2017年3月定例会 討論

全議案に賛成

 議席11番,鈴鹿の風,中西大輔です。私は今定例会に提出された全議案に賛成の立場をとり,意見を述べさせていただきます。

 議案第1号 平成29年度一般会計予算について,平成29年度予算は,一般財源全体で前年度より減額,減収が見込まれ,臨時財政対策債など市債の発行と,財政調整基金から20億円を繰り入れての編成という事実と,財政調整基金がここ数年で右肩下がりに減っている状況を重く受けとめるべきです。

 財政が厳しいと言われますが,市民の方々がそれを客観的に実感する機会が少ないと考えます。やはり,人口動態や財政状況など,各種データをグラフなどを用いて可視化し,言葉だけでなく視覚情報もあわせて,鈴鹿市の現状と課題を伝えるべきです。
 また,基金の取り崩しや過度な市債発行による市政運営は,将来世代の富を当てにして今の運営を行うと考えられることも伝えるべきではないでしょうか。

 そして,中学校給食の導入や子ども医療費の助成対象の拡大,小中学校への空調機器導入などを初めとして,社会保障関連予算も増大し,それらにより,これまでよりも歳出構造が変化していることを,市民の皆さんに伝える責務があるでしょう。そうして,鈴鹿市としての意思形成に取り組むべきだと考えます。

 市の財源は,市民の皆さんの税金がもとになっていることを忘れるべきではありません。これらを押さえた上で意見を述べていきます。

 まず,政策経営部関連につきまして,持続的な自治体運営について,まちに関する情報が透明性を持って公開され,市民の方々にも課題が共有された上で,政策選択の方向性を考える仕組みが必要です。
 人口減少は税収にも影響を与え,行政サービスを拡大し続けることが難しいことをやはりお伝えしなければいけない。そうして市民の皆さんとともに自治のスリム化を図っていく必要があります。
 その中で,早急に力を入れ,スピードアップして取り組むべきは,やはり公共施設マネジメントです。平成27年には,公共施設マネジメント白書が発表され,その中で,鈴鹿市が持つ,今ある公共施設全てを維持することは,ほぼ無理であるということが発表されております。その発表がされているにもかかわらず,取り組みがおくれていることが,今このいろいろな公共施設の更新が課題だというふうなことにつながっているというふうに考えます。公共施設がどのように維持更新されていくのか,やはり20年後を見据えて検討していかなければいけないでしょう。

 代表質問において,特定目的基金への積み立てを問いましたが,それに対する答弁で,財政調整基金を取り崩し,予算の収支均衡を図っている状態では非常に難しいとありました。これは,将来世代に対して見えにくい借金,それを先送りにしているという可能性があると考えるべきではないでしょうか。

 このような課題に対して,鈴鹿市だけではなく,今後,取り組まなければいけないのは,やはり広域の連携であったり,学との連携です。名古屋大学などでは愛知県内での公共施設マネジメントの取り組みを進めていますので,ぜひとも連携をとっていただくように提言させていただきます。

 そして,最も重要なことが,やはり普通の市民の皆さんがもっと市政に参画できる仕組みをつくるということです。ICT技術を活用したオープンガバメントの推進はもちろんですが,ワークショップを活用し,市民と職員の方々がフラットに政策の議論ができる場をつくり,市民力と行政力の向上につなげるべきです。それにはもちろん,教育委員会も含め,全庁を挙げて取り組むべき課題です。

 総務部について。
 今年度はこれまで以上にコンプライアンスの推進と,若手職員のモチベーションとスキルアップに力を入れるべきです。規律が緩んだ状態は,やる気のある職員の士気を低下させると同時に,市民の方々からの理解も得られない状況をつくります。やはり,本庁だけでなく学校,保育所,市民センターなど全てにいえることで,組織内の論理ではなく,目の前の市民第一という姿勢で,職員意識と業務の改革・改善をすべきです。

