2016年3月定例会 討論

議案第31号,議案第32号及び議案第27号に反対

 議席5番,中西大輔です。私も,会派内でいろいろな議論,また委員会を通じたいろいろな議論,その意見を聞いた上で,この討論に立たせていただきます。

 私は,議案第31号,議案第32号及び議案第27号に反対,それ以外は賛成の立場で討論させていただきます。
 まず,反対議案について,大枠の流れは,市民税が大幅な減収が見込まれ,また財政も厳しい,厳しいと言われている中,かつ国保税の改定議案が上がっているにもかかわらず,経常的な経費の増額となる特別職の期末手当増と一般職の給与改定は今行うものではなく,それを必要とすべき政策に充てるべきとの考えからです。

 反対議案について意見を述べさせていただきます。
 特別職等報酬審議会の答申を受け,市長以下特別職及び市議会議員などの報酬について,期末手当分で100分の10引き上げる議案第31号と,人事院勧告を受け,一般職給与を引き上げる議案第32号について反対です。
 両議案とも1年さかのぼり適用されることになり,議案第27号の補正予算のベースで,市長と議員を含めた特別職の改定では234万4,200円の増額,一般職では給料表の改定と期末勤勉手当支給率の引き上げ,地域手当支給率の引き上げにより,1億142万5,000円の増額,合わせて1億376万9,200円となります。そして,この金額とほぼ同額が今後も適用されることについて,現在の財政状況や政策課題などを勘案したとき,今定例会において決定するものではないと考えます。

 平成28年度一般会計予算では,先ほども申しましたが,大きな減収,市税の減収に加え,歳出では医療費助成対象の拡大など,経常的経費の増大につながる政策が計上されています。このような中で,人件費分を増額することは,財政の硬直化を一層進めます。
 また,国家公務員の給与に対する地方公務員の給与の比率をあらわすラスパイレス指数についても,平成27年度の段階で100を超えているのは,県内14市の中で,鈴鹿市を入れて5自治体であることを考えれば,鈴鹿市は今回の改定を見送る判断があってしかるべきではないかと考えます。
 以上の理由で,議案第31号と議案第32号に反対します。

 次に,議案第27号 鈴鹿市一般会計補正予算(第4号)について,国民健康保険事業特別会計に対する一般会計からの3億円の繰り出しと,議案第28号の国民健康保険事業特別会計の4億7,000万円の起債部分と関係する部分について,平成27年度の国保会計での不足分に対する対応として賛同するものです。また,そのほかについてもおおむね賛同するものですが,本議案については,さきに述べた議案第31号と議案第32号の特別職報酬と一般職給与に関する人件費の増額部分が入っておりますので,1年さかのぼり増額する予算が入っておりますので,そのことに異議があり,反対の立場をとるものです。

 それでは,賛成議案について意見を述べさせていただきます。
 まず,国民健康保険税の増額に関する議案第17号 鈴鹿市税条例の一部改正について,国民健康保険税の増額が多くの加入世帯に影響を与えることに懸念を持っているものです。改定に当たっては,国民健康保険に加入の方以外の方々との税の公平性のあり方,そして一般会計からの補填を考えるのであれば,その財源の議論について大きな課題があると考え,非常に私自身も判断に迷ったところです。しかし,以下に述べる理由で賛成の立場をとります。

 国保税増額による影響について,上げ幅の割合,パーセントではなく,やはり先ほどから討論いろいろありましたが,金額的に大幅に増額になる加入者の方々への対応を考えることは,私たちに求められているのではないでしょうか。年額で数万円以上──10数万円の方もいらっしゃいますが──増額を求められるということは,当然ながら,生活の各方面に大きな影響があることは必至です。それらの方々に対する相談事業の強化,またきちんと払っていらっしゃる方々に対する支援策を行政として検討し実行することで,影響の緩和に取り組むべきです。この点につきましては,生活福祉委員会における行政側の答弁においても,市民の皆さんに丁寧な説明を行うこと,就労支援への取り組み,生活困窮者自立支援相談事業と連携して取り組むという趣旨で回答がありました。そこで,行政側の意思が確認できたというのが一つの理由です。

 国民健康保険の厳しい財政について,保険税の収納率が低いこと,それに対して医療費の増大を抑制できていないことが理由として挙げられます。また,構造的課題を抱えていることも事実ではありますが,この改善のためには,行政の努力と覚悟,加入者の方も含めた市民の皆さんの理解,議会の取り組み,それぞれが重要だと考えます。

 行政の取り組みについて,やはり覚悟を持った取り組みに欠けてきた部分があることは否定できないと私は考えます。私自身,平成20年度,一般質問においても,国保税について取り上げましたが,それ以降,医療費の抑制等に関する事業については,やはり弱い部分があると認めざるを得ないのではないでしょうか。

