずです。このようなことは,丁寧なことをすれば,当然,時間のかかることです。はっきりと期限が切れるものではありません。
 ですから,私は,市民力の向上に関する文面について,「前期4年の基本計画の期間で」と「後期4年の基本計画の期間では」との表現について,削除すべきだというふうに考えております。
 関連する行政力の向上について,ここでの記述は,市民力の向上との関連性が見られないということが課題ではないかというふうに考えております。なぜなら,行政は,地域づくりの基礎となる考え方,最低でも,地域づくりは防災,教育,福祉,この3点をしっかり押さえるべきだというふうに考えておりますが, 行政が担うべき教育におけるコミュニティ・スクール,福祉における地域包括ケアシステム,防災に関する地区別防災計画などのような考え方について,行政が考え方を統一している,整理しているとは考えられません。これらについて,最低でも一貫した考え方を提示するべきではないでしょうか。

 そのようなことがないまま,地域づくりを市民の方に求めることは,いたずらに住民負担を地域の方々に強いることになるのではないか。また,うまくいかなった際のリスクを,その地域の方に負わせることになるのではないか,そのことに非常に危惧を持っております。
 同時に,この行政力の向上の中では,やはり職員一人一人が地域の住民として参画する,そのようなことも書かれていないことが,非常に気にかかるところです。
 また,私たち議会にとっても同じではないでしょうか。これだけ地域づくりを進めないといけないと言っている割には,私たちにきちんとこの地域の枠組み, 説明されているでしょうか。地域の考え方を整理して,行政が,きちんとこうですと説明されているでしょうか。今のところはない,私はそう判断しております。ですから,この内容については,賛同できません。

 次,第1章の6における成果指標に関して,総合計画はこの後,施策をまとめた基本計画,事務事業をまとめた実行計画という形で政策展開されると考えたと き,成果指標が妥当なものかどうか,これはその後の政策展開に非常に大きく影響します。最初がずれていれば,当然,後の政策もずれてしまう可能性がある。 そのことを留意しなければいけないのではないでしょうか。

 私はその中で2点。まず,めざすべき都市の状態の22に対して,観光レクリエーション入込客数が成果指標として設定されていることに疑問があります。ここはやはり,市内宿泊者数や,観光関連産業事業所数などに指標を変更すべきです。
 この点については,昨年6月,一般質問でも同様のことを市のほうに訴えております。また,前期,すずか倶楽部の中でも,総合計画,行財政経営計画の見直しの際,聞き取りがあった際にも,同様のことを,会派の中でも話しております。
 せんだってのパブリックコメントの際にも,この点を指摘させていただいているところです。しかし,それに対して,行政側の対応は,疑問を持たざるを得ない,それが私の判断です。
 変えるべき理由は,入込客数の増加が,鈴鹿市の産業等にプラスになる,そのような関連性がはっきりしている指数かどうか,ということに疑問があるということです。
 この入込客数の算出の根拠については,年間5万人以上もしくは特定時期の入込客数が5,000人となる市内観光地点において,入り込みのあった客数の合計というふうになっておりますが,入込客数を指数にするということは,一つ,イベントに依存しがちな政策展開になるのではないかというおそれがあること。 また,入込客数自体は,同じ人が複数の観光地を訪れてもカウントされるという課題があります。このような指数を,そのまま使うことは,現在の観光産業ということを考えたときに,不適切ではないかというふうに,私は考えております。
 観光産業面で考えれば,今,鈴鹿市にとって必要なのは,大きなイベントでどれだけ誘客できるかではなくて,年間を通じて,通年を通した観光でどれだけ人が来ていただけるか,観光客の方が来ていただけるかということではないでしょうか。
 そのため,地域資源の活用,伊勢型紙,鈴鹿墨,また庄野宿,いろいろなものがありますが,それらをどのようにしてつなげて,活用していくかということが,政策として重要になるはずです。だからこそ,計画期間全体を通した成果指標を変更し,入込客数はその下の施策レベルの成果指標として組み入れるべきだ というふうに考えます。

 もう一つ,めざすべき状態の18において,製造品出荷額が設定されておりますが,これにつきましては,総務委員会の委員会質疑の中でも,このような指数は,景気に左右されて変動するものであり,不適切ではないかという指摘もありました。やはりこのような指数については,新規企業立地数などに変更すべきだ というふうに,私は考えます。ですので,この成果指標についても,以上の理由で,賛同できません。
 以上,議案第79号に関して,端的にこの2点について納得できませんので,反対の立場をとります。
 それでは,賛成議案の中から,幾つか意見を述べさせていただきます。

