2019年 2月定例会 討論

全議案に賛成

 議席番号13,中西大輔です。
 私は,今2月定例議会に提出された全ての議案に賛成の立場をとらせていただき,自分の論点のほうを述べさせていただきます。

 順番が前後しますが,まず議案第9号 鈴鹿市地域づくり協議会条例の制定について,鈴鹿市における地域づくりを進めるための条例と理解します。議案質疑において,第3条「連携」と第10条「市の支援」について確認し,この2つの条文が,まちづくり基本条例での「市の責務」と対応しているということを確認させていただきました。支援については人的支援及び財政的支援を行うということですが,住民自治を尊重する形で,持続可能な仕組みとなるように取り組んでいただくことを期待します。
 拠点施設について,単独公民館を優先に,地域部屋の確保に向けた改修を行う考えということでしたが,施設の複合化などの検討も含め,取り組んでいただくことを期待します。何より,地域づくり協議会について条例で明確にするのであれば,市が行う団体自治の部分について,これまで以上に責任のある取り組みが求められるでしょう。

 次に,消費税率が10%とされることに伴う料金改定に関する各条例ですが,消費税率アップは,保育の無償化や社会保障の充実,基礎的財政収支の黒字化など,国の大きな流れとも関係しているところで,目の前の金額だけで議論することは妥当ではないのではないかと考えます。
 また,文教環境委員長の報告の中で,市民感情を根拠に反対するという論点がありましたが,将来世代,将来の鈴鹿市民となる子供たちのことを考えているのだろうかという点,また,これによる収入増は微々たるものだという御意見がありましたが,厳しい財政の中,微々たるものと言っていいのか,このような点について違和感を感じるところでした。
 一方で,議案書を通して見ると,料金の表記は定まっておらず,その点は,今後,表現を共通にするなど,改善に取り組んでいただくことを期待します。

 議案第44号 平成30年度鈴鹿市一般会計補正予算(第4号)から1点,小学校費と中学校費における,学びサポート環境づくり事業費の減額補正の中からですが,学校は雇用を必要としているものの,条件を満たす雇用希望者が少なく,予定数全てを雇うことができなかったという理由からは,雇用について,その職務内容に応じた賃金のあり方の検討にも取り組まなければいけないというふうに意見をさせていただきます。

 議案第1号 平成31年度鈴鹿市一般会計予算について述べさせていただきます。
 本題に入る前に,全体の流れとして,国のほうで平成31年度予算の編成等に関する建議の中,総論では,平成という時代は,少子高齢化で負担先送りの深刻さが増す中,平成当初に脱却した特例公債――赤字国債――に大きく依存していることをはじめ,厳しい財政状況を後世に押しつけてしまう格好となっている。平成は,税財政運営が受益の拡大と負担の軽減・先送りを求める圧力に抗えなかった時代。受益と負担の乖離は,国民が財政を自らの問題と受けとめることを困難にしたおそれ。財政健全化に国民の理解を得るには,エビデンスに基づく政策立案を推進すべきとあり,地方財政では,税収増などに頼った財政運営は適切でなく,地方においても受益と負担の関係の「見える化」を進めることが取り上げられています。
 このことは,鈴鹿市における平成31年度予算執行の中でも,十分に留意すべき点と考えます。国の財政のほうも1,000兆円を超えた長期債務の負担ということを考えれば,やはり私たちは国の財政についても考えながら,地方財政を考えていかなければいけないと考えます。

 そこで,平成31年度一般会計予算は骨格予算ですが,肉づけと呼ばれる部分については,普通建設事業費がその主な対象となっています。しかし,本来,当初予算で対応すべき内容が多々含まれていると考えるところです。
 その一例として,歩道整備事業費でのグリーン帯設置の予算があります。子供の安全安心にかかわる部分になりますが,今議案では,前々年度決算額及び前年予算要求額の半分となっています。委員会質疑に対する答弁では,肉づけの補正予算で対応されるだろうとありましたが,このような必要性の高い事業については,当初予算で対応すべきではないでしょうか。
 このような肉づけ部分について,財源の考え方を質問しましたが,国と県の支出金などの特定財源,財政調整基金が財源と考えられるとありました。財政調整基金からの調整という考え方について,将来に対する備えから考えて,慎重に検討すべきということが見えてきます。やはり,計上すべき事業は,政治のサイクルに合わせて肉づけを理由に減額とするのではなく,当初予算できちんと計上し,財政の現状をわかりやすくすべきではないでしょうか。
 今後,教育のICT化の推進など,機材の整備などに多くの出費と,機器の管理運営のための費用が経常的なものとしてふえることが考えられますから,より慎重な財政運営が求められることからも,そのことが言えます。
 また,すずか応援基金の使い方を見ると,経常的な経費と考えられるものが幾つか含まれていると考えます。この点についても,今後の財政運営を考えたとき,経常的な事業と考えられるものは経常一般財源のほうで対応することを考えていかなければ,財政課題がわかりにくくなる要因となることが考えられます。この点についても,予算を執行していく中で精査し,次年度には整理していただくよう期待します。