 そして,先ほど明石議員の討論にもありましたが,国民健康保険税の徴収について,現在は納税課だけで行っていることは課題ではないかとありました。そのことをその後,いろいろ聞くところによると,以前から納税課と保険年金課の連携が行政内部でも意見として出ていたということを聞きました。このことについても,委員会での答弁で,早急に保険年金課と納税課の職員を中心とした対策チームを立ち上げるとありました。ぜひ,研究ではなく,平成28年度課税分から連携を密にし,実際に徴収に当たるべきだと考えます。ただし,単に徴収だけではなく,この過程で自立相談支援事業や就労支援事業などに力を入れることはもちろん,農業者や自営業者の方々に対する支援を積極的に検討するべきです。

 また,納税に対する意識を高めることも検討すべき項目に入ってきます。
 福祉施策において,先進的な取り組みを実践している自治体としてよく名前の出てくる埼玉県和光市においては,例えば子ども医療費助成の要件について,その条件の1つに,国民健康保険税の完納ということが書かれているなど,また,それにあわせて制度のあり方についても記述され,市民の皆さんの意識に訴えかけるものとなっております。

 鈴鹿市においても,医療に関するさまざまな行政の支援について,国民健康保険税の完納を条件に記述するなど検討するべきでしょう。これは,決して弱者の方を否定するものではありません。そのことによって,やはりそれぞれが納税者としての意識をきちんと持ち市政に向かう,いろいろなことを考えていくことに必要なことだと私は考えます。

 医療費の抑制について,必要な医療は受けられるべきです。しかし,一部のモラルの低い人たちや過剰な医療を求める姿勢に対しては毅然と臨まなければいけない,それが行政の行うことであるはずです。何より,健康であることを通じて医療費が抑制されることは,次の世代も含め,まちの財政にも大きなことであると同時に,個人の生活の質向上にもなるという意識を市民意識として広めていくことは非常に重要ではないでしょうか。この点についても,保険と健康づくり事業において,部局を横につないだ連携強化,適正な医療についての啓発事業にも取り組むと答弁があり,行政側の意思を確認したところです。

 別の論点として,国保税に関して値上げをとめるとなれば,当初予算も含め,政策実現の優先順位を考え直す必要が出てくるのではないでしょうか。例えば,一つの例として,当初予算には,医療費助成に関してゼロ歳から3歳児の現物支給のための事務費が計上されていますが,この取り組みにより,国民健康保険税に対する国庫負担金の減額調整が行われるということになり,それにより0.86%,約1,400万円強が国民健康保険に対する国庫負担金の減額とされる可能性がある,そのことについてどのように私たちは判断するか,この点についての議論は必要になってくるのではないでしょうか。

 国民健康保険財政支援のために,一般会計から繰り入れることを選択するのであれば,その財源について,全体の政策実現の観点から見直しと整理が必要です。その意味では,特別職の期末手当と一般職給与の引き上げは矛盾した選択になるのではないか,そのように私は考えます。ですから,そのような議案採決に対する方向性から,私は,今年度は改定でやむなしと考えますが,生活に大きな影響のある人たちに対する支援を行うと同時に,今年度以降,収納率の向上や医療費抑制の実績が上がった場合,国保税の減額を検討すべきと考えます。
 また,これは議決されなければ難しいことですが,その財源として,先ほどから上げております特別職と一般職の増額分を支援に充てられるのではないかと考えるところです。

 次に,議案第1号 平成28年度鈴鹿市一般会計予算について,議案第31号と議案第32号に関する増額分も入った予算となっておりますが,その点につきましては,予算執行の過程において,補正予算などの対応で調整が可能と考え,当初予算全体については賛成の立場をとらせていただきます。

 委員会審議を通じ,この予算において,国民健康保険税が金額ベースで大幅増額になる市民の方々への相談事業の充実や,激変緩和の施策展開を行う考えが市にあると判断しました。ただし,やはり国民健康保険税増税の対応と関連して,改めて根本的に政策の優先順位づけと透明性の確保,説明責任を行政は意識すべきです。
 以降,幾つか意見を述べます。

 まず,議案第1号の議案に関して,教育委員会関係について述べます。
 1つは,学校規模適正化の調査に関する1,000万円ですが,本会議場での質疑,また委員会での説明を聞く限り,この予算を用いてコンサルタント業者に依頼して行う内容としては,費用対効果の面から非常に疑問があります。やはり教育委員会は,業者選定をする前に,市議会に対して調査の内容や目的などの説明を詳細に行い,その上で業者選定に臨むべきだというふうに考えます。

