2018年9月定例会 討論

全議案に賛成

 議席13番,中西大輔です。
 私は9月定例議会に提案された議案第38号から議案第56号までの全ての議案に賛成の立場をとり,その上で幾つか議案について意見を述べさせていただきます。

 まず,議案第38号 平成30年度鈴鹿市一般会計補正予算(第1号)について,補正内容は,大阪府北部地震を受けて,ブロック塀の撤去などを中心とした予算内容であり,おおむね全体について妥当だと考えます。

 その中,議案質疑でも状況を伺いましたが,第6款農林水産業費における漁港管理費の400万円の補正内容について,鈴鹿漁港と若松漁港を中心とした市の管理する海岸保全施設と付随する海岸線について,漂着した流木,ごみの撤去を行うという事業ですが,先日の台風24号でもさらに大量の流木であったり,ごみが漂着しており,県管理の海岸線の漂着ごみの対応も含め,県との協議だけでなく,関係市民の声を聞くことも含めて事業に取り組んでいただくように意見したいと思います。市長,副市長には,やはり現場を見ていただいて,県だけではなく,鈴鹿市の課題として考えていただきたいというふうに考えます。

 次に,三重国体に向けて,AGF鈴鹿体育館──市立体育館ですが──の長寿命化対策と大規模改修をあわせて行うための工事請負契約の内容となっている議案第44号から議案第46号について,契約内容について異論はありません。
 しかし,議案質疑と委員会審議から,改修に当たって当該施設の運用方針が不明確ではないかという点が見えました。やはり鈴鹿市として,体育館を文化,スポーツという側面からだけではなく,全世代対象の福祉,防災,地域経済など,さまざまな政策の中でどのような位置づけの施設とするのか,また,どのように利活用するのか,そのような点について整理に取りかかるべきと考えます。
 工事完了が終わりなのではなく,工事完了がスタートとなるはずです。それまでに関係条例の改正や,指定管理者制度など,管理運営の課題検討も行うことになるでしょうから,市民の声を広く聞く形で行動を起こしていただきたいと意見します。

 次,議案第49号 平成29年度鈴鹿市一般会計決算の認定について,経常収支比率について着目されている討論がありましたが,私も同様にその点について言及させていただきたいと思います。

 市として独自に使える税収などの収入に対して,人件費や扶助費,物件費といった持続的,固定的な支出の割合がどれだけであるかという経常収支比率が,93.9%と前年より1.4%増加しているという内容です。それを金額に換算すると,総務委員会のほうでもお聞きしましたが,約23億1,400万円が平成29年度に市が独自で使えたお金というふうに考えられるということです。
 経常収支比率は,右肩上がりの傾向を強めていて,さらにこの中で赤字の地方債とも言われる臨時財政対策債分を除くと99.5%という形になります。つまり自由がきかない財政運営,財政の硬直化が進んでいるということです。

 臨時財政対策債についても先ほど討論の中で言及がありましたが,こちらのほう,国の地方交付税との関係もありますが,国の財政は,特例公債法案によって赤字国債の発行で成り立っているという現状を考えれば,やはり私たちは真剣に考えなければいけない課題というふうに考えます。

 平成13年以降の傾向を見ると,義務的経費で見ると扶助費と人件費が,歳出の目的別で見ると民生費と衛生費が,それぞれ右肩上がりの傾向となっています。扶助費と人件費については,財政の硬直化の要因として,今年度,平成29年度の監査委員の意見書にも出ているところです。

 このように,人口減少,高齢化の進行,子供の教育,福祉政策の重要性,公共施設や道路,水道・下水道など公共インフラの老朽化や整備への対応など,歳入面では先行きの不透明さ,歳出面では増加要因そのものがふえていくことが懸念されます。その中で災害への備えなど,取り組まなければならない課題が山積していて,非常に難しい時代と言えます。

 平成29年度決算から言えることは,行政,議会,市民の方々,それぞれが厳しい財政の現状を知り,また,将来の政策課題について知った上で議論して,将来に向けて今の政策選択を精査していくことが,これまで以上に求められるということではないでしょうか。

 公共施設の再編,維持改修についてですが,残念ながら,まだその理解というのが進んでいないように感じる部分があります。実際,行政のほうでは,担当課のほうで非常に動きが進んでいる,議会の提言を受けて進んでいるところですので,やはりその点について考えていかなければいけない。公共施設を改修するのであれば,先ほど言いましたが,約23億円の鈴鹿市が独自に使えるお金の中から財源を捻出するか,もしくは市債の発行,そのようなものに頼っていく必要がある。それは将来世代にかかわることですから,真摯な議論が必要ではないかということを行政も考えていただきたいと思います。

 そこで,これらの内容について,決算議案全体に共通することとして意見を述べさせていただきます。
 2019年は,総合計画2023後期計画策定の年となりますが,先ほど申しましたように,難しい時代を前に,市が力を入れて取り組むべきと考えることを述べさせていただきます。

 施策や業務について,現在の状況はもちろんですが,厳しいと言われる財政状況の過去から現在までの動きや,政策や財政の将来課題と展望について,情報をわかりやすく整理し,見せ方も工夫して,中高生も含めた若い世代を初めとした,より多くの市民の方々に提供し,説明や解説の機会をふやすべきと考えます。このことは,先ほど公明党,池上議員の討論にもありましたが,ティーンズミーティング,高校生への議会報告会の中で,高校生の皆さんと触れ合うことでも感じることでした。

