2018年3月定例会 討論

全議案に賛成

 議席11番,中西大輔です。私も議案第2号から議案第26号の全議案に賛成の立場で討論を行います。
 ことしは総合計画2023前期計画の最終年であり,これまでの取り組みを総括して評価を行う重要な1年であると考えます。

 平成30年度の予算編成の基本的な考え方に,将来に向けて積極的な予算編成を行ったとあります。しかし,ここ数年,一般会計予算額は右肩上がりでふえ,各種基金・積立金は右肩下がりに減少しており,その理由が,施策を整理して支出を減らせない結果であるとすれば,積極的と言えるのかということは疑問です。

 昨年に続き,財政調整基金からの多額な繰り入れを前提に予算が編成されていることに財政規律の緩みを危惧します。持続可能な地域経営には,政策の選択に当たって何か事業を縮小する,もしくは仕分ける必要があるでしょう。また,決算時に不用額が多い,このような現状を考えると,事業を精査し,無駄を省き,予算の精度向上に取り組むことが必要だというふうに考えます。

 この1月,総務省から出された「平成30年度の地方財政の見通し・予算編成上の留意事項等」では,引き続き,歳出全般にわたり,聖域なき徹底した見直しを推進することを地方自治体にも求めています。2016年3月に鈴鹿市行財政改革大綱が,同じく7月に鈴鹿市行財政改革アクションプランが策定されていますが,歳出削減の部分でより厳しい見直しに取り組むべきではないでしょうか。

 また,留意事項等の中では,行財政運営についての透明性を高めること,財政状況についてより精緻な情報開示を行うこと,議会や住民に対し説明責任を適切に行うこと,基金の適正な管理・運営に努めること,決算の早期開示,住民一人当たりコストや地方公会計の整備により得られる指標の公表,財政状況資料集等の活用による住民へのわかりやすい情報開示なども示されています。以前から提案しておりますが,これらの情報を中学生,高校生でもわかりやすい形で,年内の早期に公開する。そのような動きに取り組んでいただきたいと思います。

 これらをうまく回すために,トータルマネジメントという言葉が使われていると思いますが,これも必要だとは思いますが,やはり何よりも市長,副市長を頂点としたトップマネジメントの部分で,自分事として責任意識を持ち,取り組んでいただくことが必要だというふうに考えます。

 それらは全て,今の世代だけではなく,これから生まれてくる将来世代へ,持続的な社会として鈴鹿市をつないでいくため,将来の選択肢を残すために必要だということを私たちは強く意識すべきではないでしょうか。童謡で,ポケットの中に入っているビスケットをたたくと2つになるというのがあります。そういうポケットがあればいいなという歌ですけれども,実際,地方財政で考えれば,ビスケットが2つになるというのは割れるだけであって,そのまま同じものをふやそうと思えば,将来から持ってこないといけない,そのような意識を持って考えていかなければいけないのではないかというふうに考えます。

 それでは個別に意見を述べます。
 国民健康保険事業に関する議案について,さきの答弁にもいろいろありましたが,ことしから国保財政が三重県のほうに一元化,鈴鹿市としても国保税から国保料へ移行,保険料率も変更ということになっております。
 その中で,議案第14号につきましては,政令27号により改正される内容でありますが,鈴鹿市国民健康保険条例及び鈴鹿市国民健康保険支払準備基金条例の一部改正について,こちらのほうは,政令はもちろんですが,鈴鹿市国民健康保険運営協議会の審議も経て提出されています。改正の中,限度額のアップという部分がありますが,現在の社会情勢を考えると,やむを得ない判断と考えるところです。確かに,負担のあり方に課題があると思います。また,先ほどの討論にもありましたが,いろいろ制度上の問題が内包されているということも理解するところです。この部分については,行政として,自治体として,鈴鹿市が国のほうに制度の改善について,継続して強く要望していただくように提言します。

 保険者努力支援制度のほうがありますので,こちらのほうで国民健康保険だけということではなく,医療全体,地域医療の課題として取り組んでいただくように意見したいと思います。健康な生活の維持,また,適正な受診なども含めた医療費抑制について,市民一人一人の方に意識を高めていただくことが必要だというふうに意見します。

