2025年 12月議会 討論

「議案第65・66・68・73号に反対、残り議案に賛成」

 議席25番、中西大輔です。私は、12月定例議会に提出された議案第65号 令和7年度鈴鹿市一般会計補正予算(第2号)及び議案第66号 令和7年度鈴鹿市国民健康保険事業特別会計補正予算(第2号)及び議案第68号 令和7年度鈴鹿市後期高齢者医療特別会計補正予算(第2号)及び議案第73号 鈴鹿市職員給与条例等の一部改正について反対し、残り議案については賛成します。

 前提として、議案第73号による議決後の給与改定については、否定、反対するものではありません。また、議案第65号についても、人件費以外の部分についてはおおよそ妥当な内容として賛同するものです。
 そして、先ほど予算決算委員長の報告にもありましたが、予算決算委員会で出ました賛成討論の中、やはり令和8年度の事業進行に当たっては、しっかり見直しを行うということについても理解して賛成するものです。しかし、その上で反対の理由を述べさせていただきます。

 議案第73号の附則第1条2及び3で規定される遡及適用について、やはり考え直す必要があると私は判断するためです。
 この遡及適用により、議案第65号、議案第66号、議案第68号で、総額3億9,146万6,000円の人件費増額補正が計上されています。仮に後日、地方交付税措置が行われたとしても、約1.3億円は一般財源からの支出になると見込まれます。財政調整基金が主な原資と考えられますし、この分については、国からの支援もありません。
 この金額について、現在の鈴鹿市の財政状況を踏まえ、市民の皆様から寄せられている多くの要望の実現、さらには公共施設やインフラの維持・更新といった喫緊の課題を考えたとき、判断の妥当性が問われると考えます。
 一例を挙げます。

 私は、9月24日、鈴鹿市デイサービス連絡協議会の皆様が市に要望書を提出される際に同席させていただきました。介護報酬の改定、物価高騰、人件費の上昇などにより、事業所の経営が非常に厳しい状況にあるとして、国の補助制度などを活用した支援を求められていらっしゃいました。しかし、市の回答は消極的であり、今回、補正予算においても、物価高騰対策高齢者施設等運営支援給付金のような支援策は今のところ計上されていません。

 市民要望には、財政が厳しい、お金がないとの一方で、遡及適用については、されていくという形になっているわけです。このような状況の中で、財政調整基金からの繰入れを含めて、一般財源から約4億円を充当する考え方になっている人件費増額です。ですから、その根拠となる条例改正について、議案質疑を行い、その後、市がどのような議論と検討を経て判断したのかを確認するため、情報公開請求も行いました。
 議案質疑での説明は極めて限定的で、情報公開では、決裁文書は存在するものの、意思決定の過程を示す議事文書は存在せず、これでは議決に対する説明責任を果たせるとは私は考えられず、反対理由とさせていただいています。

 次に、議案提出の根拠となる人事院勧告との関係です。
 人事院勧告は、第三者機関である人事院が国会及び政府に対して給与の見直しを求めるものであり、地方公共団体に対しては、総務省から地方公務員の給与改定等に関する取扱いについてとして通知されています。今年は、11月11日付で関係団体の長宛に発出されています。
 議案質疑において、勧告そのものには法的な強制力はないことは確認しました。
 一方で、総務委員会であったり、分科会での説明を聞いていると、国を経ていることや、最高裁判決の存在を根拠に従うべきものとする論調であったと私は感じました。

 そこで、最高裁判決を確認したところ、昭和48年に判決の事件番号「昭和43年(あ)第2780号では、「憲法二八条の労働基本権の保障は、公務員に対しても及ぶものと解すべき」とあり、また平成12年に判決の事件番号「平成7年(行ツ)第132号」では、「人事院勧告は、国家公務員の労働基本権の制約に対する代償措置」というふうにありました。これらを根拠にされているとは思います。しかし、昭和43年(あ)第2780号の判決理由を読むと、別の重要な視点が示されていると私は考えました。