 その上に,やはり総合計画だけはなく,各種計画策定の場面,公共施設改修などの際にも,若い世代の参画機会をこれまで以上にふやすべきと意見します。このことは,学校施設の改修に関して,先ほども申しましたが,ティーンズミーティングで,参加の高校生から意見が出て,若い世代も意見が言える場所をつくってほしいということがあったことからも明らかです。

 学校施設に関しては,教育委員会についても,特に若い世代の参画機会を意識していただきたいと思います。そして,このように取り組むことは,鈴鹿市の若い世代,子供たちの学力向上と恐らく関連するでしょうし,将来の市民力,ひいては鈴鹿市の地域力の向上につながることと考えます。ぜひとも力を取り込んでいただきたいと思います。
 そして,このような取り組みを支えていくためには,当然ながら職員力の一層の向上が必要となると考えます。委員会の質疑で職員研修費について問いましたところ,全体で2,436人の研修があり,そのうちJIAM(全国市町村国際文化研究所)など,外部への参加は20人,自己研修が24人ということがわかりました。この数字は,鈴鹿市職員の内向き志向をあらわしているのではないかというふうに考えるところです。

 現在は,このような外部のさまざまな研修に参加し,そこで知り合った各地の自治体職員の方々が,ソーシャルメディアなどを用いてはもちろん,実際に交流し,情報や意見を交わして,自治体政策を考えたり,実践されたりしています。次年度以降,これまで以上に外部研修への参加を促すことや,自己研修についての評価を高めるなど,鈴鹿市内だけではなく,外部にも職員力を広げる取り組みに力を入れていただきたいと思います。
 さきの一般質問では,職員定数や人件費削減について問う内容がありましたが,職員研修で職員力を向上し,また,業務評価と連携して人事評価に生かしたり,業務改善を通じて労働環境の改善に取り組む,そのようにして職員のモチベーション向上と満足度の向上につなげ,それによる市政の力の向上が,今とるべき施策ではないでしょうか。

 そのためにも行政評価を自分事として捉え,補助金などの適正な運営や効果をチェックするなどの姿勢も鈴鹿市職員には重要になるのではないでしょうか。あわせて,今行っている業務についても全て見直しをかけ,行政として取り組まなけばならない業務と,民間でも可能な業務に仕分け,官民連携を検討し導入することを積極的に考えることのできる人材の育成を考えるべきと意見します。

 コンプライアンスについてですが,この内容については,過去幾度となく私も発言しておりますが,まだまだ不十分な面があると考えますので,より一層の取り組み,真摯さを持って行っていただきたいと思います。
 ほか,民生費と扶助費について,地区別防災計画,地域づくりなどについて意見を述べさせていただきます。
 民生費と扶助費について,経常的経費の中で大きな割合を占めていますが,これまでのように右肩上がりにふやしていくということは難しくなるでしょう。しかし,子供の貧困対策を初めとした子供の福祉政策,高齢者の割合がふえることによる高齢者福祉,そのほか各種の医療関連施策など,今後もニーズがふえることが予想されます。それらに取り組んでいくには,行政の取り組みだけでなく,やはり市民の方々にも一緒に考えていただき,行動していただくことも必要になるでしょう。それが地域共生社会,地域包括ケアシステムの構築であると考えます。

 この点,この決算を受けて,地域づくりのあり方と重ね合わせて,次年度以降もしっかり取り組んでいただくべきと意見します。例としてですが,子ども医療費は無料になったわけではなく,公費助成制度のあり方が変わり,税金から支出されることになったわけです。それは税の使い道を変えているということであり,サービスだけなく,それを実施する財源のあり方などについても市民の方々に理解が広まるように取り組んでいただくよう意見します。

 地区防災計画について,平成29年度決算での実績は1地域と委員会での答弁がありました。さきの台風21号による強風被害,台風24号における高潮警報,両台風での停電被害など鈴鹿市全体の備えや対応だけではなく,個々の地域での動きが問われてくる時代に入っているということがわかるのではないでしょうか。
 今年度も取り組まれていると思いますが,この決算を受けて,次年度以降,大地震への対応だけでなく,超大型台風なども想定した地区別の防災計画の検討を地域住民の方々と取り組んでいただくことが重要な課題となったのではないでしょうか。

 次年度予算編成に当たっては,海岸線地域や,堀切川や鈴鹿川沿岸地域など,台風や豪雨の影響が考えられる地域を中心に地区防災計画策定の取り組みに力を入れていただくべきと意見します。

 地域づくりについて,地域支援職員の研修は効果があったということでしたが,私は行政の進め方について,いささか拙速過ぎるのではないかと危惧しているところです。先進的な地域づくり組織については,特区的な発想で行政の考える地域運営に取り組んでいただければよいと思います。しかし,複数の地域が入り組んでいる地区では,より丁寧に説明を行ったり,より広い世代の合意形成を意識していくべきと考えるところです。

 この決算を受けて,今年度以降,行政が進めていくに当たっては,最低でも教育,福祉,防災,行政運営のあり方について,まず行政内で政策の連携をとり,市民の方々にもわかりやすく,理解できるようにした上で,総合計画2023後期計画に向け取り組んでいただき,議会にも説明していただくべきと意見します。
 以上をもって討論とさせていただきます。
 そのほかの議案については,特に異論なく,賛成とさせていただきます。