2016年9月定例会 討論

議案第41号 鈴鹿市一般会計補正予算(第1号)に反対

 議席11番,中西大輔です。私は今定例会に提出された議案について,議案第41号 鈴鹿市一般会計補正予算(第1号)に反対,残り議案には賛成の立場で討論を行います。

 議案第41号に反対の理由は,第10款教育費における普通教室等空調設備整備費,いわゆる小中学校の普通教室へのエアコン設置に関係する予算と債務負担行為について,今回の議案では賛成しかねるという部分があります。

 まず,会派内の議論では,エアコンを導入することによって,今後10年,毎年1.6億円のリ一ス料が発生し,第二学校給食センターの年間3.2億円の維持管理費と合わせると約5億円が新たに教育費でのランニングコストの経費増となり,本年度の教育予算45.5億円と比べて考えると,1割以上を占める状況になることがわかると。教育にかける予算のあり方として,非常に憂慮すべきだという意見がありました。
 また,本年度の教育予算説明時に,平田野中学校や給食センター建設が終わり,大幅に予算が減額となったと説明がありましたが,これらと関係する平成25年度と平成26年度の教育決算額について,鈴鹿市の類似都市の1人当たりの教育決算額と比べ,類似都市を100とした場合に,鈴鹿市は平成25年度が73.6%,平成26年度でも98.2%という低い状況について,教育予算の大幅な増額をすべきであり,エアコンを導入するのであれば,他の予算を削ってでも,教育予算を大幅に増額すべきという意見もありました。
 ほかに,地域づくり協議会の説明会に当たって,行政が行っている説明内容と,今回,このように投資を行うことについて,矛盾があるのではないかという意見がありましたことを申し添えさせていただきます。
 それらを踏まえながら,私の考えを述べさせていただきます。

 エアコンについて,確かに,あったらよいだろうとは私も思います。しかし,全ての教室に扇風機が設置されている現在,鈴鹿市には多くの政策課題,教育についても多くの課題がある中で,選択の優先度を考えると,今すぐ取り組むものではないと私は思います。

 また,議案質疑等を行いましたが,答弁に納得できない部分があります。1つ目に,債務負担行為16億2,774万円について,財源の考えが明確でなかったことがあります。2つ目に,空調機器を省エネで効率的かつ効果的に運用するには,建物の断熱と夏の直射日光の遮光を行うべきです。3つ目に,公共施設マネジメント,つまり,ほかの教育施設改修の課題をどう進めるのか説明されていません。4つ目に,プロポーザルの内容について,21日に公示,26日の予算決算委員会を経て,議会のほうに各議員のほうに情報が提供されたのが昨日ということもあり,マイクログリッドに関する情報などについて精査し切れていないということがあります。

 確かに,国補助という魅力的な部分もありますが,それでも,債務負担行為として10年で16億2,774万円が使われる。1年当たり1.6億円,電気代を含めると,およそ2億円近い支出になることは,厳しい財政状況の中で,政策の選択肢を狭めかねないというふうに考えます。

 例えば,今年度で考えても,国民健康保険税の大幅増税の影響への対応に関して,まだまだ未整理の部分が多くあるのではないでしょうか。今定例会の地域福祉委員会の審議においても,平成30年度の国民健康保険の広域化への移行の時点で,県からの借り入れについて,まだ1.8億円残があるということがわかりました。それらの対応についてどうするか,まだ方向性が定まっていません。

 また,議案第48号の条例改正により,子ども医療費の助成が中学生の通院まで拡大したことはいいことだと思います。しかし,これにより,対象者が約6,500人ふえ,市負担の助成額は約8,800万円ふえることが見込まれています。これは,一単年度ではなくて通年でふえていくことになります。県財政も厳しいと言われる中,どれだけこれから県補助が出てくるのかということも未定ではないでしょうか。
 これらを考えても,10年にわたる歳出増を安易に決められないと私は考えます。

 教育政策の中での優先度で考えれば,まずやはり,学校規模適正化事業で今後の鈴鹿市の学校施設のあり方の方向性を出すべきです。少なくとも,今後10年の間で白子中学校の改修は避けられないはずです。白子中学校の改修とあわせれば,当然,学区の見直し等も行わなければいけない。そうなれば周辺中学校のあり方も検討しなければいけないということになるはずです。少なくとも,隣接する千代崎,鼓ヶ浦,天栄中学校の考え方は整理しなければいけなくなるでしょう。千代崎中学校の考え方を整理すれば,当然のことながら大木中学校についても考えなければいけない。このようなことが整理されていないということは,やはりリスクになるのではないかと私は考えます。

 また,エアコンについていえば,実際に運用するのは年間何日ぐらいでしょう。実際のところ,半年あるかないか,よくて半年あるかないかではないでしょうか。であれば,まず取り組むべきことは,1年を通じて学校に通う子供たちの学校生活環境,教育環境に関係するトイレの乾式化であったり,洋式化であったりという改修,また老朽化した校舎の改修を行わなければいけない。情報センターとして学校図書館を充実することも,これはするべきことでしょう。1年間を考えれば,子供たちにとってはそれが優先する課題だと私は考えます。

 それらに加えて,校務パソコン,またシステムの導入などとあわせてICT教育の推進などという課題もあります。学力向上や子供の貧困対策も含めた政策,これらに予算を配分していくことが,今,鈴鹿市の教育にとっても優先度が高いのではないかと私は考えます。