 次に,議案第8号 平成30年度鈴鹿市水道事業会計予算と議案第9号 平成30年度鈴鹿市下水道事業会計予算について,それぞれ約20年,料金改定されていなかったものが改定された後,初めての予算になっております。
 確かに,一人一人の方々の水道料金の負担のほうはふえているかもしれませんが,こちらのほうも,さきに条例改正のときにも申しましたが,将来世代の負担を考えれば,やむを得ないことだというふうに考えます。
 また,4月には上下水道事業経営戦略等も公表されていく,また,パブリックコメントなどいろいろかかってくるところとは思いますが,ここで終わりではなく,これはあくまで,より厳しい時代に向けて入り口に立ったという意識を持たなければいけないのではないでしょうか。その上で,将来世代を考えた事業運営と経営を行っていただくこと,それとあわせ,若い世代にもわかりやすい情報を提供・提示する取り組みを継続していただきたいと思います。
 一般会計からの貸し付けという考えもありますが,それは結局,一般会計に差し支えが出てくる,そうなってくれば,通常の事業について,子供たちにも影響が出てくる可能性を考えれば,やはり市民の皆さんに理解していただく部分ではないでしょうか。

 次に,議案第17号,鈴鹿市消防団条例の一部を改正する条例について,これまでの消防団員を基本団員に改め,もう1つ,大規模災害対応団員を設定するということです。
 大規模災害対応団員としては,現在,バイクを活用したライドエイドというふうなところで設定されていると思いますが,基本団員の持つロープワークや救急法,法的対応,災害時の対応などを研修の上で設定されることは非常に意義のあることだと思います。であれば,今後は,より多様な人材が消防団活動に参加できるように,大規模災害対応団員と同様の考え方を広げられないか,そのようなことも検討していただきたいというふうに考えます。

 次に,議案第20号 鈴鹿市退職手当支給条例等の一部改正について,国家公務員と民間の差について5年ごとに見直す中で,国家公務員が平成29年1月の段階で約78万円の減額になったということを受け,鈴鹿市の退職手当のほうも見直すということになっております。金額としては約75万円ということになっておりますが,財政が厳しいということをいろいろな場面で言われる中,やむを得ない判断になるのではないでしょうか。

 しかし,これまで民間企業と差があるということで,給与改定なども行ってきている中で,このように減額の内容が出てくるということは,現在の経済情勢判断について,やはり疑問を持っていくべきではないかというふうには考えますし,また退職手当そのものにつきましても,大企業だけではなく,中小企業全体,そのようなことも勘案しながら,検討していただく必要もあろうかというふうに考えます。

 議案第2号 平成30年度鈴鹿市一般会計予算について,昨年12月議会で反対した市職員給与増に関する予算が計上されておりますが,今回の予算について,その部分について反対するといって,全体を否決することは論理的ではないと考えまして,今回,賛成させていただきます。しかしながら,いろいろな場面で厳しい財政ということを市が理由に挙げるのであれば,やはり人件費という部分についてはメスを入れ,時間外だけではなくて,いろいろな部分で見直しをかけていただくことが必要だというふうに意見します。

 予算の中では,総合計画2023後期計画策定やスポーツ推進計画策定,一般廃棄物処理基本計画策定など,市民生活にも重要な計画策定がいろいろと上げられております。しかし,より多くの市民の方々に参画していただく,このことがこれからの地方自治には必要ではないかというふうに考えるところです。ですから,より多くの市民の方々に関心を持っていただくためにも,無作為抽出アンケートを活用しながら,ワークショップ形式を利用した形での市民参画の場をふやしていただくように,鈴鹿市は取り組んでいただくべきです。その際,特に若い世代の参画を意識していただくことが必要でしょう。その若い世代の意見を聞く姿勢や,中学生,高校生の参画の機会を創出していくということも念頭に置いていただくよう意見します。

