2018年 12月定例会 討論

議案66号と63号に反対

 議席13番,中西大輔です。
 私は,議案第63号 平成30年度鈴鹿市一般会計補正予算(第3号)及び議案第66号 鈴鹿市職員給与条例及び一般職の任期付職員の採用等に関する条例の一部改正についての2議案に反対し,そのほかの議案には賛成します。
 以下,反対議案に対する意見と,賛成議案について若干意見を述べさせていただきます。

 反対議案について,私は公務員給与の改定について全否定しているわけではありません。しかし,今の状況は,優先すべき政策が山積みの状況で,その解決にまず取り組むべきです。また,そのための財源の道筋も整理すべき時期であり,給与の改定はその後でも可能ではないかというふうに考えています。
 その前提を置きながら,議案第66号から意見させていただきます。
 過去,平成28年,平成29年と,今回と同様の職員給与条例改定の議案と,関連する補正予算議案に対して,私は反対しております。
 その趣旨は,鈴鹿市が直面している将来課題や政策課題,例を挙げると,学校を初めとした公共施設の維持更新や,子供の教育や福祉の向上の取り組み,道路などインフラの整備や改修といった市民要望を実現するための財源の確保が先だということです。今回も趣旨は同じです。

 今回の改定は,人事院勧告を受け,民間給与との格差を埋めるためとして,給与などを引き上げることで約4,700万円が今年度分から支出,今後,ほぼ同額が経常的な経費としてふえるという内容になっています。これに過去2年間の給与のアップ分を加算して考えると,鈴鹿市は3年間で約2億円の人件費増を行うことになります。時間外手当の削減など努力があることは認めるところですが,やはり厳しいことではないでしょうか。
 このような人件費のあり方については,監査委員による平成29年度決算審査意見書において,本市の人件費比率が近隣市と比べ,やや高い傾向にあることが財政硬直化を招く要因として懸念されていることが述べられています。

 平成29年度一般会計決算において,経常収支比率が93.9%となり,市が独自で使えたお金が約23億円だったということがわかりました。一般質問の中において,この点について問う質問に対する答弁でも,10年前に比べ,この金額が半減しているとありました。非常に重いことではないでしょうか。人件費は持続して固定的に支出される経費となり,今回の改定は,さらに,独自に使える財源を減らすことにつながります。

 議案第61号,一般会計補正予算(第2号)では,小中学校の光熱水費が空調機器の使用で増額補正となり,幼稚園への空調機器設置も計上され,今後,光熱水費支出がふえることが想定されます。また,第2療育センター整備によって管理運営費が発生するなど,次年度以降,経常的にかかる経費が増大することが既に予想されるわけです。また,それらだけでなく,教育ICT化の推進についても応分に支出がふえることが予想されます。
 よく話題に取り上げられますが,小学校の屋内運動場の改修が進まないこと,学校のトイレの改修が進まないこと,土木関係の要望がなかなか消化されないこと,このようなことは全て財政の厳しさが理由に挙げられます。厳しい財政とは,独自に使える財源が少ないことを指すと考えるところです。つまり,経常的な経費が増加することは,実施しなければいけない施策や事業,実施を期待される施策や事業がある中で,市として独自に使える財源を減少させ,財政の余裕を小さくさせることになり,政策の選択肢を狭めることになるため,私は納得できないところです。

 人材確保,職員のモチベーション向上を理由に挙げられていましたが,それを根拠として考えることはいかがでしょうか。挑戦することが受け入れられ,実際に取り組むことができ,そして評価される。それが自分のキャリア形成にもつながり,自分の成長過程と循環していく組織運営であることのほうが,若い世代には重要な要素と考えるところです。出るくいは打つ,事なかれのような風土を改革することが必要でしょう。
 また,2年前の討論でも意見させていただいたところですが,管理職のあり方について,抜本的な改革と適正な配置を行い,給与体系をスリムにして財源を生み出す検討はされたでしょうか。地域手当を見直すなどの努力も行っていくべきではないかと考えるところです。
 これらのことから,議案第66号に賛同できず,反対します。

 もう1つの反対議案,議案第63号,一般会計補正予算(第3号)について述べます。
 議案第66号の改正内容を受け,平成30年4月にさかのぼり適用されるため,4,700万円が支出されるという増額内容になっております。その財源根拠は,固定資産税の増収見込み分を充てるというふうになっております。そうであるならば,鈴鹿市としてまず取り組むべきことは,学校施設改修費用などの投資的費用に充てる,もしくは教育関係予算に計上し,教育内容を充実させることではないでしょうか。そう考え,私はこの内容に反対します。