 また,今回の予算は,鈴鹿市として重要な計画策定と関係しています。それを考えると,昨年の当初予算額よりもやや少な目とはいえ,金額そのものが大きいことは懸念すべき状況ではないでしょうか。このことは,経常経費の抑制がうまく進んでいないためと考えられますから,予算執行の中で,行財政改革により一層力を入れていただくことを期待します。

 個別について言っていきます。
 政策経営部について,総合計画2023後期計画の策定,公共施設マネジメントにおける市民無作為アンケートの実施と,鈴鹿市の将来に重要な計画策定が予算に関係しています。これらの動きの中で,若い世代の声を十分に取り入れていただくことを期待します。
 すずか応援寄附金について,今回の予算は,前年度に対して寄附金額が減ると予想された内容となっています。ふるさと納税に関してはその動向が不透明な部分もあり,寄附金を経常的な経費に充てることは難しいのではないでしょうか。寄附金額をふやそうとする取り組みはもちろんなのですが,自治体が抱える問題解決のため,ふるさと納税の寄附金の使い道をより具体的にプロジェクト化し,寄附を募るクラウドファンディング型の取り組みについて検討していただくことを期待します。

 教育委員会について,予算額全体が民生費などで増加する中,その占める割合は低下しています。しかし,取捨選択を求められる財政運営の中で,子供たちの学びに関する予算が十分かと言えば,十分でないということは否定できないのではないでしょうか。その点について,子供政策との連携の中から,教育的効果の高いものについて部局間で連携し,取り組みを進めていただくことを期待します。具体的には,新・放課後子ども総合プランの考えを実践するに当たり,子供の居場所という観点から,学校施設の活用について,教育委員会としても既存の考え方にとらわれず取り組んでいただきたいと期待します。
 公共施設マネジメントでも,その半分以上の課題は学校施設であり,老朽化の進む施設や設備などが多く,現在も小学校で,使用が停止され,テープが張られた遊具などが子供たちの目につくところに設置されている状況となっています。このようなことは,教育的な観点から考えて決してよいものではないでしょう。少なくとも秋の運動会シーズンまでに対応方針を明確にし,子供たちを初めとした市民の皆さんが安心できるようにすべきです。

 地域振興部について,住民自治が成長することは,鈴鹿市にとって必須のことだと考えますが,現在の取り組みは,市民の皆さんに頼るところが多いように見受けます。本当に力を入れて取り組むのであれば,鈴鹿市の団体自治としての制度や仕組みを早急に整理するべきです。あわせて各種計画などについても,地域の考え方のずれがないよう調整に取り組まれることを期待します。

 総務部について,コンプライアンスに依然として課題があると考える中で,予算審査の中では,コンプライアンスに関する文言が見受けられませんでした。取り組みが十分であるのか,成果を上げているのか,その点の評価をし,予算執行の中で厳しさを持って取り組んでいただくことを期待します。

 文化スポーツ部について,東京オリンピック・パラリンピック,三重国体などに向けて,これからさまざまな取り組みがふえていき,重要な年となります。市立体育館の大規模改修が,ことし12月に工事が完了予定,来年4月にオープンが予定されていると聞くところですが,市立体育館をどう管理運営していくかも大きな課題です。市立体育館を中心としたスポーツ施設をどのように活用するのか,スポーツを切り口とした福祉などの住民サービスをどう展開するのか,施設を活用してどのように稼ぐことができるのか,利用料の見直しなども含め,より広い観点で施設の活用を検討していただくことを期待します。あわせて西部地域のスポーツ関連施設のあり方も期待します。

