2019年 12月定例会 討論

人件費関連2議案に反対、その他賛成

 議席26番,無所属,中西大輔です。
 私は,12月定例議会に提案された議案第93号から第98号のうち,議案第93号と第95号に反対,ほかの議案には賛成し,意見を述べます。

 まず,賛成する議案,議案第94号 鈴鹿市会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例の制定について,この条例により嘱託職員の方々がフルタイム会計年度任用職員に移行し期末手当の支給率が改定されること,臨時職員の方々がパートタイム会計年度任用職員に移行し期末手当と通勤距離に応じた交通費が支給されることは,待遇改善につながるものであり,賛成し,今後の取り組みを注視したいと思います。

 一方で,議案質疑において,平成30年度の決算額をベースとして,待遇改善による人件費の変化を確認したところ,約4,800万円人件費がふえることがわかりました。今回の条例改定に伴う変更は,新年度予算から反映されるということですが,今後,人件費として約4,000万円台の増加と予想されることについて,必要な支出とは考えますが,独自に使える財源への影響について相応の意識を持ち,市政運営に取り組まれるべきと意見します。

 反対する議案に入る前に,せんだって神戸高校で行われておりました鈴鹿学の発表会を見学させていただきました。その場で高校生の皆さんが,1年間の学習をもとにいろいろなことを発表されておりましたが,やはり財政のことであるとか,人口減少であるとかを取り上げておりました。彼らに次の市政をつなげていくということが,非常に重要だということを感じたところです。

 そこで,反対する2議案について,あわせて意見を述べさせていただきます。
 まず,議案第95号 鈴鹿市職員給与条例及び一般職の任期付職員の採用等に関する条例の一部改正について,期末勤勉手当の見直しと,新採職員から30代半ばまでの給料表の見直しを主な内容として,人件費がふえる内容になっています。その金額は,議案第95号の議決を前提として,議案第93号の補正予算において,令和元年度分にさかのぼり適用され,その金額は4,292万4,000円となっています。
 この給与については,人事院勧告を受けて,ここ数年連続で増額改定が続いています。過去,平成28年,29年,30年と,私は同様の給与条例改定の議案と,関連する補正予算案に賛成していません。

 その理由は,鈴鹿市が直面している将来課題や政策課題,例を挙げると,今回,一般質問でも取り上げましたが,学校を初めとした公共施設の維持更新や,道路などのインフラの整備や改修に大きな課題があることや,子供たちの教育内容の充実,多様化し増加する福祉需要への対応,そのような市民の皆さんの要望を実現するための財源確保が先だと考えるからです。今回も趣旨は同じです。

 条例案と補正予算案が提出される前,総合計画2023後期計画のパブリックコメント募集と同時に鈴鹿市の財政見通しが公表されました。そこでは,今後の財政見通しについて,2020年以降,財政調整基金からの繰り入れがなければ,約2.5億円から約11億円の財源が不足し,4年合計で約23億円,財源が不足するということが出ております。財政調整基金を安易に取り崩すことは,災害対応にとってリスクになりますので,この点は非常に考えなければいけないところでもあります。

 このような内容についてですが,総合計画後期計画を今後進めるに当たって,財源不足と,この人件費のふえることをどのように整合性を持たせて説明していくのでしょうか。約2.5億円歳出を減らそうとすれば,相当な事業の見直しが必要になるはずです。もしかすると,市民の皆さんに対して,行政サービスの低下につながるような事業の見直しをしなければいけなくなるかもしれない。

 また,鈴鹿市は地域づくりを進めておりますが,地域づくり協議会設置の説明においても,人口減少とあわせて財政が厳しいということが説明の中に入っていたりしました。その一方で,今回,人件費増となる議案が上げられていることには,違和感を感じるところです。

 また,総合計画2023後期基本計画案の中,単位施策2532「計画的な財政運営と財務情報の開示」では,成果指標として,将来負担比率を35%以内に抑えることが示されています。このことについて,一般質問で内容を確認したところ,後期計画4年間の市債発行額を合計で約133億円におさめていく考えということでした。言い方を変えれば,それだけ市債発行を行わなければ,公共施設などの改修の課題に対応し切れないということではないでしょうか。このように,将来世代の負担増が前提にされている中で議案が出されていることについて納得できません。

 議案第93号についてですが,佐佐木信綱記念館,鈴峰公民館,玉垣小学校給食室の雨漏り改修について問いました。その中,佐佐木信綱記念館について,1,846万4,000円の改修費用のうち,約570万円は雨漏りが起こったために発生したものであり,雨漏りがなければ必要がなかったことがわかりました。
 当初予算で改修費用が計上され,工事が行われていれば,それだけの金額は使われていなかったかもしれないということは,非常に重要な論点ではないでしょうか。これまでの人件費増による影響がなかったとは言えないというふうに考えるところです。当初予算で対応されていれば,使わなくてよい税金があった。その点は非常にゆゆしきことと考えます。そのため,人件費増となる予算が計上されたということについて納得ができないところです。

 財源全体について,使い道の決まっている特定財源と,市が使い道を決められる一般財源があります。その割合は,おおむね4対6です。平成31年度当初予算で考えると,約380億円が,市が使い道を決められる一般財源となっております。ただし,現在は経常収支比率が約90%強の状態になっております。この中で純粋に独自で使える金額と考えられるものは,約25億円前後と考えられるところです。そのような中で,約4,000万円強,経常的な支出をふやすということについては納得できません。

 先行きが不透明な中,将来世代の負担を抑制する意味でも,また政策の選択肢を残す意味でも,やはり人件費については厳しく見ざるを得ないところです。それだけの支出が可能であるのなら,学校改修に重点的にお金を回してはどうでしょうか。人件費として考えるのであれば,教育を支援する人材の雇用に回す考えはどうでしょうか。
 以上のような理由で,議案第95号について反対,議案第93号補正予算(第4号)について,人件費関連部分以外は妥当な計上と考えますが,人件費部分について反対のため,議案全体に反対します。
 議員各位の御再考を,いま一度よろしくお願いいたします。