 若手職員の皆さんについては,学びの機会,学びを生かす機会,適切に評価される仕組みを充実させ,できる限り,外部人材との交流もふやして,より広い視点から市民生活の向上を目指す職員になれるよう,職員研修や業務評価もあわせて取り組まれることを期待します。

 地域振興部について。
 総合計画2023で,地域づくり協議会立ち上げの目標年度が平成30年と設定されています。しかし,それにとらわれる余り,地域づくりの本質を見失ってしまうのではないかということを危惧しています。地域づくり関連の予算が上がっていますが,福祉や教育,防災といった観点と,将来的な展望も踏まえ,やはり,地域の概念について,まず行政内部で横断的に整理し,考え方を統一,方向性にぶれがないように取り組む課題であります。それなしに進めてしまうと,やはり地域包括ケアシステムは機能不全に陥ると危惧します。

 また,地域の子育てを考えに入れるのであれば,コミュニティスクールもあわせていかなければ,教育面からも福祉面からも機能不全に陥ってしまうのではないでしょうか。市は,地域づくり政策を進める責任の重さを示すべきです。

 健康福祉部と子ども政策部について。
 地域包括ケアシステムについて,鈴鹿市は全ての市民を対象として考えるべきです。介護保険ベースだけでは,地域づくりと整合性をとれなくなる懸念があります。子育ち,子育てについても,地域包括ケアに組み入れ,地域福祉政策に一貫性を持たせるように検討すべきです。

 子ども政策に関して,新規事業だけでなく,一時預かり事業や放課後児童クラブといった既存の政策も,ニーズの多様化に合わせて対応を変化させるべきです。代表質問の答弁で,子供や子育て家庭が抱える課題に寄り添い,安心して子育て,子育ちができるよう取り組んでいくとありましたが,特に,市外からの転入者の方々にとって,身内からの支援や,地域からの支援も得づらい中で,どのように自治体が支えてくれるのかという点は,鈴鹿市の魅力にとって非常に重要な点でしょう。安心して子供を預けることができる仕組みづくり,これまで以上に真摯に市民の皆さんの声を聞き,改善に取り組むべきです。

 放課後児童クラブについて,個別の児童クラブで対応する形は限界に近づいているのではないかと考えられます。やはり,学校施設を活用していくことによって,待機児童という考えはなくなるでしょうから,教育委員会も交え,早急に検討すべきです。

 福祉に関係する事業について,高齢者,子育て,障害者,生活困窮など,多様なニーズが出てきております。しかし,今ある制度を持続的に維持していくためには,サービスを受ける側としてだけではなく,制度をどう支えるのかを,やはり市民の皆さんにも考えていただく必要があります。これまでの延長としての制度運営だけではなく,将来的な負担予測など,現実的な情報を組み合わせて啓発を行うべきです。

 教育委員会について。
 学校規模適正化事業において,公共施設マネジメントと地域づくりの両面にかかわる大きな案件です。従来の手法や考え方で取り組んでいては恐らくうまくいきません。各小学校区で調査報告も含めたワークショップの開催など,広範に市民のかかわる領域をふやして取り組むことを期待します。

 情報化の推進について,学校図書館のICT環境を充実させ,生徒にとって学びと発信の基地にする考えを持っていただきたい。そのためには,やはり書籍の充実も検討していただきたいというふうに意見します。
 また,一番重要なことですが,家庭でICT機器に触れることができない児童に対して,どのように自治体として対応していくか,十分な対応をしていただくように意見します。
 学校施設の老朽化に伴う諸課題,トイレの洋式化と乾式化,そのほか,日常的な部分については遅滞なく取り組まれるよう,積極的に対応していただくことを意見します。

 そして,学校を子供たちの福祉のプラットホームにする意識を教育委員会もしっかりと持ち,これまでの慣例にとらわれず,施設の活用を柔軟に行うようにし,そこで福祉の対応と合わせれば,学力向上にもつながるのではないでしょうか。子供への教育こそが,まちの基礎に重要という意識で,事業ベースで教育の充実に取り組んでいただくように提言します。