 環境部について,温暖化対策が注目されがちですが,それだけでなく,気候変動の影響についても不断に調査研究を続け,国と県の動向を注視するだけでなく,鈴鹿市として柔軟に気候変動への適応対策に取り組んでいただくことを期待します。

 子ども政策部について,子供政策の重要性は,これからも高まることは間違いありません。その取り組みには,縦割りで事業に取り組むのではなく,地域共生社会の実現を念頭に入れ,部局間はもちろんのこと,市民の皆さんも含めた横の連携で,子供たちに手厚いセーフティーネットができるように取り組んでいただくことを期待します。

 健康福祉部について,地域包括ケアシステム,地域共生社会の実現により一層力を入れていくべきです。民生児童委員,地区社会福祉協議会,地域包括支援センターなど,その範囲について,地域づくり協議会の活動と合わせるなど,考えるべき課題は山積しています。その点について,健康福祉部だけではなく,地域振興部や政策経営部などとも連携しながら,将来的にも持続可能な仕組みとなるよう取り組んでいただくことを期待します。
 また,民生費が右肩上がりでふえることが予想される状況の中,市民の皆さんの御理解のもとで福祉に取り組むことがより重要になります。その点についても,市財政全体との関連などとも含めて,これまで以上に丁寧な説明に取り組まれることを期待します。

 産業振興部について,新名神が開通,鈴鹿パーキングエリア,商業施設ピットスズカも開業し,鈴鹿市の産業における西部地域の位置づけが重要になることは明らかです。より広い視点と多様な観点から,西部地域を起点とする経済活性化策について,関係部局と連携して取り組んでいただきたいと期待します。あわせて,市内で新規事業が立ち上がりやすくなるようなエコノミックガーデニングの発想で経済対策に取り組んでいただきたいと期待します。

 土木部について,市民の方々の要望になかなか対応できないところもある中,骨格予算として肉づけ部分が普通建設事業費の中に多く含まれる現状を考えると,事業の進め方,考え方を改善する必要があるでしょう。以前に調査された市道の1・2級路線を初めとして,年度ごとに取り組み可能な事業を見える化し,市民の皆さんに説明する必要が出ていると考えます。その取り組みを期待します。

 都市整備部について,公共交通について手引を作成し,住民の皆さん,市民の皆さんにも考えやすくするということは評価できるところです。それに関して,民間企業からも事業提案を求めるなどし,そこからも住民の方々が選択できるような取り組みを進めていただくことを期待します。同時に,公共交通の課題は,高齢社会の進展と人口減少,スポンジ化するまちと関連するものです。公共交通だけでなく,都市計画の観点からも,暮らすことに魅力のあるまちのあり方を市民の方と一緒に考えていただける取り組みを進めていただくことを期待します。

 危機管理部について,防災計画費として,地区防災計画づくりの促進が事業に上がっています。この取り組みについて,地域協働課と協議し,災害リスクが高いと考えられる地区について,地域計画の策定にとらわれず,地区防災計画づくりを強く推進していただくよう期待します。

 上下水道局について,昨年策定された鈴鹿市上下水道事業経営戦略に沿って上下水道事業を進められていますが,昨年12月,水道法が改正されるなど,上下水道を取り巻く社会情勢は大きく動いていると言えます。今後,広域化や広域連携といった案件も想定されます。今年度も,上下水道事業が市民生活にどのように関係するのか,また将来的な展望も含めて,市民の皆さんにも考えていただく機会を確保し,上下水道事業に取り組んでいただくことを期待します。

 選挙管理委員会について,選挙常時啓発費で小中学校での模擬投票の実施など,若年層への啓発を図っていることについては理解します。しかし,このようなことについて,投票そのものの意味を考えることにつながる取り組みを部局間の連携で取り組んでいただくよう期待します。それは有権者教育であり,シチズンシップ教育であり,地域課題教育であったりと,市政全般にかかわるものですから,選挙管理委員会だけの課題ではなく,ぜひ若い世代の社会参画機会を確保することとして,全ての部局で意識していただくことを期待します。

 以上で,2月定例議会に提案された全議案に対する私の賛成討論とさせていただきます。