 総合計画2023後期計画については,第5次総合計画の際も,参画した委員の方々の中で動きがあったのですが,前期計画策定にかかわった市民の方々にぜひ参画していただいて,総合計画2023前期計画の検証を行っていただくようにしていただくべきであるというふうに意見します。

 公共施設マネジメントに関係する部分について,ことし1月の議会提言を受け,組織のあり方や業務のあり方などを検討されていると思います。しかし,多くの公共施設,学校規模適正化事業であるとか,保育園の改修であるとか,いろいろな課題がたくさん出ておりますし,またニーズに対して施設が対応しきれていないのではないか,療育センターではそのような話もお聞きしたりしています。そのような課題もあるということを考えれば,やはり取り組みのスピードを一層速く,また濃度を一層濃くしていかなければいけないのではないかというふうに考えるところです。そのためには,アドバイザーの委託ということだけではなくて,やはり実績のある大学との連携を視野に入れて行動するべきだというふうに意見させていただきます。

 議案質疑においては,学校修繕に関係する予算について,施設管理費だけではなく,学校運営費の中に修繕に関する予算が一部入っているなど,整理するべき点が見えました。学校運営費は備品関係のみにし,学校校舎に関係する物品などは施設整備のほうに回して,施設管理費に統合するということを提案させていただきます。そのようにすることで,調達の際のスケールメリットを考えられると思います。また,教育委員会だけではなく,同様の事案が他の部署にもないかチェックしていただくように意見させていただきます。

 地域づくりに関して,公民館運営委託料を地域づくり一括交付金に統合する予算が上がっております。確かに,進んでいる地域の方々にはそのように取り組んでいただいて,そこから得られた知見をフィードバックしていただくということが必要だというふうに考えるところです。しかし,代表質問のほうでもかいま見えましたが,いまだに行政の中で,地域の考え方というものが整理し切れていないのではないかという課題,まずそれに取り組むという答弁もありましたので,その点が落ちつかないまま進めることは,ほかの地域で進めようとしたときに影響が大きいと考えるところです。

 このような総合計画のタイムスケジュールに合わせて矛盾が起こってくる可能性があるということにつきましては,総合計画2023の基本構想の議決の際に,私,討論のほうで──その当時は反対でしたが──指摘させていただきました。ですから,行政が設定した時間軸に合わせて無理押しで進めることのないよう,また本来,行っておくべきだった政策間での地域の概念の整理を早急に行っていただくべきだと。また,その中で,自分たちの動きについて評価し,改善していただくように意見します。

 次に,来年には統一地方選挙があるわけです。18歳選挙権で初の統一地方選挙になるわけですが,これは非常に重要な機会だと考えます。これから鈴鹿市の自治に市民がより参画する,若い世代がより参画するためには非常に重要な機会だと考えるところです。
 鈴鹿市選挙管理委員会においては,通り一遍の啓発だけではなく,他の部局と連携して,財政状況や市政課題についての情報発信とあわせた取り組みを行っていただくよう意見します。

 議案第21号 平成29年度鈴鹿市一般会計補正予算(第5号)について,公共施設整備基金積立金に3億7,000万円を積み立てたことは評価できる部分です。しかし,現在,自治体の保有する財政調整基金の金額について,国からいろいろと指摘があるなど,今後,基金の動向は不透明な部分があるのではないかというふうに考えます。

 また,議案第2号 平成30年度鈴鹿市一般会計予算の中では,消防団施設整備費として各分団施設の計画的整備に関する予算が計上されております。今後,これらの分団施設の更新費用についても考えるべきですし,学校給食センターなど既存の公共施設についても大規模改修の時期を想定しておくべきであると考えるところです。ですから,この基金のほうにどの程度の金額があればよいのか検討していただき,将来的な予想も含めて,積み立てを計画的に行っていただく,場合によっては,財政調整基金の金額の是非も含めて検討していただいて,組みかえていただいてはどうかというふうに意見します。
 以上で,私の賛成討論とさせていただきます。議員各位の御賛同,御理解よろしくお願いいたします。