 2つ目は,愛宕幼稚園解体に関する予算について,こちらもいろいろなやりとり,説明を聞いていて,行政側からする市民の不在,その感覚は拭えませんでした。委員会では,説明会と同時に,市民意見を十分に聞くようにという意見がありました。それに対して行政も真摯に対応することと考え賛同するところですが,さきの12月定例会の討論で意見したにもかかわらず,教育委員会は実際の行動を起こさず,今回,議案としてこのように出されていることについては,有権者教育やアクティブ・ラーニングの推進を標榜する鈴鹿市教育委員会として,その意識に非常に疑問を持つものです。
 今後,ほかの施設で同様の動きを行政が行わないようにするためにも,今回,改めて強く訴えさせていただきました。

 生活安全部関連について,新組織に移行する前の予算ですが,当会派の後藤議員の代表質問での地域支援のあり方に対する答弁で,市長をトップとした推進組織を立ち上げ,職員を各地区に地域支援職員として派遣するとありましたが,いまだ鈴鹿市として地域の考えが定まっていない中で進めようとしていることは,委員会の答弁から透けて見えてくるものでした。
 このような地に足のつかない取り組みを行うことは,住民の方々だけではなく,市職員にとっても大きな負担となることが懸念されるものです。行政として,地域包括ケアを念頭においた福祉面,コミュニティ・スクールを念頭に置いた教育面,市民の安全,安心のための地区防災計画策定などの防災面,それぞれを重ね合わせた考えを議会に説明し,協議した上で事業に取り組むべきだと私は考えます。

 保健福祉部関係について,国民健康保険税が金額ベースで大幅増額となる市民の方々への相談事業の充実や,激変緩和の施策展開を行うということが大前提として意見を述べます。
 地域包括ケアに関する生活福祉委員会での答弁では,やはりまだまだ鈴鹿市として地域包括ケアの考えが高齢者だけの考えであり,全ての市民を意識したものになっていないのではないかと感じました。早期に考え方の転換を行うべきです。
 例えば,介護予防に関して,予算審議の中では65歳以上を対象と考える前提になっているものがありましたが,最近の研究では,40歳での運動能力が,高齢者になったときの認知症などとの関連性が高いという考えもあるそうです。介護保険の被保険者の年齢を考えれば,当然,40歳からの事業と意識すべきで,もっと言えば,学校教育から意識してよいはずです。また,同様の事業が重なっておりますので,それらを整理して取り組むべきです。
 子ども医療費助成について,助成額が増加傾向にあり,中学生まで対象を拡大したとき約8,000万円の影響があること,また,現物支給については,国民健康保険に対する国庫負担金の減額があるなど,制度を持続するためには,決して無料でないことや,医療機関の適正な受診など,モラル向上の啓発をこれまでより強く取り組むべきです。

 総務部関係につきましては,報酬,また給与のアップ分について,やはり課題があるのではないかと考えます。このような経常的な経費が増大するものを盛り込み,その中で,多くの公共施設の改修の課題を抱えながら,国保税改定も議案として上げている中で,この中身を計上した意識には大きく疑問を持ちます。やはり意識改革が必要ではないでしょうか。

 産業振興部関係については,バイクを活用した地域活性化に意識を持ち,鈴鹿8耐40周年に向けて取り組んでいただくこと,農業だけではなく,漁業においても,近年の気候変動や自然環境の変化により受ける影響に対しての支援策はもちろん,新しい取り組みへの支援を充実,検討していただくように考えます。

 最後に,私は議案第31号と議案第32号を否決することにより,特別職の期末手当と一般職の給与分を合わせて,それは1億円の財源となると考えます。議案第27号の補正予算で1億円,議案第1号の平成28年度当初予算で1億円,そして今後,平成29年度の予算でも同額を捻出することができるとすれば,平成28年度における国民健康保険税のアップはやむなしとしても,平成29年度は,合わせて捻出できると考える3億円を原資に,国保税の減額を考えることができるのではないでしょうか。また,それ以降は毎年,1億円を国民健康保険事業を支えるためとして,一般会計から繰り入れることができるのはないかと考えます。

 政治の役割は,政策課題の解決や実現にあるのだとすれば,投資的な視点から考えると,約1億円を毎年,学校施設などの改修に充てれば,どれだけの改修が行えるのかを考えるのが必要ではないでしょうか。
 また,経常的に必要となる人件費で考えると,非正規職員の方々の待遇改善や,学校支援の職員の方々をどれだけ雇用できるのか,そのようなことを考えるべきです。それらとあわせながら,国民健康保険税など,やはり市民の皆さんの生活,それを支えていくことを考え,原案に賛成か反対だけではなく,その間にある考えも検討することが重要ではないかと私は考えます。

 財政調整基金には限りがあります。臨時財政対策債を当てにすることは,結局のところ,将来世代につけを回す,負担を先送りにするという考え,そのもとで取り組むことが必要だと私は考えます。
 以上に申し述べたことが,今定例会で上程されている議案の賛否に対しての私の考えのベースとなります。以上で,私の討論とさせていただきます。