 それは、公務員の労働基本権は、国民全体の利益の見地から一定の制約を受けることは免れないこと、また抜粋しますが、「公務員の場合は、その給与の財源は国の財政とも関連して主に税収によって賄われ、私企業における労働者の利潤の分配要求のごときものとは全く異なり、その勤務条件は全て政治的、財政的、社会的その他諸般の合理的な配慮により適当に決定されなければならず、しかもその決定は民主国家のルールに従い、立法府において議論のうえなされるべきもの」と明確に述べられていることです。
 これら最高裁判決については、どちらもそもそも特例公債の発行が常態化する以前のものですし、そのことを考えれば、指摘されている部分については、現在より重くなっていると考えるべきではないかと私は考えます。

 これらを踏まえれば、鈴鹿市は、人事院勧告を金科玉条のように扱うのではなく、市民全体の利益の観点から、政治的、財政的、社会的、そのほか諸般の合理的な配慮を尽くした議論と判断の上で、その情報とともに市議会の議論に付す必要があると解釈すべきではないかと私は考えました。

 さらに、総務省通知のほうをよく読みますと、「給与条例の改正は、議会で十分審議の上行うこと」と明記されています。十分な審議のためには、相応の情報提供が不可欠です。しかし、実際に示された説明は行政内部の論理にとどまり、先に述べたとおり、意思決定過程を示す議事文書も存在しません。この点は、鈴鹿市のコンプライアンスが問われるのではないかと私は考えました。

 条例は、その自治体における法律です。また、財政運営に必要な一般財源は市民全体の財産と考えます。これらに関わる議決は決して軽いものではないはずです。十分な情報が示されないままでは説明責任を果たすことはできないと考えます。

 そして、現在、国の財政運営は特例公債、赤字国債の発行が前提になっていて、国と地方を合わせた長期債務残高は約1,200兆円を超えている状況です。
 鈴鹿市においても、赤字の地方債と呼ばれる臨時財政対策債については、令和6年決算時の残高は約221億円となっています。交付税措置を前提とした制度ですが、これだけまだ積み上がっています。
 そして、先ほどもありましたが、経常収支比率については、令和6年度決算時で95.9%、かなり財政が硬直化して、余力がどんどん失われている状況です。

 また、今補正予算も含めて、直近3年間、遡及適用による増額がどれだけあったかを確認しました。約9億円です。そう考えると、地方交付税措置があるとしても、合計約3億円が一般会計からの支出と考えられるわけです。市民の皆さんの税金、基金からの支出となります。これだけあれば、どれだけ学校施設の修繕や改修などができたでしょうか。

 人事院勧告については、50人以上の規模の会社対象の調査の上、出てきています。実際は、日本において、中小企業、小規模事業者の方々は、この考えからしても95%以上と言われています。そして、そこで働いている方々は約7割の方々です。鈴鹿市の実情はどうでしょうか。私は、その点についても考えなければいけないと考えます。真剣に考えるべきことではないでしょうか。

 以上の理由から、鈴鹿市の今回の対応に異議を申し立てるとともに、今後、同様の事案が繰り返されないよう強く改善を求める立場から、人件費増額に係る補正予算である議案第65号、議案第66号、議案第68号及びその根拠となる議案第73号に反対します。

 賛成議案のうち、議案第72号 鈴鹿市行政組織条例の一部改正について、意見を述べます。
 議案概要資料に示されているとおり、発注する公共工事のガバナンス強化、技術職員の技術力の維持・向上、そして公共建築物やインフラ施設を適切に管理する体制を整えるために、技術統括監を廃止し、技術系組織を統合した技術監理部を新設する点については理解できるものです。
 一方で、新設される公共施設マネジメント課のうち、計画推進グループについて、事務分掌では、公共施設の整備、再編及び活用に関することとされていると考えます。総合管理計画や個別施設計画の進捗管理も含まれていると考えられます。しかし、部の役割を説明する資料には、これらの点が明確に示されておらず、気がかりと感じています。

 今後、公共施設等の改修を効果的に進めるためには、やはり修繕に特化した特定目的基金を設置、それを活用して新設される部が検討から実施まで機動的に進められる体制にすることが重要だと考えます。あわせて、施設の整備・再編・活用を個々の施設所管部署が担当して委ねられるのではなく、エリアマネジメントや公民連携の視点を踏まえ、計画グループが主体的に検討・判断を行い、所管課と協議する仕組みが構築されることが必要かと考えます。そのような取組の検討をされることを期待して、賛成とします。
 以上、12月定例議会に提出された議案について、私の意見を申し述べさせていただいて、討論とさせていただきます。議員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。