 私は,これらの学校施設についての考え方を前提として,もう1つ私なりの考え方として,今回のエアコンの結論を出すに当たって考えたことがあります。
 今,放課後児童クラブは学校とは別のところで開かれております。運営委員会のほう,保護者の方々が行っていたりということもあります。そのような放課後児童クラブの事業を学校で行うことにする。それは優先するべきではないかと思います。そして,全ての子供さんが無償で通えるようにする,このことのほうが子供たちにとって有意義ではないかと考えます。そうすれば,当然のことながら,貧困ということだけではなくて,当然,ネグレクトといった課題に対しても,その場を通じて支援をしていく。きめ細かい育ちの支援ができるのはないかというふうに考えます。
 また,誰もが行くことができ,無償であるということはどのようなことにつながるか。先ほど言いましたが,運営委員会での保護者の方々の心理面の負担であるとか,また,実際,学童保育であれば,通わせていただくためには金銭的な負担があります。金銭的な部分について整理しますと,子供さん1人に約1万円かかるというのが学童保育の実態です。1年,そして兄弟もあることから,現在の対象を約1,500人と仮定して計算すると,1人1万円掛ける12カ月掛ける1,500人とすれば,約1億8,000万円が今学童保育に通わせる必要のある方にとっても世帯収入として戻ることは,やはり大きなことではないでしょうか。このように,私は,子供のセーフティーネットの場として学校を充実させるために1.6億円を毎年投資することのほうが,その投資以上のメリットもあり,鈴鹿市にとって必要ではないかと考えます。

 財源について,人口も経済も右肩上がりでふえることは恐らく期待できないでしょう。実際に,平成27年度の決算でも市民税が減収という方向がはっきりしました。このような中で,毎年1.6億円どのように捻出をしていくのか。当然のことながら,税収が上がるということは一番いいことです。そのほかには,行財政改革で支出を減らす,もしくは借金をする,貯金である財政調整基金を取り崩していくなどということが考えられます。しかし,税収が上がれば,結局のところ,次世代の子供へのツケ回しになってしまうのではないか。そのことを危惧しております。このような年1.6億円を投入するためには,まずほかの予算を削っていくことを考えないといけないでしょう。その上,さらに教育予算を増額すべきだとして投入しようと思えば,当然,他の政策課題に対する予算もさらに削減していくということの動きになっていくのではないかというふうに思います。

 しかしながら,福祉に関する予算,扶助費などは削ることは難しい部分です。また,公共施設やインフラの維持更新といった課題は,これも私たちにとって避けられない課題です。考えられるとすれば,人件費の見直しということが一つ出てくるのかもしれませんが,これにしても,この3月に一般職給与と特別職報酬も上げたばかりで,それをすぐに撤回するのは,先を考えていなかったというようになってしまわないかというふうに考えます。

 ほか,学校プールの複数校での共有化や下水道事業の見直し等々さまざまな事業の見直しということも想定の中に入ってくるとは思います。しかし,これらの実現のためには,当然のことですが,多様な市民意見を踏まえた上での合意形成ということが避けられないはずです。
 このように,財源について現時点で先が見通せない状況で拙速に結論を出すことは,将来に対しての負債をふやすということにつながるのではないかと危惧しております。
 ですから,以上のように考えたときに,今定例会で空調設備設置に関する予算には賛成しかねるという結論に至り,反対の立場をとらせていただきました。

 ここから賛成議案について意見を述べます。決算関係の議案全体からですが,国民健康保険事業について,今年度の予算審議の際もありましたが,税の公平性の観点を踏まえながら,負担増となる国民健康保険加入者の方々の生活への影響を調査し,必要であれば適切な支援を行うべきです。その上で,平成30年に向けて県からの借り入れ残をどのように解消していくのか,財源のあり方も検討すべきです。収納対策では,歳入の入り口となる部分,各種支援金などについて国保税完納を条件とすることをホームページに掲載するなど,表に出していくことも検討すべきではないかということが今回見えました。

 介護予防に関する事業について,現在は65歳以上という形で考えられているようですが,持続的な制度の運用を考えれば,やはり介護保険に加入する40代から取り組むことが必要であることが今回の審査のほうで見えました。その際,やはり40代からは,制度を維持していくということも考えれば,介護予防と保険金の関係なども説明しつつ,自分事として考えていただけるように取り組みを行わなければいけないということが今回の決算で見えております。審議の中で,そのための啓発事業について,市内で満遍なく行われている状況ではないということが,提出された資料からわかりました。やはり,地域づくりと関連づけながら,健康と介護予防に関する啓発事業を統合して,各地区で一人でも多くの住民の方に参加してもらえるあり方を検討すべきです。

 このほか,厳しくなる財政状況の中,鈴鹿市が行っているさまざまな補助金に関してゼロベースでの見直しに取り組み,あわせて,市として補助を行う対象,内容を,例えば警備など安心安全のためといった形で明確にして,透明性と公平性を高めるようにするべきです。

 ほか,議案第48号 鈴鹿市福祉医療費等の助成に関する条例の一部改正について,今回の条例改正で対象が中学生の通院費まで拡大されますが,この制度は無料になるのではなく,あくまで公費で助成されること,つまり税の使い道が変わったという点を地道に伝える努力をしていただくべきです。鈴鹿市の子育て世代の方々にとって,地域医療に対する意識は高いものだというふうに思いますが,しかし,制度の濫用,モラルハザードにつながらないように啓発することは,常に行うべきことだというふうに思います。

 最後に,先日,夕張市の現状が取り上げられた番組がありました。何が本当にこれからの住民にとって必要なサービスなのか,自治体として持続可能性を考えた上で,政策の優先度と財源の議論をこれまで以上に深めていく必要があることがわかります。平成27年度の鈴鹿市一般会計決算の審査からもそのことが見えたというふうに考えております。
 以上で私の討論とさせていただきます。