2015年 12月定例会 討論

2議案反対、残り賛成

 議席11番,中西大輔です。
 私は,今定例会に提出された議案のうち,議案第75号 平成28年度鈴鹿市一般会計補正予算(第3号)及び議案第76号 鈴鹿市職員給与条例及び一般職の任期付職員の採用等に関する条例の一部改正について反対,残り議案は賛成の立場で討論をします。

 まず,賛成議案。おおむね異論なく賛成ですが,議案第70号の防犯カメラの設置に関する条例の制定についてだけ,少しだけ意見を述べさせていただきます。
 このような防犯カメラであったり,またそれに関するシステムですが,これらの変化,進化というか変化は非常に速くて,これらに関係して情報セキュリティーであったり,またプライバシー保護の観点であったり,このようなものというのは不断に,やはり変化を追いかけていなければサポートできないものだと考えますので,市行政につきましては,条例制定とあわせてこれらの観点をなくさないように,不断に取り組まれるように意見を述べます。

 それでは,反対議案について意見を述べます。
 議案第76号は,国家公務員給与の改定に準拠し,国やほかの自治体との均衡をなくなさいために,一般職と特定管理職について勤勉手当の年間支給割合を0.1カ月分,そして再任用職員と再任用の特定管理職員について0.05カ月分,平成28年度支給分から対象に入れそれぞれアップし,平成29年度以降はあわせて扶養手当の改正を行うという内容であり,議案第75号は,第76号の改正に伴い,平成28年度の人件費として7,800万円の増額補正議案ということになっております。

 私は両議案について,鈴鹿市の直面している政策課題,学校を初めとした公共施設等の維持更新の課題,子供の教育や福祉の向上への取り組みなどの政策を実現するための財源の確保や,また,ことしの国保税増額による加入者に対する影響などの課題を考えたとき,賛成することができません。

 これは,職員の働きが悪いと考えるからではなく,むしろ頑張っている職員の存在もわかった上で,鈴鹿市の自治体としての持続可能性を考え,今行うべき判断は手当アップではないと考えたからです。また,ここでアップせず,先,国の国家公務員の改定で減額ということが出された際に,それに安易に同調しない選択もあるのではないかという考えも含んでおります。

 また,私,本会議質疑において,議案第75号における7,800万円の財源の根拠を問いました。それに対する答弁によると,個人市民税の所得割での増収が見込まれるためとありましたが,この税収増は今後も見込むことができるのでしょうか。

 9月議会で平成27年度決算を審議しました。その際,市民税が全体として減収ということが出てきました。このことからわかるように,人口が減少し高齢化も進む中,社会も経済も先行きが不透明であり,継続的な税収増を見込むことはなかなか難しいのではないでしょうか。このような状況であるにもかかわらず税収増を見込むという説明は理解しがたいものでした。

 第76号における給与改定により,平成29年度以降は7,800万円よりも増額,ふえていく可能性があるという説明もありました。税収の先行きに不安がある中で,経常的な経費となるこれらの給与改定を行うことは,市行政の危機感のなさを露呈しているのではないかと危惧するところです。

 そもそも,個人市民税の伸びが予想されるのであれば,なおのこと,市民が必要とする政策に優先的に財源を充てるべきでしょう。何より,子供のための政策にお金を回すべきです。税収アップが見込みにくい中で毎年7,800万円強を,断熱も含めた校舎のリフォームや,トイレの洋式化なども含めた学校施設の維持更新に充てるのか,それとも職員給与アップのために充てるのか,鈴鹿市として,自治体としての選択,考えを問われているのではないでしょうか。私は,子供たちに使うべきという考えです。

 また,議案が出された根拠として,地方公務員法における均衡の原則が説明され,国に準拠するという県下のほかの自治体の動きを踏まえながら,市の財政状況も勘案し,均衡の原則で提案したとありました。このことについて,ことし4月の東洋経済オンラインというところで公表された資料によると,平均年収で考えると,鈴鹿市は全国でも上位100自治体の中に入り,県内では三重県を除くと四日市市に次ぐ2番目の自治体であり,津市よりも高い状況の中で,均衡という言葉にこだわる理由というのが私にはわかりません。

 市の財政状況を勘案するという部分について,議会におけるいろいろな政策提案に対して,実現が難しいということに対する理由が全て市の厳しい財政ということが多くの理由に挙げられているにもかかわらず,そのようなことを考えると真摯に検討した結果とは受け取ることができません。

 その点を質疑の際に再度問いましたが,市の財政が厳しい中,地方経済の活性化,地方創生の推進が叫ばれる中,景気回復に向けた取り組みがされており,今回の引き上げについては,地域経済の活性化の一助にもなると考えているという趣旨の答弁がありました。余りに都合よい解釈になっていないでしょうか。活性化というのであれば,同じ金額を,先ほども言いましたが,教室リフォームのような事業に投入するほうが,より経済効果として高くなるのではないでしょうか。また市民満足度も上がると思います。

 提案理由の中に,職員のモチベーション低下を招かないようにということがありましたが,これについても安易という感が私は拭えません。市の財政の厳しさを理由に,市民が実現を求める課題の解決が遅々として進まない中,それらよりも先に財源が給与アップに充てられるとすれば,市民の皆さんの市政に対する満足度が下がるのではないでしょうか。そのような中で仕事をするということで,逆に職員にストレスがかかり,職員モチベーションが下がるおそれがあるとは考えないのでしょうか。

 そもそも,ほかの自治体との均衡を考え,若い職員の手当アップを図るというのであれば,人件費アップのための財源確保には,まず,人事に関して大きな改革をするべきです。例えば,管理職のあり方について,何々級,部長級,課長級という形で設定されております。このような形で,同じ立場であるのに,同じ仕事をしているのに待遇が違う,そのようなことはないのか。そのようなことをまず整理をしていくべきです。スリムにして,部長,次長,課長,グループリーダーという立場だけにするなど,抜本的な改革と適正な配置を行い,給与体系をスリムにして財源を生み出した上で,給与アップということであればよくわかるものであります。
 また,このような改革とあわせて,合理的かつ公正な人事評価制度を導入して実行するほうが,よほど職員のモチベーションアップにつながるのではないでしょうか。
 私の一般質問では,給食問題などの事例を取り上げながら,コンプライアンス意識の向上を問いましたが,鈴鹿市がまず取り組むべきは,これらの課題の改善であるべきです。

 もう1つ,今の状況,今の時点で判断するのではなく,10年先,20年先を考えながら,今の判断をしていくべきではないでしょうか。今,多少給与が上がっても,10年先,20年先に自分たちの仕事,立場,そのあたりが不安定になるのであれば,今の決定が正しいものとはいえないはずです。自治体としての持続可能性から考え,先の世代へのツケ回しにならないように,また,今の決定が,先で大きなひずみにつながるのであれば,その決定を今行うべきではないという考えです。

 以上のように私は考えますので,私は議案第75号と第76号に反対の立場といたします。議員各位もいま一度お考えいただきたいと思います。
 以上で私の討論とさせていただきます。