 議案第76号,平成27年度鈴鹿市一般会計補正予算について,機構改革に伴う庁舎改修にかかる3,763万3,000円について,特に11階に子ども関 連部局を集中させワンストップ化する。子供さんも連れた待合スペースを設置するということについてですが,その点については,いいことだと思います。しか しながら,鈴鹿市役所,基本的にワンフロアですので,子供さんの声が響かないような配慮をするべきだということもあります。
 また,いろいろ説明はありましたが,どのような形でパーティションを設置されるかということが不透明なままです。高いものなのか,それともローカウン ターにして,アクリル板を立ち上げてやるのか,そのようなことも,見晴らしも含めた検討をしていただくべきだというふうに思います。そして,職務環境への 配慮や,利用者の方にとっても安心して利用ができ,満足度の高いものにすべきです。
 同時に,11階,高層階ですので,今後,大規模地震等を考えましたら,長周期地震などを考えれば,その対応についても,きちんと配慮した構造とすべきだというふうに意見します。

 また,先ほど,森川議員の討論にもありましたが,扶助費について,福祉サービス関連予算,これは必要なものは必要なものとして計上すべきだということは,私も同じ考えです。
 ただ,今回のこの福祉関連予算の補正計上に当たって,理由の文面を見ると,高齢者世帯の増加ということが理由に挙がっておりますが,これは当初から予測 されていることであるはずなのに,大きな補正が行われるということは,この市の予算計上のあり方に問題があるのではないか,そのように私は考えます。
 ですから,市当局につきましては,今回の補正予算から,やはり必要なものは必要とし,予算要求に対して,不用意にシーリング等をかけないようにして,当 初予算で福祉予算全体像が見えるようにして,このような多額の補正が出ないようにすべきだというふうに意見させていただきます。

 次,議案第82号 鈴鹿市子育て応援館の設置及び管理に関する条例の制定について,鈴鹿市勤労青少年ホーム跡地に子育て応援館を設置する趣旨は否定する ものではありません。しかし,該当施設は非常に老朽化した建築物であり,10年以内に公共施設マネジメントの観点から見直すべき施設だと私は考えます。
 また,施設の所在する土地は,近鉄白子駅――鈴鹿市の玄関口となりますが――そばであること,かつ,国道23号線に隣接する土地である,非常に価値の高いところであり,鈴鹿市として土地利用を真剣に考えなければいけないのではないでしょうか。
 ですから,子育て応援館を運営するに当たり,年度ごとの運営は当然のことながら,事務事業として評価されていくものだというふうに思いますし,それを進 めていただくべきだと思いますが,並行して,10年程度で次の変化点が来るというふうに予測した場合に,2年もしくは3年ごとの期間で,市民ニーズ等と照 らし合わせながら,子育て応援館の設置場所,あり方等について精査・評価し,将来に向かい,変化に柔軟に対応するように求めます。

 議案第84号 鈴鹿市行政組織条例の一部改正について,議案質疑の中で,地域医療や公共施設維持更新等について,議案中の事務分掌に出てこないことには 疑問を感じるということを伝えさせていただきました。この点については,今後,業務遂行の中で見直しをかけ,しっかり取り組んでいただくように意見します。
 何より,看板のかけかえだけにならないよう,人事のあり方,職員研修のあり方なども含め,抜本的に組織運営のあり方を,この際,外部意見を取り入れながら,改革を進めていただくように意見します。

 議案第89号 鈴鹿市立幼稚園条例の一部改正について,愛宕幼稚園と庄野幼稚園の廃園に当たっての条例改正となりますが,愛宕幼稚園の園舎は,建設年度 から考えて,まだ利用できる建築物のはずです。このような園舎の利用については,そこを卒園した児童なども含めた検討委員会を設置し,跡地利用を検討すべ きと意見します。
 今後,このような動きというのは,市内全体に広がってくると考えております。
 このような形で跡地利用を考えることに,若い世代が参画することが,当然ながら,地域づくりにとっても重要なことだと考えますし,シティズンシップ教育という観点からも,重要なことだと考えますので,教育委員会につきましては,十分に意識してもらうように意見します。

 以上で,私の討論とさせていただきます。皆様の御賛同をよろしくお願いいたします。