 市長,副市長の二役と財政部局も含めた協議で,市の政策判断として職員給与の引き上げ改定を決めたということですが,厳しい財政を理由に要望への対応が遅くなっていたり,市民が実現を求める課題の解決が進まず,行うべき事業への取り組みも先行きが不透明な中で,それらよりも先に財源が充てられるとすることは,市民の皆さんの理解が得られるでしょうか。難しいと私は考えます。二役の経常的な経費の増加に対する考え,財政運営に対する危機感はどうなっているのかと危惧することから,今回の決定は理解しがたいものです。

 ことし,福岡市総務部長の今村 寛氏による,財政出前講座とSIMふくおか2030の講演を聞き,それを参考に,私が受け入れているインターン生にSIMを実践しました。その経験も踏まえながら,今村氏の講演の中,行財政改革について,ビルド・アンド・スクラップとして,将来から考えて実現するべき事業を選択してそれを積み上げ,積み上げた事業を実施するのに必要となる事業費分の財源を,全ての事業に順位づけをして,選択をして,捻出することが大切ではないかという言葉がありました。構想日本による事業仕分けの考え方もそうですが,このような考えや意識は,今の鈴鹿市政にどれだけあるでしょうか。
 また,ことし11月,財政制度等審議会から政府に出された平成31年度予算の編成に関する建議の中で,現在の世代が共有地のように財政資源に安易に依存し,それを自分たちのために費消──使い果たすという意味ですが──してしまえば,将来の世代はそのツケを負わされ,財政資源は枯渇してしまう。悲劇の主人公は将来の世代であり,現在の世代は将来の世代に責任を負っているのであるという一文があるのですが,二役にその意識はあるのかと疑問に思います。
 私は,鈴鹿市の将来世代に向けた視点から考えても,議案第63号と議案第66号には賛同できず,反対するものです。

 賛成議案から,議案第61号 平成30年度鈴鹿市一般会計補正予算(第2号)について,幾つか意見を述べます。
 歳入において,個人市民税の所得割で6億6,836万9,000円の増額補正となっていることについてですが,この増額となった理由は,納税義務者数がふえたことと,給与所得がふえたことというものでした。ただし,その増収内容を確認すると,給与と営業所得はふえているものの,農業所得が伸びていないということがわかりました。この点から,市として農政について工夫が必要と考えるところですので,新年度に向けて考慮していただくべきと意見します。

 第2療育センター設置に伴い,歳出で4,460万円,債務負担行為で7,260万円,合わせて1億1,720万円が計上されています。療育サービスのニーズがふえ,現在の療育センターは手狭でもあることから,旧牧田幼稚園を改修,改築してセンターを設置,療育内容を分けるなどの対応をとることは,これは必要なことであると考えるところです。
 しかし,改修費用としては高額とも言える金額に対し,第2療育センターをどの程度の期間運用するのか,本会議における私の議案質疑でも,鈴鹿市公共施設等総合管理計画に基づいて判断すると答えは曖昧でした。何年使うかわからないという状況でした。
 それに対して,質疑の際,地域福祉委員会で説明をしていただいてはどうかということを意見したわけですが,委員会でも説明されていないという状況は,市民の皆さんからの税金を説明責任のもとに有用に生かすという考えに欠けているのではないかというふうに考えるところです。鈴鹿市コンプライアンス推進大綱の行動規範に反することではないかと危惧します。早急に運用期間の考えを提示していただくように意見します。

 次に,小学校費と中学校費の光熱水費の増額補正について,天候の影響でプールの水使用がふえたことと,照明のLED化などによって電気使用が抑制された一方で,空調機器の使用による電気使用量が増加したことが要因ということでした。原因は,7月下旬の酷暑と言われた時期だけではなく,空調機器の運用期間全般について増加していることから考えて,予算計上のあり方,適切な運用のあり方など,今後も検討を要すると言えます。
 また,設定水準を超えた時期があったことについて,3日間の学校休業により,校舎内に熱がこもっていたことが要因と考えられるということでしたが,このことから,やはり現状をよしとせず,学校校舎の断熱や遮光,通風などについても考え,対処に取り組むことを意見します。
 幼稚園費では空調機器設置についての補正予算も計上されていますが,これを合わせると,さらに光熱水費が増加することが予想されます。適切な運用のために網戸を設置することなども検討していくべきではないでしょうか。

 最後にですが,手話言語条例が今議会に提案されております。手話言語条例も非常に大切なところですが,いろいろな手段でわかっていただく,今もそうですが,要約筆記をすぐに文字として表示できるなど,そのようなことにも予算を使いながら,市民生活を充実させていかなければいけない,そのことを意見しまして,私の討論とさせていただきます。
 ほかの議案については,特段意見なく賛成します。