 文化スポーツ部について。
 国体とインターハイに向け,準備を加速させる年であると同時に,スポーツ計画の策定,スポーツ施設の指定管理更新などもあり,鈴鹿市のスポーツ文化にとって重要な一年になることが予想されます。競技力向上だけでなく,生涯にわたる活動として,学校スポーツと地域スポーツをうまく融合させるように検討していただきたい。

 また,平成28年度におきましては,図書館職員による自発的なイベントが好評を博していましたが,このような取り組みをぜひ積極的に支援し,内側から文化を育てる意識を充実させていただきたいと提言します。

 都市整備部,土木部について。
 高齢化と人口減少に対して,まちを徐々に折り畳む考え方の調査研究に取り組むことを期待します。
 公共交通について,やはり,まず身近な地域で暮らすことに軸足を置いた施策展開を検討した上で,シェアリングエコノミーがありますが,多様な交通のあり方や,導入手法も含めた検討を住民の方々と一緒に進めていただきたいです。

 これまでにつくってきた道路や橋なども,一斉に老朽化してくる時期です。それをピンチとしてだけ捉えるのではなく,この更新の機会を,同時に魅力ある形につくりかえる機会と捉えて,都市の価値を高めることを検討していただくようにも意見させていただきます。

 議案第7号,第8号の部分になりますが,上下水道局について。
 老朽管更新の課題,そして,人口減少と節水技術の進展による水需要の縮小というものは,水道料金などに影響を与えてくることは間違いがありません。道路の維持更新などの工事と水道管更新をうまくリンクさせ,その点でのコスト削減ということも意識していただきたいというふうに意見します。将来の課題を,多くの市民の方々にも共有してもらい,あるべき水道事業を市民とともに考えることを期待します。

 産業振興部について。
 企業誘致はもちろんですが,起業支援策と新製品開発などの支援についても,担当課の情報収集も含め,力を入れていただきたいというふうに意見します。
 地域資源活用に当たっては,農林水産業品を活用することも念頭に入れながら,なりわい,生産の現場等も含めたそのものも観光資源と考えるなど,課をまたぐ横の連携強化に力を入れていただきたいと思います。

 農林部門では,学校給食への地元産品活用と農生産の連携を深めることを期待します。
 また,さまざまな環境変化の影響を受け,2年続けて厳しい状況にある水産業について,三重県水産研究所などとも連携し,アサリなどの資源を安定的なものにできるよう,継続的に取り組むことを期待します。

 モータースポーツについて,鈴鹿8耐40周年は,これまでのリピーター獲得にとって大きなイベントとなることは間違いありません。積極的に外部へのアプローチとメディア展開を意識し,また,ものづくりの面でも二輪関係企業等を見直す契機としていただくよう意見します。

 環境部について。
 気候変動への適応について,環境問題としての観点からだけではなく,リスクマネジメントの観点も含め,適応策の検討に取り組んでいただくことを意見します。

 ごみ処理について大きな動きがありますが,処理に対する負担の考え方について,内部でのコストカットも含め,市民の方々に情報を開示した上で検討を行い,判断につなげることに取り組んでいただくことを意見します。

 危機管理部について。
 危機管理の観点から,地区のあり方を整理し,危機管理部の職員だけでなく,各地域の職員がそれぞれに,自分の住む地域,居住する地域での防災講演などを支援できるよう,研修の実施などを検討されたいというふうに意見します。

 また,設置から数年が経過している各種電子機器に関しては,機器のメンテナンスはもちろんなのですが,非常時に機器が故障するなどのリスクに対する検討と備えを行うよう意見します。

 最後に,受益と負担の見直しの中で,市民の負担増につながる案件もふえると考えますが,アンケートを利用して方向性を安易に出そうとするのではなく,やはり,その前提となる情報,人口の動態であるとか,財政の状況であるとか,その情報をまずきちんと開示し,その上で,政策の選択を行うようにするべきということをつけ加えます。

 以上のことについて,市の取り組みに期待し,平成29年度予算案に賛成いたします。そのほかの議案については,特に意見を述べることなく賛成します。
 以上で私の討論とさせていただきます。